進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第57話 亡霊の再誕

第57話 亡霊の再誕

 

ラドラが開発したゲシュペンスト、それは伊豆基地で分析・解析を行う事となった。だがその結果は7割が解析不能、もしくは複製不可能と言う結果だった。

 

「ラドラ博士、この反マグマ原子プラズマジェネレーターを複製することは不可能なのですか?」

 

「不可能とは言わないが、メカザウルスから損傷させずに引き抜く必要がある」

 

「……それは不可能と言わないか? ラドラ」

 

「俺は出来るぞ? 恐らく武蔵も可能だ」

 

さらりと告げるラドラに話を聞いていたマリオン、ジョナサン、カークの3人は化け物めと心の中で呟く。だが新西暦の技術でも再現可能なロストテクノロジーとオーバーテクノロジーの融合態それを再現する事を諦めるという選択肢は3人の中にはなかった。

 

「マグマの熱で稲妻を発生させ、それを循環させる事で発生するエネルギーは非常に魅力的だ」

 

「操作こそ難しいが、トロニウムエンジン、ブラックホールエンジンよりも遥かに安定するはず」

 

エアロゲイターの戦力にゲッター線を使われてはいないとは言え、量産型ドラゴン、ライガー、ポセイドンが加わっているのだ。今のままのゲシュペンストでは戦力が足りない、ロストテクノロジーの結晶の反マグマ原子プラズマジェネレーターを少しでも生産出来れば戦力は格段に上昇する。

 

「ゲシュペンストと言う名の、別の機体になっているとは思わないのか?」

 

「何を言うジョナサン・カザハラ。外見がゲシュペンストで、パイロットがゲシュペンスト乗りならば、それはゲシュペンストだ」

 

とんでもない暴論だが、テスラ研の初のPTにここまで思い入れを持っているラドラにジョナサンは悪い気はしなかった。

 

「メカザウルスが出現しなければ、新しく建造することも出来ないのか」

 

「正確には修理になるな。シグと2機のゲシュペンストには、1から建造したオリジナルが搭載されている。だが、メカザウルスから抉り出した炉心を修理したとしても」

 

「その性能は落ちる訳か」

 

元々生物の体内に組み込まれていた炉心だ。1から建造して、ゲシュペンストに適合するように用意された3つの炉心とは適合率が異なるのは当然だ。

 

「動力はこの際諦めて、装甲の方はどうだ? ラドラ」

 

「そちらはかなり楽だと思われる、複合金属に変わりはないからな」

 

「ではそちらの方の技術の提供を求める。それと、その複合金属をアーマリオンに使う事は可能だろうか?」

 

「そのアーマリオンとやらの図面を見せてくれ。話はそれからだ」

 

連邦に残された時間は短い、だが諦めると言う後ろ向きな気持ちの人間は誰も居ない。エアロゲイターを退け、地球を護る……その気持ちに偽りは無いのだから。

 

「ゲシュペンスト改だが、私達のほうで名前をつけても構わないかね?」

 

「好きにしてくれ、俺にはシグがある。あの2機はカイとギリアムに譲るつもりだ」

 

改と言う容易な名前よりも、よりよい名前があるのなら好きにしてくれと言って、ラドラは席を立つ。

 

「ラドラ博士? まだ聞きたいことがあるのですが?」

 

「すまないが、ギリアムに呼ばれているので失礼する。武装や機体のデータを預けるから後は好きにしてくれ、俺は科学者ではあるが……それ以上に戦士だ」

 

だから科学者同士の長い話には付き合いきれんと告げて、格納庫を出て行くラドラ。その肩が少し落ちているので、疲弊しているのは明らかだった。そしてそんなラドラと入れ違いでコウキが格納庫にやってきた。

 

「どうやらラドラを怒らせてしまったようですね?」

 

「ああ、そうなんだよ。コウキ、いやはや、正直ゲッターロボとメカザウルスの技術を流用したゲシュペンストなんて好奇心をそそるなんてレベルじゃないからな」

 

語ることすら禁じられた失われた時代の遺産……それが2つもあり、それを直に調べることが出来るのは科学者冥利に尽きるとジョナサンは笑い、コウキは肩を竦めて苦笑する。

 

「マリオン、君はEOTIは嫌いじゃないのか?」

 

「いーえ、これはEOTIではなく、かつて存在した技術です。これは私にこそ相応しい」

 

ラドラが残した資料を奪い合うマリオンとカークにジョナサンは苦笑し、ハンガーに鎮座するフライトユニットを外されたメタリックブルーとレッドのゲシュペンストを見上げる。サイズこそ1回り巨大化しているが、その特徴的なバイザーもセンサーも全てがゲシュペンストであることを証明している。本当なら、もっと適した姿にする事も出来ただろう、それでもゲシュペンストを選んだラドラには感謝しかない。まだゲシュペンストは終わってなんかいない、これからなのだ。

 

「コウキ、カイ少佐とギリアム少佐のゲシュペンストの解体許可を貰ってきてくれるか?」

 

「そういわれると思いまして、既にこちらに」

 

カイとギリアムのサインがある指令書を見て、ジョナサンは笑う。このゲシュペンストはまだ完全ではない、あくまで試作機で操縦やコントロールに癖があると言う、それを2人の癖に合わせて再建造する。ゲシュペンストを新造するよりも改造する方が遥かに戦力になると判断したのかレイカーの了承印もある。

 

「リバイブ……ゲシュペンスト・リバイブと言うのはどうだろうか?」

 

「再誕ですか、亡霊が蘇るとは恐ろしいことですね」

 

恐ろしいと言いつつも笑うコウキ、亡霊はそのまま闇に消えるのではない、死とはまた新たな誕生でもある。再誕……これ以上に相応しい名前は無い、ジョナサンはゲシュペンストを見上げながらそう思うのだった。

 

 

 

 

 

ラドラがデータ室の前に来ると、丁度反対側から武蔵が歩いてきた。

 

「お前も呼ばれていたのか? 武蔵」

 

「おう、でもオイラ難しいことなんて判らないけどな」

 

豪快に笑う武蔵、年上には基本的に敬語だが、ラドラだけには砕けた口調を使う。それは同郷とは言いがたい、だが、自分がもう会えない友人である竜馬達を思い返させるからか、それとも竜馬達の話を出来るからか……そのどちらかは判らないが、かつての敵同士であるラドラがビアンやエルザムを除けば、武蔵が一番心許せる大人と言うことは紛れも無い事実だった。

 

「なんか難しい話だと嫌だなあって思うんだよなあ」

 

「……そういうのは隼人の得意分野だからな。お前はどちらかと言うと行動派だ」

 

「そうそう、それで突っ込んで隼人に怒られるまでがオイラと竜馬のお決まりのパターンさ」

 

そう笑いあい、ラドラと武蔵は薄暗いデータ室に足を踏み入れる。

 

「ギリアム少佐、何故武蔵とラドラ少佐を……?」

 

「ああ、個人的に彼らと話したいことがあってね。だが心配ない、イングラム少佐の残したデータのプロテクトの解除はちゃんとするさ」

 

そう笑い、ギリアムは素早い指捌きでパスワードを入力していく。イングラムの残したデータと言う事で、武蔵も興味を持ちモニターの前に座るギリアムの後ろに立った。

 

「……よし。これでイングラム少佐が残した特脳研関係のファイルのプロテクトは解除した」

 

「特脳研関係? なんですかそれは?」

 

「簡単に言うと念動力の研究をしている研究所だ。SRX計画の参加者の1人「ケンゾウ・コバヤシ」博士が所長を勤める施設だ」

 

1人だけ蚊帳の外の武蔵に簡単に説明しながら、ギリアムはキーボードの操作を続ける。画面が進み、被験体の一覧になった所でラーダがギリアムに声を掛ける。

 

「マイ・コバヤシのデータはありますか?」

 

「ああ。被験体ナンバー5……マイ・コバヤシ、164年入所……となっているな」

 

「えっ……?」

 

ギリアムの呼び出したデータに怪訝そうな声を上げるラーダ。

 

「コバヤシってアヤさんの関係者ですか?」

 

武蔵がそう尋ねるが、ラーダは顔色を変えてさらにデータを呼び出してくださいとギリアムに声を掛ける。

 

「彼女の生年月日のデータを呼び出して下さいませんか……!?」

 

「159年6月17日となっているが?」

 

生年月日を読み上げるギリアム、武蔵とラドラは何の事か判らないと言う表情だったが、ラーダの顔色はより深刻な色を帯びる。

 

「そ、そんな……! それだと彼女はアヤの妹なのに、6歳も年上だということになりますッ!」

 

妹の筈なのに、6歳も年上と言うラーダの言葉に武蔵とラドラもやっと事の重要さを知った。

 

「データの間違いとかじゃなさそうですよね。別の人を呼び出したとかはないんですか?」

 

「いや、これは紛れもなくマイ・コバヤシのデータだ。……アヤ大尉は確かにマイ・コバヤシのことを自分の妹だと言っているのか?」

 

アヤの記憶違いの可能性を尋ねるギリアム、だがラーダは違いますと首を左右に振る。

 

「え、ええ……4歳年下の……そして、181年の研究所爆発事故で亡くなられたと聞いていますが……」

 

「妙だな。イングラムの記録では……マイ・コバヤシは165年から180年まで実験と冷凍処置を繰り返した後……翌年の特脳研爆発事

故後、再度冷凍処置を受け……被験体ナンバー4のジェニファー・フォンダと共に破棄……となっているが?」

 

ギリアムの背後からPCを操作したラドラが淡々とした口調で記録を読み上げる

 

「破棄……って人間を破棄ってどういうことですか?」

 

怒りの表情を浮かべる武蔵にギリアムは落ち着けと声を掛ける。歳若い武蔵には破棄と言う人間をゴミとでも思っているような言葉に怒りを抱くのは無理も無い。

 

「破棄と言うのは研究データの破棄だ、生きている人間を捨てた訳じゃない。恐らく研究所から一般の病院などに移送されたのだろう」

 

「そうなりますね……となるとマイ・コバヤシは事故で死んだのではなく、まだ生きている可能性がある」

 

研究データを取れないから破棄したと考えれば、マイは生きている可能性がある。だが何処の病院に入院されたのか、いつデータを破棄したのかが裏付けが取れない

 

「イングラム少佐の記録を信じるのなら、その可能性は高いな」

 

「諜報部のほうで探してみるのはどうだ?」

 

ラドラに言われる前にギリアムの諜報部を使う事を考えていたので連絡を取っておこうと呟く中、ラーダはアヤから聞いていた話といま聞いた話、それが余りにも違いすぎる事に驚きながらも、今知りえた情報を必死で頭の中で整理していた。

 

(……アヤの話とあまりにも大きく食い違い過ぎているわ……それにイングラム少佐の記録が正しければ、マイはアヤの妹ではなく姉ということに……いえ、それどころか……アヤとマイは本当の姉妹ではない可能性も……このデータとアヤの記憶……いったい、どちらが真実なの?)

 

「……ギリアム少佐、ケンゾウ・コバヤシ博士はこの事を知っているのでしょうか?」

 

「恐らくは知っていると思われるが無理だ、現在、博士は軍査察部に身柄を拘束されている。次の作戦前に面会することは出来ん」

 

真実を知っている相手がすぐ近くにいるのに、それを聞くことが出来ないと気落ちするラーダ。

 

「査察部殴って連れて来ましょうか?」

 

「止めろ、殴るくらいなら神経ガスでもぶちまける方が早い」

 

「頼むから止めてくれ」

 

待ってるなんてまどろっこしいから無理やりでも連れて来ようとするラドラと武蔵にギリアムは慌てて制止に入る。今にも突撃しかねない、ラドラと武蔵に話し終えてから呼べば良かったとギリアムは内心激しく後悔した。

 

「駄目なんですか?」

 

「手っ取り早いぞ? それに最悪俺と武蔵なら逃げればそれですむ」

 

やっぱり連れ出しに行こうとする2人をギリアムとラーダの2人で説得を繰り返し、漸く武蔵とラドラの査察部に突入を止める事に成功した。

 

「だがこの資料のお陰でイングラム少佐の事が大分判った」

 

ギリアムの言葉に武蔵達が驚く、そんな武蔵達を見てギリアムは笑いながら見ていたデータを消去する

 

「策略を好む人間は相手へヒントを与えたがるものさ、無論、大概はそれすらもトラップなのだが……イングラム少佐のヒントは不必要に易しすぎる。まるで、我々を助けることが本心であるかのようにな」

 

その言葉にイングラムが洗脳されていると言う可能性が再び強くなる。

 

「ありがとうございました、ギリアム少佐。私はカウンセリングの時間なので」

 

「また調べたいことがあれば声を掛けてくれ」

 

背を向けて出て行くラーダを見送ったギリアムは再び別のデータを読み込み始める。

 

「武蔵とラドラには見て欲しい物がある、待って……いや、映像データが出た。これを見てくれ、どう思う?」

 

モニターに映し出されたのは古い絵巻の映像、それを見た武蔵とラドラの顔は驚愕に染まった。

 

「これは……いや、まさか……ゲットマシン……か?」

 

「それにこれは、ゲッターロボだよな……ギリアムさん、これは一体なんですか?」

 

古い絵巻には紛れもなく、ゲットマシンとゲッターロボに酷似した絵が描かれているのだった。

 

 

 

 

ギリアムが武蔵とラドラを呼び出した理由、それはLTR機構から提供された絵巻を見て貰う事にあった。そしてギリアムがゲットマシン、そしてゲッターロボと感じたのと同じ様に2人もまた、これをゲットマシンとゲッターロボと断言した。

 

「これはLTR機構のエリ・アンザイ博士から提供された物で、遺跡から発掘された物になる」

 

「遺跡? これが遺跡に眠っていたんですか?」

 

遺跡に眠っていたと聞いて武蔵が怪訝そうな顔をする。ゲッターロボは確かに新西暦に存在する、だがその姿が掛かれた絵巻が遺跡から出てきたということに疑問を抱くのは当然だ。

 

「その遺跡の年代は?」

 

「詳しい年代は不明だが、古代中国らしいな」

 

古代中国で発見されたゲッターロボとゲットマシンの絵巻……細部がボケているのを武蔵はじっと見つめる。

 

「これは鬼ですかね? それにこれは蛸ですか?」

 

「詳しいことはアンザイ博士に聞かなければ判らないが、この絵巻が発見されたのは超機人と言う兵器の発掘現場との事だ」

 

「ますます理解できんな、何故そんな遺跡にこれが眠っていた」

 

「そもそも超機人って何なんですか?」

 

ラドラと武蔵に続けて質問されるギリアム、だが彼自身も詳しく知っている訳ではなく。伊豆基地にゲッターロボがいると聞いたエリが、送りつけて来た物なので詳しいことはギリアム自身も判らないのだ。

 

「すまないが、私も詳しいわけではない。ただ百邪と言う、古代に存在した悪鬼と戦う為に作られた半生体兵器と言う事らしい。そして鬼神機と呼ばれたのがこの絵巻に描かれている物を指しているらしい」

 

「鬼神か、確かにまあゲッター1は鬼に見えなくもないですけど……その百邪って言うのは何なんですか?」

 

「分析の結果では鬼や悪魔を指すらしい、中には人や機械を喰らう悪鬼もいたと言う」

 

「ふむ、これか、遠目だか機械を喰らっている様に見えなくも無い」

 

武蔵が蛸と感じた異形の絵は確かに、手足の千切れた機械的なシルエットの人型を喰らっているように見える。

 

「化け物……か、メカザウルスの親戚みたいな感じか?」

 

「メカザウルスはさすがに機械は食わんぞ」

 

鬼や悪魔と聞いてメカザウルスを連想した武蔵に即座にラドラの突込みが飛んだ。仮にその百邪とやらにメカザウルスが出現していれば、もっとメカザウルスに対する認知度は高いはずだとラドラは呟く。

 

「それで、ギリアムさん。これをオイラとラドラに見せたのは何の意味があるんですか?」

 

「……実はな、武蔵。私も君を知っている、そして竜馬も隼人も、早乙女博士も知っている。共に戦ったこともあるんだが、私を覚えていないか?」

 

覚えていないか? と尋ねられても武蔵にとってギリアムは殆ど初対面に近い。その言葉に武蔵は困惑するしかなかった、そして武蔵のその反応を見てギリアムは少しだけ寂しそうな顔をする。

 

「い、いや、すいません。オイラは多分、ギリアムさんと会うのはこれが初めてだと思います……すみません」

 

「謝る事はないさ、私も判っていた事だ。つまりだ、世界と言うのは無数の姿を持つ。私と武蔵とラドラが出会った世界や、私と武蔵が出合うことのなかった世界、そして武蔵が死ぬ事無く、竜馬と隼人と戦い続けた世界もあった」

 

「……平行世界って奴ですか?」

 

ビアンから聞いていた並行世界の事を思い出し、武蔵がそう呟くとギリアムは我が意を得たりと言わんばかりに笑みを浮かべる。

 

「そのとおりだ、そして今この世界には他の世界、他の歴史を知るものが数多現れている。それらの共通点はゲッターと深く関係していると言うことだ」

 

「武蔵や、俺の事だな」

 

キャプテンとしてゲッターと戦ったラドラ、そしてゲッターを操った武蔵……言うまでもなくゲッターと深く関係している2人だ。ギリアムは口にしなかったが、鉄甲鬼や、胡蝶鬼と言う武蔵の死後に現れた脅威も現れている……この世界は既にゲッター線と深く繋がってしまっている、ギリアムはそう考えていた。

 

「だが武蔵やラドラの他に現れる者を信用する事は難しい。武蔵はゲッターロボが暴走した時の記録を見たか?」

 

ギリアムの問いかけに武蔵は苦虫を噛み潰したような顔をする。アヤを撃ったイングラムを見て、怒りに我を忘れゲッターを暴走させてしまい、リュウセイ達に迷惑を掛けた。その事は、やはり重く武蔵の胸に圧し掛かっていた。

 

「別にそれを責めたいわけではない、ただその時にこの絵に良く似た触手を操る2人組が目撃されている」

 

「……なるほど、何が言いたいのか判ったぞ。もう既にこの世界にはゲッターと関係性のある者が現れていると言うことか」

 

「そういう事だ、味方なら良いのだが、地球を支配しようとした者が現れれば、それは地球圏を脅かす外敵となる」

 

武蔵と言う前例があるが、ギリアムは知っている。ゲッターを悪用した者もいる事を……。

 

「私や武蔵、それにラドラ。まだこの世界には来訪者が数多訪れるだろう……だがこの事は表立って話す事は出来ない、判るな?」

 

「……はい、オイラは馬鹿だけどそれはわかります」

 

異世界から訪れた、未来から、過去から訪れた。そういう人物がこれから現れるかもしれない、だがそれらを上層部は恐らく信用しない、そして拘束しようとするだろう……そうなれば、味方になってくれる人物ですら敵になるかも知れない。竜馬や隼人のような性格の相手ならば尚のことだ。

 

「武蔵、君には私が知り得た情報をビアン博士に流して欲しい。表立って私は動けない、ならば影で地球の為に動いているビアン博士たちを私は頼りたい」

 

「ギリアムさん……はい、大丈夫です! ちゃんとビアンさんやエルザムさんに伝えます」

 

武蔵の言葉に笑みを浮かべるギリアム、怪しいとなれば襲撃を考える竜馬や、あの手この手で情報を搾り出そうとする隼人ではなく、素直な性格の武蔵で良かった……ギリアムはそう考えていた。

 

「ありがとう武蔵君、それと君は困惑するだろうが、また会えて嬉しいよ」

 

ギリアムの差し出した左手を武蔵は両手で包み込むようにして握り締める、自分が感じていた孤独感、それをギリアムは何年も感じていたと思うと、武蔵は殆ど本能的に両手でギリアムの手を包んでいた。

 

「これからよろしくお願いします、オイラ馬鹿だから迷惑を掛けると思いますけど、全力で頑張りますから」

 

「……ああ、こちらこそよろしく」

 

例え自分を知る巴武蔵で無いとしても、武蔵は武蔵だ。他人の痛みを己の痛みのように感じ、そして助けようとする。心優しい武蔵なのだとギリアムは感じ、武蔵の手を握り返しそう笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

格納庫では急ピッチでゲシュペンスト・リバイブの開発が行われていた。ベースはラドラが持ち込んだ、ゲシュペンスト改。そのコックピット周りをまずは取り出し、ギリアムとカイのゲシュペンストのコックピットブロックへと交換する。

 

「拒否反応とかはあるかね?」

 

「大丈夫です、サイズはやや異なりますが、基本的な部分はゲシュペンストと同じです」

 

カークはSRXチームのPTの調整、そしてマリオンはラドラから渡されたデータを下にアルトアイゼン、ヴァイスリッターの強化、改造のための設計図を引き始めてしまった。だから、ジョナサン、コウキ、ロバートの3人が主導となりゲシュペンスト・リバイブへの改造が行われていた。

 

「互換性があって良かったですね、カザハラ博士」

 

「うむ、だが互換性があっても、OSのすり合わせに、操縦桿、ペダルの調整などやる事は沢山ある」

 

ギリアムから告げられた操縦の感覚の弱さと、カイが言っていた重さ。これらを改善しなければ、安定して運用することは難しいとジョナサンは考えていた。操縦はパイロットの感覚が大きく左右される、だがゲシュペンストのレイアウトで感覚が違えば生粋のゲシュペンスト乗りであり2人は混乱する、そうなれば撃墜される確率は増してしまう。だからこそ操縦系の調整を念入りに行う必要があるのだ。

 

「コウキはシミュレーターを作ってくれるか? 基本的なものは既に用意してある」

 

「アーマリオンの物ですね、判りました」

 

ゲシュペンストでは戦闘力はあるが、機動力が足りない。リオンでは機動力はあるが、戦闘力が物足りない。リョウトが作成したアーマリオンの量産に向け、そのシミュレーターの作成ですねと言うコウキ、だがジョナサンは首を左右に振った。

 

「それもやるが、フライトユニット搭載型のゲシュペンストの方も頼む」

 

「……判りました。少しアレンジすればいいので、今日の夜までには仕上げます」

 

アーマリオンは若い兵士には向いているが、熟練のパイロットには不向きだ。ラドラの持ち込んだ、フライトユニット……それを量産し、ゲシュペンストに装備させる計画も同時に遂行する事をノーマンは決定したのだ。

 

「すまないな、私もこれが終わり次第合流する」

 

「心配ありませんよ、これくらい8時間もあれば仕上げて見せます」

 

力強く返事を返すコウキに頼み、ジョナサンはゲシュペンスト・リバイブの細かい足回りなどの調整をロブと共に再開する。

 

「OSの調整が出来ましたが、どうですか?」

 

「良い具合だ、量産型ゲシュペンストの反応に近い」

 

コックピットブロックをゲシュペンスト・リバイブに組み込み、配線や、コントロールパネルの位置の変更などを行いながらロブとジョナサンは言葉を交わす。

 

「仮に、量産型ドラゴンを戦力としていたらどうなっていたでしょうね」

 

「その場合は無人機を奴らに片っ端からコントロールを奪われて敵側の駒となっていただろうな」

 

ドラゴン、ライガー、ポセイドンは特機としては破格の性能を持つ反面パイロットに恐ろしいほどの負担を掛ける。武蔵なら乗りこなせるが、ゲッター炉心を搭載していない機体にゲッターから乗り換える必要性は見出せず。AIによる制御になるが、そうなれば地球よりも優れた技術を持つエアロゲイターにコントロールを奪われる可能性が浮上する。

 

「こういってはいかんが、奪われて正解だったよ」

 

人間がコントロールするには、アードラーが使った人間を生体ユニットとして組み込む方法しかないとジョナサンは考えていた。それほどまでに新西暦の技術で作られたドラゴンでも制御に難があると判断していた。

 

「量産型ゲシュペンストはどうなってる?」

 

話は終わりだと、伊豆基地から各基地に配備されているゲシュペンストの譲渡依頼。その数はどうなっている? とロブに尋ねるジョナサン。ロブは手にしているハンディPCを操作して、今輸送段階にあるゲシュペンストの数の報告をする。

 

「各基地に保存されていた量産型ゲシュペンストの数ですが100機ほどで、運用可能な物は30ほどになるそうです。その中で磨耗状態の少ない15機を伊豆基地に回してもらう予定です」

 

「そうか、それならばメッサーなどを生産していたラインでのフライトユニットの生産もすれば戦力としては使えるな」

 

ラドラの開発したバックパックと一体化しているフライトユニット……シグと2機のリバイブは反マグマ原子プラズマジェネレーターによって飛行しているが、その部分はテスラドライブに組み替えることで量産が利くと言う事で急ピッチで生産が始められていた。

 

「ノーマルタイプになりますが、それでも十分でしょう」

 

「一般兵士で考えればそれでも使いこなせるとは言いがたいさ。ラドラ少佐も旧西暦の人間よりと言うことだろうね」

 

ゲシュペンスト・リバイブはそれぞれ、ギリアムは射撃用、カイは格闘用に調整されたフライトユニットを装備している。だがそれは教導隊である2人の操縦技術があって初めて使用できる装備だ。一般兵用にはビームキャノン、ミサイルポッド、それと内蔵式コールドメタルブレードの3種類の武装のみが搭載される事となっている。エアロゲイターの侵攻が激しくなる中、地球側も着実に反撃の準備を進めているのだった。

 

 

『ゲシュペンスト・リバイブ ギリアム機』

『ゲシュペンスト・リバイブ カイ機』

『ゲシュペンスト・シグ』

『ゲシュペンスト換装装備フライトユニット』

 

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ゲシュペンスト・リバイブ

 

ラドラがシグを開発するまでの間に建造したゲシュペンストの改良型である、ゲシュペンスト改をさらに伊豆基地で改修・改良した機体がゲシュペンスト・リバイブである。ラドラが拠点としていた旧恐竜帝国日本侵略基地に残されていた、3機の反マグマ原子炉の内の1機が搭載されている。量産型ゲシュペンストが約20mに対して、ゲシュペンスト改はその1.5倍の30mにサイズアップし、それに伴い強力なモーターなどを多数搭載し、反マグマプラズマジェネレーターによって生成される膨大なエネルギーを使用することにより、特機と同等の出力を有する。その反面、通常のPTの換装用装備は使用できないという欠点を持つが、背部装備型複合兵装であるフライトユニットにより、武装能力の補填が行われ、更に飛行能力を有している。ラドラが開発していたのは射撃使用のタイプSと、格闘戦使用のタイプKの2機、ただし開発段階だった為操縦性に難があったが、カイとギリアムのゲシュペンストのコックピットブロックの移植、及びジョナサン、ロバート、コウキを初めとしたテスラ研の面子により操縦系の改良を行われ、ゲシュペンスト・リバイブはロールアウトした。ギリアム機は腰に小型レールガン、プラズマステークの変わりに両腕にビームキャノン、胸部にニューロンビーム砲を搭載し、専用フライトユニットには4機のビームキャノンとミサイルポッド、大型ガトリングガンと、フライトユニットとリバイブの動力を直結し使用可能になる、分割式大型ビームライフルが搭載された物を装備しており、空飛ぶ武器庫とでも言うべき火力を有している。それに対してカイ機のフライトユニットはその自重によって損なわれた機動力を補う形で開発されている、搭載されている武装は2門のビームキャノンと牽制用のガトリングガンとミサイルポッドの3種類に留められており、開いたスペース全てに機体制御のスラスターや、大型化した両腕のプラズマステークによる自重に負けないように多数のバーニアが装備されている。なお、実際に乗って使用したカイの感想は、より近接特化に改装されたアルトアイゼンと称され、マリオンに強い刺激を与えたのは言うまでも無い。

 

 

 

ゲシュペンスト・リバイブ タイプS

HP6200

EN190

運動性180

装甲1100

 

特殊能力

 

EN回復(小)

分身

 

陸A・空S・海B・宇宙A

 

 

武装

オールレンジ射撃 MAP 

頭部バルカン 1700

ビームソード 2100

ガトリングガン 2100

ビームキャノン 2500

腰部レールガン 2700

究極ゲシュペンストキック 3500

ニュートロンビーム砲 3700

メガバスターキャノン 4100

 

 

 

ゲシュペンスト・リバイブ タイプK

HP6800

EN190

運動性155

装甲1600

 

特殊能力

 

EN回復(小)

 

陸S・空A・海B・宇宙A

 

武装

 

頭部バルカン 1500

ガトリングガン 1900

ビームキャノン 2000

試作超大型コールドメタルブレード 2400

格闘 2700

メガ・プラズマステーク 3100

究極ゲシュペンストキック 3500

Wメガ・プラズマステーク 3900

ジェット・ファントムS 4900

 

 

 

ゲシュペンスト・シグ

 

ラドラが軍を退役後、スクラップ同然だった試作型のゲシュペンストを何年にも渡り、改造・バージョンアップさせたメタリックパープルのゲシュペンスト。サイズはリバイブよりもさらに大きく、35mとなっている。動力源は反マグマプラズマジェネレーターと核融合エンジンのダブルエンジン、本来はリバイブもツインエンジンにする予定だったが、シグを改造するのに彼の拠点となっていた恐竜帝国の材質を殆ど使ってしまい、シグのみがツインエンジン機として作成された。固定武装は両腕のビームクローと胸部のニュートロンビーム、頭部バルカンの3種類のみだが、通常PTの武装をサイズアップした「M-13ショットガン改」「アサルトマシンガン改」「試作レールガン」などの手持ち火器も充実しており、固定武装の少なさに反して、どの距離でも柔軟に戦えるだけのポテンシャルを有している。また一部可変機構を有しており、使い捨てのバックパック兼強化外骨格「シグユニット」を装備する事で、メカザウルス・シグの姿を再現することに成功しており、外骨格装備時は火炎放射や、噛み付き、引っかき攻撃や尻尾による殴打など、PTや特機とは異なるメカザウルスとしての荒々しい戦闘スタイルとなる。なお、メカザウルスモードの尾はそれ自体が複合兵装「ファブニール」となっており、ビームブレードとビーム砲としての運用も可能である。分類はギリギリPTになるが、その性質はメカザウルスに近く、新西暦の技術で作られたメカザウルスと呼ぶのが本来は相応しい。だがラドラ自身が、ゲシュペンストに愛着を持っているため、ゲシュペンストとメカザウルス・シグの2つの姿を持つ特機となった。

 

 

 

ゲシュペンスト・シグ

HP7800

EN210

運動性180

装甲1500

 

特殊能力

 

分離

EN回復(中)

 

陸S・空S・海A・宇宙S

 

頭部バルカン 2000

ビームクロー 2200

M-13ショットガン改 2500

アサルトマシンガン改 2700

試作レールガン 2700

ニュートロンビーム 3500

究極ゲシュペンストキック 4000

ファブニールフルバースト ATK4500

 

 

 

量産型ゲシュペンスト換装装備フライトユニット

 

ラドラがゲシュペンストの改造中に開発した強化ユニットの廉価量産版。本来はゲシュペンストの弱点である空への対応性を上げる為の換装ユニットである。ゲシュペンスト改に装備されていた物はマグマ原子炉からのエネルギー供給を前提にしたバーニアやスラスターで無理やり飛ばす物に近かったが、ビアンからの技術提供でテスラドライブへと交換された。量産型はメッサー等の戦闘機の製造工場で生産できるように、胴体部・翼部の2ブロック性に簡略化され、低コストで量産出来るビームキャノン・ミサイルポッド・コールドメタルブレードの3種類に絞る事で低コストと生産性を重視され、各連邦基地のエースと呼ばれるゲシュペンストライダーと伊豆基地のゲシュペンストに優先的に配置される事になった。

 




第58話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その1へ続く

次回はSRXの話に入っていこうと思います、連邦側の主力はアーマリオンと量産型ゲシュペンストMK-Ⅱ(フライトユニット)の2つにします。リオンやゲシュペンストを主力にしても良いとおもうんだ、量産型ヒュッケバイン……? 知らない子ですね。ヒュッケバインは好きですが、量産型は弱すぎてちょっと好きではないです。では今回は最後にリバイブの設定を書いて、終わりにしたいと思います

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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