進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第81話 因果の鎖 その3

第81話 因果の鎖 その3

 

 

それは突然の襲撃だった。天井を突き破り、異形のライガーを足で踏みつけて逃れられないようにしてから、執拗に打ち込まれた黒い弾雨。それに異形のライガーは抵抗も出来ずに破壊され、そしてコックピットであろう頭部も容赦なく踏み潰された。

 

「グルル……グオオオオーーーーーーッ!!!!」

 

ホワイトスター内部に響き渡る獣の咆哮。それにリュウセイ達を初めとした突入隊は怯えを隠しきれず、ゆっくりと近づいてくるアストラナガンに無防備な姿を晒すことしか出来ないでいた。

 

「グルオウッ!?」

 

爪を振り上げようとしたアストラナガンだったが、リュウセイ達の背後から飛んできた翡翠色の輝き――ゲッタービームによって弾き飛ばされた。

 

「お待たせッ! ぎりぎりで間に合ったみたいだな」

 

「全員無事な様で良かった、ゼンガー、エルザム! 間に合ったぞッ!」

 

「窮地に間に合ったのならば良し」

 

ゲッターロボを筆頭にゲシュペンスト・リバイブ(S)やグルンガスト零式・改の登場に僅かに安堵の色が広がる。それほどまでに真紅の目を輝かせるアストラナガンは脅威であり、そして逃れられない死を連想させた。だが、いままでどんな戦場でも勝利に導いてくれたゲッターロボの存在は紛れも無く精神的支柱だった。ゲッターロボと武蔵が居てくれればと言う思いは少なからずリュウセイ達の胸の中にあった。だが武蔵の声は非常に険しいものだった。

 

「こりゃあ、随分と厳しい戦いになりそうだな」

 

「……そのようだな。全員下がれ、足手纏いだ」

 

武蔵と同じく旧西暦を知るラドラの声、容赦の無い下がれという命令に勿論大人数が反発した。だが武蔵とラドラの意見は変わらない。

 

「死んじまうぜ、だから下がった方がいい。何も逃げろって言ってるんじゃない、弾薬やエネルギーを補充して戻って来てくれれば良いんだ」

 

そう言われれば、突入してから戦闘を続けている機体は全員がエネルギー切れを起こしかけ、そして弾薬切れを起こしかけていた。

 

「ここまで良く持ちこたえてくれた。暫くは俺達が足止めする」

 

「遅れた分は俺達が取り返す、無理をするな」

 

「そう言うことだ。逃げろといっているのではない、戦う為に1度下がれと言っているんだ」

 

ゼンガー達の言葉にこれ以上反発することは出来なかった。このまま残れば間違いなく死ぬ、それを防ぐ為に武蔵達が殿を務め、その間に補給を済ませろと言っているのだ。

 

「私は残らせてもらおう、ゲッターVはまだ健在なのでね」

 

「お、俺もだ! SRXもまだエネルギーは十分だぜ!!」

 

無限動力とまでは言わないが、ゲッターVは今までは重力エンジンをメインにしていたのでまだエネルギーには余裕がある。そして今合体したばかりのSRXもエネルギーが十分であるが故に残ると言った。それを武蔵は止めようとしたが、暴走しているアストラナガンを前にしてはこれ以上話している余裕は無かった。

 

「グルオオオオオオッ!!」

 

「来るぞッ! 残るって言ったんだ! 死ぬんじゃねえぞリュウセイッ!」

 

「判ってるッ! 教官を取り戻すチャンスをみすみす逃すつもりも無いし死ぬつもりもねえッ!!!」

 

地面を蹴り粒子の光を撒き散らしながら襲い掛かってくるアストラナガンを前に、ゲッター達は各々の武器を構え迎え撃つ構えを取るのだった。

 

 

 

 

高速で空を飛びながら射撃を繰り出し、隙を見て剣で斬りかかって来るアストラナガンとの戦いは激しさを増し、居住エリアから離れた工場区画にその舞台を移していた。

 

「オアアアアアアアーーーーッ!!!」

 

「ぬっぐぐぐ、チェストォッ!!!」

 

零式斬艦刀とは比べるまでも無い細いZ・O・ソード。だがその切れ味は本物であり、弾き飛ばした物の零式斬艦刀には刃毀れが見え始めていた。

 

「そこだッ!」

 

「逃がさんッ!」

 

上空で反転し、急降下しようとしたアストラナガンにゲシュペンスト・リバイブ(S)とヒュッケバイン・トロンベ・タイプGのニュートロンビーム砲とフォトンライフルの光弾が突き刺さる……が、アストラナガンが常時展開している念動フィールドに弾かれ霧散する。だが霧散したことで生まれた光の幕に一瞬アストラナガンの視界が奪われた。

 

「この連撃受けきれるかッ!!」

 

「その首貰ったあッ!!」

 

放電した左右のメガプラズマステークの連撃と高速回転するビームクローがアストラナガンへと叩き込まれる。

 

「オオオオーーーッ!!!」

 

「ぐっ! これでも駄目かッ!」

 

「いや。効果はあるッ!!」

 

こめかみのフォトンバルカンで迎撃されたカイとラドラだが、強固な念動フィールドを一時的にも破壊することは出来たのだ。

 

「ゲッタァ……トマホークッ!!」

 

「うおりゃああッ!!!」

 

念動フィールドが失われたアストラナガンに高速で肉薄したゲッターロボとSRXのトマホークと天上天下無敵剣の一閃による傷跡が僅かにアストラナガンの体表に刻まれる。だがそれはとても浅くダメージと呼べる物ではなかった。

 

「メタルジェノサイダーデッドエンドシュートッ!!!」

 

「!!」

 

反撃にアストラナガンが動き出そうとした瞬間、ガンモードに変形したR-GUNの一撃がアストラナガンに撃ち込まれる。その時には既に念動フィールドが再展開されていたが、ゲッターロボとSRXが離脱する隙は出来ていた。

 

「助かりました!」

 

「いいのよ、私に出来るのはこれくらいだからね」

 

「……助かったよ」

 

武蔵のにこやかな感謝の言葉にヴィレッタが返事を返し、リュウセイがそれに合わせるように感謝の言葉を告げる。R-GUNに乗っていることもあり警戒していたが、それでもヴィレッタの支援が無ければ致命的な一撃を叩き込まれていただろう。

 

「不味いな、随分とクロガネの区画から引き離されてしまっている」

 

「合流が難しいと言う事ですか?」

 

「……いや、クロガネに無人機が差し向けられている。クロガネの護衛で恐らく補給に戻った部隊は合流できないだろう」

 

その言葉に思い沈黙が一瞬広がる。アストラナガンと言う規格外の特機相手に9機で戦わなければならない……それは非常に苦しい戦いになる。

 

「……狙いは外さん、貰ったッ!!」

 

「グルゥッ!?」

 

突撃しようとしていたアストラナガンに紅い光が正面からぶつかり、信じられない事にアストラナガンを殴り飛ばす。

 

「間に合ったか」

 

「キョウスケさん!? クロガネは!?」

 

「イルム中尉とカチーナ中尉に任せてきた。クロガネの戦力でゲシュペンスト・リバイブに匹敵するのはアルトアイゼンだけだからな」

 

カートリッジを交換しながら着地するアルトアイゼン・改。だが強化パーツである両肩のクレイモアは今のぶつかり合いが原因が既に半壊していた。

 

「大丈夫なのか、キョウスケ」

 

「問題ありません、隊長。それに俺達の仲間はそう簡単に倒れません。必ずや合流してくれるでしょう」

 

ゼンガーの言う大丈夫かは、キョウスケの身を案じた物であると同時にクロガネの護衛に残った面子を心配する言葉だったが、キョウスケは大丈夫だと断言した。その力強い言葉にゼンガーは何も言わず、再び零式・改に斬艦刀を構えさせる。

 

「1人増えたか、エルザム、ギリアム少佐、ヴィレッタ君は撤退支援と弾幕を頼む、ラドラとカイ少佐はバリア破壊、ブラックエンジェルは私と武蔵君、リュウセイ君にそしてゼンガーと……「キョウスケ、キョウスケ・ナンブ中尉です」キョウスケ中尉の5人で叩く」

 

ビアンが指示を飛ばすが、その指示に反対意見を持つ者は居なかった。僅かに傷をつけることに成功したSRXとゲッターロボだが、既にその傷は回復しており、真紅の瞳はますますその輝きを増している。

 

「敵機は広域攻撃に特化している。各員、敵の攻撃に注意し、臨機応変に対応。各々のフォローを忘れるな、さきほどの作戦はあくまでは一例だ。フィニッシャーとして温存するのはゲッターロボのみ、それ以外は臨機応変に対応するように」

 

アストラナガンの周囲を羽のようなビットが飛び交い始める。それは最初の遭遇の時にも使用してきた射撃ビットによる面射撃が行われる合図であり、それを確認すると同時に武蔵達は弾かれるように散会し、その瞬間に天空から光の雨が降り注ぐのだった……。

 

 

 

 

 

ビアンの作戦は理に叶っていた、だがそれはあくまで敵の反撃や妨害がないという前提で組まれた言うならば理想論と言うべき物でもあった。

 

「大丈夫か、ラドラ」

 

「ふん、腕一本くらいくれてやる。それよりもお前はどうなんだ、カイ」

 

ビットと同時に切り込まれたラドラのゲシュペンスト・シグの左腕は半ば切り裂かれ、火花を散らしている。

 

「問題ないに決まってるだろ、俺も、リバイブもまだまだやれるさ!」

 

カイの言葉が痩せ我慢と言うのは明らかだった、装甲があちこちへ込み、そして各部が火花を散らす。その様子を見れば長時間の戦闘に耐える事が出来ないのは明らかだった。

 

「思った以上に厄介な相手だなッ!」

 

「完全に予測されているッ! このままでは長くは持たないぞ」

 

狭い空間を飛び交うビットの射撃は正確無比であり、射撃による支援を行う予定だったギリアム達の動きは殆どガン・ファミリアによって封殺されていた。

 

「なろおッ!! うおおおッ!!」

 

「ぬんッ!!」

 

ゲッターロボとゲッターVは執拗に切り込んでくるアストラナガンを前に、ゲッタートマホークとディバイントマホークを失いかけていた。

 

「ぬおおおおッ!! チェストオオオオオーーッ!!!」

 

「!!!」

 

「ぬ、ぬおおおおおおおッ!!!!」

 

念動フィールドなどお構いなしに零式斬艦刀を叩きつけ、アストラナガンをバリアごと地面に叩きつける零式・改。フォトンバルカンによる連射が放たれるが、それはゲッター線フィールドで防ぎ致命傷だけは防ぐ。

 

「おおおおおッ!! 一刀両断ッ!!!」

 

被弾しながらも振るわれた横薙ぎの一閃に念動フィールドが音を立てて砕け散る。それはガンビットが展開されてから、劣勢に追い込まれていた武蔵達が掴んだ最初のチャンスだった。

 

「リュウセイ!」

 

「この隙はにがさねえッ!!」

 

最大の加速で懐に飛び込もうとするアルトアイゼン・改と無敵剣を正眼に構え振り下ろそうとしたSRXだが、アストラナガンの間合いに入る事は許されず、重力波によって地面に叩きつけられていた。

 

「うっぐっ……」

 

「ここまでやったのに届かんかッ!」

 

重力波にアルトアイゼン・改とSRXが動きを封じられている間にアストラナガンは舞い上がり、嘲笑うかのように念動フィールドを展開し、1度収納していたガンビットを再び射出する。

 

「大丈夫かしら?」

 

「なんとか……ライ、アヤ。そっちは大丈夫か?」

 

「……俺は大丈夫だ。ただ、ダメージの蓄積で動力部のほうに徐々に乱れが見えている」

 

「うっ、こっちも……大丈夫よ。有効打を入れるまでは合体は解除しないわ」

 

SRXはあくまで短時間の戦闘で敵を征圧するように設計されている。つまり長時間の戦闘に対応できるようには出来ていないのだ、気丈な事を言っているアヤだが、それでも限界は既に見えかけている。

 

「グルルルルルッ!」

 

「来るならきやがれ!」

 

「オオオオオオーーッ!!」

 

「舐めるなあッ!」

 

アストラナガンとゲッターロボの姿が何度も交差する。アストラナガンの攻撃には武蔵は対応出来ているが、ガンビットの攻撃には反応しきれず徐々に被弾が重なっていく。

 

「クロスマッシャーッ!!」

 

「メガバスターキャノンッ!!」

 

武蔵の支援になればとゲッターVのクロスマッシャーとゲシュペンスト・リバイブ(S)のメガバスターキャノンが放たれる。だがそれは戦う中でより強固になっている念動フィールドによってあっけなく弾かれる。

 

「これならばどうだッ! リミッター解除ッ! Wメガ・プラズマステークッ!!!」

 

エネルギーが駄目なら直接攻撃はどうだとカイがリミッターを解除し、両腕のメガプラズマステークをゲッタートマホークと鍔迫り合いをしているアストラナガンの背中に叩きつける。

 

「ぐっぬぐうううう、おおおおおおーーーーーーッ!!!」

 

裂帛の気合と共に突き出されたメガプラズマステーク。それは両腕を完全に破壊してしまったが、念動フィールドを貫きアストラナガンの背中に深い傷跡を残し、6本の電極の内4本がアストラナガンの背中に突き刺さったまま残ることになった。

 

「ラドラァァッ!!! げふうっ!?」

 

「究極ッ!! ゲシュペンストキィィックッ!!!」

 

両腕を失ったゲシュペンスト・リバイブ(K)にアストラナガンの回し蹴りが叩き込まれ、サッカーボールのように弾き飛ばされ、壁に叩きつけられると同時にそのカメラアイから光が消える。だがそれと入れ代わりにシグの飛び蹴りが叩き込まれ、背中に突き刺さった電極をより深く押し込む。

 

「!?」

 

アストラナガンの全身が一瞬不規則に揺れ、全身に紫電が走る。

 

「取った! ぐっ!? ぐがああああッ!!!」

 

即座に反転したアストラナガンに足をつかまれ、ジャイアントスイングの要領で壁に叩きつけられたシグのカメラアイから光が消える。

 

「!? ギ、ギギィ!?」

 

紫電を纏うアストラナガンの動きはギクシャクとしていて、今まで全身を包んでいた念動フィールドも目に見えて弱くなっていた。

 

「この好機……逃がさんッ!!」

 

「チェンジゲッタァアアーーーッ! ツウッ!!!」

 

背中に突き刺さった電極、それが明らかにアストラナガンの動きを束縛している。このチャンスをキョウスケも武蔵も見逃すつもりは無かった。

 

「ぐっ! ッ!! うおおおおおおおーーーーッ!!!」

 

「このまま突っ込むっ!!!」

 

ガンファミリアの弾雨に晒されながら真っ直ぐに突き進むアルトアイゼン・改とゲッター2に向けアストラナガンが右腕を向ける。その掌に漆黒のエネルギーが集まり始めた瞬間。ゲッター2とアルトアイゼンに向けていた右腕に高速で飛来した何かが突き刺さった。

 

「……行けえッ! キョウスケッ!! 武蔵ィッ!!!」

 

それはゲッター合金による改造でより鋭利になった零式・改のブーストナックルだった、アストラナガンはすぐにその拳を握りつぶしたがその隙にゲッター2とアルトアイゼン・改はアストラナガンの背後に回りこんでいた。

 

「ドリルアームゥッ!!!」

 

「どんな装甲だろうが撃ち貫くッ!!!」

 

ドリルアームとリボルビングバンカーの切っ先がアストラナガンの背中……正確には背中に突き刺さったままの電極を貫き、それをより深くへと押し込んだ。

 

「ぐあッ!?」

 

「ぐっふうっ!?」

 

だがアストラナガンもそれでは止まらない、重力波でゲッター2とアルトアイゼン・改を捕える。どんどん強くなる重力波に徐々に床にめり込んでいくアルトアイゼンとゲッター2。ギリアムとエルザムの機体では攻撃力が足りない……。

 

「……念を集中して、邪念を断つッ!!!」

 

『READS TO THE ENEMYレベル、一定値ヲ オーバー……T-LINKシステムカラ ウラヌス・システムヘ移行』

 

眩いまでの念動力の光に包まれたSRXは天上天下無敵剣を携え、アストラナガンに向かって突撃していくのだった。

 

 

 

 

SRXのコックピットの中で目を閉じて意識を集中していたリュウセイ、極限の集中、そして生命の危機はリュウセイの中に宿る力の覚醒を促していた。

 

『これは!? 出力が向上している!?』

 

『リュウ!? 貴方何をしているの!? リュウ! 応答しなさい!』

 

ライとアヤの自分を心配する声ですら今のリュウセイには届いていなかった。水の中に浮かんでいるような感覚、そして遠くにいる全員の気配までも感じ取れるような……まるでゲームをしている時のような、すべてを見通せる。そんな感覚をリュウセイは感じていた。

 

『READS TO THE ENEMYレベル、一定値ヲ オーバー……T-LINKシステムカラ ウラヌス・システムヘ移行』

 

合成機械音は発せられた声も今のリュウセイには届いていない、リュウセイが見ている物、リュウセイの耳に聞こえているのはそれではなかった。

 

『抗うな、人形が』

 

『だ、黙れええッ! 俺は! 俺はぁッ! 貴様の人形ではないッ!!』

 

イングラムの怒声とイングラムに声を掛け続ける謎の男の声。そしてアストラナガンを包み込む赤いエネルギーとその手足に纏わり付いている赤い念動力の糸だった。

 

(あれだ、あれが教官を操っているんだ)

 

リュウセイにはそれが幻覚には思えなかった。操られながらも抗い、そして今も必死に敵の洗脳と戦っているイングラムの声と姿がその目には見えていた。

 

「……念を集中して、邪念を断つッ!!!」

 

『トロニウムエンジンのリミッターが解除された!?』

 

『うっくっ……リュウ! 貴方には何が見えているのッ!?』

 

リュウセイの限界まで研ぎ澄まされた念に答えるようにSRXの出力も上がっていた。

 

「……天上天下ッ!!!」

 

「オオオオオオッ!!!」

 

両手を広げSRXを向かい撃とうとするアストラナガン。その眼前に十字架のエネルギーが出来た瞬間、SRXは地面に足を叩きつけ、その勢いを止めた。

 

「!?」

 

向かってくると思っていたSRXの動きが止まった事でアストラナガンが放とうとしていた攻撃「インフィニティ・シリンダー」は空振りし、SRXとアストラナガンの間にあった空間が最初から存在しなかったように消え去った。

 

「念動次元斬ぃぃッ!!!」

 

天上天下無敵剣の切っ先から伸びた念動力の翡翠色の刃がアストラナガンの頭上を通過する。

 

「「外した!?」」

 

千載一遇のチャンス、それなのに空振りをしたSRXに一瞬落胆の空気が広がったが、それはすぐに間違いだったと判った。何故ならば、突如苦しそうに呻く男の絶叫が周囲に響き渡ったからだ。

 

「っギャアアアアアアアッ!!」

 

アストラナガンの中から赤い怨念のようなエネルギーが溢れ出て、アストラナガンは糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。そのカメラアイは元の穏やかささえ感じさせる緑の光へと変わっていた。

 

「教官は返してもらうッ! 念動爆砕剣ッッ!!!」

 

「あ、アアアアアアアアアーーーーッ!?!」

 

断末魔の雄叫びが響き、赤い怨念は天上天下無敵剣で両断され爆発四散する。

 

「何が起きたんだ……?」

 

「まさか、あれが……イングラムを操っていた何者かとでも言うのか?」

 

「……信じられん、あんな光景を目の前で見るとは……」

 

目の前で起きた光景が理解出来ないビアン達の目の前でSRXがアストラナガンに駆け寄り、その漆黒の機体を抱き上げる。

 

「教官! イングラム教官ッ! おいッ! 死んだとか言わねえだろ! 返事をしろよッ! なぁ! 教官ッ!」

 

「う……煩い……そんなに騒ぐな……ちゃんと……聞こえてる」

 

「「少佐ッ!!」」

 

「教官ッ!」

 

返事があったことにリュウセイ達の嬉しそうな声が響いた。リュウセイ達はエアロゲイターから確かにイングラムをその手に取り返していた。

 

「お前達なら……俺の自慢の部下達ならば……やってくれると思ったが……ふっ、良くやった。リュウセイ、ライ、アヤ」

 

疲れ果てた声であったが、イングラムのリュウセイ達を褒める声が広域通信で響く、その声はとても穏やかな声だった。

 

「ふうーなんとかなったみたいですね」

 

「正直信じられんがな。まだ戦いは残っている。クロガネへと合流しよう」

 

主力部隊は短時間で癒えないダメージを負った。だが、エアロゲイターに奪われていた仲間をリュウセイ達は無事に取り返す事が出来た。だが喜んでいる余裕も時間もなかった。

 

「何だ!?」

 

「これは……この区画が崩壊している!?」

 

突如地響きと細かい爆発が連続しておき、アストラナガンと戦っていた区画が瞬く間に崩壊していく。

 

「くっ、武蔵!」

 

「判ってます! くそったれ! もう駄目だと思ったら自爆とか趣味が悪すぎるぜッ!」

 

戦闘不能になっているカイを零式・改が抱き上げ。シグをゲッター1が抱き上げる、だがその間も爆発は続き、天井が崩壊し、柱が倒れてくる。

 

「このままでは脱出できるかどうかも危ういぞ!」

 

「やる前に諦めてどうするの! 脱出経路を今……な、何!?」

 

一際大きな揺れと共に区画を区切る壁が破壊され、クロガネがその姿を見せる。まさかのクロガネの登場に全員の顔が驚愕に染まる。

 

「クロガネ! 助けに来てくれたのか!」

 

「そうか! 私達がブラックエンジェルと戦っている間に中枢を破壊したのだな!?」

 

アストラナガンと武蔵達の戦いは激しい物だったが、クロガネの方も相当な激戦を繰り広げてきたのか、船体のあちこちから煙を出しながらも、クロガネは熱源を頼りに武蔵達の救出に訪れていた。

 

『出撃可能な者は武蔵達の救出に向かえ、繰り返す出撃可能な者は武蔵達の救出に向かえ!』

 

クロガネの格納庫が開き、次々とPTが出撃し武蔵達の回収を始める。

 

「よう、少佐。目は醒めたか?」

 

「……酷い目覚ましだったよ、だがもう大丈夫だ」

 

「そいつは良かったな、でも1回面貸してくれや」

 

「ふっ……覚えていたらな」

 

グルンガストとジガンスクードに抱きかかえられ、アストラナガンもクロガネへと収容される。

 

『全機収容確認ッ!』

 

『よし! 艦首大型回転衝角起動ッ! これより本艦はホワイトスターより脱出するッ!!』

 

艦首大型回転衝角によって区画を破壊し、脱出を始めるクロガネ――だが戦いはこれで終わりではなく、最後の戦いはもう目の前にまで迫っているのだった……。

 

 

 

※リュウセイのパイロットスキル、念動力LV9がサイコドライバーLV1に変化しました。

 

気力に応じて、命中・回避・射撃・格闘のステータスに+補正。

撃墜時にSP1回復(レベルに応じて回復量上昇)

スキルレベルに応じてSP消費量ダウン

SPの上限値+1(レベルに応じて上昇)

気力上限+5(気力限界突破と重複可能)

 

 

SRXに武器追加

 

 

天上天下念動次元斬(MAP) ATK4000

 

時機前方から扇線状に3マスの範囲攻撃。敵味方識別あり、サイコドライバーのレベルに応じて射程と威力UP

 

天上天下念動次元斬 ATK7500

 

 

第82話 邪悪なる十字架 その1へ続く

 

 




次回ジュデッカ戦開始、疲弊しきった状態でのハードモードでの戦いになる予定です。OGのシナリオもあと少し、どんなラストで終わるのか、そこを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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