進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第58話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その1

第58話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その1

 

地球上空に浮かぶ巨大な惑星……ネビーイームの中でイングラムとレビは対峙していた。

 

「……では、次はお前が出撃するというのか?」

 

「ああ。色々と試したい事もある」

 

出撃許可を得に来たイングラムにレビは僅かに思案顔になる。地球には数多のサンプルがある、それに何よりもゲッターロボがいる。いつまでも無人機ではなく、イングラムを直接向かわせる必要性があると考えていた。

 

「……まもなく時も満ちる。サンプルの仕上げはぬかりなくな、特にゲッターロボを破壊するか、回収するか、その判断は早い内に決めろ」

 

「承知している。所で、ヴィレッタの姿が見えぬようだが……?」

 

「地球人共が南極で悪あがきをしているようなのでな……今、排除に向かわせている。それに1人でも問題あるまい?」

 

挑発するような言葉にイングラムは返事を返さず、レビに背を向けて格納庫に足を向けた。

 

「イングラム……」

 

だがここでもアタッドの邪魔が入り、僅かにイングラムの声に険が混じる。

 

「出撃前だ、手短にしろ」

 

 

「どうして地球にゲッターに関する情報を残してきたんだい? あれの価値が判らない訳じゃないだろうに」

 

「価値はあったとしてもあれは地球にしか恩恵が無い。そんな物を報告する必要はない」

 

「待ちな。これはレビ様に対する反逆行為だよ?」

 

「フッ……俺につけられた枷がそう簡単に外せる代物でないということはお前自身も良く知っているだろう?」

 

アタッドの攻めるような口調にイングラムは笑みすら浮かべながら、挑発めいた言葉を投げかける。

 

「あたし自身……? 誤魔化すんじゃないよ、その代わりにヴィレッタを泳がせていたんじゃないのかい? 二重スパイとしてねえ……」

 

「ならば、彼女を問いただせばよかろう? ゲッターが恐ろしくて、ネビーイームから出る事も出来ない臆病者には出来ないだろうがな」

 

その言葉にアタッドは唇を噛み締め、凄まじい視線でイングラムを睨む。だがイングラムはその視線を無視し、ネビーイームで複製したR-GUNへと乗り込む。

 

「ぐっ……始まったか」

 

頭が割れるような痛みにイングラムは顔を顰める、脳裏に響き続ける声と知らないのに知っている記憶……それらは激しい痛みとなってイングラムを蝕み、その痛みが限界を超えた時。イングラムの表情は今までの物とは異なり、その口調も変わっていた。

 

「テトラクテュス・グラマトン……さぁ始めよう、時が来た。武蔵、お前の力を貸してくれ、イングラムを縛る枷を破壊する為に」

 

ネビーイームから出撃するR-GUN。イングラムには翼を広げる黒い天使が両手を広げ、己をその腕で抱きしめようとする……その姿しか見えないのだった……。

 

 

 

 

 

時間が許す限りブリットとの特訓に付き合っていた武蔵。新西暦の人間では信じられないほどのハードなトレーニングにブリットの身体は悲鳴を上げ、今日のお昼からのトレーニングはラーダによるドクターストップが掛かった為。武蔵はビアン達と連絡を取る事にしたのだ、ギリアムとレイカーの配慮で盗聴などの心配が無い部屋で伊豆基地に来る前にビアンから預かっていた通信機の電源を入れる。

 

『武蔵君か、丁度良かった。こちらから連絡を取ろうと思っていた所だ』

 

「それは随分と丁度良かったですね」

 

虫の知らせと言うにはおかしいが、互いに入れ違いにならなくて良かったと武蔵は思った。

 

『さてと電波が悪いので手短に話すが良いかね?』

 

「大丈夫です、オイラが聞きたいのは1つだけですし、それより電波が悪いって今どこにいるんですか?」

 

よほど変な場所にいなければ、安定して通信できると聞いていただけに、ノイズが走る通信に疑問を覚えて武蔵がそう尋ねる。

 

『南極だ』

 

ビアンの言葉に武蔵は渋い顔をする。南極事件……それが武蔵がビアン達と1度袂を別つ理由となった事件だ。だから南極と聞いて、武蔵は渋い顔をしてしまったのだ。

 

『南極にゲッターロボGとドラゴン、ライガー、ポセイドンの修理を行った者がいると言う情報を掴んでな。それの裏付けに来た』

 

「なるほど、確かにそれは気になりますね」

 

早乙女研究所をコンクリートで封鎖して、爆弾で焼き払う事を選択したのに、Gの修理に踏み切った。その理由は問いただす必要があるだろう……。

 

『可能ならば1度クロガネのほうに合流して欲しいが、大丈夫かね?』

 

「それならリュウセイ達の謹慎が終わるまで待ってください、そしたら合流します」

 

『うむ、それで構わない。それとグラスマンと言う男が近いうちに接触を図ってくるはずだ。サインなどはしないように気をつけてくれ』

 

「そりゃ判りましたけど、グラスマンって誰なんですか?」

 

『鷹派の地球連邦議員だ。そういう面ではレイカーやノーマンの考えに賛同しているが、どうも彼はゲッターロボを知っているらしい』

 

ゲッターロボを知っているの言葉に武蔵の眉が僅かに上がる。

 

「オイラ達の同類って事ですか?」

 

『そこまでは判らないが、ある程度は話を聞いておくべきだが、サインはするな。グラスマンの派閥に取り込まれることになるぞ』

 

政治的なやり取りが絡んでくると聞いて、武蔵はげんなりした様子で溜め息を吐く。よりによって自分の最も苦手とする頭を使う事、しかも相手が政治家となるとやりこまれそうで武蔵は激しく不安を抱いた。

 

「そうだ、T-LINKシステムって奴を搭載している機体に乗ってる子が、エアロゲイターに拉致されているんです。どうにかする方法はありますか?」

 

T-LINKシステムは脳波に関係すると聞いていた武蔵は、それがクスハを洗脳、もしくは操っているシステムだと考えていた。

 

『ふむ、T-LINKシステムか、脳波に関係するシステムだ。それを破壊出来れば、あるいは……チャンスはあると思う。だが危険だぞ、T-LINKシステムはその構造上、コックピットブロックに近い筈だ』

 

コックピットブロック付近を攻撃しなければならない、それはクスハに怪我を負わせる可能性を示唆していた。だが、それに賭けるしかない武蔵はなんとか上手くやって見せますと返事を返す。

 

「電波が悪くなってきましたね」

 

『ブリザードが起き始めているからな……最後に何か……言っておくことはあるか?』

 

ノイズが激しくなり、ビアンの声が遠くになっていく……通信が途絶える寸前に武蔵はどうしても伝えなければならないことを口にした

 

「ギリアムさんが、オイラとゲッターロボを知ってます。エルザムさんとゼンガーさんに伝えてください」

 

『……判った……つけ……ーネに……よろ……く』

 

ノイズ交じりで途切れ途切れだったが、何を言いたいかは武蔵は理解していた。電源の落ちた通信機を鞄に片付けていると、部屋がノックされる。

 

「はーい、あ、テツヤさん。どうかしましたか?」

 

「……地球連邦議員のグライエン・グラスマン議員が話をしたいと言って伊豆基地を尋ねて来ている。すまないが、同行してくれるか?」

 

本当に申し訳なさそうに言うテツヤ。そして武蔵も苦笑する、ビアンに伝えられてすぐ話をすることになるなんて武蔵も考えてはいなかった。

 

「……ダイテツさんとかも一緒に?」

 

「艦長とレイカー司令が同席してくれる」

 

その言葉に武蔵はほっとしたような表情をして、テツヤに連れられて応接間に足を向けるのだった。

 

 

 

 

武蔵がテツヤに連れられて応接間に向かう頃、ブリーフィングルームには分厚いマニュアルに目を通しているジャーダとガーネットの姿があった。

 

「んぐー、ちっと休憩するか」

 

「そうね、コーヒーで良い?」

 

「おう、それで頼むわ」

 

アーマリオン、もしくはゲシュペンストのフライトユニットの操作マニュアルに目を通していたが、長時間座っていたので休憩する事にしたジャーダは椅子の背もたれに背中を預け、大きく伸びをする。

 

「カチーナ中尉はアーマリオンですか?」

 

「いや、私はフライトユニットにする。アーマリオンは確かに中々良さそうだが、私には向いてねえ。ああいうのはラッセルに向いてる」

 

「そうですね、私は元々戦闘機乗りですし、ジャーダ少尉もアーマリオンの方が好みなんじゃないですか?」

 

ラッセルの問いかけにジャーダはその通りだと笑う、戦闘機とAMは似通った部分がある。そうなると、アーマリオンの方が適正があるのは当然の事だ。

 

「うし、マニュアルは覚えた。シミュレーターを試しに行くぞ、ラッセル」

 

「了解です、中尉。ですが、フライトユニットだけではなく、アーマリオンも試してくださいね」

 

「考えておいてやる」

 

カチーナの後を追って歩いていくラッセル。その姿を見て、ジャーダは性別が逆なら良かったのになと笑い。コーヒーを受け取って1口啜ると先ほどまでの笑みは一転し、真剣な表情になる。

 

「アヤ大尉とリュウセイの尋問が終わったって?」

 

「うん……リュウセイの方はひどく落ち込んでるみたい……」

 

「ま、色々あったからな。さしものあいつもショックは隠せねえか……」

 

如何に楽観的なリュウセイとは言え、それで受け止めきれない事が起きすぎている。信頼していたイングラムの裏切り、これは洗脳されている可能性があるとは言え、そう簡単に飲み込める物ではない。こういう時、大人である自分達が相談に乗ってやるべきなのか、それとも同情するべきなのか、それとも慰めるべきなのか……どうすれば良いかなんて言う答えはどこにもない。

 

「ねえ、ガーネット……こんな時はどうすれば良いの?」

 

ブリーフィングルームの扉が開き、部屋の中に入ってきたラトゥーニが2人に縋るようにして尋ねる。

 

「どうすればって……」

 

「……お願い、リュウセイの力になる方法を教えて……見てられないの」

 

「ラトゥーニ、お前……」

 

困惑したガーネットに矢継ぎ早に尋ねるラトゥーニ、その言葉と仕草からジャーダはラトゥーニがリュウセイに抱いている感情が何なのかを感じ取っていた。そしてそれは、ガーネットも同じだった。

 

「じゃあ、あの子の傍に行ってあげなよ。何も言わなくても良いから、傍にいて上げるの……それだけで人は救われるわ」

 

ガーネットの助言を聞いたラトゥーニは真剣な表情で、ブリーフィングルームを後にする。

 

「……いいのか?」

 

その良いのかに込められた感情は複雑な物が込められている。自分の感情を表に出したラトゥーニの成長を喜びたいと言う親心、だが、クスハの事もある。ラトゥーニを炊き付けるような真似をしていいのかと言う事をジャーダは考えていた。

 

「うん……あたし達で下手な同情や慰めをするよりはね、それにあたしはラトゥーニの成長を喜びたいわ」

 

「そうだな……クスハには悪いが……ラトゥーニにはリュウセイが必要だ」

 

クスハがリュウセイに抱いている気持ちは知っている。それでもラトゥーニにはリュウセイが必要だ、例えその初恋が実らないとしても……誰かを心から想うという気持ちは何よりも尊い物だから……。

 

「お赤飯って食堂で出るかしら?」

 

「どうだろうなあ……それより、お前が何か作ってやれよ」

 

「んー休暇の時に買い物に行こうかしらね」

 

ラトゥーニの心の成長を喜ぶジャーダとガーネットは笑みを浮かべながら、会話を続けるのだった。

 

(おふくろがアヤと同じ研究所にいたなんて……もしかして、病気がちだったのは……実験か何かのせいで…?)

 

査問員に聞いた、自分の母親の秘密。その話を聞いたリュウセイは頭の中が完全に混乱していた、思い当たる節はある……それでもまさかと思いたいという気持ちがあるからこそ、リュウセイは自分の中に芽生えた複雑な感情を持て余していた。

 

(くそっ……結局、俺達はイングラムの手のひらの上で踊らされてただけなのかよ……? いやそれとも……教官を操ってるかもしれない相手に利用されていただけなのか)

 

イングラムを憎むべきだと思う気持ちと、教官として慕っていた気持ち。その愛憎が入り混じる複雑な感情にリュウセイは頭をかきむしる……自分がどうすればいいのか、何をすればいいのか判らない。自分の気持ちを自分で制御出来ないでいたその時、ふっと右手に暖かさを感じたリュウセイはゆっくりと振り返る。そこには、自分の右手をおずおずと握っているラトゥーニの姿があった。

 

「……ラトゥーニか……」

 

「……イングラム少佐の事を考えていたの?」

 

ラトゥーニが真っ直ぐに自分の目を見つめてくる、その澄んだ目に思わずリュウセイは目を逸らし、ハンガーに固定されているR-1を見上げる。

 

「まあな、こんな事を言うのはおかしいと思うかもしれないけど……いつかはこうなるような気がしてたのかも知れねえ……確かにあいつには前から得体の知れない所があったからな……ゲッターロボを見てから、イングラムが俺の前に立ち塞がる夢を見た事もある」

 

それは今までリュウセイが吐露することの無かった本音だった……誰にも話す事の出来ない不安と恐怖、それをリュウセイは口にしていた。

 

「だけど、俺は心のどこかで教官を……イングラムを信じていた。アヤやクスハのことも、俺の知らないわけがあると思ってた……それに、俺がR-1へ乗れるようになったのもあいつのおかげだった……俺は……イングラムに追いつこうとして……いつか超えるべき目標だと思って……た」

 

イングラムが怪しいとは思っていた、だけどそれ以上に超えるべき目標としてリュウセイはイングラムを慕っていた。それがイングラムの裏切りによって、初めて自覚した己の感情だった。

 

「だけど、あいつはアヤを本気で撃ったかもしれない可能性だってあるって聞いた……アヤだってライもイングラムの事信じて……ッ! くそっ……俺は何も気づかずに……どうして……こんな……どうしてこんなことに……! なっちまったんだ!」

 

「……イングラム少佐は私達を裏切って、敵に回った……だけど、そこには何か真実が隠されているかもしれない。武蔵の言う通り洗脳されているのかもしれない、本当に裏切ったのかもしれない……それはきっと誰にも判らない」

 

イングラムが洗脳、もしくは操られている可能性がある。だからこそ、リュウセイはイングラムを憎みきれない、いっそ心の底からイングラムを憎む事が出来れば楽かもしれない……だけど操られているかもしれないっという可能性が頭を過ぎるリュウセイはどうしてもイングラムを憎む事が出来ないでいた。

 

「ね、リュウセイ……いつもみたいに元気を出して」

 

「………すまねえ、今の俺には何をすればいいのか、どうすればいいのかなんて判らない……こんなんじゃあ笑う事なんて出来ねえよ」

 

そう言ってラトゥーニの手を振り払おうとしたリュウセイ。だが、ラトゥーニはそうはさせまいと両手でリュウセイの右手を包み込む。

 

「過去に何かあるのは……皆同じだもの……だけど後悔だけじゃ、前には進めないよ? これから何をすべきか……自分で考えて、自分で決めて」

 

その言葉にリュウセイは目を見開いた、それは自分の母親であるユキコが口癖のように言っていた言葉だったから……。

 

「……少なくとも、私はそうしたから……ごめんね、へんな事を言って」

 

ラトゥーニはそう言うとリュウセイの手を包んでいた手を離し、リュウセイから背を向ける。リュウセイは反射的にラトゥーニの手を掴んでいた。

 

「その……ありがとうな。励ましてくれたんだよな……いつまでも情けない姿を見せて、ごめん」

 

自分を励ましてくれたラトゥーニに感謝の言葉を告げたリュウセイ、そして次の瞬間息を呑んだ。

 

「ううん、良いの……リュウセイが助けてくれたから、私も力になりたいと思ったの」

 

その華の咲く様な笑みにリュウセイは自分の胸が高鳴るのを感じた、今までに感じた事の無い熱く、けれどもそれは大切な感覚。

 

「あのさ、昼飯まだなら一緒に食堂に行かないか?」

 

「……うん、一緒に行こう」

 

自然とリュウセイはラトゥーニを昼食に誘っていた、そしてラトゥーニの了承を得たリュウセイはラトゥーニと共に食堂に向かうのだが……この時2人は全く意識してなかった――お互いの手を繋いだままであり、それを食堂に入った際にタスクに見られて、指摘されるまで手を繋いでいることに気付かないのだった。

 

 

 

 

 

応接間でグライエンと対面していた武蔵が感じたのは凄い髭……だった。漫画とか、アニメとか出てきそうな魔法使いみたいなだ……それがグライエンに感じた第一印象だった。

 

「初めましてグライエン・グラスマンだ」

 

「あ、はい。巴武蔵です」

 

差し出された手を握り返し、武蔵はソファーに腰掛ける。

 

「グライエン議員、出撃時刻が差し迫っておりますので、あまり御時間を取れないことをご了承願います」

 

「判っているさ、事前アポイトメントも無しで来たからな、それに関しては私が悪い、それに私も会議に出席する為にすぐに空港に向かわなければならない、5分、10分ほど話をしたいだけだよ」

 

レイカーの言葉にグライエンは素直に己の非を認める。議員と言うのは傲慢と言うイメージだったので、武蔵はこれには驚かされた……だが続いた言葉に武蔵の顔は凍りついた。

 

「旧西暦の英雄にこうして会い見えることが出来るとは、感激の極みだよ。伝説のゲッターパイロットである君に会えて私はとても嬉しい」

 

「ど……どうしてそれを……」

 

武蔵が旧西暦の人間と言う事を知っているのは、ビアン達とハガネ、そしてヒリュウ改のメンバーだけだ、どうしてグライエンが知っているのか判らない武蔵は半分パニックになりながらそう問いかける。

 

「私の家は旧西暦から続く名家でね、私の先祖がゲッターロボと共に戦ったのさ、だから私は君を知っている。いや、君だけじゃない、リョウマ・ナガレ、ハヤト・ジンの事も勿論知ってるよ」

 

その言葉にグライエンに対する武蔵の警戒度は跳ね上がった。自分の経歴を知る議員が名指しで尋ねてきた、そのことに警戒心を抱くのは当然だ。だがグライエンは柔らかい笑みを決して崩さない。

 

「何か困ったことがあったら、連絡して欲しい。私は君に全面的に協力しよう、勿論ハガネとヒリュウ改にも便宜を図ろう」

 

「何が目的なのですか? グライエン議員」

 

この話し合いに同席していたダイテツが固い表情で尋ねる。それに対して、グライエンは肩を竦めるような仕草をする。

 

「私はただ地球を護りたいだけだよ。シュトレーゼマンの横槍が無ければ、ゲシュペンストももっと量産できたと思うと残念でならない。地球を護るには剣が必要なのだ。君達にこんな事を言うのはなんだが……ビアン・ゾルダークは正しかったと思っている」

 

連邦軍の目の前で堂々と告げるグライエンにダイテツもレイカーも顔を顰める。

 

「シュトレーゼマンが失脚し、ブライアンが大統領に就任したが、今必要なのは盾ではない。いつでも声を掛けてくれ、私は地球を護る為に最大限の便宜を図ろう」

 

そう言って立ち上がるグライエンはそのまま応接間を出て行こうとする、武蔵はその背中に慌てて声を掛ける。

 

「なんで態々オイラを尋ねてきたんですか?」

 

「地球を救った英雄を見たいと思っては悪いかね? ではな、武蔵君。今度はもっとゆっくり話をしよう、私は何時でも君の味方だよ」

 

その言葉を最後にしてグライエンは応接間を出て、外に控えていたSPと共に伊豆基地を後にした。

 

「ダイテツさん、あの人……怖い人ですね」

 

「そのようだ、しかし、まさか旧西暦の記録を持っているとは……」

 

鷹派の議員の筆頭がまさか武蔵の事を知っている、これは流石にダイテツもレイカーも驚かされた。不幸中の幸いは、グライエンが鷹派であり、異星人との徹底抗戦の頭目であると言う事だ。

 

「でもゲッターを知ってるとなると、ゲッターの量産とかを考えるかもしれないですね」

 

「いや、その心配は無いだろう。記録を知っていると言うことは、ゲッターの危険性も把握している。そんな無茶な事を言う出すことはしまい」

 

レイカーはそう言ったが、武蔵は必ずゲッターの量産に踏み切ると言う確信があった。グライエンの目は早乙女博士にゲッターを量産するべきだと言っていた議員の雰囲気に良く似ていたからだ。

 

「ではダイテツ、昨日の打ち合わせ通り頼むぞ」

 

「……昨日の打ち合わせって何ですか?」

 

話を聞いていなかった武蔵がダイテツにそう尋ねる、ダイテツはうむと頷く

 

「ノーマン少将と話し合ったのだが、ここ数日エアロゲイターはハガネとヒリュウ改に積極的に攻撃を仕掛けてきている。このまま、ヒリュウ改とハガネがこの伊豆基地にいれば……ここもエアロゲイターによって攻撃を受けることになる可能性が極めて高い」

 

「あ、その前に伊豆基地を出るって事ですね?」

 

その話を聞いて、伊豆基地での新兵器の開発、そしてハガネとヒリュウ改が出撃される前に撃墜されるリスクを避ける為に、伊豆基地を後にする理由を武蔵は少ない会話で理解していた。

 

「オペレーションSRWの中核となるお前達を囮にするリスクは考えたが、それ以上に戦力を整える必要性を考慮した結果だ」

 

レイカーとダイテツの説明を聞いて、武蔵はなるほどと頷いたが、次には申し訳なさそうな表情をする。

 

「すいません、オイラ。ビアンさんに呼ばれているんで、クスハを助けるまではハガネに同行しますけど……その後は少し別行動を取らせてください」

 

最大戦力であるゲッターロボの別行動は確かに手痛い、だがビアンもオペレーションSRWに参加する以上。連絡役として武蔵を送り出す必要があると言う事はダイテツもレイカーも十分に理解していた

 

「判った、クスハ曹長を救出後別行動を認めよう」

 

「すんません、出来るだけ早く合流しますので」

 

「その時はクロガネと共に合流してくれるとありがたい」

 

地球圏に3隻しか存在しないスペースノア級。それが全てオペレーションSRWに参加してくれるなら、これほど頼もしい事は無いとレイカーは笑う。

 

「ビアンさんも情勢は判っているので合流してくれると思います」

 

「うむ、地球圏を憂うビアン・ゾルダークならばそうするだろう」

 

今の情勢を知るものはDC、統合軍の決起は間違っていなかったと評価するものが多い。絵空事だった、異星人の襲撃が実際の物となり、ジュネーブが陥落した今。やはり地球を護る為には戦う事が必要なのだと改めて思い始めているものは多いのだ。

 

「行こうか武蔵、ハガネとヒリュウ改も出撃準備を終えている頃だ」

 

「了解です、じゃあレイカーさん。行ってきます」

 

レイカーに敬礼して、武蔵とダイテツは応接間を後にする。エアロゲイターの襲撃を集める囮として伊豆基地を後にしたハガネとヒリュウ改だが、市街や基地に被害を与えぬために囮を買って出たハガネとヒリュウ改、その進む先に想像を超える脅威が待ち構えている事を想像だにもしていないのだった。

 

 

 

第59話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その2へ続く

 

 




リュウセイはラトとマイと仲良くしていれば良いと思います、開幕何を言っていると思われるかもしれないですが、それが私の嘘偽りの無い本心です。と、脱線はここまでにして次回は鋼の巨神の話に入っていこうと思います、今回は偽りの影と鋼の巨神のインターバルを組み合わせた物になりますので、次回は戦闘開始から、出来ればクスハ救出までは書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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