第52話 ラドラと武蔵
伊豆基地の食堂には異様な緊張感で満たされていた。その理由は勿論武蔵とラドラだ、武蔵が旧西暦の人間であると言うことは伊豆基地の人間全員が知っている、だがラドラもまた旧西暦の人間であり、そして武蔵と戦っていた敵側である恐竜帝国の人間……いや、爬虫人類だと言う事で警戒されるのも当然だった。そして武蔵もラドラもこの雰囲気を感じ取り、上手く話が出来ないまま沈黙だけが続く……筈だった。
「はいはーい! いつまでも黙り込んでいても何も変わらないでしょ! 武蔵もラドラ少佐も話す事があるなら話すべきだと思うのよね!」
「エクセレンさん……」
「なんだ、随分とお調子者が来たな」
食堂の雰囲気を壊したのはエクセレンだった。お調子者ではあるが、決して空気が読めない訳ではない。そして頭が悪いわけでもない、このままでは話が何も進まないと判断して、武蔵の隣に座りそう声を上げたのだ。
「いや、ちょっと近くないですか?」
「なんか凄い新鮮なリアクションッ! ブリット君わかる!? こういうのが美女に接近された時の正しい反応なのよッ!」
話を振られ口を開きかけ、やっぱり閉じて、ブリットは誤魔化すようにコーヒーサーバーへと逃げていった。
「いや、本当近いですから」
「もぉー照れてて可愛いわね、頭撫でてあげましょうか?」
撫でてあげましょうか? と言いつつも、そう言っている時にはもう撫でられている武蔵はなんともいえない表情をする。照れるべきなのか、呆れるべきなのか、青春と言うべき時代を恐竜帝国との戦いに費やした武蔵は、恋愛に関してはとことん奥手である。更に言えばエクセレンのような美女に対して、どんな反応をすれば良いのか判らないでいた。
「余りからかうな、すまないな。武蔵」
「ちょっとー、場を和ませてあげたのにー、あッ!、それとも。もしかしてキョウスケったら嫉妬してる? 若いツバメには興味はあるけど……いたたたッ!! それ彼女にする反応じゃな……あいたたッ!! 痛い! ほんとに痛いからッ!!!」
エクセレンの止まることのないマシンガントークにキョウスケは無言でその頭をアイアンクローで締め上げ、エクセレンが痛いと何度か叫ぶとようやくその手を放した。
「すまないな、エクセレンなりに気を使った結果なんだが……」
ひとしきり折檻した後に謝罪するキョウスケにラドラも武蔵も気にすることはないと言って首を振る。正直エクセレンがいなければ、2人は話を切り出すタイミングすら見出せず。ずっと黙り込んでいただろう……少しやりすぎた感じはあるが、エクセレンの悪ふざけは決して意味のない物ではなかった。
「久しぶりって言うのはおかしい……よな」
「そうだな。こういう時は……懐かしい……も妙だな」
敵として戦ったのだ、決して友人関係などではない。だが確かに、ラドラと武蔵達には言葉では容易に表現出来ない絆があった。しかしそれを絆と呼ぶには違和感しかないのも確かな事で――2人はただただ揃って苦笑する。
「はいはーい! 私色々聞いて見たいことがあるんだけど良い? 武蔵にもだけど、あんまり話をする機会なんてないわけだし、皆もなん
かいろいろ聞いて見たいこととか無いのー? 勿論話を聞くだけでも良いわよー」
エクセレンがそう呼びかけた事で、遠目で話を聞いていたリュウセイやイルム達が武蔵とラドラの座るテーブルに集まってくる
「それなら俺も混ぜて貰うか」
「……カイまでか、なんとも騒がしいことになりそうだ」
データ室での話し合いを終えたカイまでもが合流し、エクセレンが司会を務める中で武蔵とラドラに色々と話を聞いてみようの会が幕を開けるのだった……
「じゃあ、まずラドラ少佐「少佐はいらん」じゃあラドラって呼ぶわね。キャプテンって言ってたけど、あれって渾名みたいなものなのかしら?それとも恐竜帝国と関係のあることなのかしら?」
エクセレンの行き成りの核心を突く言葉、だがラドラはそれに対して不快だという素振りを見せずその通りだと頷く。ラドラから見てもエクセレンは才女であり、それをおちゃらけた姿で隠している。その姿に面白いと感じていたからだ
「その通りだ、キャプテンは自分専用のメカザウルスを持つ貴族階級の者を言う」
「貴族? ラドラは貴族だったのかしら?」
新たな謎が増え、目を輝かせるエクセレンにラドラは苦笑しながら、恐竜帝国の階級についての話を始める
「まず恐竜帝国は、王族、貴族、平民、下層民の4つの階級がある。王族は武蔵も知ってのとおり、帝王ゴールを初めとする、ゴール一族
強大な力を持つ者が多い、貴族は基本的に軍部や研究職に就くエリートを指す、そしてその中でも自分専用のメカザウルスを持ち、指揮権を持つ者をキャプテンと呼ぶ。その下に平民、武蔵もよく知る恐竜兵士の事だ」
「ああ、あいつらか……わらわら出てくる」
「そうだ、あいつらは知能も戦闘能力も決して高い訳ではないが数がいることだけが最大の武器だな」
「全然死なないしな、あいつら」
「体が両断されようが、全身を焼かれようがそう簡単に死なないからな」
武蔵とラドラの話が余りに血生臭く、食堂の雰囲気が悪い物になるが2人は気付かず話を続ける
「人間だって恐竜兵士を殺す武器を色々作っていただろう」
「人間じゃなくて基本的に敷島博士だけどな。三連発小型散弾銃とか、ミサイルガンとか訳の判らんのを良く作ってた」
「どこの研究職も頭がおかしいのは1人や2人いるものだな」
違いないと笑いあう2人だが、その話の内容は決して笑い合える物ではない。しかし伊豆基地にもマリオンがいるからこそ、人事ではないとキョウスケ達は感じていた
「敵同士だったのに、良くそんなに笑えるよな、もしかしてラドラは裏切ったりしたのか?」
「裏切る……ああ、そうだな。俺は確かに裏切ったよ」
まさかの裏切ったと口にするラドラにその場で話を聞いていた、メンバー全員が酷く驚いた様子の顔をしていたのだが……特にリュウセイ達は、イングラムの事もあり、裏切りに大しては全員が過敏になっていたが、カイが慌てた様子でラドラのフォローに入る。
「裏切るって、お前そういうのは嫌うだろうに……そもそも、お前はいつも言葉が足りないんだ」
「……ゲッターを倒し栄光を得るか、それとも死ぬかと言われ、最強のゲッターロボに挑戦したいという事もあり戦いを挑んだからな。俺自身はあの当時は人間に対して特に思う事はなかった。ただ自分の作り上げたメカザウルスとゲッターの力比べをしたかったと言うのもあった」
ラドラの表情や言葉にも憎しみの色は無く、純粋にどちらが強いか確かめたいと言う求道者のような素振りが見えていた
「なんか、想像と違うな。こう人間を憎んでいるとかそういう風に思ってた」
「確かにな、と言うかラドラ。人間じゃないってどういう事だ?」
カイのどこか抜けた言葉に苦笑するラドラは先にそちらを話すかと呟いた
「俺はゲッターと2度戦った、1度目は禄に抵抗も出来ずに負け竜馬に助けられた。2回目は俺が逆にゲッターを圧倒し勝利を確信した……だが勝利を確信した俺は信じられない物を見た」
ラドラはそう言うと目を閉じて、顔を上げる。その閉じた目にはラドラを変えた光景が浮かんでいると言う事なのだろう……その顔には懐かしさを感じさせる柔らかな笑みが浮かんでいた
「火山の噴火で街を襲った溶岩流をゲッターロボはその身を挺して護ろうとした。……自分達が死ぬ事を覚悟してまでも人間を護ろうとするその姿に――俺は余りにも強い衝撃を受けた。武蔵達は敵の俺の命を助け、そして今、死を覚悟で街を守ろうとしたその姿に俺は殆ど反射的にゲッターを助けていた。その結果ゴールに遠隔操作で自爆装置を起動させられたが……俺に後悔はなかった。俺は死を選んだ。しかし、同時に本当の栄光を掴んだのだ」
それは与えられた栄光ではない、自分自身が認めた本物の栄光を手にしたと力強く言うラドラ
「オイラ達も思ったさ。なんでラドラは恐竜帝国なんかに生まれたのかって」
「俺もそう思ったよ。何故俺は恐竜帝国に生まれたのかとな、人ならばお前達の手を掴めたのになとな」
スーパーロボットの定番である、敵との和解。だがそれを見てリュウセイは……いや、その場にいた全員は誰も言葉を発することはなかった。自分達の理解を超える、敵と味方、種族を超えた友情がラドラと武蔵の……いやゲッターチームの3人の間には確かに友情があったのだ
「すまないが、ラドラ少佐。それだと貴方は恐竜帝国として死んだはずだ、しかし貴方は人間にしか見えない。こんな事を言うのは失礼だというのは判っている、だが貴方が本当に人間であるということを証明してくれなければ、どうしても不信感を消す事は出来ない」
「裏切りか、確かにな。ギリアムから話は聞いている、イングラム・プリスケンの事、そして恐竜帝国と戦ったのならばそれも当然だ。だが俺も正直良く判っていないと言うことは心に留めて置いてほしい」
ラドラはそう前置きしてから、何故自分がここにいるのかを話し始めた……荒唐無稽と言われてもそれがラドラにとっての唯一無二の真実だ。それを偽ることは出来ないのだから――
「あの時は驚いた、なんせ死んだ筈の俺が目を覚ますと俺は人間になっていたからな。しかもだ、軍学校の中だ。最初は混乱した物だよ」
「突然だったのか?」
「そうだ、死んだ筈の俺が目を覚ます。そんなありえない事が起きたのだ、ラドラ・ヴェフェス・モルナと言う人間として目覚めたのだ。生まれ変わったのか、それとも同名の男に憑依したのか、それは判らないがキャプテン・ラドラは新西暦でラドラ・ヴェフェス・モルナとして新生したのだ」
死んだ人間が、同名の別の人間として目覚めた。元のラドラ・ヴェフェス・モルナがどうなったかは判らない、ラドラが憑依した事で元の人格は死んだのか、それともラドラ・ヴェフェス・モルナと言う人間が旧西暦のラドラの夢を見ていて、そうなったのか……何故ラドラが生まれ変わったのか、それは誰にもわからない。だが、今こうして新西暦を生きる1人の人間として新たな生を生きている。それが嘘偽りの無い、ラドラの真実だった
「そういえば、急に性格が変わったと噂になっていたな」
「……だらけ切った身体には我慢ならん」
カイが当時を思い出したように呟く、どうもラドラとしての意識を得る前のラドラ・ヴェフェス・モルナと言う人物は決して軍人として優秀な人間ではなかったようだ
「しかし、武蔵。お前は何故この時代にいるのだ?」
「いやあ、恐竜帝国のど真ん中で自爆してな、気が付いたら新西暦だ」
「お前も無茶をするな、竜馬と隼人は? 一緒じゃなかったのか?」
「単独操縦で特攻したからオイラだけだ」
単独操縦と聞いてラドラは納得したと呟き、コーヒーを啜る。
「道理で弱くなっている筈だ、俺の知るゲッターロボとは雲泥の差だな」
「うっ、やっぱりか?」
「ああ、最初は何故こんなにも動きが鈍いのかと思った。手加減をしているのかとさえも思ったぞ」
ラドラはゲッターロボの最も強い時を知っている、今のゲッターロボでも強いと思っていたリュウセイ達はその言葉に驚きながらも、尋ねずに入られなかった
「一番強いときのゲッターロボはどれくらい強かったんだ?」
「そうだな、メカザウルスの一部隊をぶつけても勝てなかった。しかもゲッターロボに傷を付ける事さえも出来なかった」
「メカザウルスの一部隊をぶつけても、ダメージを受けないとかどうなってるんだよ」
「ちょっと信じられないよな」
メカザウルスの強さは直に戦って理解している。だがそれだけの相手と戦って、無傷と言うのは流石に信じられなかった
「なんだ、武蔵言ってないのか? この世界のメカザウルスは弱いと」
弱い!? ラドラから告げられた信じれない言葉にリュウセイ達の視線が武蔵に向けられる。武蔵は口にしようとしていたクッキーを机の上に戻して
「はっきり言って弱い、もしオイラ達が戦ったメカザウルスのままだったら、正直に言うと日本は壊滅していたと思う」
「ゲッター線コーティングもなかったうえに、部隊はキャプテンに率いられていないから統率も何も無い。ただ本能のまま暴れるだけだったからな……」
自分達が脅威だと思っていたメカザウルスが、実は弱いと聞いてリュウセイ達は言葉もなく、懐かしむように話を始めるラドラと武蔵を呆然とした様子で見つめる事しか出来ずいた。ラドラと武蔵の懐かしむような話にリュウセイ達は勿論、エクセレン達も何も口を挟む事が出来ず。当初エクセレンの言っていた質問などが出来る空気ではなかった
「お前の武術……柔道だったか、あれは中々に厄介だったな」
「ただの学生の域を出ないさ、力任せに技を仕掛けていただけだよ」
2人の話はいつの間にかゲッターロボを用いない生身での戦いの話へと移っていた。
「ほう、お前は柔道をやるのか」
「中々の腕前だぞ、武蔵は」
「ラドラがそこまで言うのか……武蔵。伊豆基地の道場で勝負してみないか?」
「え! 道場あるんですか!?」
「ああ、あるぞ。どうだ、俺と一試合するか?」
「しますしますッ!! いやあ、柔道やるなんて久しぶりだなあ」
「どれ、俺もやるとしよう。殺し合いではない、競い合いとしての勝負も悪くはあるまい
そして話はいつの間にかカイと武蔵の柔道対決となり、意気揚々とした様子でカイと共に食堂を出る武蔵とラドラ。
「カイ少佐って柔道の達人だったよな」
「こりゃ、面白そうだ。あちこちに声を掛けて見るかッ!」
カイと武蔵とラドラの柔道対決と聞いて、イルムやタスク達も食堂を出て、柔道場に足を向けるのだった……
武蔵とラドラ、そしてカイの3人の柔道対決と聞いて伊豆基地で手が空いている兵士達はこぞって柔道場に向かっていた。ジョナサンやカークも向かった辺り、旧西暦と新西暦の人間の身体能力の差を調べようとしていたのは間違いない。
「……」
静まり返った格納庫の中に佇むゲッターロボを見上げる男の姿。その目には憂い、憎しみ、怒り、親愛……様々な複雑な感情の色が浮かんでいる。静まり返った格納庫に銃の撃鉄を上げる音がし、ゲッターロボを見上げていた男が慌てた様子で振り返る
「お前は……何故俺に銃を向ける」
男……コウキ・クロガネに銃を向けていたのはギリアムだった。コウキを鋭い目で見つめながらギリアムは銃口をコウキへと向けながらコウキの言葉への返事を返した
「百鬼帝国、鉄甲鬼を警戒するのは当然だとは思わないか?」
「!? 貴様……何者だッ!!」
捨てたはずの名前、誰も知らないはずの己の本名を告げられた事でコウキの顔色は変わり懐に潜ませていたナイフを抜き放つ
「俺が何者か……か。お前とそう大差はない、自らの住まう世界から追放された者とでも言おうか?」
「……恐竜帝国か、それとも百鬼か?」
コウキの返答にギリアムは苦笑し、首を左右に振る。
「そのどちらでもない、だが恐竜帝国も百鬼も、ゲッターロボも「マジンガーZ」も知っている」
「まじんがー? なんだそれは?」
聞き覚えのない名前にコウキ……いや鉄甲鬼は困惑した様子で尋ね返す。その返答を聞いてギリアムは少し残念そうな顔をしたが、すぐに元の冷酷とも取れる表情に戻る。
「時間を稼ごうと言うのは無駄だ、一時的に監視カメラは遮断している。それに今この格納庫に来る人間はいない、俺の返答に答えるならばよし、答えないのならば」
その続きは口にはせず、銃の銃口を頭から胸へとずらすギリアム。それで何を言おうとしているのか理解した鉄甲鬼は手にしているナイフを捨て両手を上げる
「すまないな。こんな野蛮な真似はしたくはないのだが、生憎俺には時間はない。俺の質問に答えて貰おうか」
ギリアムの言葉に鉄甲鬼は溜め息を吐き、何を答えればいいと訪ねる
「胡蝶鬼を知っているだろう? 彼女に接触をした筈だ」
「……なるほど、あの時は誤魔化されたがグルか」
「仕方ないだろう? 彼女は俳優だ。演じるのは彼女の得意分野だ」
俳優じゃなくても胡蝶鬼は演じることが得意だろうにと鉄甲鬼は苦笑いを浮かべた。
「俺と同じなのか、それを知りたかっただけだ」
「百鬼帝国の再建には興味はない訳か」
「当たり前だ。今の俺に角はない、それにジョナサン博士には世話になっている。そんな人間を裏切るような真似はしない」
「鉄甲鬼「その名で呼ぶな、俺はコウキ・クロガネだ」……失礼した、ではコウキ。お前はこの時代で人間として生きるという事で良いのか?」
ギリアムの言葉にコウキはそうだと迷う事無く返事を返す。その眼にやましい色はなく、ギリアムはコウキの言葉を真実だと判断し、銃を懐に戻す
「すまないな、手荒な真似になった。だが俺にはお前を見極める必要性があった」
「それはラドラもか?」
「あいつは教導隊の時に一晩話し合っている」
ラドラと言う名前、そしてその言動にギリアムは教導隊時代にラドラを互いに納得行くまで話し合い、そして自分以外に来訪者がいることを知ったのだ。
「お前にはいくつか協力して欲しいことがある」
「……ゲッターロボの修理か?」
話を最後まで聞かずにそう尋ねてくるコウキにギリアムはその通りだと返事を返す。ビアンの手によってかなり良いところまで修理を施されているが、まだ万全とは言いがたい
「お前はゲッター線の研究をしていたはずだ」
「……敵を知るのにそれと同等の力を使うのは当然だ」
ゲッター線に関する理解が足りない、それ故にビアンの修理は完全ではない、だが新西暦の人間がここまで良く修理をしたとギリアムは感じていた。まるで何かに導かれるように修理が施されている……それはギリアムの中で1つの疑惑になっていた
(ビアン・ゾルダークはゲッター線に選ばれたのか)
ゲッター線は寄り代を求める。それが竜馬であり、隼人であり、そして武蔵であり、早乙女博士であった。そしてこの時代の寄り代として選んだのはビアンなのかもしれない、だからこそここまで修理が出来ていたのかもしれない。
「協力はしよう、だが俺の経歴は他言無用。俺は表舞台に立つ気はない」
「……良いだろう、何も表舞台に立つことだけが戦いではない」
むしろ表舞台に立つよりも、裏で活動する方が良い場合もある。その点で言えば、コウキは武蔵やラドラを隠れ蓑として動いてくれている方が、ギリアムにとっては都合が良いだろう
「ゲッターロボの修理は武蔵の了承が必要だが、断ることは無いだろう。ゲッターの修理をこれと平行して行って欲しい」
「これは……ゲシュペンストか? 今の連邦を判っているのか?」
「判っている、その上で頼む、これをジョナサン博士に回してくれ」
ゲシュペンストの強化プランをコウキを通して、テスラ研に託すことにした。直接動けば、今の段階ではゲシュペンストよりも、ヒュッケバインを推し進めたい上層部に潰される可能性がある。だからテスラ研で形にしてもらい、試作型を作りそこから強引にゲシュペンストの強化プランを推し進める。それがラドラとギリアムの計画だった
「良いだろう、テスラ研も今のやり方を認めているわけではない」
「テスラ研初のPTだからな」
確かに性能は良いかもしれない、だがヒュッケバインを量産する事をテスラ研も認めている訳ではないのだ。
「それで、俺に頼みたいことはこれで最後か?」
ギリアムが返事を返さない事を了承と受け取り、歩き出したコウキ。ギリアムはその背中に言葉を投げかけた
「最後に1つだけ聞きたい、お前はゲッターをどう考える」
「……越える事の出来なかった壁だ。機会があるならば、もう一度挑みたい。敵同士ではない、ただ競い合う相手としてな」
そう笑い、格納庫を出て行くコウキ。ギリアムはそれを見届けてからゲッターロボを、先ほどまでのコウキと同じ様に見上げる
「……懐かしいと思うのは、きっと酷なことなのだろうな」
こうして再び会う事が出来た。たとえ武蔵がギリアムを知らなくても、自分だけが一方的に知っているとしても、それを喜んでいるギリアムは苦笑し、ゲッターロボに背を向けるのだった……
第53話 対決 へ続く
ちょっと今回は思うような話になりませんでした、書きたい話を文にするのはとても難しいですね。次回は柔道対決から入って、次シナリオの導入までを書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い