第61話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その4
ネビーイームの中でイングラムを監視していたレビ、そしてアタッドは目の前の光景に驚愕し目を見開いた。
「「アストラナガン……だと?」」
空を裂いて現れたのはバルマー帝国の最優先ターゲットである「アストラナガン」の姿だった。アストラナガンはR-GUNを粒子分解し、その身体に取り込むと獣の様な咆哮を上げる。
「レビ様、いかがなさいますか?」
「……ゲッターロボとアストラナガン……か」
どちらも最優先の捕獲対象であると同時に破壊対象でもある。データベースに名前だけが残されている「アストラナガン」……バルマー帝国の技術力の粋を集めた究極の機動兵器らしいが……自我らしき物があり、バルマー帝国から離脱。その後消息不明となっている……そんな機体が突如出現した事にレビもアタッドも驚愕を隠せない。
「だがデータベースとは違う姿をしているのが気掛かりだ」
「……確かに」
バルマー帝国で開発されていたアストラナガンはプロトタイプで白を基調にした機体の筈。それに開発凍結になった、「ティプラー・シリンダー」の試作型が搭載されていた筈だ。
「色と姿に微妙な差異がある。まずは戦闘データを記録する、イングラムとの通信は?」
「いえ、通信は愚か生体信号すら確認できません」
「……アストラナガンに喰われたか、イングラムの意識があれば話は楽だったんだが……な」
ゲッターとアストラナガンさえ確保出来ればそれだけでも十分な成果と言える。だが北京で暴走したゲッターロボと同じく咆哮を上げる姿から暴走している事が予測される。レビはここで捕獲する事ではなく、本当にアストラナガンなのか、それを確かめる為に泳がせる事を決断するのだった……
上空から光の粒子を舞い散らしながら降下してくる漆黒の天使……悪魔のようなフォルムに、エネルギーで構築された翼を羽ばたかせゆっくりと黒い天使は地表寸前で動きを止める。
(……そうだ、俺は……イングラム・プリスケン……因果律の番人)
黒い天使……いや、アストラナガンのコックピットの中でイングラムは小さく呟く。今まで感じていた頭痛からも開放され、イングラムの顔はとても穏やかな物となっていた。
(お前のお陰だ。武蔵……そしてクォヴレー)
ゲッターロボの存在、そしてずっと己を取り戻せと叫んでいた「クォヴレー・ゴードン」の存在がイングラムとアストラナガンを繋いだのだ。だからこそ、こうしてイングラムの元に時空と世界を超えて、アストラナガンは現れた。だがそれはこの世界の因果を著しく破壊する事に繋がっている事をイングラムは感じ取っていた……。
(ユーゼス……お前にも何かが起きていると言うことか)
この世界でのイングラムの枷は完全ではなかった。恐らくだが……ユーゼス・ゴッツォにも何らかのイレギュラーが起きている……イングラムはこれを好機と受け取っていた。
(……リュウセイ、ライ……そしてアヤ)
アストラナガンを警戒しているハガネとヒリュウ改のクルー。そして大切な仲間達……このままアストラナガンを持って再びハガネに戻っても良いのでは? と言う考えが一瞬イングラムの脳裏を過ぎった。
「何を考えている……俺は」
こうしてアストラナガンが現れた事、恐竜帝国の存在……そしてゲッターロボと武蔵の出現。これらはこの世界を大きく変える、乱れに乱れた因果が何を齎すのか……それはイングラムでも把握し切れていない。
(……鍛え上げなくてはならない……)
今のままではハガネとヒリュウ改は轟沈する……その最悪の未来が容易に想像出来た。だからこそ、戻りたいと言う気持ちを抑えてアストラナガンを操縦する。
『や、やっぱり敵なのか!?』
『用済みになったイングラム少佐を殺しに来たと言うことか……』
『よくも教官をッ!!!』
通信で聞えてくるリュウセイの怒りの叫び、アストラナガンがR-GUNを分解して取り込んだのはイングラムとって好都合だった。
(悪いな、アストラナガン。このまま俺達は再び敵に回るぞ)
リュウセイ達を鍛え上げる為に……そしてゲッターの力をより引き出すために、このままエアロゲイターの新兵器にイングラムは消されたと言う呈でリュウセイ達の前に立ち塞がる事をイングラムは決意するのだった……。
空を裂いて現れた漆黒の機動兵器……それが咆哮を上げると同時に操縦不能となっていたゲッターロボのコントロールが武蔵に戻ってきた。
「ゲッタートマホークッ!!!」
R-GUNを取り込んだ黒い機体に向かって反転し、トマホークで切りかかるゲッター1だったが……。
「な、何だ!?」
「……」
大質量を持つ筈のゲッタートマホークによる一撃は黒い天使に届く事は無かった。目に見えない壁にゲッタートマホークは受け止められ、こめかみの2門の砲塔から繰り出されたエネルギー弾のバルカンが容赦なくゲッターを穿つ。
「がっ!? ぐっッ! くそッ! オープンゲットッ!!!」
至近距離でのバルカンの掃射にゲッターの巨体は右に左にと揺さぶられる。ジャガー号や、ベアー号に光弾がぶつかり火花を散らす。だが、武蔵も良い様にされるつもりは無いのかオープンゲットし、ゲッター3へと再合体を果たす。
「武蔵! 大丈夫か!?」
「大丈夫って言いてぇが……正直やべえぞあれは……」
近くにいたR-1がゲッター3に駆け寄る。リュウセイの問いかけに武蔵の返答は苦しい物だった、ゲッターロボの強固な装甲はゲッター
3にチェンジした今も火花を散らしており、左肩からは今も黒煙が上がっているのが見える。
「ブーストナックルッ!!!」
「全力だ。受けてみろッ!!」
グルンガストから放たれたブーストナックルに合わせ、ゲシュペンスト・リバイブ(K)の肥大化した右拳が黒い天使に叩きつけられる。
「マジかよ……」
「化け物めッ!?」
ブーストナックルは黒い天使が展開しているバリアに阻まれ、翡翠色の刃を展開する剣に両断され爆発四散する。そしてリバイブ(K)の一撃はバリアを貫いたが、掠り傷程度のダメージを与えるのがやっとだった。
「ッ! おい、傷が回復してやがるぞッ!?」
「自己修復機能ッ!?」
だがその傷も殆ど一瞬で回復され、攻撃が当たった箇所はもはや新品同然で何処に攻撃が命中したかも判らない。
「なろおッ! それなら押し潰すだけだッ!!!」
味方の中で最も巨体のジガンスクードがブースターを全開にして黒い天使に体当たりを仕掛ける。巨体が迫ってきているのにも拘らず、黒い天使に動揺する素振りは見えない。量産型ドラゴン達と同様でAI制御なのかその動きは非常に冷静でそして正確だった。
「うっそだろ!?」
その頭部にそっと手を添えるだけでジガンスクードの大出力を止めて見せた黒い天使にタスクは思わず悲鳴をあげる。
「タスクッ!! 離れなさいッ!!!」
レオナの警告が飛んだが……それは余りにも遅すぎた。
「う、うわわああ……ッ!? じ、ジガンの腕がッ!?」
無造作に振るわれた剣がジガンスクードの強固な装甲を引き裂き、ジガンスクードの腕を右肩から切り落とした。
「タスク! ヒリュウ改に撤退しろッ!!」
「物理が利かないなら、これはどうかしらッ!!!」
カチーナの真紅のゲシュペンスト・フライヤーの飛び蹴りに合わせて、ヴァイスリッターのEモードでの最大出力が放たれる。
「そこッ!!」
「やらせませんッ!」
黒い天使が腕を振り上げようとした時、アーマリオンとラッセルのゲシュペンスト・フライヤーのチャフグレネードが命中する。それによって生まれた煙幕に紛れてカチーナが突撃しようとした時。
「駄目だ!!」
「おっ!? うあああああーーーッ!?」
高速で伸びたゲッターアームがゲシュペンスト・フライヤーの胴体に巻き付き、伸びた勢いでゲシュペンスト・フライヤーを引き寄せる。
「てめッ! なにしやがる武蔵ッ!」
「いえ! 中尉! 武蔵に感謝するべきですッ!」
必中を確信していたタイミングだけに、武蔵の妨害に声を荒げるカチーナにラッセルの窘める通信が即座に繋げられる。
「……」
黒い天使の周囲が異常にへこんでいた、その攻撃はデータ状で見ただけだが……グランゾンの重力攻撃に酷使していた。
「すまねえ、武蔵。助かった」
「良いですよ、それにしても……やばいですね。あれ……」
あのまま突っ込んでいれば重力で圧壊していた事が判り、カチーナの額に冷たい汗が流れる。
「……!」
「やった! やっぱり高出力のビームならバリアを貫通するわ!」
ヴァイスリッターの放ったE-モードの一撃がバリアを貫通し、ビーム攻撃ならと言う考えが一瞬全員の脳裏を過ぎった。
「うっ! 駄目ッ! 皆離れてッ!!」
アヤの苦悶の声と共に出された警告の声、だがそれに反応できた者は居なかった。黒い天使の翼から零れ落ちる粒子が羽の形になり黒い天使の周りを滞空する。
「いかん! 全機散開ッ!! 自分の身を守る事だけを考えろッ!!」
その異様な光景にキョウスケの散開命令が出るが……それは余りにも遅すぎた。
「う、うわああああーーーッ!?」
「え、うそッ!? きゃああああッ!?」
「ぐっ! エクセレンッ!!!」
大きく翼を広げる動作が合図となり、黒い天使の周りを滞空していた羽が雨のように戦場に降り注ぎ、羽が着弾した場所から凄まじい爆発が連続して響き渡るのだった……。
ハガネのブリッジのクルー全員は目の前に広がっている光景に完全に言葉を失った。翼の羽ばたきと共に射出された羽によりPT隊がほぼ壊滅にまで追い込まれたのだ。
「被害状況の確認を急げッ!!」
「は、はいッ!!!」
1枚1枚が高密度のエネルギーだったのか、着弾と同時に爆発を繰り返していた。死人が出ている可能性も考え、ダイテツの顔は青褪めていた……エアロゲイターを誘き寄せるという目的は果たされた。だが、まさかたった1回の攻撃でここまで追詰められるとは考えても居なかった。
「全員意識はありますが、SRXチーム、ゲッターロボを除き戦闘続行不能ですッ!」
コックピットは外しているが、片腕や片足、行動させない事を目的にした範囲攻撃……空間を裂き現れた黒い天使はSRXチームとゲッターロボに強い興味を示している。今攻撃を加えられたら、防御する事も回避する事も叶わず破壊されるPTや特機には目もくれない。
「艦首トロニムバスターキャノン発射準備開始ッ! ヒリュウ改にも通信を回せッ! 艦首超重力砲とトロニウムバスターキャノンでブラックエンジェルの撃破を試みるッ! 使用可能な主砲、副砲を用いてブラックエンジェルへの攻撃! 行動可能な機体はハガネ、ヒリュウ改に撤退! PT運搬用のトレーラーも用いて回収作業も平行して行えッ!」
「りょ、了解しましたッ!!」
今はPT隊達に興味を示していないが、行動不能となっている今……いつ破壊されるか判らない。早急にハガネとヒリュウ改へ回収する必要があるのだ。
『ゲッターミサイルッ!!!』
『……』
『ちいっ! 直接攻撃も駄目! 遠距離攻撃も効かないとか化け物かよッ!!』
ゲッターロボと武蔵が攻撃が通用しないと判っていても、攻撃を繰り返しPT隊から引き離そうとしているが効果は一向に出ない。
『……!!!』
『ぐっ!? なろおッ! 舐めんなあッ!!!』
反撃に繰り出された頭部からのバルカンがゲッター3を弾き飛ばす、だが武蔵も負けてはおらず着地と同時にゲッターアームを伸ばして殴りかかる……だが、黒い天使の全身を覆っているバリアに弾かれゲッターアームが地面に突き刺さる。
『T-LINK開始……目標補足ッ!』
R-3パワードが空を高速で飛びまわり、死角へと回り込もうとする。だが何の反応も示さない黒い天使にR-3パワードのコックピットでアヤは冷たい汗を流す。
(見られている)
カメラアイが向けられていないにも拘らず、アヤは自分が黒い天使に見られている事を感じ取っていた。R-GUNを分解し、取り込んだ黒い天使……イングラムがどうなったかも判らない。だが、黒い天使にイングラムが殺されたのならば、仇を取る。それだけを考え、震えている手と足に活を入れて操縦桿を握り締め、ペダルを踏みしめる。
『大尉ッ! 合わせてください! ハイゾルランチャーシューッ!!!』
R-2パワードのハイゾルランチャーの収束モードが黒い天使の胸部に向かって放たれる……。
『ぐっ、やはり防がれるか! だがそれは想定の内だッ!!』
『レーザーキャノン……発射ッ!!!』
ハイゾルランチャーの収束モードを通常よりも長い時間照射した事で黒い天使が展開しているバリアが視覚化出来た。そこに最大までチャージしたR-3のレーザーキャノンが突き刺さる。
『こ、これでも駄目なのッ!?』
『いいやまだだぁッ!! ゲッタァアアーーーッビィィィッムッ!!!!』
追撃のゲッタービームがバリアに突き刺さる、時間差の3段攻撃……これによって、やっと黒い天使の全身が覆っているバリアが音を立てて砕け散った。
『おおおおーーーーッ!! T-LINKナッコオオオオオオッ!!!!』
この好機を逃がすまいとR-1が黒い天使へと飛び掛った……だが、その拳は黒い天使に届く事は無かった……。
『も、もう再生してる!?』
『リュウセイ! 逃げろッ!!!』
バリアが砕けたと同時にR-1は飛び掛った……だがあれほど苦労して破壊したバリアは殆ど一瞬で再生し、R-1の光り輝く拳が無慈悲に再展開されたバリアに受け止められていた。
『……』
無造作に向けられた左腕、そしてそこから放たれた光線がR-1を完全に飲み込んだ。
『ぐおあああっ! う……ぐ……ッ!』
幸運にもR-1が光の中に飲み込まれたのは数秒だった、だが光の中から現れたR-1はその装甲の殆どを失っていた。
『リ、リュウッ!!」
『リュウセイッ!! くそッ! 武蔵! バックアップに入ってくれッ!!!』
通信から聞えてくるアヤとライの慌てた声、その声を聞けばダイテツ達にも判る。あの黒い天使に勝つ術が無いと……。
「大尉! エネルギー充填率は何%だッ!?」
「65%です!」
フルパワーまでチャージ出来ていない……だがこのままでは全滅する事は明らか……しかし、あの黒い天使のバリアの再生速度は想像以上に早い。
(重力砲でバリアを剥がし、トロニウムバスターキャノンでトドメを刺す……)
当初の計画では重力砲からトロニウムバスターキャノンへと繋げ破壊、もしくは行動不能に追い込む事だった。だが、あのバリアの再生速度では、仮に破壊できたとしてもトロニウムバスターキャノンの威力も削がれてしまう可能性が高い。
「ヒリュウ改の充填率は!?」
「……52%です!」
100%までチャージしても突破出来る保証がないのに、50%弱ではバリアすら貫通できない……。
(どうする……考えろッ! ダイテツ・ミナセッ!)
この生き残る術が殆ど残されていない状況で全員で生き残る、その術を必死に考えるダイテツの耳にライの叫びが響いた。
『こちらR-2ッ! ダイテツ艦長へ……パターンOOCの解除を要請しますッ!!!』
「正気か少尉ッ!?」
北京での悪夢の切っ掛けとなったSRXへの合体、それをこの窮地で再び挑もうとしているライにダイテツの怒声が響いた。
『ライッ!!』
アヤの怒声も響いたが、ライは己の意見を曲げる事はしなかった。むしろ強い決意の込められた言葉を2人へ投げかける。
『……越権行為は承知の上です。しかし……いつまでも足踏みをしている訳にもいきませんッ!! このまま全滅し、地球をエアロゲイターに渡すわけには行かないッ! それになによりも……イングラム少佐の仇をみすみす逃すつもりはありませんッ!』
『……ライ……』
裏切ったと思った、だがイングラムもまたエアロゲイターの被害者だった。そしてそのイングラムを目の前で失った……2度とイングラムをエアロゲイターから取り戻す事が出来ない。ならば、イングラムを殺した黒い天使をこの場で倒すとライは叫んだのだ。
「……Rシリーズの合体許可を出せというのか!? また失敗したらどうするつもりだッ!!!」
『確かに成功するとはいえませんッ! ですがこのままでは全滅するだけですッ!! 恐れているだけでは前には進めないッ!!!』
ライの言う通りだった、ハガネとヒリュウ改の戦力は殆ど残されていない。それに最後の賭けであるヒリュウ改とハガネの連続攻撃も失敗する可能性が高い今……ライの言う通り、恐れているだけではない前に進む必要がある。
「……いいだろう。パターンOOCの解除を許可する」
「か、艦長!?」
テツヤがダイテツを見るが、ダイテツは己の意志を曲げるつもりはなかった。
「大尉、いずれはやらねばならんことだ。ワシも少尉の賭けに乗るとしよう……その代わり……必ず成功させろ。艦長命令だ、上官への暴言はそれで不問とする」
『……了解しました。必ず、俺達は成功させます』
その言葉を最後にR-2からの通信は途絶える、だがただ見ているつもりはダイテツも、そしてレフィーナにも無かった。
「何をぼんやりしているッ! SRXチームへの支援を行えッ!」
『少しでもブラックエンジェルの動きを止めるんですッ!』
ハガネとヒリュウ改から放たれた弾幕が黒い天使へと叩き込まれる、ダイテツもレフィーナもSRXへの合体に失敗する訳がない……なんの根拠もないが必ず成功する……そんな確信が2人にはあったのだった……。
ライとダイテツのやり取りを聞いていたリュウセイもアヤもそれぞれの機体の操縦桿を強く握り締めた。北京での合体失敗……それは間違いなくSRXチームの3人に黒い影を落としていた。
「……アヤ大尉、よろしいですね? SRXへの合体を行いますッ!」
「わ、判ったわ……ッ!!」
強引に話を進めるライ、リュウセイもアヤも……そしてライ自身もSRXへの合体には不安があった。だが……ライには出来ると言う奇妙な自信があった……。
(出力が安定している……いや、これは安定しているなんてレベルではない)
不安定なトロニウムエンジンの出力が安定しているだけではない、周囲に漂うゲッター線を取り込んでいるのか安定状態をキープしたまま、その出力を上げている。
(トロニウムとゲッター線には何か関係があるのか?……いや、今は考えている時間はない)
良く考えてみるとR-2はゲッターロボが近くにいる時に出力が上がっていた。ゲッター線とトロニウムには、何か強い関係性があるようにライには感じられていた。
「武蔵、合体までの間。あの化け物の相手を頼めるか?」
『任せとけ、その代わり楽しみにしてるぜ。SRXっていうのをよッ!!』
マントを翻し黒い天使に突き進んでいくゲッターロボを見送り、ライはR-1に通信を繋げる。
「リュウセイ……少しでも様子がおかしい時は、フォーメーションを解除する。良いな?」
出力は安定している、だがR-1が受けているダメージが余りにも大きすぎる。SRXへの合体での壁である、出力はクリアしている。だが、Rー1の損傷と黒い天使の出現から爆発的に精神疲労が蓄積しているアヤが懸念材料だった。
「ああ……判ってるッ!! だけど心配無用だッ! 絶対に成功するッ!!!」
「……ああ、俺もそう思ってるさッ!」
「私もよ。失敗する訳がないって信じてるッ!」
ライとアヤの力強い返事に笑みを浮かべ、R-1の最終プロテクトを解除する。
「行くぜ、ライ、アヤ! ヴァリアブル・フォーメーションだッ!!」
「念動フィールド、ONッ!! トロニウムエンジン、フルドライブ!各機、変形開始ッ!!」
「了解、変形を開始します! プラスパーツ……パージッ!」
「今度こそ決めてやる! ヴァリアブル・フォーメーション!」
R-1を先頭にしてR-2、R-3が後を追う様に急上昇していく……。だが、この時リュウセイ達は気付かなかった、念動力の緑の光に紛れ、光り輝くゲッター線の輝きがRー1達を包み込んでいる事に……。
「ぐっ、ぐぬぬぬッ!!!」
やはりRー1の受けているダメージは深刻で、必死に握り締めている操縦桿が手の中で暴れだし思わずリュウセイは呻く。今にも暴れだしそうな操縦桿を全力で押さえ込み、変形レバーを引く。
『ミサイルマシンガンッ!!!』
『!!!』
合体の邪魔をさせまいと単機で黒い天使との戦いを続けている武蔵。その背中に不安や心配はなく、成功すると信じきっている武蔵の強い信頼をリュウセイとアヤは感じていた。
『ガイドビーコンに合わせて、合体軸をあわせろッ!』
「いわれなくてもッ!」
プラスパーツをパージし、機体を反転させSRX用の胸部パーツを開放したR-2の姿を見ながら操縦桿を操縦し、R-2からのガイドビーコンに合わせて合体モードに変形したR-1を操縦するリュウセイ……暫くすると機体全身に走る衝撃にリュウセイは笑みを浮かべる。
「良しッ!」
『まだだ! R-3との合体が残っているッ! 気を緩めるなッ!』
北京でもここまでは成功していた……後はR-3との合体だ。加速するR-1とR-2に追いつけずR-3が失速してしまい、合体が失敗した。
『大丈夫よ! 行くわよッ! リュウ、ライッ!!!』
腰部へと変形したR-3が加速し、追突するような勢いで合体してくる。
『良しッ! 大尉! 脚部のコントロールをお願いしますッ!』
『判ってるわッ! ライも腕のコントロールを失わないでよッ!』
R-2がパージしたハイゾルランチャーが胴体へと変形したR-1達に追いつき、紫電を撒き散らしながら胴体と合体する。そしてそれから少し遅れ、R-3のフライトパーツが脚へと変形を完了し腰部に変形していたR-3と合体する……。そして最後に水中ゴーグルのような特徴的なデザインの頭部パーツがR-1に装着される。
「天下無敵のスーパーロボットォォォォッ!! ここに! 見参!!」
地響きを立てて、SRXが地面に降り立つと同時に、黒い天使の振るった剣でゲッター1が弾き飛ばされてくる。
「大丈夫かッ!?」
「っと、すまねえな。それが……SRXか、へっ! 良くやったじゃねえかッ!!」
SRXに受け止められたゲッター1、そのカメラアイがSRXに向けられ武蔵の賞賛の声が響く。
「まだ戦えるか」
「ゲッターエネルギーも十分! まだまだゲッターは戦えるぜッ!!!」
SRXの手を借りて立ち上がるゲッター1。その姿を見てリュウセイは自分が笑っている事に気づいた、夢に見たスーパーロボットを操り、そして旧西暦を救った本物のスーパーロボットと共に戦える事に、胸が高鳴っている事に気付いたのだ。だが、リュウセイはそれに酔いしれる事は無く、黒い天使に敵意を向ける。R-GUNを取り込んだ黒い天使を倒す。倒せば……R-GUNを……イングラムを取り戻す事が出来るのか……そればかりを考えていた。
「アヤ、大丈夫か?」
『大丈夫よッ! 全力で行ってッ!!!』
アヤらしからぬ強気の声……それはリュウセイが黒い天使に抱いているのと同じ怒りをアヤが抱えているのを如実に現していた。
「ライ、機体は大丈夫か?」
「心配ない! 理由は判らんが各部装甲とモーターはこれ以上にないというほどに安定している。全力で行けるぞッ!」
「よっしゃあッ!! 行くぜ武蔵ッ!」
『応よッ!! ゲッターウィングッ!!!!』
ゲッターがマントを翻し飛び上がり、それを追う様にSRXも宙に舞い上がる……。
(良くやった、リュウセイ。だがお前はまだ舞台に立ったに過ぎん……これからが本番だッ!)
アストラナガンの中でイングラムは優しく微笑み、次の瞬間にはアストラナガンに向かってくるSRXとゲッターロボを獰猛な視線で見つめる……鋼の巨神「SRX」、黒い天使「アストラナガン」、そして進化の光を宿す者「ゲッターロボ」が今ここに一堂に会するのだった……。
第62話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その5へ続く
次回はアストラナガンVSSRX&ゲッター1で書いていこうと思います。アルトアイゼンとかがT-LINKフェザーで全滅したのは……この戦いには付いて来れないかなとか思ったからですね。可能ならばSRXとゲッターの合体攻撃等も出せるように次回も頑張りたいと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
-
サイドまたは視点は必要
-
今のままで良い