進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第6話 ハガネ発進(前編)

第6話 ハガネ発進(前編)

 

深夜にアイドネウス島を飛び立ったゲットマシンは追っ手を振り切ることを考え海中に身を潜めていた。追っ手として放たれたシュヴェールトやリオンはまさか海中に逃げるとは予想だにせず、その周辺を暫く捜索していたがゲットマシンが浮上して来る事は勿論無く、海中を高速で移動したゲットマシンは一気に追っ手を振り切り、無事に日本近海にまで逃げ延びていた

 

「んごおおお……んごおおおお……んがああッ!? あいてて……」

 

追っ手から逃れ海中のゲットマシンの中で眠っていた武蔵は操縦席から落ちて目を覚ます。あいたったと呻きながら身体を起こした武蔵の目の前には無数の魚が泳いでおり、それを見た武蔵は腹減ったなあと呟く。とは言えこの状況で食料を確保する事など出来るわけも無く、悲しそうに目の前を泳ぐ魚の群れを見つめていた

 

「っととと、今はそんなことを考えてる場合じゃねぇか……」

 

エルザムとビアンを止めるという目的でアイドネウス島と脱出した武蔵。だが、短い時間とは言えアイドネウス島で過ごしていた武蔵はDCの戦力を近くで見ていた。そしてその上でどうするべきか考えていた。

 

「いくらゲッターでもあの数は無理だ」

 

もしもリョウや隼人が一緒に居て、そしてゲッターが本調子であれば単独でのアイドネウス島へと襲撃も可能だ。だが今のゲッターは炉心の出力が安定せず、しかもゲッタービーム1発でガス欠を起こす有様では到底単独でアイドネウス島に再度向かう事は不可能だった。間違いなく多勢に無勢であり、ビアンとエルザムを説得する・しないの以前の問題だった

 

「どうすっかなあ……」

 

自分では頭が悪いという武蔵だが、むしろその頭の回転は悪くなく、今自分が置かれている状況などを正確に把握していた

 

「うーん……あ、そうだそうだ。えーっと」

 

ビアンが設定してくれていたナビゲーターの目的地が何処なのかと思いモニターを覗き込む武蔵。態々自分を逃がしてくれたのだ、まさか無意味な所では無いだろうと考えたのだ

 

「伊豆基地……うーん、とりあえずここを目指すか」

 

ゲットマシンは海中を走る、目指すは一路連邦軍極東の「伊豆基地」だ……

 

 

 

武蔵が伊豆基地に向かってゲットマシンを走らせている頃。伊豆基地では……

 

「……ダイテツ、久しぶりだな。南極で受けた傷のほうはどうだ?」

 

温和な顔つきの男性が立派な髭を生やしパイプを咥えたいかにも歴戦の軍人と言う風貌の男へ声を掛ける。先に声を掛けたのは、ここ伊豆基地の司令官「レイカー・ランドルフ」、そして声を掛けられた男の名は「ダイテツ・ミナセ」。かつて外宇宙へと向かった人類初の外宇宙航行船「ヒリュウ」の艦長を務め、そして南極ではスペースノア級1番艦「シロガネ」の艦長を務めていたが、シュウ・シラカワの駆るグランゾンによりシロガネは撃沈した。更にはクルーまでも失い、自らも重症を負っていたが、今こうして立つ姿にはとても怪我を負っているようには見えない気迫に満ちていた

 

「……問題は無い。それに、まだワシは死ぬわけにはいかん」

 

レイカーの身を案ずる言葉にダイテツはしっかりとした言葉で返事を返す。ならばそれ以上の言葉は不要とレイカーは黙り込む、沈黙したレイカーを見てダイテツからレイカーに話を切り出す

 

「それよりも、お前がワシをここに呼んだ理由とは……「ハガネ」の件だろう?」

 

「そうだ。スペースノア級万能戦闘母艦2番艦……「ハガネ」は現在、この基地の地下ドックで出撃準備が進められている。そこでダイテツ。お前にはハガネの艦長を務めてもらいたい」

 

レイカーの要請にダイテツは言葉短く頷く。今まで黙って話を聞いていた茶髪の軍人が敬礼してからレイカーに声を掛ける。青年の名はテツヤ・オノデラ、ダイテツと同じく南極事件の生存者であり、そしてダイテツ自らが見出した副艦長でもあった

 

「我々の攻撃目標は?」

 

「DCの本拠地、アイドネウス島だ」

 

その言葉に執務室にいた全員の顔に緊張が走る。誰もが口を開こうとして黙り込む中、ダイテツがレイカーに問いかける

 

「……それはハガネだけでか?」

 

1艦だけによる敵本拠地への奇襲。それは従来ならばありえない事であり、特攻しろと言うのに等しい命令だった。だがそれは従来での戦艦の話だ

 

「そうだ。テスラ・ドライブを搭載し、宇宙航行、大気圏内飛行、水中潜行を可能とするISA構想の万能戦闘母艦……更に、高性能のステルスシェードと、トロニウム・バスターキャノンを使用し、アイドネウス島を直接叩いて貰いたい」

 

「……敵の目をかいくぐり、その喉元まで肉薄しろと言うのか?」

 

口で言うのは容易い、そして理論上は可能であったとしてもその難易度は恐ろしいほどに高い。だがそれがわからないレイカーでもダイテツでも無かった

 

「DCとコロニー統合軍が連邦政府の中枢。ジュネーブの制圧を目論んでいるように我々も向こうの中枢を叩く」

 

DCの決起と共に立ち上がったコロニー統合軍。政府にとって反乱軍に等しいDCと統合軍の目的はジュネーブを陥落させる事にある。故に今現在のDCと統合軍の進軍先はヨーロッパ、そして北米の制圧に専念されていた。だからその隙を突いてアイドネウス島を狙うというのは決して無謀な策略では無い……だがそれは本来ならの話である

 

「統合軍に制宙圏を完全に制圧されている今、統合軍の準備が整えば宇宙からの重要拠点への降下を許すことになる。ダイテツ、お前とハガネにはその前に目的を達成して貰わなければならん」

 

「そんな無謀な……」

 

話を聞いていたテツヤが呟いてしまったのは仕方ないことだ。敵の本拠地にたった戦艦一隻で、しかも時間制限までもつけられて向かう。それは特攻に等しい行為だった……

 

「だが無謀ゆえに、敵もこちらの手を読みにくい。状況が不利ならば相手が予想もしない戦略を用いなければ劣勢を跳ね返すことなど出来ない」

 

そこで言葉を切ったダイテツは一度目を閉じた。そして開かれた時には凄まじい意志の光が宿っていた

 

「レイカー。お前の作戦は判る、だが1つ気になる事がある……3番艦はどうなっている」

 

1番艦シロガネ、2番艦ハガネ、そして3番艦のクロガネ……今地球圏に存在する3隻のスペースノア級。その3番艦はどうなっていると問いかけるダイテツ

 

「……テスト艦のスペースノア級同様、3番艦の「クロガネ」はEOTI機関の管轄化で試験航海を行っていた……恐らくは今頃……」

 

そこで言葉を切ったレイカー。何を言おうとしているかは全員が理解していた、DCにもスペースノア級の母艦がある。厳しい戦いになると言うのは全員が理解していた

 

「……判った。ではハガネと今回の作戦を引き受けよう」

 

言葉短くダイテツはレイカーの要請を引き受けた。レイカーは自分が命じたことだが、悲しそうに顔を歪める

 

「……ダイテツ。すまないな、またお前に貧乏くじを引かせることになってしまう」

 

「気にする必要は無い、ヒリュウに引き続き失ってしまったシロガネの乗組員達の無念をこれで晴らすことが出来る」

 

ダイテツの言葉にレイカーはこれ以上の言葉は無粋と敬礼を行う。ダイテツは敬礼しかえし座っていた椅子から立ち上がる

 

「行くぞ大尉。我らの新しい艦へと」

 

「了解です。艦長」

 

そしてダイテツとテツヤは新しい戦場へと向かう為、地下のハガネのドックへと足を向けるのだった

 

 

 

 

伊豆基地の地下スペースノア級のドック内

 

 

「へー、これが私達の乗るハガネかぁ……結構格好良いと思わない?」

 

ハガネを見上げながらその美しい黒髪を三つ編みにした活発そうな少女が自身の隣に立つ少女に声を掛ける、少女の名はリオ・メイロン。このスペースノア級2番艦ハガネのオペレーターだ

 

「リオはこういうのに興味あるの?」

 

声を掛けられた少女は衛生兵の服装に身を包んだ、優しそうな青髪の少女だった……ただ少し着ている制服が小さいのか胸元がやや苦しそうだったが……

 

「父様の仕事の影響かもね」

 

「そうなんだ」

 

少女達が楽しそうに話をしていると軍服に身を包んだ青年がエレベーターで下りてくる。その視線は直ぐにハガネへと向けられた

 

「これがハガネかぁ……艦首部分がシロガネと違ってるなあ」

 

聞こえてきた声に少女が振り返り、青年と目が合う。そして2人はその顔を驚愕に染める

 

「り、リュウセイ君……!」

 

「ク、クスハ……! 何でここに!?」

 

リュウセイ・ダテとクスハ・ミズハ。2人は高校の同級生であり、そしてリュウセイが連邦にスカウトされた日に離れ離れになっていた幼馴染がハガネの前で出合った。これが街中の再会ならば感動的だっただろう、だが軍事基地での再会は嫌がおうにも最悪の考えを2人に与える。それは幼馴染が軍に入隊していると言う事に……

 

「な、何? 貴女の知り合いなの?クスハ」

 

ただならぬ気配を感じたリオが心配そうにクスハに声を掛ける。クスハはリオの問いかけに笑みを浮かべながら、自身とリュウセイの関係を告げる

 

「う、うん。幼馴染で同じ高校に通ってたの」

 

「へえ、私、リオ・メイロン。ハガネのオペレーターなの、よろしくね」

 

リオが笑顔を浮かべながらリュウセイに自己紹介をするが、リュウセイはそれ所ではなかった

 

「あ、ああ……よろしく。それよりもクスハ!お前……どうしてこんな所に……!?」

 

「リュウセイ君こそ、突然連絡が取れなくなってどうしたの?」

 

「そ、それは……」

 

2人が幼馴染と聞いて知り合いが居てよかったじゃないと思っていたリオだが、2人の気配が余りに険悪でリオが心配して、今にも掴みかかりそうなリュウセイの前に立ち、クスハをその背に庇う

 

「……どう言う事なの?」

 

どうして幼馴染なのにそんなに険悪な空気なの?と問いかける

 

「こ、これには色々と訳があって」

 

「い、いや、それよりもクスハ。ハガネのドックにいるって事は、お前もハガネに乗るのか!?」

 

どうして軍事基地で出会った。しかも連絡のつかない幼馴染が軍服を着ている。それにリュウセイもクスハも混乱しきっていた、だが事態はそれではすまなかった。ハガネのドックに警報が鳴り響く……DCの伊豆基地の襲撃が始まろうとしていたのだ……防衛ラインを超えて進軍してくるDCの機体に伊豆基地は混乱に陥っていた頃、司令室では

 

『こちらはDC第19機動部隊隊長。エルザム・V・ブランシュタインだ」

 

DCからの宣戦布告が行われていた。統合軍のエースの名前に司令室に緊張が走る、だがエルザムから告げられた言葉に更なる緊張が走る

 

『通達する。直ちに武装を解除し、ハガネとSRX計画の試作機を渡せ』

 

重要機密であるハガネ、そしてSRX計画の機体の事を口にしたエルザム。だが基地司令官はレイカーは即座に断ると返事を返す

 

『……では降伏か、死か……好きな方を選べ』

 

「そのどちらも選ぶつもりは無い」

 

『了解した。これより攻撃を開始する』

 

エルザムはそう言うと通信を切る。DCからの宣戦布告、指令本部の中が一気に騒がしくなる

 

「上げれる機体は全部出撃させろ!なんとしても伊豆基地とハガネを守るのだ!」

 

なんとしてもハガネを守れと指示が飛ぶ中、オペレーターの女性が叫ぶ

 

「レイカー司令。ハガネ第一艦橋のダイテツ艦長より、通信が入っています!」

 

「ダイテツが……?」

 

この状況を知らないわけでは無いダイテツからの通信が司令基地内に響く

 

「こちらダイテツだ。これよりハガネを発進させる」

 

敵が攻め込んでくる中。戦艦を発進させるというダイテツの言葉にサカエが止めに入る。だがダイテツは冷静のこの状況を見極めていた

 

『敵の目的は伊豆基地の制圧だ。ワシらを倒すつもりなら、とっくの昔に巡航ミサイルを撃ち込んでいる』

 

DCとしてもスペースノア級は稀少だ。故に巡航ミサイルによる攻撃ではなく、基地の制圧を目的にしているとダイテツは叫ぶ。ハガネを無傷で手に入れたいからミサイルが使われることは無い

 

「……敵の目的を逆手に取ると言う事か……だがまだハガネは」

 

万全では無いとレイカーが止めに入るがダイテツは強い意思を宿した瞳でレイカーを見つめながら告げる

 

『ここで沈むようならば、ワシらはDCには勝てん!レイカー!ハガネの発進許可をッ!』

 

この程度の劣勢を跳ね返せないようでは連邦はDCに勝てない。その言葉にレイカーは敬礼と共に告げた

 

「……貴艦の幸運を祈る」

 

『感謝する。ハガネの発進準備を急げッ!!』

 

 

 

 

伊豆基地で開戦したDCとの戦いは伊豆基地側の劣勢からの開戦となった。DCの基本戦力はAMリオンとシュヴェールトによる航空戦力である。戦闘機同士の戦いならば伊豆基地にはエリートと呼べる人員が揃っていたが、そこにリオンが加われば戦況は一気に劣勢となる。連邦軍の主戦力となる戦闘機「メッサー」の攻撃力ではリオンに有効打を与えるのが難しく、リオンの攻撃は容易くメッサーを破壊する。リオンを主戦力として編成されたDCの部隊は一瞬で伊豆基地の防衛ラインを突破し、伊豆基地の最終防衛ラインに食い込んでいた。だがDCもそこまでだった。伊豆基地の防衛を任されている「カイ・キタムラ少佐」そしてSRXチームとそれを統率する「イングラム・プリスケン少佐」、元PTXチームの「イルムガルド・カザハラ中尉」とエースパイロット級が揃っていた事もあり、劣勢には追い込まれていたが、徐々に、徐々にだがその戦況を巻き返し始めていた

 

「ジャーダ、ガーネット!無茶をせずにPT部隊の支援に回れッ!最大の目的は発進口の防衛だ!」

 

伊豆基地の面子の目的はハガネの発進準備が整うまでの発進口の防衛にある。緑色のゲシュペンストを駆るカイはM950マシンガンを放ちリオンを近づけないようにさせながら指示を飛ばす。ジャーダ・べネルディ、ガーネット・サンディ、ラトゥーニ・スゥボータの3人が駆るのはメッサーであり、直接戦闘になれば不利と言う事もあり支援に徹しろと指示を飛ばす

 

「了解です!フォーメーションを崩さず、突っ込んでくるシュヴェールトに警戒しろ」

 

「了解っと、ラトゥーニも無茶をしちゃ駄目よ」

 

「……うん」

 

3機のメッサーはフォーメーションを崩さず、カイの指示を守り。リオン達の合間を抜いて向かってくるシュヴェールトへの警戒を緩めない

 

「アヤ、ライ、俺達はリオンを狙う。だが撃破する事は考えなくて良い、基地の防衛システムと少尉達との連携を忘れるな」

 

蒼いPT ビルトシュバインを駆るイングラム少佐が自分の部下であるアヤ・コバヤシ大尉とライディース・F・ブランシュタイン少尉へと指示を飛ばす。

 

「了解です!」

 

「こちらも了解しました」

 

アヤの駆る灰色のゲシュペンストMK-Ⅱ・タイプTTが基地の滑走路を滑りながらその手に持ったビームライフルでリオンを狙う。ライディースの駆るシュッツバルトが続く、スマートなフォルムのゲシュペンストと異なり、重厚な装甲と両肩に背負っているビームキャノンが最大の特徴であり、汎用性の優れているゲシュペンストMK-Ⅱ・タイプTTと異なり、射撃戦に特化した機体となっている

 

「ライ!スプリットミサイルに合わせてッ!」

 

「了解です!大尉ッ!!」

 

機体を反転させ、背中に背負っているコンテナから射出された多弾頭ミサイル「スプリットミサイル」がリオンの動きを狭め、動きが制限された所にシュッツバルトのツインビームカノンがリオンに向かって発射される

 

「う、うわああああッ!!!!」

 

リオンのパイロットは回避する事も防御する事も叶わず、ツインビームカノンの直撃を受けて脱出装置で脱出する

 

「続けていくわ、T-LINKリッパー射出ッ!!!」

 

量産型ゲシュペンストMKーⅡ・タイプTTとは、SRXチームの機密である「念動力」と言う超能力を持つパイロット用に調整されたゲシュペンストであり、通常のゲシュペンストMK-Ⅱとは違いT-LINKシステムが搭載されている。このT-LINKシステムによって操作された3つの刃を持つT-LINKリッパーがリオンの主翼を引き裂き、その高度を下げる

 

「良い距離だ。コバヤシ大尉ッ!!! 受けて見ろッ! ジェット・マグナムッ!!」

 

高度を下げたリオンに向かって緑のパーソナルカラーに塗られた量産型ゲシュペンストMK-Ⅱが地面を蹴りリオンへと肉薄する。アヤの駆るタイプTTとは異なり、ゲシュペンストMK-Ⅱは左腕にプラズマステークと呼ばれる3本の特殊武装が搭載されており、ステークから放たれる高電力のプラズマによって貫通力を高めた拳でリオンを完全に破壊する

 

「カイ少佐もやるなあ。なら俺も少しは見せ場を作っておかないとなッ!受けてみなッ!必殺ゲシュペンストパンチッ!!!」

 

格納庫の影から飛び出した青のゲシュペンストによる奇襲に硬直したリオンにジェットマグナムが叩き込まれる。その一撃でリオンは破壊されたが、着地するまでの間にリオンのレールガンによる射撃を受け、イルムガルドのゲシュペンストは地面へと叩き落される

 

「くうー上手くは決まらんなッ!」

 

「ふざけている場合か、イルムガルド」

 

態勢を崩しているゲシュペンストにリオンが殺到するが、イングラムのビルトシュバインのM-13ショットガンによる援護射撃によりリオンは空中へと逃れ、その間にゲシュペンストは姿勢を立て直す

 

「すいません。イングラム少佐」

 

「構わん。だが油断するな、敵の増援が来たぞ」

 

ビルトシュバインが顔を上げると上空からリオンとは異なる黒いAM……「ガーリオン」とリオンの部隊が降下してくる

 

「な、なんだあの黒い機体は!? 見たこと無いタイプだぞ」

 

「……四肢がついている、近接、格闘戦もこなせるアーマードモジュールなのね」

 

今現れた機体はいままでイングラム達が対峙していたリオンとはまったく異なり、完全な手足を持っていた。それはリオンの発展機と言う事に他ならなかった……今までのリオンは白兵戦に弱いと言う弱点があったが、改修された今度の機体は腕の可動域と言い脚部によるバランスの安定感と共に――それはリオンの欠点を完全に無くし強化された機体と言う証だった……

 

「雰囲気的には指揮官機って所だな、胸に紋章見たいのもついている」

 

只者では無い気配を感じ取り、警戒心を高める面子だが、カイとライはその機体を見つめて、何かに気付いたような素振りを見せる。黒い機体で胸の紋章……それはあるエースパイロットの機体の特徴でもあった。全員が油断無く警戒している中、黒い機体……ガーリオンは信じられないスピードでシュッツバルトへと肉薄する。その圧倒的なスピードに驚愕の声が上がる

 

「そのマーキングは……ブランシュタイン家の紋章ッ!」

 

「久しぶりだな、ライディース」

 

ガーリオンを駆る男はエルザムであり、ライディースの兄であった

 

「その声……エルザム兄さんか!?」

 

接触回線によって繋げられた通信。そこから響く声にライディースも同じく通信を返す

 

「弟よ。我が父の大義を理解せぬのならば……私はここでお前を討つッ!!」

 

ガーリオンが反転し、その手に持ったレールガンをシュッツバルトへと向け照準を合わせる

 

「お前に我がトロンベの一撃をかわせるかッ!!」

 

高速で迫りながら放たれるレールガンの一撃。それは並大抵のパイロットでは防ぐことも交わすことも出来ない一撃だった

 

「ああ。かわして見せるさ!」

 

ライはシュッツバルトを素早く反転させ、それと同時にバーニアに点火し、敢えて弾頭に突っ込むと言う形で回避する

 

「ほう……少しはやるようになったな」

 

「何が大義だッ! そうやってまた罪の無い人間を犠牲にするのかッ!?義姉上のようにッ!」

 

ライから告げられた言葉に僅かにエルザムの表情が曇る。だがそれに気付かないライは更に言葉を投げかける

 

「そして、全世界を戦争に巻き込むやり方が正しいと言うのか!?」

 

「……ふっ、その言葉は彼にも言われたよ。だが私には私の信じた道がある。だがライディース、お前に自分の信じる道はあるのか?」

 

彼?何を言っているとライディースが問いかけるが、エルザムはその問いには答えない

 

「我が家名の重みと、あの事故に耐えられなかった。お前に出来ればの話だがな」

 

その言葉に普段冷静なライディースは声を荒げさせる

 

「言ったな! 俺は必ずお前を超えてみせるッ!!」

 

「そうだ、それでこそ我が弟だ!」

 

ライディースの言葉にエルザムが満足そうに頷き、後退しようとしたその時。海面が爆発し3色の戦闘機が飛び出してくる

 

「!」

 

海中から飛び出してきた3色の戦闘機の姿を見て、エルザムは後退せずにその手に持ったバーストレールガンの銃口を向ける

 

「な、何なんだ……あいつらは!?」

 

「DCの増援か!?」

 

完全な四肢を持つ黒いアーマードモジュール「ガーリオン」に加え、突如伊豆基地の海中から飛び出した戦闘機に混乱が巻き起こる。

 

「思ったよりも早い再会だな。武蔵君」

 

オープンチャンネルで告げられたエルザムの言葉。DCの増援かと言う考えが伊豆基地の面子の脳裏を過ぎる中。イングラムだけは上空を飛ぶ戦闘機を見て頭痛を感じていた……どこかで見たような奇妙な懐かしさを感じていた。

 

「そうですね。オイラもこんなに早く再会するとは思ってませんでしたが……ここであんたを叩きのめして、戦争なんて止めさせてやるッ!」

 

その会話からあの戦闘機のパイロットが味方であると判断したカイ達だが、とても飛行するように適しているとは思えない戦闘機に味方と思うよりも不安の文字が脳裏を過ぎる

 

「ふっ、ならばやってみるが良い! 私を止めれる物ならばな!」

 

「あんただけじゃねえ! ビアンさんだって止めてやるさ! オイラがな!!」

 

ゲットマシンに向かってガーリオンがレールガンを放ち、4機のリオンがミサイルを放つ。だがとても飛行に適したと思えない戦闘機ゲットマシンは軽やかなバレルロールで回避し、反撃にとマシンガンを放つ。だがゲッターのマシンガンはガーリオンの装甲に弾かれ、とてもダメージになっているとは思えない有様だった

 

「おいおい、マジか。あんなのでよくあんな飛行が出来るな」

 

「信じられん」

 

尾翼も主翼も無い戦闘機とは思えない機動にイルムガルドとカイの驚愕の声が上がるが、次の瞬間には更なる驚愕がDC、伊豆基地の両方に広がる

 

「へっ、やっぱり効かないか、なら……行くぜぇッ!! チェーンジッ!!ゲッター3ッ!!!」

 

伊豆基地の滑走路に向かって白い戦闘機が降下し、その上に赤の戦闘機が突き刺さるように急降下する。爆発する、そう思った瞬間白い戦闘機の両側面からキャタピラが出現し地響きを立てて着地する。そしてその上に黄色の戦闘機が重なるように合体し、まるで触手のような黄色い腕が赤い戦闘機……いや胴体から伸ばされる、黄色の戦闘機の側面がスライドし、カメラアイが出現する。

 

「はぁ!? な、なんだあれ!?」

 

「が、合体したッ!?」

 

エルザムを含め全員が困惑した。カイ達は戦闘機が特機へと合体したことに、エルザム達はゲットマシンがゲッター1とは異なる姿に変形した事に驚愕した。

 

「そこのアンノウン。こちらは地球連邦軍極東支部・SRXチーム イングラム・プリスケン少佐だ。今直ぐ所属と名前を告げろ」

 

だが1人だけ……イングラムだけが武蔵にそう問いかけた。知らないはずなのに知っている、合体すると判っていたイングラムは誰よりも早く混乱から脱して声を掛ける。だが武蔵はその問いかけには答えず……いや、答えることには答えたのだが、イングラムの問いに答えた訳ではなかった

 

「この巴武蔵様と正義のスーパーロボット! ゲッターロボが相手になってやるぜ!!! かかって来やがれぇッ!!!」

 

力強い武蔵の雄叫びが伊豆基地中に響き渡るのだった……誰も知らないはずのゲッターロボ。だがイングラムだけは激しい頭痛の中

 

(お、俺は知っている……ゲッターロボを……)

 

脳裏の中に浮かんでは消える映像に困惑しながらも、その姿に何故か懐かしさを感じているのだった……

 

 

第7話 ハガネ発進(後編)へと続く

 

 




長くなってきたのでここで1度話を切りたいと思います。戦闘シーンがかなり難しいですね、でも頑張って書いて行こうと思います。
そしてゲッター1ではなく、ゲッター3なのは武蔵なのにゲッター1は違うよなあっと思いまして、それに伊豆基地は海面のステージですし、ゲッター3の方が活躍しやすいと思ったのもあります。次回はゲッター3の戦闘シーンを頑張ってみたいと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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