OG1編 エピローグ
武蔵とイングラムの2人は戦時中行方不明……Missing in action。「MIA」認定とされた。発見されたゲッターロボの残骸がゲッタートマホークだけであると言うこと、そしてそれ以外の残骸が発見できなかった事による。クロガネ、ハガネ、ヒリュウ改の全員の嘆願によって限りなく戦死に近いと断定されながらも「MIA」の判断が下されたのだった。
「……もう行くのか、ビアン」
「……ああ、私達にはやらねばならぬことがある」
無事に伊豆基地に帰還したクロガネの艦橋にビアンを初めとした。DCの正しい意味の生き残りであるクルー全員の姿があった、レイカーはビアンを引きとめるつもりだったのだが、その顔を見て何も言えなくなってしまった。
「……戦時中特例を拒否するのか?」
「ふっ、我らは罪人にあることは変わりはない。だが再び地球の危機が迫ったら、我らはまた立ち上がろう。彼の……武蔵君の意思を無駄にしないためにもな」
MIA認定はただの気休めと言っても良い、だがその死を受け入れたくなかった。またどこかで朗らかに笑いながら、武蔵が現れるんじゃないか……そんな淡い期待を抱いていたかった。
「……そうか、気をつけてな」
「ああ。クロガネの修理感謝する。レイカー・ランドルフ……またどこかで会おう」
レイカーに別れを告げてクロガネは伊豆基地を後にする。
「リリー中佐。ユーリアは?」
「……部屋に閉じ篭っています。もう暫く気持ちを整理する時間を与えてあげてください」
「ああ。無理強いはしないさ」
クロガネのクルーの多くは武蔵の明るい人柄を好いていた。この短いだけで武蔵の死を割り切れるはずが無いのだ……。無論ビアンとてそれを受け入れ難く、そして止める事が出来なかったことを悔いていた。
「進路をアメリカへ、バン大佐の基地へと向かう」
ゆっくりと進み始めるクロガネ。その艦長席にビアンは深く背中を預ける。
もしも、あの最終決戦の時でゲッターVが動いていたら……
もしも、武蔵が単独操縦で出撃を強いられることが無ければ……
色んなもしもが頭を過ぎるが、武蔵がメテオ3と共に自爆したと言う事実は変わらない。自分達は何も出来なかった、それが現実。
(……我らは抑止力となろう。武蔵君、君が愛した地球を守る為に……)
最後まで地球とそして仲間の無事を祈った武蔵。その武蔵が守りたいと願った地球を守る事――それがビアン達に出来る全てなのであった……。
「良かったのか、ラドラ?」
「何がだ? ゼンガー」
格納庫に収容されている零式・改、トロンベ・タイプG、そしてゲシュペンストシグ。ラドラはゼンガー達と共に行動をすることを決めたのだ。
「連邦に再び属するのもすかん、それにゲシュペンストとヒュッケバインの再トライアウトが決まれば後はマリオンに任せる……不安はあるがな」
むしろ不安しかないかとラドラは苦笑し、修理されている己の機体に視線を向ける。
「……俺もシグもまだまだ力不足だ。だから俺にはビアン・ゾルダークの知識が必要だ」
「そうだな。私も己の力不足を実感する……」
武蔵の特攻によって救われた。だが、武蔵を失ったという事実はゼンガー達の心にも深い傷を残していた。
「……武蔵は生きてるさ。ゲッターの残骸は殆ど無かっただろう?」
「それはそうだが……」
「もしかすると新西暦に来たのと同じで、また別の時代に跳んでしまったのかも知れない。だから残骸がない、そう思えば良いだろう?」
ぶっきらぼうではあるが、励ましてくれているラドラにゼンガーとエルザムはそうだなと呟いた。エアロゲイターの脅威は去った、だがまだメカザウルスや、アードラー派のDCの生き残りがいるかもしれない。地球はまだ平和になっておらず、まだ脅威は地球のあちこちに残っている。
「ゼンガー本当に良かったのか?」
「ああ。ブリットの意志を俺は買いたい。あの刀に恥じない男になるだろう」
武蔵の遺品であるマグナムはエルザムが、そして日本刀は本来ゼンガーが持つ筈だったが、ゼンガーはそれをブリットに託した。少ない時間だが、武蔵はブリットの師だった。自分が持ちたいという気持ちはあったが、それでもゼンガーはそれをブリットに預けたのだ。今よりももっと強くなるように、そして武蔵を忘れるなと言う意味合いを込めてだ。
「遺品なんて言っていたら武蔵が生きて出てきたらどうする? 泣くぞ」
「はは、それだったら謝るさ」
「うむ。それに俺も武蔵は生きている。そう思いたい、また再び会う事が出来る……俺もエルザムもそう信じている」
アイドネウス島での戦いから1週間経ったある日。極東支部基地のブリーフィングルームにリュウセイ達の姿があった。
「……じゃ、お前らは北米のラングレー基地に?」
ヒリュウ改はイカロス基地へ帰還し、オクト小隊とレオナがヒリュウ改と共に地球を後にした。クロガネは伊豆基地に帰還して数日で姿を消し、ビアン達は再び消息不明となった。ラドラは誰にも別れを告げずにシグと共に姿を消したが、恐らくクロガネと行動を共にしていると全員が理解していた。そして今キョウスケ達も伊豆基地を後にしようとしていた。
「あそこはDC戦争中に破壊されたが……間もなく再建される予定でな。護衛の意味も兼ねて、俺達達ATXチームに転属命令が出た」
「元々、私達はあの基地の所属だったし。それに……色々と思い出もあるしね」
エアロゲイターと共に戦った仲間が再び元いた場所へと帰っていく、また会えると判っていてもやはり寂しさは隠しきれなかった。
「それだけではありませんわ。私とリシュウ先生もラングレーへ行きます。キョウスケ中尉達には引き続きATX計画を手伝って貰いますわよ?」
「まぁ、上層部も今回の事は堪えているようだしの、良かったの、ATX計画もSRX計画も凍結にならずにすんで」
「と、凍結!? どういう事だ!?」
自分達の隊が凍結されるかもしれない状況だったと聞いて声を荒げるリュウセイにロブが苦笑しながら肩を竦めた。
「元々ATX計画とSRX計画には予算とコンセプトの問題で各方面から問題視されていた」
「問題と言ってもその殆どがやっかみですがね」
多大な予算が組み込まれているATX計画とSRX計画。それに不満を抱く研究者を抱え込んでいる軍上層部の圧力があり、2つの計画を凍結するべきだという方面で話が進められていたとロブはリュウセイ達に説明する。
「……だが、今回の事で上層部は意見を変えた。異星人からの侵略にはそれに対抗する力が必要だと考えた。それによってATX計画とSRX計画は計画続行となった。まぁ……オペレーションSRWではなけなしの人型機動兵器が失われてしまった事もあり、さすがに規模は縮小されるが、PTの量産計画と平行してATX計画、そしてSRX計画の続行を決定したんだ」
「わお、それってもしかしてラドラのお陰だったりする?」
「……ああ、ラドラ元少佐が提供してくれた。フライトユニット、それとゲシュペンスト・改の図面それらを用いれれば、PTの量産は可能であり、更にアーマリオンの製造プラントも確保出来た。当面はそれらを量産しながら、ATX計画、SRX計画……それと……」
「オオミヤ博士? なにか不安なことでもあるのですか?」
ATX計画、SRX計画のほかにもう1つ何か決定が下された様子だったが、口ごもるロブにキョウスケがそう尋ねるが、ロブは首を左右に振った。
「何、ちょっとしたプロジェクトの始動の話が合っただけだよ。まぁ、実行は不可能だから、机上の空論止まりだけどな。それに先の作戦の功績を認められて、ヒュッケバインとゲシュペンストの再トライアウトも決定されたことは喜ばしいことだと思うよ。ただ……開発中だったグルンガスト参式やヒュッケバインMk-IIIは一時計画停止になってしまったけどな」
まさか自分達が宇宙で戦っている間にグルンガストやヒュッケバインの新型が建造されているとは露にも思わず、リュウセイ達は思わず顔を引き攣らせていた。
「次のトライアウトでは確実にヒュッケバインを下し、アルトアイゼンが正しい意味でゲシュペンストMk-Ⅲの称号を得ます。そして、その後はMK-Ⅲを更に強化しますわ。後はおまけでビルトビルガー、ビルトファルケン……もですけどね」
ビルトシリーズはマリオンの考案ではなく、カークの計画だがそれでもそれがマリオンの口から出た事にリシュウとロブは小さく笑みを浮かべたが、マリオンに睨まれ苦笑しながら目を逸らしていた。
「ちょっと……ラドム博士、私のヴァイスちゃんは?」
「何を言っているんです? ヴァイスリッターはMK-Ⅲのパートナー。しっかりと強化してあげますわよ」
それはそれで不安だけど、忘れ去れていないことにエクセレンは安堵するべきか、不安に思うべきか少し悩み、ありがとうと返事を返していた。
「……よう、キョウスケ、リュウセイ」
「お別れの挨拶を言いに来たよ」
ブリーフィングルームの扉が開き、マサキとリューネが姿を見せたのだが、お別れの挨拶と聞いてリュウセイの顔色が僅かに曇った。
「マサキ、リューネ……やっぱり、行くのか?」
やることがあるとは聞いていたが、もう少し後でも良いんじゃないのか?というニュアンスを込めてリュウセイが尋ねるが、マサキは首を左右に振った。
「ああ。地上の方は何とか一段落ついたみたいだが……まだあいつが見つかってねえ」
「シュウ・シラカワの行方が、まだ掴めていない……と?」
「俺は奴を追う。草の根分けてでも、必ず捜し出してやるぜ、武蔵達と少し行動を共にしていたって言うし、案外すぐ見つかるかもしれないしな」
南極で共に戦ったと武蔵から聞いていたマサキはまずは南極方面から探してみると笑う。目撃情報があるのなら、それをまず第一の手掛かりにしようと思っていた。
「リューネはやっぱり、ビアン博士を探すの?」
リューネを置いて旅立ったクロガネ。伊豆基地を後にしたらビアンを探すの? とエクセレンが尋ねるとリューネはまさかと笑った。
「一応バン大佐には誘われたけど、いつまでも親離れ出来ないのは駄目だと親父にも言われたし……私は武蔵とイングラムでも探そうかなって思ってる」
MIAと言うことは生きている可能性もある、なら自由に動ける自分が探して見たいとリューネは笑った。
「そっか、もし武蔵を見つけたら連れて来てくれよ? 言いたい事があるんだ」
「判ってるよ、DCの戦火の影響が残ってるから、もしかすると途中で断念するかもしれないけど、それでも私は武蔵達を探すよ」
軍属であるリュウセイ達は武蔵を探す事が出来ない、生きていてくれることを願っていると言う事を知っているからリューネは武蔵達を探すことを当面の目的にしていた。
「また何かあったら、すぐにみんな集まって来るよ。皆仲間なんだしね」
「そそ。電話一本、30分以内って感じ?」
「アルトアイゼンなら15分だな、ピザはぐしゃぐしゃになるがな」
訳の判らない事を言うエクセレンだが、それが意図して言っていると判っているキョウスケはそのボケに乗ることにした。驚いた顔をするリュウセイ達にキョウスケは眉を顰めるが、それだけでも暗い雰囲気は払拭されていた。
「……お前らの漫才も、しばらく見られないと思うと寂しいもんだぜ」
「あらん、夫婦……が抜けてるわよん? マーサ」
猫のように笑うエクセレンに肩を竦めるマサキ。だがエクセレンはそれをみてますます楽しそうに笑い、自分がからかわれていると気付き、マサキの顔に皺が寄った。
「言ってろ……じゃ、そろそろ行くぜ」
「俺達もな」
マサキ達だけではなく、ラングレー基地に向かう輸送便の出発時間が近いキョウスケ達も腰を上げる。
「あ、そうそう。リュウセイ……ううん、やっぱり止めとく、武蔵が見つかるといいわね」
ゲッタートマホークが残されていた。同じゲッター合金で作られたゲッターロボが跡形も無く消えたというのは信じられない事であったし、信じたくないことでもあった。
「ああ、俺達も探してみるよ。きっと武蔵は生きていると思うから」
「……そうだな。俺達もそう思う」
あの大きな声と朗らかな声。今にもブリーフィングルームの扉が開いて武蔵が姿を見せるような気が全員していた。
「リュウセイ……極東の守りは頼むぞ」
「判ってる。マサキ、地上は俺達に任せてくれ」
「ああ。もし、何かあったら……その時はサイバスターで駆けつけるぜ。じゃあな、皆……ッ!」
別れを告げ空へと飛び立って行くサイバスターとヴァルシオーネ、そしてラングレーへと向かう輸送機をリュウセイ達はブリーフィングルームの窓から見送る。
「……何だか、ここも静かになっちゃったわね」
今までいた面子がいなくなった。それだけで急にがらんとしたようにアヤは感じていた。
「……うん……そうだね」
本を読んでいたラトゥーニがその言葉に同意する。その姿を見てアヤはラトゥーニも変わったわねと小さく笑った。マサキ達の別れの挨拶に返事を返すことは無かったが、それでも今までの人を拒絶する空気が薄くなっていることは、確実にラトゥーニが成長した証だった。たぶん声を掛けなかったのは、余りマサキ達と交流が無かったのが理由だとアヤは思った。
「でも、ラトゥーニ……本当にジャーダ達の所へ行かなくて良かったの?」
軍を退役するジャーダとガーネットが養子として引き取りたいと声を掛けたが、ラトゥーニはその申し出を断り、軍に残る事を決めていた。
「……私、散り散りになったスクールの子達を捜したいの……オウカ、アラド、ゼオラ……皆、きっと生きてると思うから……それに……私は」
「?」
ちらりと見られたリュウセイだが、訳が判らないと言う顔をしていてアヤは額を押さえて深く溜め息を吐いていた。
「リュウ、休暇が出ているから、少しゆっくりしてきなさい。ラトゥーニと一緒に」
「!?!?」
「休暇? 本当なのか?」
休暇と言うことが信じられないリュウセイ。そしてまさかアヤにそんな事をされるとは思っていなかったラトゥーニの目が激しく揺れる。
「ええ。本当よ、私達に特別休暇が出たの、ライも外出許可を取って基地の外に出てるから、リュウもゆっくりしてくると良いわ。勿論ラトゥーニもね」
「な、なんで私も……!?」
「クルー全員に休暇が与えられることになってるのよ、ラトゥーニは固定休暇だけど、リュウは好きなタイミングだから2人で休暇を取ればいいわ。それとリュウは1度家に帰りなさい。お母様が待っていらっしゃるわ」
「おふくろが……!? でも、ここの病院に……」
出撃前に伊豆基地の病院で入院していた母親が何で自宅にと驚くリュウセイにアヤは悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「ギリアム少佐とヴィレッタさん……ううん、ヴィレッタ隊長がね……色々と便宜を図ってくれたの。だから……お母様はもう自由の身よ」
「ヴィレッタが……」
イングラムの代わりにSRXチームの隊長になったヴィレッタ。イングラムの場所を奪ったようで、ヴィレッタが苦手だったリュウセイだが、ヴィレッタが自分の事を考えて上層部に掛け合ってくれた事に感謝した。
「い、いいのかよ? 本当に?」
「ええ。それが……貴方と、貴方のお母様に対するせめてもの償いだから……ね」
無理やり軍属にされたリュウセイ、そしてこのまま軍属になる事を決めたリュウセイに出来るアヤ達の精一杯の償いがこれだった。
「修理作業には私が立ち会っておくから……お母さんの所へ寄り道しないで帰るのよ。ラトゥーニはしっかりリュウを監視してね。はい、行った行った」
アヤに背中を押されブリーフィングルームを追い出されたリュウセイとラトゥーニ。そして今度こそ1人きりになったアヤは椅子に深く背中を預け目を閉じた。明るく笑っていた表情から一転し、閉ざされた目から流れ落ちる雫……。
「……イングラム少佐……私……頑張りますから、それに信じています。少佐が生きてるって……だから今だけは少しだけ弱い私を許してください……」
武蔵もイングラムも生きている、そう信じるから弱い自分とはここで決別するからと言って、閉ざされたアヤの目からは涙が流され続けているのだった……
「シャイン様。無理に臨時連邦議会に出る事は無いのですよ?」
「……大丈夫ですわ。ジョイス」
気丈に振舞うシャインにジョイスは思わず顔を逸らした。武蔵がMIAになった事はリクセント公国にも伝わり、3日3晩泣き続けたシャインの身体も精神もボロボロだ、それなのに1人の国家元首として振舞おうとするその姿にジョイスは心を痛めていた。
「武蔵さんは生きてます。私はそう信じます……だから私は王女としてやらねばならないことをします。そうじゃないと……再会した時に
私は胸を張って会うことは出来ませんから」
会議場に向かう通路を進むシャインの前に険しい顔付きの男性が立ち塞がった。
「これはグライエン議員。どうも」
「ああ、シャイン・ハウゼン国家元首もお元気そうで何より」
余り親交のある男ではない、それが突然話しかけてきた事に驚きながらもシャインは優雅に挨拶をする。
「……少しばかり時間をいただいてもよろしいか?」
「失礼ですが、一議員である貴方がシャイン様に何様ですか?」
ジョイスがシャインとグライエンの間に割り込もうとしたが、それはシャインの手によって制された。
「大丈夫ですわ。行きましょう、ジョイスも一緒に来てくれるわね?」
「……判りました」
主の意向では逆らえないとジョイスはグライエンからシャインを庇う位置をキープしながら、近くの会議室に足を踏み入れた。
「武蔵君の事は本当に心を痛めている。だが、だからこそ、シャイン国家元首……貴女に問いたい武蔵君は生きていますか? 私には彼が死んだとは信じられない」
よりにもよって何故その話をとジョイスは怒鳴り声を上げようとしたが、シャインの穏やかな笑い声にぎょっとした。
「……はい、あの人は生きてます。そしてまた……戦いに身を投じます、地球を守る為に……」
「……そう……ですか。ありがとうございます。シャイン・ハウゼン国家元首」
「シャインで結構ですわ。グライエン議員、貴方も武蔵さんを助けようとしてくれた。私は貴方を信じます、味方であると」
「私は彼の助けをしたかった。今度は、今度があるのならば絶対に私は彼を助けたいそれだけですよ」
そう笑い部屋を出て行くグライエン。シャインと共に残されたジョイスはシャインを見つめる。
「夢を見たのです、また助けに来てくれる夢を……だから私はそれを予知だと信じます。武蔵さんがまた来てくれると信じ続けます」
「……そうですね。私もそう思います、さ、行きましょう」
「ええ」
武蔵の事を擁護する人間は少ない。だからこそ、シャインは辛くても臨時連邦議会に出る事にしたのだ。
(私は負けません、絶対に誰にも負けませんから)
武蔵が戻って来た時に穏やかに過ごせる場所を作る為に自分は戦うのだとシャインは決意を新たに歩みだす、何時再会出来るか判らないが……それでも武蔵に胸を張って再会出来るようにシャインは歩み続ける事を心に決めるのだった。
そして己の道を決めて歩き出したのはシャインだけではなかった。
(久しぶりだな……家に帰って来るのも……ん……? ポストに手紙が入ってる)
「どうしたの? リュウセイ」
アヤに言われてラトゥーニと共に帰省したリュウセイはポストに入っていた手紙もラトゥーニに見せる。
「手紙なんだ。珍しいだろ?……えっと差出人は……クスハ……?」
「え?」
クスハからの手紙と聞いてラトゥーニは顔色を変えたが、リュウセイはそれに気付かず便箋の封を切り、手紙を確認する。
『リュウセイ君へ……直接会うと、上手く言えないかも知れないから……手紙に書きます。私……キョウスケ中尉やエクセレン少尉、ブリット君達と一緒に……北米のラングレー基地へ行きます』
「……リュウセイ?」
黙り込んだリュウセイを心配してラトゥーニが顔を下から覗き込む。だがリュウセイは何も言わず文に視線を向け続ける。
『色々考えたんだけど、向こうで看護兵の仕事をすることに決めました。私はきっとパイロットよりそっちの方が向いていると思うの……
今まで、リュウセイ君には色々と心配や迷惑をかけてしまって、ごめんなさい……でも、これからは…自分で決めた道を、進んで行きたいと思っています。だから、リュウセイ君もアヤさんやライさん達と一緒に頑張って下さい……』
「クスハはブリット達と一緒にラングレーに向かうってさ、自分の道を決めたって」
「……そうなんだ。寂しい?」
「いいや、一緒にはいないけど、また会えるって判ってるから寂しくないさ」
手紙を乱暴にジャケットのポケットの中に突っ込み顔を上げる。青く澄んだ空と爛々と輝く太陽にリュウセイは目を細めた。
(だからまた会えるよな。武蔵……)
きっと、いや絶対に武蔵は生きている。だから泣かないのだ、もし泣くならそれは悲しみの涙ではない。再会した時の喜びの涙にしたいと思っていた。そんな時自宅の扉が開きユキコが姿を見せた。
「リュウ……! それにラトゥーニちゃん……帰って……来たのね……?」
病院にいた時よりも顔色の良い母親の姿に安堵し、リュウセイは満面の笑みを浮かべる。
「へへ、約束どおりにな」
「……こんにちわ」
「……お帰りなさい。2人とも……」
「「ただいま」」
感極まって涙を流すユキコにリュウセイとラトゥーニの声が重なる。それは良く晴れた青空が泣き崩れるユキコとそんなユキコに駆け寄るリュウセイ達を明るく照らしていた……
OG1編 完
__START――。
セプタギンへと特攻した武蔵とイングラムは再び目を覚ます。
――大破した筈のゲッターロボは完全な姿へと戻り
――2人の傷は完全に癒えていた。
「……これはどういうことなんだ?」
「知りませんよ……そんなのオイラが知りたいですって」
そんな2人が目覚めた場所はアイドネウス島でも無く、日本でもなかった。
――いや、そもそもそれ所か地球であるかも怪しかった……。
「なんですかねえ、この空の色」
「気味が悪いな、空だけではなく大地もだがな」
荒れ果てた緑が無い荒廃した大地――どう見ても自分達の知る場所ではない。
――何故生きているのか……?
――何故怪我が治っているのか……?
――何故ゲッターが修理されているのか……?
――謎ばかりが募る2人の耳に激しい爆発音が響き渡る。
「イングラムさん!」
「判っている、今のは戦闘音だ!」
ジャガー号に乗り込むイングラムとベアー号に乗り込む武蔵。自動操縦のイーグル号を誘導しながら爆発音が聞こえてくる方角に向かったイングラムと武蔵を出迎えたのは予想だにもしない光景だった――。
進化の光フラスコの世界へ、次週新章突入!!
今回で進化の光フラスコの世界への第一部は完結となります。
そして明日6月1日に第二部のプロローグを18時に更新させていただきます
そこで次の舞台がどこかわかると思いますが、皆さんお口にチャックでお願いしますよ?
それでは明日の18時の第二部のプロローグの時にまたお会いしましょう。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い