進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第77話 それぞれの戦い その1

第77話 それぞれの戦い その1

 

エアロゲイターの技術で強化されているとは言えゲシュペンスト・タイプSは今の機体、そして技術からすれば旧式の機体だ。それなのにゼンガー達と互角以上に戦えているのは偏に組み込まれているガルイン……いや、カーウェイ・ラウ大佐の存在に依る。ゼンガー達の行動パターンや思考パターン、そして最も使用されるであろうOSパターンの予測……それによって5対1と言う絶望的な戦力差でありながらも、ゲシュペンスト・タイプSは互角以上にゼンガー達と戦う事が出来ていた。

 

「……ググ……そう……だ。わた……しを……倒せ……ッ!!!」

 

ラウ大佐の意思に反して動く身体、既に人間ではなく機械であるラウ大佐にとって、そのほんの僅かな拒否反応は耐え難い苦痛になる。精神に直接に鑢を掛けられている様な、既に存在しない手足を切り刻まれるような痛みに耐えながらゼンガー達に己を倒せと訴え続ける。

 

「隊長ぉおおおおおおッ!!!!」

 

血反吐を吐くような叫び声を上げカイのゲシュペンスト・リバイブがその豪腕を何度も振るう。一撃でも当たれば、その瞬間にスクラップになってもおかしくない、凄まじい破壊力を秘めた拳の連打。しかもその攻撃にエルザムとギリアムの正確無比な射撃が加わっており、普通ならばその弾雨、そして与えられるプレッシャーにどんなパイロットであってもその動きは鈍る。だがラウは今はパーツだ。ゲシュペンスト・タイプSを効率的に稼動させる事だけがラウがどんな形であれ、生かされている理由であった。

 

「ッ!!」

 

「うっ!? 馬鹿なッ!」

 

突き出された左拳を脇に挟むようにして受け止め、そのまま反転しゲシュペンスト・リバイブの巨大な両腕を支えるフライトユニットを盾にし、フォトンライフルとメガビームライフルの熱線を受け止める。

 

「カイ!」

 

「いかん! ラドラ! 突っ込むな!」

 

盾としての役割を終えたゲシュペンスト・リバイブに向かって放電している拳を叩き込もうとしている姿を見て、ラドラがカイの救助に向かったがそれを確認すると同時に放電を止めたゲシュペンスト・タイプSはリバイブをハンマーのように振るいシグと正面衝突させ、2機を同時に月の岩へと叩きつけ、それと同時にスプリットミサイルを射出しトロンベ・タイプGとリバイブの動きを止めると同時にメガビームライフルを叩き込む。

 

「……ッ! ぐっ、やはり強いッ!」

 

「乱戦を一番得意としておられたからな!」

 

乱戦を得意としている上に操縦の癖を全て知っているゼンガー達が相手となればラウの方が圧倒的に有利であった。

 

「ぬおおおおおッ! チェストオオオオオーーーーッ!!」

 

「来る……か、ゼン……ガーッ!」

 

大上段から振り下ろされる零式斬艦刀(改)を肥大化したプラズマカッターの刀身で受け止め鍔迫り合いに入るタイプS。

 

「お、押されている……」

 

「踏み込み……が甘いぞ……ゼンガーッ!!!」

 

実体剣である零式斬艦刀をエネルギー態であるプラズマカッターで切り払い、零式・改の胴体に固く握り締められたタイプSの拳が叩き込まれる。

 

「ぐっぐうう……なんと言うパワー……」

 

「完全に零式が押されるとはな……それよりも、気付いているかゼンガー」

 

弾き飛ばされた零式・改に合流しながらラドラがゼンガーに気付いているかと尋ねた。ゼンガーは何のことか一瞬理解出来なかったが、タイプSに視線を向けてその違和感に気付いた。

 

「……気のせいだと思っていたが、どうやら違うようだな。エルザム」

 

「ああ、今ゼンガーが吹き飛ばされて、私も確信したよ。ギリアム」

 

確実にタイプSは巨大化していた、ゲシュペンストの平均的なサイズが約20m、グルンガスト零式は50mほど、だが今目の前にあるタイプSは明らかにグルンガスト零式よりも巨大だ。

 

「機械が変化するか、面妖な」

 

「いや、そうでもない。恐竜帝国ではそう言うものを研究していた、生体金属だ」

 

「……なるほど、技術が優れていれば生体金属はありえない発明ではないのか」

 

「ありえて欲しくはないですがね、カイ少佐」

 

「全くだ、数の有利性はカーウァイ大佐の前に無力になっている上に敵は特機……全く笑えない」

 

5人が見ている前で異質な音を立てて変形していくゲシュペンスト・タイプSだった物、それを見てラドラが自嘲するように呟いた。

 

「あれでは鬼だな」

 

4つ腕のそれぞれに武器を持ち、赤黒く輝くバイザーと4つのセンサー。ゲシュペンストの面影はほんの僅かしかない、その姿はラドラの言う通り鬼にしか見えなかった。

 

「ゲッターロボも鬼に見えるがな」

 

「ゲッターとは違うだろう……それに……もう」

 

ギリアムが悲しそうに呟き、カメラアイが光り輝くと同時に機械合成音が月面に響いた。

 

『敵機確認、これより排除します』

 

カーウァイ大佐の声ではある、だがそれに人間性は欠片も残されておらず、完全にゲシュペンストと同化してしまった事が判った。

 

「諦めるな、カーウァイ大佐を救うんだ。あの呪われた命から」

 

「判っている……隊長にこれ以上破壊行為をさせないッ!」

 

「先陣は俺が切るッ!! 後ろは頼んだッ!」

 

「1人で行かせるか、俺も行くぞッ!!」

 

教導隊の戦いは月面でより激しさを増していく、だがそれはゼンガー達だけではない。ホワイトスターへと向かったハガネ達、そして同じく月面に残った武蔵もまた激しい戦いに身を投じているのだった……。

 

 

 

 

ホワイトスターへと突き進むハガネ、ヒリュウ改、そしてクロガネは宙域を埋め尽くす無数の無人兵器からの弾雨に晒されていた。

 

「ぐううッ! リリー中佐! クロガネを前に出せ! 連邦艦隊旗艦グレートアークの前にだッ!」

 

「総帥!? そんな事をすればクロガネが轟沈します!」

 

ホワイトスターへと進軍していた連邦艦隊は既に第3、4艦隊と第14、17航宙隊が全滅! 敵機動部隊が第3次防衛線を突破し、既に壊滅しようとしていた。第一次防衛戦にまで食い込めているのは戦力が充実しているハガネ達3隻だけだった。

 

「クロガネは沈まない!! ユーリア少佐! 各ブロックに通達ッ! 各員対衝撃、閃光防御!」

 

ゲッターVをまだ完全に操れているとは言えないビアンはクロガネの指揮をとる事を選択していた。ビアンに変わり、バン大佐が率いるLB隊がガーリオンやアーマリオン、そしてフライトユニットを装備したゲシュペンストで戦線を維持している。そして何よりもクロガネの能力を最大に発揮するにはビアンで無ければならない理由があった。

 

「総帥!? 何をするおつもりですか!」

 

「ふふふ、無論こうするのだ!!!」

 

拳を振り上げ防護カバーに覆われていた紅いボタンを叩き潰さん勢いで押し込む。それと同時にクロガネの船体が淡い翡翠色の輝きに包まれる。

 

「これはまさか!?」

 

「ふふふ、ゲッター線だ! 試作ゲッター炉心を搭載しておいたのだ! ゲッター炉心とメインエンジンを同調! ゲッター線エネルギーフィールド展開!!」

 

グレートアークの前に出ろとビアンが命令を出そうとした瞬間。クロガネのモニターにノーマンの姿が映る。

 

『ビアン・ゾルダーク。その必要は無い』

 

「ノーマン・スレイ! まだ諦めるには早い!」

 

『いいや、諦めではなく、元より本艦は地球に戻る事を計画していない』

 

ノーマンからの言葉にビアンは絶句し、そしてノーマンの真意を理解した。

 

「特攻だと! お前何を考えている!」

 

『グレートアークの船員は皆、エアロゲイターの攻撃で家族を失い、帰る場所もない者達だ。一矢報いるそれだけの為に……この戦艦に乗ってくれた』

 

「……ダイテツ達は知っているのか?」

 

『いや、だがハガネとヒリュウ改には入電した。お前にだけは言葉で伝えたかった、これが終わればお前達はまた姿を消すだろう?』

 

「ああ、そのつもりだ」

 

戦時特例でその罪を許されても、ビアンは再び表舞台に立つつもりは無かった。ゲッターロボに関する謎を解き明かす為に、世界各地に点在する遺跡を渡り歩くつもりだったのだ。

 

『だからだよ、馬鹿な男達の馬鹿な意地を1人位知っていて欲しいのさ』

 

「……判った、私は軍属ではない敬礼はしない。逝って来いノーマン・スレイ。私も何れ、そちらへ向かうだろう」

 

『まだ来るなよ、お前の力は地球圏には必要だからな。各員に通達! 核弾頭のリミッター解除! グレートアークで突っ込むぞッ!!』

 

その言葉を最後にグレートアークとの通信は途絶え、グレートアークは弾雨にその身を抉られながら前へと進み敵艦隊の中央で爆発した。

 

「……馬鹿者め……リリー中佐、ハガネとヒリュウ改へ入電を!」

 

グレートアークが轟沈し本当に生き残りの連邦艦隊が僅かになった。最早フェイズ4を選択するか道は無いとビアンは考えていた。

 

「ダイテツ! 聞こえるか! 最早私達には一刻の猶予も残されていない!」

 

『判っている! ホワイトスターとの距離は48000……ギリギリ行ける!』

 

予定していた距離よりも連邦艦隊はホワイトスターに近づく事が出来ていた。グレートアークの自爆によって生まれた隙間を高速で抜けた事が距離を大きく縮める事が出来た理由だった。

 

『ダイテツ中佐! ビアン博士、私達はどうすれば』

 

「レフィーナ艦長とヒリュウ改はハガネとクロガネ改の後ろについてくれ、道はハガネとクロガネで切り開く!」

 

『ふっ、アイドネウス島沖だな?』

 

ハガネとクロガネでアイドネウス島沖へ浮かんだマシーンランドを沈めた事は2人の記憶にも新しい。

 

「ヒリュウ改とPT部隊は可能な限り損傷を与えんでホワイトスターへと向かう。レフィーナ艦長、辛いと思うが、お前達は待機だ」

 

『……っはい、了解しました』

 

言いたいことを飲み込みダイテツの命令を了承したレフィーナにダイテツは小さく笑った。流石ショーンだと。まだ若く、気持ちの整理が上手く出来なくてもおかしくないのに、意を汲んで頷いたのはショーンの育て方が良かったのだと判ったからだ。

 

『ですが、ビアン総帥。この無人機の群れを突破する頃にはハガネとクロガネのエネルギーが危ないのではないですかな?』

 

『ふ、こんな事もあろうかと1発限りの最終兵器を用意してある、ハガネ及びヒリュウ改のクルーに告げる。対衝撃、対閃光、そして耐防音防御!』

 

衝撃と閃光は判るが、音?と首を傾げるダイテツだったが、エクスカリバー衝角が変形するのを見て慌てて防御命令を下す。

 

『照準あわせ! ゲッター炉心出力200%! エアロゲイターに目に物を見せてくれるッ!!!』

 

エクスカリバー衝角が開き、姿を見せた巨大な砲門……そしてその銃口にゲッター線の鮮やかな翡翠色の輝きが満ちる。

 

『ゲッタービーム発射ぁッ!!!』

 

その宙域全てを揺るがすような轟音と共に放たれたゲッタービームが無人機を薙ぎ払い、瞬く間に飲み込んでいく、だがホワイトスターまでは届かず、徐々に力が弱くなり照射が止まる。だがその一撃で開いた突破口はクロガネ達が潜り抜けるのは十分すぎる物だった。

 

『続け! 再展開される前に突破するッ!』

 

「本艦はこれよりホワイトスターへ突撃するッ!! 各員対衝撃、閃光防御用意ッ!」

 

先陣を切るクロガネに続きハガネもオーバーブーストでその後を追う、だがテツヤにはある不安があった。

 

「しかし、艦長! 本艦の……いえ、クロガネの火力を合わせたとしても……ホワイトスターの破壊どころかエネルギーフィールドすら破れるかどうかも定かではありません!」

 

絶望的な状況にテツヤもすぐに了承の返事を返せなかった。だがそんなテツヤにダイテツとビアンの怒号が飛んだ。

 

「判っておる! ここは最後の手段を使うしかないッ!」

 

『エネルギーフィールドはトロニウムバスターキャノン、そしてゲッター線を流用したエクスカリバー衝角で突き破る! その後をPT隊を突入させる!』

 

2人の声を聞いてテツヤは2人が何をしようとしているのか理解していた。

 

「! そ、それはフェイズ4……キョウスケ達のPT部隊による要塞中枢部の破壊……ですかッ!?」

 

「うむ、だからこそ、何としても本艦のトロニウム・バスターキャノンとクロガネで……ホワイトスター内部への突破口を開かねばならん!」

 

『マシーンランドでの戦いのやりなおしだ。君も体験しただろう?』

 

ハガネとクロガネの連続攻撃でマシーンランドの外骨格を破壊したが、あれは地球の内と言う事で全力攻撃ではなかった。宇宙空間だからこそ出来る全力攻撃でホワイトスターの障壁を破壊すると理解したエイタが息を呑んだ。

 

「覚悟を決めろ、エイタ。キョウスケやリュウセイ達に比べれば我々の任務はまだマシな方だ」

 

「そ、そうですね……では、艦首トロニウム・バスターキャノンのエネルギー充填を開始します!!」

 

「よし、ビアン行くぞ! 機関、最大戦速! ハガネ突撃ッ!!」

 

『遅れるなよ、機関、最大戦速! クロガネ突撃ッ!!』

 

地球の明暗を分ける戦いに向かってクロガネとハガネは進む。武蔵やエルザム達の事は口にしない。何故ならば、必ず合流する、追いついて来ると判っているから。戦いの場を整える事がダイテツとビアンに出来る全てだった……。

 

 

 

 

ホワイトスターの防衛についている無人機の中の唯一の有人機、エゼキエルの中でヴィレッタは小さく微笑む。

 

「フッ……役者が揃ったようね。ならば、こちらも最後の芝居を打たせて貰うわ」

 

イングラムが離脱し、出来る限りの情報を集めた以上これ以上ネビーイームに留まる理由は無い。イングラムから託された最後の命令にヴィレッタは従うつもりだった。

 

『こちらダイテツだ。本艦は今から4分以内にこのポイントへ移動し……艦首トロニウム・バスターキャノンで敵要塞のエネルギーフィールドを破り、突破口を開く』

 

ハガネ、ヒリュウ改に隠しておいた盗聴器から聞こえてくる声にハガネ達の作戦はヴィレッタにのみ筒抜けだった。

 

(特攻……じゃないわね、勝機はあると言うことかしら?)

 

ゲッターロボやグルンガスト零式などの姿はないが、ハガネやクロガネの中で温存しているのか、それとも月から観測させれている戦闘行動からそちらにのこっているのかを考えていた。ヴィレッタに文章通信が入った、送り主は既にいない筈の男だっただからこそ、ヴィレッタの冷静な顔も驚愕に歪んでいた。

 

(これは!?)

 

文章通信を送ってくるのはイングラムしかいない、アストラナガンに飲み込まれ死んだと思われていた半身からの通達だった。

 

(機会を見てエゼキエルから離脱、その後ポイントX-1-4に隠されているR-GUNに乗り移れ……か)

 

イングラムが自我崩壊を起こしかけている事は知っていた。だからこそアストラナガンに取り込まれ死んだと思っていたが、イングラムが生きている事にヴィレッタは安堵した。

 

(離脱って事は逃げろって事ね、ゲーザとアタッドの2人ね)

 

ここまで来たのに姿を見せない2人。恐らくどこかで隠れ、自分を始末しようとしている。イングラムはそれが判っているから、その前に離脱しろと告げているのだろう。

 

(今、ジュデッカが機動兵器の制御をしている以上、手をゆるめることは出来ないわ)

 

ヴィレッタとイングラムからすればネビーイームが撃墜される事は喜ばしい事であったが、今無人機の制御をしているの自分ではなくジュデッカとレビの2人である。だから手心を加えることは出来ない。だがゲッター線を手にしたビアンがいる以上無人機に負けることは無いとヴィレッタは考えていた。

 

(後はタイミングだけね)

 

ネビーイームを護ると言う名目で自分はここから動くつもりは無い。勿論理由は他にもあるがここが一番離脱や脱出に適したポイントであるからだ。後はタイミングよく離脱するだけ、ヴィレッタはエゼキエルのコックピットでそのタイミングを淡々と待ち続けるのだった。

 

「舞台は整いつつある」

 

そしてイングラムもまた既にネビーイームの近くにまで来ていた。リュウセイ達を鍛えるという目的は中途半端になったが、武蔵のお陰で完全に失敗した訳ではない。それにゲッター線によって本来よりも強力な機体がいくつも生まれている。それならば、ここの戦いでハガネ達が轟沈する事は無いと考えていた。

 

(さて、俺はどうするか)

 

ヴィレッタがR-GUNに乗り移ったタイミングで出撃するか、それとも武蔵達が合流するタイミングで出撃するか……敵として振舞ってきた以上そう簡単に合流する事は出来ないし、するつもりも無かった。

 

(俺の使命はここよりも先だ、余り手をかしすぎる訳には行かない)

 

成し遂げるべき使命がある。だがリュウセイ達が心配なのもあるし、何よりもこれから起きる災厄にリュウセイ達は立向かわなければならない。

 

(やはり様子見に留めておくか)

 

表舞台に立つべきではない。ユーゼスが自分を見つけるかもしれない、もしくは記憶を失っているかもしれない。下手に刺激するのは得策ではない、そう判っていた。だが判っていても抑えられない物と言うものは存在する。

 

(俺も甘いな……全く)

 

もしもリュウセイ達に命の危機があれば躊躇う事無く飛び出していく、それが判ったイングラムはアストラナガンのコックピットで肩を竦め、座席に背中を深く預けた。

 

(武蔵、早く来い。俺は出来れば表舞台には立ちたくないのだぞ)

 

月面で戦っている武蔵とゲッターロボの姿をアストラナガンの内部モニターで確認し、イングラムは囁くような小さな声でそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

ゲッタービームが有効だと云う情報を蒼い特機のパイロットから受け取った武蔵。だが、ゲッタービームを放つ隙は残念な事に無かったのだ。敵は3体でこちらは2人……と言っても単独操縦のゲッターロボと片腕の無い特機では決め手に欠いており、そして3体は完璧とも言える連携を組んでおり、武蔵とアクセルのエースパイロットでも攻めあぐねていた。

 

「ちいっ、ちょこまかと鬱陶しい!」

 

「キシャアアアッ!!!」

 

ソウルゲインの拳をするりと躱し腕の上に飛び乗ったメタルビーストにアクセルの怒声が響いた。

 

「トマホークブウゥゥメランッ!!!」

 

牙を向いたメタルビースト目掛けゲッタートマホークが飛び、それに気付いたメタルビーストが飛び退いてそれを交わしたが、それを逃がすほどアクセルは甘くなく、残されていた左腕でトマホークの柄を掴んでメタルビーストを頭から両断する。

 

「ふっ、良いフォローだ。これがな」

 

「はは、あんたなら出来ると思ってたよ。なんとなくリョウに似てるからな」

 

最初から武蔵はメタルビーストを狙ったのではなく、トマホークをソウルゲインに渡す事を目的にしていた。本当にメタルビーストを狙っていたのならば、もっと大降りで早い投擲だったからだ。

 

「そら、返すぞ」

 

「使うなら持っててくれてもいいぞ?」

 

「いや、俺には必要ない、獲物があると動きにくい。俺にはこの拳と脚で十分だ」

 

無造作に返されたゲッタートマホークを受け取り、ソウルゲインと背中合わせになりメタルビーストへの警戒を高める。

 

「えーっとあんた名前は?」

 

「アクセルだ、アクセル・アルマー」

 

「りょーかい、アクセルさんだな。それでゲッタービームが利くって言うのは間違いないのかい?」

 

ゲッタービームが効果的だと自分が言っていたとアクセルは言っていたが、武蔵はアクセルにはあったこともないし、何よりもあんな化け物と戦った事も無い。だから本当なのかとアクセルに問いかけたのだ。

 

「ああ、あの化け物はゲッター線を必要とするが、必要以上のゲッター線には耐えられないそうだ」

 

「それもオイラから聞いたのか? 同姓同名の別人とか言わない? オイラそんな頭の良い事言えないと思うんだけど?」

 

隼人が言っていたのなら武蔵も納得出来る。だが自分で言って空しくなるが馬鹿な自分がそんな理性的な事を言えるとは思っていなかったのだ。ちなみにこれが竜馬なら殴ってるうちに弱点を見つけたと多少苦しいが、納得できない事は無かったのだが……。

 

「さてな、俺が知っている武蔵はそれよりも凄いゲッターロボ……確かセカンドとか言うのに乗っていたからな。別人と言うのはあながちありかもしれん」

 

「凄いゲッターでセカンド? じゃあ完全に別人だな、オイラはこのゲッターしか乗った事がないし」

 

平行世界の話を聞いていたので、同姓同名の別人がアクセルと知り合いだった。もしくは偶然であったのだと思うことにした。

 

「別人ね……まぁ俺はそこの所はどうでもいい、目の前の敵を倒せるならな」

 

「それはオイラも同意ですね、早くハガネとクロガネに合流しないと」

 

この化け物を倒さない事にはマオ社や月の住人に迷惑を掛ける。それにゲッター線が警戒している理由も知りたいので、可能な限りの戦闘データを取りたいと武蔵は考えていた。

 

(後はビアンさんが何とかしてくれるだろう)

 

馬鹿な自分では戦闘データの分析などは出来ないが、ビアンに見せれば何かを見つけてくれるだろうし、アクセルと言う青年が言っていた事もビアンが科学的に検証してくれると考えていた。

 

「クロガネ……か、ふ、ならばなおの事早くゲッタービームを当てるんだな。そうすれば、決着の目処が見えてくる」

 

「でもあれだけ動き回っていると普通のゲッタービームじゃ避けられるし……」

 

もう少し弱らせる、もしくはもう少しパターンを見ないことには当てられないと考えているとソウルゲインの左拳が軽くゲッター1の頭部を捉える。

 

「お前も苦しいが広域のゲッタービームがあるだろう、それを使え。トドメは俺が刺す」

 

「……頼んで大丈夫なんですか?」

 

「片腕と言う事を心配してくれるのはありがたいが、敵を倒すのに躊躇うな。躊躇えば牙を突きたてられるのは俺達だぞ」

 

アクセルの言葉に武蔵はそれもその通りかと判断し、ゲッターウィングを全身に巻きつけ浮かび上がせる。

 

「良く狙え、俺もそう何度も1人で時間稼ぎは出来んぞ」

 

「判ってます、暫くの間お願いします」

 

ゲッターエネルギーの充填、拡散ゲッタービームの照準合わせ、それは決して長い時間ではないが、だが決して短い時間でもない。

 

「「「キシャアア」」」

 

「おっとここから先は行き止まりだ、これがな」

 

上空に舞い上がるゲッターの後を追おうとするメタルビーストの前にソウルゲインが立ち塞がる。

 

 

 

 

 

 

教導隊とかつての隊長との悲しみの戦い。

 

ハガネ、クロガネ、そしてヒリュウ改の決意を秘めたホワイトスター攻略戦。

 

武蔵とアクセルによる、この戦いの先に待つ新たな戦いの火種。

 

 

様々な思惑が入り混じる中戦火の幕が切って落とされるのだった……。

 

 

 

 

第78話 それぞれの戦い その2へ続く

 

 

 




あんまり話が伸展してなくて申し訳ないですが、次回で一応各陣営の戦いは決着まで書いていこうと思います。そろそろOG1の完結も近づいてきましたが、どんな展開が待っているのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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