進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第62話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その5

第62話 鋼鉄の巨神と漆黒の天使 その5

 

一撃で大破寸前まで追い込まれたハガネとヒリュウ改のPT隊は整備班の決死の救助作業と、損傷が軽微だった機体によって全機がハガネとヒリュウ改に回収されていた。

 

「今回せる機体は無いか!? この際量産試作型のアーマリオンでも構わない!」

 

武蔵とSRXチームだけが戦っている、予備機でも構わないから再出撃出来ないかと怒鳴るイルムやカチーナ達……だが整備班からの返答は不可能だった。

 

「イルム中尉、申し訳ないが今のハガネとヒリュウ改に予備機は搭載していない」

 

「ぐっ……作戦の都合上か」

 

囮となる作戦であり、エアロゲイターの反応を見る為に全員の機体を搭載しているだけで、開発中の量産試作型アーマリオンなどは伊豆基地に降ろしてあると言うロブの言葉にイルム達は呻くしかない。たった一撃でハガネとヒリュウ改のPT隊を壊滅寸前に追い込んだ機体と戦えるのがゲッター1と合体に成功したSRXしかないという事実が重く圧し掛かってくる。

 

「あ、あれがSRX……ッ! SUPER ROBOT X-TYPE……! Rシリーズの本当の姿……ッ!」

 

「う~むむむ……。とりあえず、見た目のインパクトはあるな。特に眼なんか」

 

「そうねえ。何かどっかで見たことあるような、ないような……」

 

SRX計画の最終形態がやっと見られた事に対する驚愕の声が響く中、イルム達の説得を終えたロブはSRXの稼動データを確認して目を見開いた。

 

(出力が最大値をマークしている、それに各部装甲も正常値をキープしている……こんなのはありえない)

 

SRXはその名の示すとおり試作機だ。今はまだ設計図が用意されているだけの「SRアルタード」のデータを取るための実験機としての側面が強い。だが今のSRXの出力は完全にロブ達の予想を超えていた。

重複

 

(これだけ安定していて、しかも暴走も自壊の兆候も見られない。これじゃあ、アルタードじゃないか)

 

試作機で完成形であるアルタードと同等……いや、それを上回る出力を計測しているSRX……その理由をロブは必死に調べ、そしてその理由を突き止めた。

 

(これは……ッ!? あ、ありえない、どうなっているんだ!?)

 

トロニウムによる超エネルギーに加えて、ゲッター線が今のSRXには含まれている。ゲッター線は金属に恐ろしい耐久度を与えると同時に柔軟性を与える。それがSRXの関節やモーターを保護していたのだ、そしてそれだけではなくトロニウムにも影響を与えていた。

 

(ゲッター線が何故SRXに……)

 

当たり前だがSRXにゲッター炉心は搭載されていない、それなのに何故かゲッター線の反応がSRXから確認されている事にロブは驚きを隠す事が出来ないのだった……。

 

 

 

 

 

アストラナガンの中でイングラムは驚愕を隠す事が出来なかった。SRXが出現した時は、少し揉んでやるか位の気持ちだった。SRX計画に携わっていたから判るが、現状のSRXでは良くて5分、悪くて1分の戦闘が限界だ。それはアストラナガンの生まれた世界と比べてこの世界の技術力不足による戦闘時間の短縮と言うデメリット。発想と計画した人間が同じでも、圧倒的なまでの技術不足。それがこの世界の限界だったはずだ……だが既に10分近く経つのにSRXに分離の傾向は見られなかった。

 

『ハイフィンガーランチャーーーーッ!!!』

 

『ミサイルマシンガンッ!! オープンゲットッ!!!』

 

SRXの両指……R-2のパワードパーツであるハイゾルランチャーから無数のエネルギー弾と、ゲッターが手にしたミサイルの機関銃がアストラナガンに向けられる。

 

(ちいっ! やはりかッ!)

 

理由は判らないが……「今」のSRXはアストラナガンの念動フィールドを貫通する。リュウセイやアヤが中和しているわけではない、何故か判らないが念動フィールドがその効力を完全に発揮しないのだ。

 

(どこだ、どこから来るッ!)

 

両腕で弾幕を防いだが、その代りにゲッターを見失った。オープンゲットしていたから別の形態になっている……ゲッター2か、それとも3か? それともゲッター1かを考えていると背後から武蔵の雄叫びが響く。

 

『ドリルアタックッ!!!』

 

声を発する訳には行かないのでZ・O・ソードでドリルの切っ先を弾こうとして……それが罠だと気付いた。

 

『オープンゲットッ!』

 

ドリルアームとZ・O・ソードがぶつかる瞬間にゲッター2が分離し、ゲットマシンへと変化する。攻撃を受け止めるつもりだったのが、相手が居なくなった事で僅かにアストラナガンの姿勢が崩れる。

 

『ブレードキィィーックッ!!!』

 

SRXの全重量を次ぎこんだ飛び蹴りがアストラナガンの背中に叩きつけられる、その衝撃に体勢を崩すと着地したSRXの両拳が光り輝いた。

 

『至高拳ッ!! ザインナッコォッ!!!!』

 

凄まじい勢いで叩き込まれた両拳。その衝撃でアストラナガンが大きく吹き飛んだ、勿論コックピットの中のイングラムにも凄まじい衝撃が襲い掛かっていた。

 

「やはり……か」

 

今も念動フィールドが十全にその効果を発揮しなかった。そしてその理由も今の一撃で理解していた……アストラナガンがゲッター線の反応を感知したのだ。

 

「なるほど、SRXが安定しているのはゲッター線のおかげか……全く、ゲッター線にも困った物だ」

 

意思を持つ進化を促すエネルギー、それがゲッター線だ。それがまさかSRXに力を与えているとは……イングラムにとっても計算外だった。

 

(サイコドライバーとしての力に何かを見出したか……)

 

リュウセイはサイコドライバーとして目覚める未来が約束されている、それをゲッター線も利用しようとしているのか、何にせよ。ゲッター線がSRXに力を貸しているのは事実……。

 

「ならば手加減は無用だ」

 

アストラナガンは量子波動エンジンとティプラー・シリンダーによる2つの動力で稼動している。特にティプラー・エンジンは各物質世界の階層からエネルギーを抽出し、そのエネルギーを用いてタイムスリップや並行世界の転移を可能にするほどのエネルギーをアストラナガンに与える。今まではそれを使っていなかったが、ここまで戦えるのならば手加減は無用。

 

「受けろ、重力散弾! アトラクター・シャワーッ!!!」

 

アストラナガンから放出された重力の嵐がSRXとゲッター1に襲い掛かる。無論、この程度で倒れるなんて都合のいい話はイングラムは考えていない、あくまで一時離脱する為の隙を作り出す為の攻撃だった。

 

「さぁ、ここからが本番だ。フフフ……この程度で沈んでくれるなよッ!!」

 

アストラナガンの背部から射出されたガン・ファミリアがSRXとゲッター1に襲い掛かっていく、これだけの弾雨。いかにSRXとゲッターロボと言っても強引に突っ切る事は不可能。腕をクロスさせて、防御している姿を見つめながらイングラムはコンソールを高速で操作する。

 

「ティプラー・シリンダー起動開始」

 

今まで機能を停止させていたティプラー・シリンダーの起動、この起動によってユーゼスに捕捉される危険性はある。だが、リュウセイ達は今よりももっと強くならねばならぬ。そう簡単に越える事の出来ない壁となる為に……そしてリュウセイ達が死なないようにする為に……イングラムはアストラナガンをフルパワーで起動する事を決断するのだった……。

 

 

 

 

 

ゲッターは確かに強力な兵器だ。だが、バリア等の能力は搭載しておらず敵味方関係なしで放たれた広範囲攻撃では単独操縦のゲッターでは回避しきれない。リュウセイもそれが判っていたから、SRXの念動フィールドを全開にしてゲッター1を護りながらもMAPの範囲攻撃を完全に防いで見せていた。

 

『大丈夫か、武蔵』

 

「悪いな、リュウセイ。そっちこそ大丈夫か?」

 

直撃の痕跡はないが、それでも相当のエネルギーを使っているのは明らか。武蔵が大丈夫か? と問いかけるとリュウセイではなく、ライが返事を返した。

 

『今のでエネルギーの3割を消費した、全力稼動出来るのは後5分ほどが限界だ』

 

5分……与えられた時間は300秒と恐ろしいほどに短い、本来のSRXとゲッターロボならば並の相手ならば1分も立たず一蹴できる。だがアストラナガンは余りにも別格過ぎたのだ……。

 

『あちらもギアを上げてきたようね』

 

今までと異なりオーラのような物を纏っているアストラナガン……先ほどの重力弾の乱射とサイバスターのファミリアに良く似た自立兵器による射撃は明らかにアストラナガンが本気になった証だ。

 

『与えたダメージも回復されたな』

 

「みてえだな、ったく、自己修復能力なんて厄介な能力だぜ」

 

与えたダメージは既に完全に回復している。念動力の刃を展開し、挑発するように手招きするアストラナガン。

 

(AIの癖に随分と……いや……AIなのか?)

 

AIならば挑発なんてする必要は無い、それにあの攻撃力ならばSRXとゲッターを無視してハガネとヒリュウ改を破壊すればいい。

 

(少し確かめてみるか)

 

武蔵の野生とも言える直感は、アストラナガンはAI制御ではなくイングラムによって操縦されている可能性を導き出していた。AIに遊び心は無い、ただ敵を破壊するだけでいい。それをしない、アストラナガンに違和感を感じたのがイングラムが生存しているのでは? と言う考えに繋がった。

 

「ゲッタートマホークッ!!」

 

「!!!」

 

『待て! 無茶をするなッ!!』

 

両手にゲッタートマホークを持ち、ライの制止を振り切って武蔵はゲッター1を走らせる。

 

「オラァッ!!」

 

「!」

 

ゲッター線の光を宿したゲッタートマホークを手にしている剣で弾こうとするが、そうはさせまいとゲッタートマホークを強引に押し込んでアストラナガンに接触する。

 

(イングラムさんよ、アンタ。意識あるだろ?)

 

最初は無視されたが、何度目かの声掛けで諦めたような、それとも呆れたようなイングラムの笑い声がゲッターのコックピットに響いた。

 

(ふっ、流石にお前は欺けんか)

 

小声で接触通信による会話、イングラムはゲッター1を上手く盾にしながら会話を続ける。

 

(俺は俺の為すべき使命を思いだしたのだ。その為にはハガネから離れなければならない)

 

(それはどうしてもなのかい? リュウセイ達はアンタを助けようとしていたんだぜ?)

 

(……それでもだ。この世界には大きな脅威が迫っている、だから俺はアストラナガンで出来る事はする。だがそれ以上にリュウセイ達は強くならないとならないのだ)

 

短い会話だったが、武蔵は理解した。イングラムは敵として立ち塞がる事でリュウセイ達の成長を促そうとしているのだと……。

 

(判ったよ、この会話の事はオイラの胸の中に留めておく)

 

(すまないな、隠し事が苦手そうなのに)

 

武蔵の言葉にイングラムは短いが感謝の言葉を返すが、後半に馬鹿にするような響きがあり武蔵は僅かに眉を吊り上げる。

 

(それよりもだ。もう少し全力で来るがいい。アストラナガンには生半可な攻撃は通用しない、撃墜しろとまでは言わないがな)

 

アストラナガンが戦闘続行出来ない程度のダメージを与える事が出来なければ、この先の戦いには付いて来れないぞとイングラムが警告する。

 

(そんなに強い相手が居るなら、なおの事戻ってきたらどうなんだ?)

 

(それは出来ない、アストラナガンは強すぎる。アストラナガンがあれば安心だという考えを持たれては困るのだ)

 

その言葉に武蔵は反論出来ない、ゲッターロボがいるだけでも主力とする事で大丈夫と言う流れがあった事も判っているからだ。

 

(でもそれだとオイラの負担大きくないか?)

 

量産型ドラゴン、ライガー、ポセイドンがエアロゲイターの戦力に加わっている。そうなると、武蔵とゲッターロボでなければ対処できない相手も少なからず存在する。自分だけの負担が大きくならないか? と武蔵が言うとイングラムは小さく苦笑する。

 

(そのことに関しては謝るが、必要な事だ。頑張れよ、丈夫で長持ちの武蔵よッ!)

 

「いや、ちょっとま……ぐおうッ!?」

 

急に動きを変えたアストラナガンの回し蹴りがゲッター1の胴体を捉え、サッカーボールのようにSRXに向かって蹴り飛ばす。

 

「ぬうっ!?」

 

『武蔵!? 喰らえ! ガウンジェノサイダーッ!!!』

 

SRXの特徴的な顔から放たれた光線が追撃に急降下しようとしていたアストラナガンを空中に押し留める。その隙に墜落してきたゲッター1をSRXが受け止める。

 

『無茶しすぎだ武蔵ッ! 1人でどうこう出来る相手じゃないんだぞッ!』

 

全く持ってリュウセイの言う通りだ。少し鍔迫り合いをしただけだが、ゲッターを持ってしても押し切れないそのパワー。ゲッターロボGでももう少し強引に戦えた事から、あの黒い天使……イングラムが言う「アストラナガン」はゲッターロボを完全に超えている事が判った。

 

「リュウセイ、オイラに提案があるんだが……乗らないか?」

 

『提案? あの黒い天使を倒せるのか?』

 

「倒せないにしても、撤退に追い込む程度のダメージは与えられると思うぜ? それで、乗るか?」

 

武蔵はイングラムに面倒な事全てを押し付けられたことに気付き、額に青筋を浮かべながらリュウセイに通信を繋げた。温厚な武蔵でも怒る時は怒るのだ……イングラムは覚悟こそしていたが、やはり武蔵の怒りを買っていたのだった……。

 

 

 

 

 

武蔵の提案を聞いてリュウセイもライもアヤも驚きに目を見開いた。

 

「お前本気か!?」

 

『本気も本気よッ! どうせこのままだったらSRXは時間切れ、ゲッターもエネルギー切れで全滅だ。ならよ、死んであの世に行った時に閻魔様に言い訳出来るように出来るめいっぱいをやろうぜ』

 

ま、死ぬ気は無いけどよと武蔵は笑う。その声に恐怖の色は無い、それ所かリュウセイ達ならば出来ると言う強い信頼が込められていた。

 

「俺達がタイミングを間違えたら、ゲッターがどうなるか……」

 

武蔵の提案は練習も何もしていないのに、SRXとゲッター1の連続攻撃で黒い天使を撃墜すると言う物だった。

 

『馬鹿野郎、やる前にそんなに不安そうな声を出すんじゃねえ。それにな、こういう時に一番大事なのは……自分なら出来るって言う思い込みさ。リュウセイ達が自信がねえって言うなら……ハガネとヒリュウ改に戻って逃げな、自爆してでもお前達の逃げる時間くらいは稼いでやるよ』

 

「駄目だッ! 自爆なんて駄目に決まってるだろうッ!?」

 

『お前は何を言っているのかわかっているのか!?』

 

『駄目よ! 武蔵! そんな事は許さないわッ!!』

 

1度は奇跡が起きて、武蔵は新西暦で目覚めた。だが2度めの奇跡が起きるとは思えず駄目だとリュウセイ達は声を荒げる。

 

『じゃあよ、オイラに自爆なんてさせないためにも協力してくれよ。このままどうせ全滅なんだからよ』

 

軽い口調だが、武蔵は既に覚悟を決めていた様子だった。

 

「ライ、アヤ、やろう」

 

『……ああ、それしか道はなさそうだな』

 

『そうね、やりましょう』

 

武蔵の覚悟に触発されるようにリュウセイ達は言葉を交す、そして武蔵はそんな様子を見て笑っていた。

 

(良いチームになる)

 

年齢も境遇も違う、それでもSRXチームの姿に自分達の姿を見て武蔵は心から微笑んだ。そしてイングラムがリュウセイ達が強くならなければならないと言った理由も判ったのだ、他人を思いやれる優しい心……それがリュウセイ達にはあったからだ。

 

『行くぜッ! リュウセイッ!』

 

「おうッ!! 行くぞッ! ライ、アヤッ! 武蔵ッ!!!」

 

ゲッター1がマントを翻し、SRXの前に浮かび上がる。その姿を見てリュウセイだけではない、ライも、アヤもその背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。少しでもタイミングが狂えば、武蔵は背後からSRXに撃ち抜かれる事になる……。

 

『行くぜッ!! オープンゲットッ!!!』

 

ゲッター1が爆発したような勢いで弾かれゲットマシンになって、黒い天使へと突き進んでいく。

 

「ライッ! アヤッ!!」

 

『照準は合っている! 行けッ! リュウセイッ!!』

 

『テレキネシスミサイル……発射ッ!!!』

 

「行けッ!!! ハイフィンガーランチャーーーーッ!!!」

 

SRXの両腕と両腕から数えるのも馬鹿になるようなエネルギー弾が放たれ、解放されたSRXの脚部からはテレキネシスミサイルが全弾放たれる。

 

『うおおおおおーーーーッ!!!!』

 

エネルギー弾とミサイルの弾雨に追い抜かれながら、ゲットマシンはマシンガンを乱射しながら突き進む。

 

『チェンジッ!! ゲッタァアアアーーーッ!!!! ツゥゥッ!!!!』

 

弾雨に晒されながらゲットマシンはゲッター2へと合体を果たし、着地と同時に最大速度でドリルアームを突き出す。それは一度はゲットマシンを追い抜いたエネルギー弾や、ミサイルを追い抜いての一撃だった。

 

『ドリルアームッ!!!!』

 

「!!!!」

 

火花を散らしながらもアストラナガンのバリアはドリルアームでは貫通出来なかった、だがこれはリュウセイ達にとっては計算通りの出来事だ。

 

『オープンゲットッ!!!』

 

「!?」

 

反撃にZ・O・ソードが振り下ろされようとした瞬間。ゲッター2が爆ぜ、アストラナガンは目標を失いたたらを踏んだ。その直後にハイフィンガーランチャーとテレキネシスミサイルがアストラナガンを捉え煙幕を作り出す。

 

「ブレードキィィーックッ!!!」

 

そこにハイフィンガーランチャーとテレキネシスミサイルを放つと同時に飛び上がっていたSRXの全重量を次ぎこんだ飛び蹴りがアストラナガンの胴体に突き刺さる、だがSRXはそれだけでは止まらなかった。

 

「おりゃあああーーーッ!!!」

 

SRXの膝蹴りがアストラナガンに突き刺さり、その身体をくの字に曲げる。

 

「至高拳ッ!! ザインナッコォッ!!!!」

 

硬く拳を握り締めた文字通りの鉄拳がアストラナガンにニ連続で叩き込まれる。さすがのアストラナガンの念動フィールドもこれだけの猛攻には耐え切れず、音を立てて砕け散った。

 

「ガウン……ジェノサイダアアアアーーーッ!!!!」

 

吹き飛んだアストラナガンに追撃の念動波が叩き込まれ、体勢を立て直す事も叶わず吹き飛ばされ……背後から触手のように伸びるゲッターアームに絡め取られていた。

 

『大ッ! 雪ッ!! 山ッ!!!! おろしいいいいいいーーーーッ!!!!』

 

螺旋回転するゲッターアームに巻き上げられ、アストラナガンは大雪山おろしで作り上げられた竜巻に拘束される。

 

『TーLINKフルコンタクトッ!!!』

 

「うおおおおおーーーッ!!! 念動結界ッ!! ドミニオンボールッ!!!!!」

 

突き出したSRXの両腕から飛び出した虹色の輝きを持つ球体が、大雪山おろしに拘束されたアストラナガンの手足を封じ込め完全に動きを封じる。

 

『オープンゲットッ!! チェンジッ!!!!』

 

竜巻とドミニオンボールに拘束されたアストラナガンを追い抜いて、上空に舞い上がるゲットマシン。アストラナガンのコックピットでイングラムは薄く笑う、想定以上の力を相互効果で引き出した武蔵とリュウセイ達の急成長に笑みを抑えることが出来なかったのだ。

 

『Z・O・ソード射出ッ!!』

 

SRXの胸部が展開され、飛び出した柄をその腕が掴み胸部から引き抜く。金色の刀身を持つ剣をSRXは正眼に構えた……。

 

『トロニウムエンジンフルドライブッ!!!』

 

『ゲッタァアアーーーッ!! ワンッ!! ゲッタートマホークッ!!!!』

 

「うおおおおおおおおーーーッ!! 超必殺ッ! 天上天下……念動ッ!! 爆砕剣ッ!!!!」

 

最大まで高められたトロニウムエンジンの膨大なエネルギー、そしてリュウセイとアヤの念動力……そしてその全てを包み込むゲッター線の輝きを伴ったZ・O・ソード……いや、無敵剣の一撃が拘束されたアストラナガンの胴体に深い横一文字の傷を残す。

 

『おおおおおおーーーーーーッ!!! フルパワーだぁぁあああああーーーッ!!!』

 

そしてそこにゲッタートマホークの刀身から巨大なゲッター線の刃を展開したゲッター1が凄まじい勢いで急降下し、無敵剣で付けられた傷の上から唐竹割の一撃が叩き込まれる。

 

「ぐっぐうう……まさか、ここまでとは、想定外だな……」

 

ゲッターロボとSRXの連携攻撃は即興の割には恐ろしい完成度を持っていた、胴体に付けられた深い切り傷にイングラムは驚くと同時に笑みを浮かべる。

 

「だが、最後はしまらないようだな」

 

急降下してきたゲッター1にSRXが反応しきれず、2機は正面から追突し崩れ落ちている。追撃を受ければアストラナガンも撃墜されたかもしれないが……今回はイングラムの悪運に軍配が上がったようだ。

 

(さらばだ。リュウセイ、ライ、アヤ……また会おう)

 

心の中でイングラムはリュウセイ達に別れを告げ、空間転移でその場から離脱するのだった……。

 

「おおーい、生きとるかぁ……?」

 

「な、何とかな……さ、最後の最後でミスったぜ」

 

『いや、燃料切れで動けなかった。最終的にはああなっていただろう……』

 

『……逃がしちゃったわね』

 

大の字で横たわるSRXの上でうつ伏せで倒れるゲッター1。両機ともエネルギー切れで指一本動かす事が出来なかった……。

 

「良いとは言えねえけどよ、生きてたんだ……次があるさ。それに……リュウセイも、アヤさんも感じただろ?」

 

「ああ。感じた、あの黒い天使の中にイングラム教官の気配を感じたんだ……」

 

「少佐を取り戻せるかもしれないなら……私達はまだ戦えるわ」

 

武蔵はベアー号のコックピットの背もたれに背中を預け、大きく背伸びをする。どうせ自力で帰還出来ないのなら、回収を待つしかない。

 

「生きてれば次があるさ、次は取り戻そうぜ。イングラムさんをよ……」

 

イングラムの事は言わない、だがリュウセイとアヤが感じ取ったならばそれはイングラムとの約束も破った事にはならない。

 

(ん? そっか……1回ハガネとヒリュウ改を離れないといけないな)

 

ビアンからの合流要請を示すシグナルが点滅しているのを見て武蔵はなんて説明するかなと考えながら、ベアー号のコックピットの中で目を閉じるのだった……。

 

 

第63話 もう1体のゲッターロボ その1へ続く

 

 




次回はインターバル兼クロガネサイドの話に書いていこうと思います。箱舟の話はゼンガー達に活躍して貰って、ヒリュウ改・ハガネはお休みで行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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