進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第59話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その2

第59話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その2

 

グライエンとの短い会談の後、武蔵はハガネに乗り込み伊豆基地を後にした。ブリーフィングルームや、食堂で各々が思い思いの時を過ごしながら、エアロゲイターが本当にハガネとヒリュウ改を狙うのか? それともダイテツやレイカーの思い過しなのかが明らかになるときを待っていた。

 

「うーん……おかしいな」

 

そんな中武蔵は1人ベアー号のコックピットに腰掛けていた。虫の知らせと言うわけではないが、妙な胸騒ぎを感じてベアー号に乗り込むとゲッター線メーターがイーグル、ジャガー、ベアー共に最大値をマークしていたのだ。

 

(恐竜帝国の生き残りが近くにいるのか? いやでも、この感じはゲッターロボGの時に似ている)

 

メーターを振り切らんばかりに動く針に武蔵は怪訝そうな顔をしながらベアー号を降りる。

 

「武蔵、待たせたな」

 

「おう、思ったより早かったな」

 

ブリットがベアー号の近くで待っていたので、飛び降りるようにしてベアー号を降りる。ゲッター線の反応が異様に高いのは、後で伝えておけば良いだろうと判断したのだ。

 

「さてと、短い間だけど、オイラと一緒のトレーニングをしてどう思った?」

 

「正直死ぬかと思った」

 

ブリットの言葉に武蔵は苦笑いをする、それと同時にリョウじゃなくて良かったなと笑う。リョウの前でそんな泣き言を言えば、足腰が叩くなるまでぶん殴られるぜと笑う。

 

「じゃあ、オイラが出来る最後の訓練だ。木刀は持ってきてるな?」

 

「ああ、だけどこれで何をする……武蔵ッ!?」

 

木刀を持って来いと言われていただけのブリット。だが、突如武蔵が背中に背負っている日本刀を抜き放ったのを見て声を荒げた。

 

「安心しろ、峰打ちにはしてやる」

 

「い、いや、だがッ!」

 

「クスハは殺しに来るぞ? お前……そんな震えた手足で本当にクスハを救えるのか?」

 

武蔵の言葉にブリットは自分の手足が震えている事に初めて気付いた。

 

「オイラはこれから本気でお前に殺気を叩きつけるし、峰打ちだけど全力で打ち込む。殺気に慣れろ、そして一打ち入れて見せろ。じゃなきゃ……クスハを助けるなんて無理だぜ?」

 

武蔵の言葉にブリットはその通りだと返事を返した。生身とPT、その差はあれど今こうして手加減してくれている武蔵の殺気に耐えられないのでは話にならない。それにヒュッケバインMK-Ⅱとグルンガスト弐式……その性能の差を考えれば、チャンスは1度あるかどうか……。しかも、それも腕や足を犠牲にして得られるかどうかの本当に一瞬のチャンス。それは本当に生と死の狭間にしかないだろう……。

 

「武蔵……手加減無しで頼む」

 

「おうよ、元より手加減なんてする気はないぜ」

 

向かい合った瞬間ブリットは思わず膝をついた、峰を返した日本刀を持っている武蔵が恐ろしくて……気持ち悪くなったのだ。

 

「これが殺気ってもんだ。どうだ、直に感じたのは?」

 

「……そ、そうか……これか」

 

殺気と言うのは良く聞いた、そして統合軍との戦いでもそれを感じていたが……武蔵のものは完全に別格だった。

 

「本当は時間を掛けて、慣れていくんだが……生憎そんな時間は無い」

 

「判ってる! 続けてくれッ!!」

 

木刀を構えるブリットだったが、ゆっくりと近づいてきた武蔵に何の反応も出来ず日本刀で胴に横薙ぎの一撃が叩き込まれた。

 

「ぐふっ!」

 

「殺気を出すって事は、消す事も出来る。勿論気配もな」

 

「な……なるほどな……勉強になるよ」

 

あれだけゆったりと近づいて来たのに、ブリットは反応出来なかった。目の前にいるのに、全く反応出来なかったのだ。

 

「次ぎ行くぜ? 防いでオイラに一撃入れてみな」

 

「応ッ!!!」

 

ブリットの雄叫びに応えるように武蔵は再び殺気を放つ……ブリットは冷や汗を流しながらも、歯を食いしばって武蔵の一挙手一投足を見逃す物かと視線を凝らす……が。

 

「オイラの動きに意識を向けすぎだ、もっと広く周囲をみな」

 

再び叩き込まれた一撃に蹲り、激しく咳き込むが……それでもその瞳は不屈を武蔵にへと訴えているのだった……。

 

 

 

 

武蔵とブリットが格納庫で訓練の最後の仕上げをしている頃ブリーフィングルームではエアロゲイターの襲撃に備えて、綿密な打ち合わせを……。

 

「さっきさ、食堂にリュウセイとラトゥーニが手を繋いできて、マジでびびった」

 

タスクが読んでいたマニュアルを閉じて、思い出すように呟く。ブリーフィングルームにいたのはレオナ、タスク、リオの3人だったが……レオナとリオはタスクの言葉にジト目を向ける。

 

「リュウセイとラトゥーニでしたら、さほど年も離れていませんし、そう違和感もないでしょうに」

 

「からかうような事を言ったんじゃないの?」

 

ジト目で言われたタスクは誤魔化すように口笛を吹いて。

 

「いや、今日は随分と仲良しだなって言っただけだけど……いだぁッ!」

 

その言葉にリオの脛蹴りが叩き込まれ、タスクは脛を抑えて机の上に蹲る。

 

「全く、ラトゥーニが勇気を出したかもしれないんだからね、今度そんな事を言ったらグーよ、グー」

 

「わ、判りましたぁ……」

 

ハガネのクルーとして、ラトゥーニの事をよく知っているリオはタスクに怒りを露にした。そして、そんなリオを見てレオナは不思議そうな表情をした。

 

「リオはクスハの恋路を応援していたのではないですの?」

 

「……いや、そうなんだけどね……多分リュウセイ君にとってクスハはどこまで言っても幼馴染なのよ」

 

クスハがリュウセイに想いを寄せているのは知っているが、リュウセイがそれに答える事は無いとリオは感じていた。

 

「それにクスハ自身も……叶わない恋って気付いていたみたいだしね」

 

「勿体ねえことするよなあ……俺なら……げふっ!!」

 

また余計な事を言おうとしたタスクに今度はレオナの肘打ちが叩き込まれた。脇を押さえて痙攣するタスクをレオナとリオの2人は冷めた視線で見下ろしているとブリーフィングルームの扉が音を立てて開いた。

 

「あ、皆……ここに、タスクはどうしたの?」

 

机の上に上半身を乗せて呻いているタスクを見て、怪訝そうな顔をするリョウト。

 

「自業自得だから気にしなくていいわよ、それでどうしたの、リョウト君?」

 

「クスハを助ける方法が判ったかも知れないんだ」

 

タスクの事は気になるリョウトだが、先に分析の結果を伝える事を選んだ。

 

「本当!? どうするの!」

 

「だおあーおー」

 

タスクも本当かと尋ねたいのに、脇と脛が痛くて呻き声になる。リョウトはそんなタスクを見て、冷や汗を流しながら手にしている分析結果を見ながら話を進める。

 

「ラーダさんやアヤ大尉と相談してたんだけど……もしかしたら、戦闘中のあの子はT-LINKシステムで操られてるんじゃないかって」

 

脳波を観測するT-LINKシステムを利用して、操られている可能性が高いという言葉にやっと回復したタスクが脇を押さえながら、身体を起こす。

 

「要はそいつがラジコンのアンテナになってるってことだな?」

 

「ラ、ラジコンって……いや、考え方は間違ってないんだけど……と、とりあえずT-LINKシステムを壊せば、もしかしたら……助けられるかもしれない」

 

クスハを助けられるかもしれないという可能性に希望が沸くが、リオのちょっと待って! と言う言葉がその雰囲気を変えた。

 

「でも、あのシステムってコックピットの近くにあるんでしょ? 一体、どうやってクスハを傷つけずにあれだけを壊すの?」

 

T-LINKシステムは脳波を観測する性質上、コックピットに近い場所にある。クスハを傷つけず、どうやってそれだけを壊すの? そう尋ねるとリョウトの顔色が曇った。

 

「そこが一番の問題なんだ……グルンガスト弐式は装甲も硬いし、かなり正確な攻撃をしないと……今考えているのはゲッター3でグルンガスト弐式を取り押さえてもらう事なんだけど……」

 

「そうなると量産型ドラゴンとかに対応できる相手がいないって事か……」

 

エアロゲイターの技術で複製されたドラゴン、ライガー、ポセイドンを相手に戦えるのはゲッターだけだ。グルンガスト弐式の拘束に回すと当然ながらドラゴン、ライガー、ポセイドンへの警戒が薄くなる。

 

「それよりよ、ブリットにも教えてやろうぜ。愛しのクスハちゃんを助ける方法がわかったってよ」

 

クスハを助ける事が出来なかったと悔やんでいるブリットに教えてやろうぜとタスクが笑い、リョウト達も同意しハガネの格納庫へと向かう。

 

 

 

 

「ぐっ、げほっ! ごほっ!!」

 

「今のは良かった、だけどまだ足りねえぞ。立てブリットッ!!」

 

そこでリョウト達が見たのは日本刀を持つ武蔵に打ちのめされているブリットの姿だった。

 

「武蔵君!? 何をしてるの!?」

 

「やりすぎですわよッ!?」

 

いかに軍人とは言え日本刀持った相手と木刀で戦える訳が無いとリオとレオナが止めに入ろうとしたが……。

 

「止めてやんな、ブリットが自分で望んでやっているんだ……それに武蔵も手加減してる」

 

「本当に危ないと思ったら止めに入るからよ」

 

イルムとカチーナの2人に止められ、リオとレオナは足を止めた。

 

「は……はっ……武蔵……頼みがある」

 

「なんだ?」

 

「峰を返してくれ、打たれても大丈夫って言う安心感が俺を鈍らせている」

 

峰を返せというブリットの言葉に武蔵は無言で峰を返し、刃をブリットに向ける。

 

「武蔵! そいつはやりすぎだ!」

 

「ブリット! いくらなんでも死ぬぞ!」

 

カチーナ達が止めに入るが、武蔵とブリットの余りに真剣な表情にその場に足を止めた。

 

「行くぞ」

 

「ああ……ッ!」

 

武蔵の鋭いすり足から白刃がブリットに向かって振り下ろされ、ブリットが切り裂かれる光景が過ぎったリオ達は思わず顔を背けた。

 

「やるな、ブリット」

 

だが響いてきたのは、乾いた音と遠くに何かが落ちた音……そして武蔵の賞賛の声だった。

 

「……は……はッ……いや、全部武蔵のおかげだよ」

 

聞えてきたブリットの声に顔を背けていた全員が2人の方に視線を向ける……武蔵の手には日本刀はなく、ブリットの木刀が武蔵の喉元に突きつけられていた。

 

「生死を賭けた一瞬……確かに体験させて貰った」

 

疲弊しきった表情のブリットだが、その表情には確かな手応えを感じた色が浮かんでいた。

 

「そいつは良かったな、必ず助けろよ。クスハを」

 

武蔵が日本刀を拾い上げようとした時、格納庫に警報が鳴り響くのだった……。

 

 

 

 

 

ダイテツ達とレイカーの予想は当たり、エアロゲイターはハガネとヒリュウ改の前に現れた。

 

「今回は人型がいねえな。単なる偵察部隊だってのか?」

 

「あるいは陽動部隊か……」

 

ゲシュペンストMK-Ⅱ・フライトユニットで出撃したカチーナが怪訝そうな声で呟いた。エアロゲイターの主戦力であるはずのソルジャーもファットマンも……そしてドラゴン達の姿も無い、その部隊は主力部隊とは程遠く、キョウスケは陽動部隊の可能性を呟いた。

 

(……胸が苦しい……すごく強い圧迫感を感じるわ……)

 

(何なんだ、これ……ッ!?)

 

だがリュウセイとアヤの2人は言葉に出来ない、プレッシャーを感じていた。誰かが見ているような……頭の中を覗き込まれているかのような不愉快な感覚を感じていた。

 

「………行ける、この感覚ならいける」

 

「どうしちゃったの、ブリット君。いつもと雰囲気が随分と違うわね」

 

武蔵との訓練で何かを掴んだブリットはいつものと違い、静かな闘志を身に纏いながら集中力を高めていた。

 

「あんまり気負いすぎるな、1人で何もかも出来るわけじゃない」

 

「……判ってます。でも、クスハを助ける役目は誰にも譲りません」

 

その気合に満ちた声のブリット、普段なら周りは見えず暴走するブリットだが……今のブリットは闘志を高めながらも、冷静さを保っていた。

 

「言い切ったのならやって見せろ。良いな?」

 

「はいっ!」

 

ブリットの返事にキョウスケは苦笑しながら、ハガネとヒリュウ改に向かって動き出したバグス達を見て、アルトアイゼンをそちらの方向へと向ける。

 

「アサルト1より各機へ。攻撃開始だ。油断はするなよ」

 

ギリアム、カイ、ラドラの3人と試験的にフライトユニットを装備したカチーナとラッセルの量産型ゲシュペンストMK-Ⅱが加わったが、それでも敵の戦力に対してこちら側の戦力は乏しい。戦闘指揮官であるキョウスケは今回の戦いも厳しい物になると言う事を感じ取っているのだった……。

 

 

 

 

 

量産型ゲシュペンスト専用のフライトユニット……外付けの換装パーツであり、突貫工事で作成されたと聞いていたカチーナ。だが実際に搭乗してみると想像以上に使いやすい。

 

(悪くねえ、いや、悪くないなんて言葉じゃ片付けられないな)

 

ゲシュペンストの操縦性の良さはそのままに、飛行能力を獲得した量産型ゲシュペンストの性能の高さにカチーナはコックピットで獰猛な笑みを浮かべる。

 

「オラオラ! 邪魔だぁッ!!!」

 

「「「!!!」」」

 

フライトユニットの主翼に搭載されているコールドメタルブレードを一閃し、バグスの頭部を切り落とす。それと同時に反転し、ユニット部のガトリングガンも叩き込む。動力部が破壊され爆発するバグスから一瞬で離脱し、次の標的に視線を向けるカチーナだったが……。

 

『中尉ッ! 突っ込みすぎですッ!』

 

「っと、すまねえ、ラッセル。ちょっと調子に乗りすぎた」

 

ラッセルの言葉に我に帰り、ハガネとヒリュウ改の方に向かって後退する。

 

「ラッセル、乗ってみた感想はどうだ?」

 

『良い機体です、特に足回りが良くなってますし。フライトユニットに装備されている武装がいいですね、支援に向いてます』

 

性格上援護が得意なラッセルの言葉を聞いて、カチーナは小さく笑う。

 

「アーマリオンの量産型とどっちが良さそうだ?」

 

『……難しい所です。ですが、実際に乗ってみた今は……そうですね。ゲシュペンストの方が良いと思いますよッ!』

 

返事を返しながらM-13ショットガンでバグスの翼を打ち抜くラッセル。そして僅かに姿勢を崩したバグスはR-2のフォトンライフルの光弾で胴体を貫かれ爆発する。

 

「ま、アーマリオンも製造されたら試しに乗ってみるほうが良いだろうよッ!!」

 

コールドメタルブレードで突っ込んできたバードを無造作に両断する。硬いだけのコールドメタルブレードだが、この質量とフライトユニットの加速、そして相手の攻撃のタイミングに合わせる事で敵の勢いを利用して両断する事は容易い。

 

「やるな、カチーナ」

 

「空飛んでるだけと思ったけど、かなりパワーアップしてるみたいだね」

 

サイバスターとヴァルシオーネが上空へと上がってくる。だが、カチーナはそれを見て怒鳴り声を上げる。

 

「打ち合わせ聞いてなかったのか! 下がれッ!」

 

人型もドラゴンもいない、これは陽動部隊である事は明白。そしてドラゴン等が出てくれば特機であるジガンスクードや、サイバスター、そしてグルンガストが必要になる。それなのにお前達が前に出てきてどうするとカチーナは怒鳴った、だがマサキとリューネは引く気配を見せない。

 

「サイフラッシュとサイコブラスターで、バグスを一掃する。そうすれば、敵の本命が出て来るのが早まるんじゃねぇか?」

 

「PTを使って私達の消耗を少なくするって言うのは判るんだけど……そういうのは性じゃないんだ」

 

2人の言い分も判る、だがここでMAPを使ってサイバスターとヴァルシオーネが消耗してしまえば、それこそ本末転倒だ。

 

『カチーナ中尉、ここは2人の意見を受け入れるべきだ』

 

「少佐……だけどよ」

 

『案ずるな、俺たちのゲシュペンストは特別仕様だ。あの2機が回復するまでの時間稼ぎは出来る、それよりも……本隊がいるなら早く引きずり出した方が良い。武蔵が不味い事になっている」

 

武蔵が不味い事になっている……ラドラの言葉にカチーナは怪訝そうに眉を顰めた。打ちのめされていたのはブリットで、武蔵は殆ど無傷のはずだ。現にブリットの乗るヒュッケバインMK-Ⅱはシシオウブレードを手にスパイダーと戦っている。

 

『何かあったのですか?』

 

普段ならば真っ先に先陣を切るゲッターロボだが、今はハガネとヒリュウ改の間で腕を組んで滞空しているだけで動き出す気配が無い。武蔵らしくないが、温存していると思っていたのだが、どうもそうではないらしい。

 

『ゲッターロボの出力が高すぎるそうだ、下手をすればメルトダウンを起こしかねないレベルだそうだ』

 

放射能で稼動しているゲッターロボだ。出力が上がりすぎればメルトダウンの可能性は高くなる……だが何故と言う疑問が全員の脳裏を過ぎる。

 

「本隊がいないなら、ゲッターロボを回収して、この場所から離脱したいそうだ」

 

「でも最悪の場合……ゲッターロボはこの場に放置するって」

 

メルトダウンによる大爆発……それを考慮すればそれは必要な事かもしれない。このまま戦闘が続けば、ゲッターロボが北京と同様に暴走するかもしれない……マサキとリューネは独断ではなく、ダイテツ達の指示で上昇してきたのだと判った。

 

「判った、1度防衛ラインまで後退する」

 

これが陽動部隊なのか、それとも本隊なのかは判らない。いや、もしかすると偵察部隊なのかもしれない……それを知る為にサイバスターとヴァルシオーネから強烈な光が放たれるのだった……。サイフラッシュとサイコブラスターの光が周囲を明るく照らし、バグスの大半を吹き飛ばす。その光景を見ていたリュウセイに突如激しい頭痛が襲ってきた

 

「ぐっ、ぐう……」

 

「リュウセイ!? どうしたの!?」

 

突然膝を付いたR-1に気付き、ビルドラプターが慌ててR-1の側に駆け寄る。

 

「! く、来る……!!」

 

「来るっ!? 大尉! 何を言っているのですか!?」

 

だがそれと全く同じタイミングで、アヤも激しい頭痛を感じ、側にいたR-2が即座にR-3のフォローに入る。

 

「ま、間違いない。あの人が……来る……ッ!」

 

あの人……その言葉がオープンチャンネルで告げられ、全員の警戒心が跳ね上がり、それから少し遅れてハガネとヒリュウ改のブリッジにも警報が鳴り響いた。

 

「こ、この空域の東側に強力な重力震を感知!!」

 

「何っ!?」

 

「何者かが転移出現してくるものと思われます!」

 

「総員、警戒を!!」

 

「艦長! この空域の東側に強力な重力震を感知しました!! 何者かが転移出現してくるものと思われます!」

 

「総員、警戒を!!」

 

ハガネとヒリュウ改ではオペレーターのユンとエイタの報告が飛び、それから即座にダイテツとレフィーナの警戒命令が部隊全員に告げられる。

 

「R-GUN!? 馬鹿な……何故、あいつらがあれを持っていやがるんだ!?」

 

「あの機体はイングラム少佐が開発した物……エアロゲイターの技術なら複製するのは容易なのかも……」

 

やはり最初のバグスは陽動部隊であったようだ、一掃されると同時に現れたエアロゲイターの機体の数々。それは、ハガネとヒリュウ改がエアロゲイターに狙われていると言う確かな証拠になった。

 

「やっとおでましか……ッ! イングラム・プリスケンッ!」

 

グルンガスト弐式、ソルジャー、ファットマン……そしてドラゴン、ライガー、ポセイドンがそれぞれ5機ずつ。それらの中心に北京で破壊されたはずのR-GUNが佇んでいる。

 

「……イン……グラム?……それが……俺の……名……か?」

 

キョウスケの問いかけに帰ってきたのは途切れ途切れになった、自分の名前すらも思い出せなくなっているイングラムの声だった。

 

「少佐! イングラム少佐ッ!!」

 

その震える声と自分が何者かも判っていない、イングラムに思わずアヤがその名を叫んだ。だが、R-GUN……いや、R-GUNはあさっての方向を向いた。

 

「……誰……だ、うっ……俺は……俺は……誰……なんだ。お前達は……誰なんだ……?……敵……なのか。敵なら……排除する……ッ!」

 

喋る事すらも辛そうなイングラムに対してR-GUNは滑らかな動きで動き出す、それが合図となったのか、弐式やドラゴンはハガネとヒリュウ改に向かって動き出すのだった。

 

【思い出せ、思い出すんだ。お前の使命を……為すべきことを……ッ!】

 

「うっ……誰だ……俺の……使命……とは何なんだ……ッ!」

 

「まただ、またゲッター線が強くなってる!?」

 

イングラムの苦しみに反応するように、出力が上がって行く炉心……イングラムと武蔵……いや、ゲッターロボの存在が、このフラスコの世界を大きく変えようとしていた。

 

【……】

 

戦場を見下ろす漆黒の天使が……だれにも知られる事なく、その翼を大きく広げるのだった……、R-GUNとゲッターロボを包み込むかのように……。

 

 

第60話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その3へ続く

 

 




リヴァーレってなんか好きじゃないんですよね、もうここまで来れば何がでてくるか判っていると思いますが……お口にチャックでお願いします。次回はR-GUN撃墜まで書いていけたらと思っております、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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