進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第4話 降臨真ドラゴン その1

第4話 降臨真ドラゴン その1

 

夕暮れから始まった異形との戦いはほぼ一昼夜続いた。ゲッタービームが有効と言う事は判っていたのだが、それを使えば使うほどに異形が増える。武蔵とイングラムは打撃やゲッタードリル等の攻撃で異形……インベーダーの再生不可能になるまでの戦いを強いられていた。

 

「こいつで……とどめッ!!」

 

「アアアアーーーッ!!」

 

ゲッタートマホークで両断され消滅していくインベーダー。レーダーに反応が無いことを確認して、武蔵とイングラムはやっと一息つけた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「……まさかここまでの長期戦になるとは想定外だ」

 

時間にして8時間以上戦い続けた武蔵とイングラムの肉体的、精神的な疲労は凄まじいものだったが、まだ武蔵達は休めないでいた。

 

「さっきの……見ましたよね?」

 

「ああ、見た」

 

戦いの最中に上がったゲッター線の光の柱、それから明らかにインベーダーの動きが活性化していた。勿論それに伴い、ゲッターロボの出力も上がったが、それでも戦いは武蔵達の想定を越えて長引いていた。

 

「……あの方角が何かは判っているな?」

 

「……はい、判ってます。浅間山ですよね?」

 

浅間山……全ての始まりの場所にして武蔵の原点だ。そこから上がったゲッター線の柱……それは言うまでも無く、浅間山……早乙女研究所で何かが起こっていると言う証だった。

 

「イングラムさん「構わない、行こう」……良いんですか?」

 

自分の言葉を遮って行こうと言ったイングラムに武蔵は驚きの表情を浮かべた。

 

「ゲッター線の柱が出来たのは4時間ほど前だ。既に手遅れかもしれないが、何か情報を得れる可能性は十分にある。休むよりも先に調査に向かうべきだ。それに……お前も心配で休もうとしても休めないのではないか?」

 

早乙女研究所のある方角で何かが起こった。それを知って武蔵が休める訳がない、イングラムの言葉に武蔵はすいませんと謝罪し、その視線の光の柱が上がった方向に向けた。

 

「オープンゲットしていきます。そっちの方が早いですから」

 

「異論は無い。それに……何だ!?」

 

イングラムの声を遮り起きた凄まじい爆発にゲッターロボの巨体が揺れた。

 

「武蔵! これは戦闘音だ!」

 

「判ってます! 急ぎましょうッ!」

 

音が響いてきた方向は浅間山の方角、武蔵とイングラムが危惧した通り浅間山では何かが起きている。武蔵とイングラムはそれを感じ取り、ゲットマシンへと分離し浅間山の方角へと向かって行くのだった……。

 

 

 

 

ここで時間は少し遡る、崩壊した早乙女研究所とそれよりもはるかに巨大な異形の影……この時代の地球に壊滅的な打撃を与えるきっかけとなった「真ドラゴン」を柱のような要塞から見つめる3つの人影があった。

 

「やはり生きていたな、真ドラゴンも、あの男……號も」

 

全身傷だらけの鋭い視線の男……「神隼人」はモニターに映る真ドラゴンとその近くに佇む真ドラゴンを睨みつけるように観察していた。

 

「しかも13年前の姿のままで、実に興味深い」

 

隼人の隣で左目が白濁した老人が興奮した面持ちで呟く、その視線の先には真ゲッターの肩の上の男……號と、真ゲッターの隣に立つ2体の機体に向けられていた。

 

「隼人、良いのか? 出迎えんで?」

 

「出迎えなくても向こうから来るでしょう」

 

錆びついてボロボロながらインベーダーと戦って見せたゲッター3。今ゲッターを操縦出来るのは隼人を除けば2人しかいないが、もう1人は生死不明となれば誰がゲッター3を操っていたかは隼人にとっては判り切っていた、ここで待っていれば向こうから来ると考えている隼人は旧友だったとしても迎えに行く気は一切無かった。

 

「調査結果が出ました。やはりあの漆黒のロボットに関する情報はありません、また各国からの情報提供が求められています」

 

金髪の女性の言葉を聞いて隼人は眉を細めた。インベーダーとの乱戦の最中、ランバートのステルバーと共に現れた漆黒の機体。完全な人型であり、凄まじいパワーを持つその機体は真ゲッターが出現するまでの間に戦況を討伐隊が有利な方向に進めてくれた。だがその機体に見覚えは無く、どこかの国の秘密兵器かと考えたが、生き残った僅かな国からの情報提供が求められているとなると何処かの国の秘密兵器と言う線も消えた。

 

「そうか、ありがとう山崎。敷島博士、あれをどう見ますか?」

 

「……ありえんな、余りにも技術が発達しているように見える。詳しく分析しなければ断言は出来んが……凄まじい能力を持っているじゃろうな」

 

今では数少ないゲッター線の権威がありえないと断言する漆黒の機体。一体あれはどこからやってきたのか……隼人はそれを考えていた。

 

「解体準備は?」

 

「はい、間もなく完了する予定です」

 

山崎の報告を聞いて隼人は真ドラゴンに視線を向けた。

 

「そうか、博士」

 

「ああ、急ごう。真ドラゴンの炉心を解体しなければ」

 

「インベーダーの奴らが言う世界最後の日を防ぐ為にも……」

 

インベーダー……コーウェンとスティンガーが言う、世界最後の日。それを防ぐ為にも真ドラゴンのゲッター炉心を何としても解体しなければと話をしている隼人達の背後で自動扉が開く音がした。

 

「ランバート少佐。帰還しました、ステルバー隊は俺を除き全滅致しました」

 

「……そうか、御苦労。休んでくれてかまわない、ランバート」

 

「はっ! それと地下シェルターに隠れていた日本人5名と協力者を案内してきました」

 

協力者……あの黒い機体のパイロットかと振り返った隼人の視線の先には旧友の1人の姿があった。

 

「隼人……」

 

「弁慶。ふっ、久しぶりだな」

 

13年前に分かれたままの友人が生きていた。あのさび付いたゲッター3を動かしているのが弁慶だと判っていたから、隼人は顔色1つ変えずに弁慶との再会を迎えることが出来た。

 

「隼人、教えてくれ、今地球はどうなっているんだ。それに何でお前がここにいるんだ……頼む、教えてくれ隼人……うっ……」

 

「親父、無理するなよ」

 

弁慶の腹に血が滲んでいる。錆び付いて崩壊しかけているゲッター3を無理に動かして、ベアー号の内装が弾け、その腹に突き刺さった傷は深く、弁慶は額に脂汗を流しながら膝をついた。

 

「……放せ、渓。俺は隼人に話を……うっ」

 

「ったく言わんこっちゃ無い。団六さん、凱、親父を運んでくれるか?」

 

「おう、判ったぜ」

 

「……こくり」

 

渓に言われ、凱と団六が意識が朦朧としている弁慶を担ごうとした時、隼人が声を掛けた。

 

「待て、渓と言うのか?」

 

「そうよ、それがどうかしたの」

 

渓の顔をじっと見つめ、何も言わない隼人に気の短い渓が握り拳を作るが、それはカーウァイによって制された。

 

「彼女は今父親が怪我をして気が立っている。用がないなら、行かせてやってくれ」

 

「お前は? そうか、あの黒い機体のパイロットか……俺も博士もお前の話を聞きたいと思っていた。ランバート、弁慶達を医務室へ案内してやってくれ、それと……判るな?」

 

「……了解、とんだ貧乏くじだ。行くぜ、ついて来い」

 

ランバートが頭を掻きながら渓達を連れて行く、司令室に残されたカーウァイに隼人と敷島博士が鋭い視線を向ける。

 

「さて、改めて自己紹介だ。俺は神隼人、弁慶と同じ元ゲッターパイロットで今は真ドラゴン討伐隊の指揮官をしている」

 

「ワシは敷島と言う、お主の機体について色々と聞かせてもらいたいのう?」

 

「……カーウァイ・ラウだ。どうも、長い話になりそうだな」

 

隼人と敷島の目の色に覚えのあるカーウァイは肩を竦めながら、司令室の椅子に向かう隼人達と共に椅子に腰掛ける。

 

「それでお前は何者なんだ?」

 

「……未来から来たと言ったらお前達は信じるか?」

 

「……状況による」

 

「ワシは信じるがな、あの機体を見れば並みの技術ではないのは明らかだ」

 

どうもランバートたちよりかは話が早そうだとカーウァイは心の中でそう呟いて、弁慶達にも見せた端末を机の上に置いた。

 

「私はあくまで軍人だ、それほど詳しい訳ではないからこれを見てくれ、それで私の判る範囲では質問に答える」

 

「……ほう、ここまで小型化された端末か」

 

「ほー面白いの、ここで画面を操作できるのか、なるほどなるほど、隼人。見てみるぞ」

 

「ええ、そうしましょう」

 

懐疑的な視線を向けられている事は判っている、理知的な2人を納得させれるだけの証拠はある。後はそれを信じてくれるかどうかが問題だなと思いながら、熱心に端末を覗き込んでいる隼人と敷島から視線を逸らし、巨大モニターに映し出されている異形の巨大な機動兵器に視線を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ランバートはなんであたし達と一緒に居てくれてるの?」

 

医務室で寝ている弁慶の額の汗を拭いながら渓がそう尋ねる。ランバートは深い、深い溜め息を吐いて人差し指を渓に突きつける。

 

「あのなあ! ゲッター線で今の地球は壊滅状態なんだぞ! そしてゲッターロボを操ったのは日本人! このタワーにはな! 日本人とゲッターロボを憎んでいる奴は何百人と居る! 俺は一応古参だからある程度発言力があるから、お前達を守れって言われたんだよ。遠まわしでなッ!!」

 

ああ、くそっと頭をかきむしるランバートに渓達は何もいえなかった。

 

「じゃあ、この医務室って……」

 

「そうだよ、お前達の部屋だ、勝手に出歩くなよ。死にたく無ければな」

 

「おいおい、待て、待ってくれ! そんなに日本人が憎まれてるって言うなら、あの人はどうなんだよ! 大将と同じゲッターパイロット

「同じにするなッ!」

 

ランバートの一喝に凱は息を呑んで黙り込んだ。

 

「神隼人は13年前から自ら戦場に出てインベーダーと戦い続けていた。13年間隠れた車弁慶とは違う。そんな事を言ってみろ、殺されるぞ」

 

「……そんなになんですか?」

 

「そんなにだ。特に……弁慶の立場は悪い」

 

「……なんで? 親父だってゲッターロボのパイロットだったんだろ?」

 

渓達は伝説のゲッターパイロットの1人だと聞いていて、弁慶を慕っていた。だが余りにもタワーの人間の視線が鋭くその理由をランバートに尋ねた。

 

「……伝説のゲッターパイロットと呼ばれているのは、「流竜馬」「神隼人」そして「巴武蔵」の3人だ。流竜馬はA級戦犯として投獄されたが、結果論的に必要な事だったとされている。神隼人は自らの行動で討伐隊を任されるほどの地位と発言力を得た、そして巴武蔵は……恐竜帝国の襲撃から、アメリカを地球を救った英雄だ。ゲッターロボは憎いが、それでも巴武蔵を英雄としている者は確かに多い……おい、どうした?」

 

「……う、ううん……何でもない、ちょっと頭が痛いだけ」

 

武蔵の名前を聞いて渓が顔を顰め、ランバートが心配そうに尋ねるが、なんでもないと言われれば、それ以上踏み込むつもりも無いランバートはそうかと言って話を続ける。

 

「弁慶は確かに百鬼帝国との戦いに参加した、だが武蔵と比べると劣るという評価をされている。ゲッター3と言えば大雪山おろし、しかし弁慶は大雪山おろしを使えなかった。だからポセイドンには暴風を起こす機能を付けられたのさ。本当なら、ゲッター3のように伸縮自在の腕になる筈だったんだ」

 

「それってゲッター3が神聖視されてるってことか?」

 

「神聖って言うよりも英雄だな。英雄機ゲッター3と巴武蔵はセットで、大雪山おろしと言えばゲッター3、ゲッター3と言えば大雪山おろしと武蔵って言う訳だ。真ドラゴンとゲッターを憎んでいても武蔵は別って考えの人間は多いんだよ」

 

ランバートがコーヒーを入れる為に1度立ち上がったタイミングで渓達は額を付き合わせる。

 

「……なぁ、百鬼帝国ってなんだ?」

 

「……すいません、知りません」

 

「日本政府は恐竜帝国の事すら教えてくれなかったしなぁ」

 

英雄機のパイロットとして弁慶の事を知っていたが、渓達は百鬼帝国の事も知らなかった。

 

「聞いたら怒るかな」

 

「多分なぁ……」

 

「でもきかないと何もわかりませんしね」

 

そんな話をしているとランバートがマグカップを手に戻ってくる。

 

「ランバートさ、百鬼帝国って何……?」

 

渓の言葉にランバートはその目を大きく見開いた。その顔には、信じられないと言う顔が浮かんでいた。

 

「お前ら……百鬼帝国も知らないので、弁慶をゲッターパイロットって言ってたのか?」

 

「いや、政府の人がそう言ってたし……」

 

「大将も俺はゲッターパイロットって言ってたから……」

 

ランバートは深く溜め息を吐いて、手にしていたマグカップを机の上に置いた。

 

「百鬼帝国って言うのはな、恐竜帝国の後に現れた脅威で、百鬼の名の通り鬼の軍勢だ。百鬼帝国は恐竜帝国と比べれば世界的な規模は少なかったが、日本に対する被害は甚大だった。ゲッターロボの後継機であるゲッターGは百鬼との戦いに投入され、そして百鬼帝国を打ち倒した。弁慶はその戦いを潜り抜けたことで……「いや、俺はあの戦いを潜り抜けたとはとてもじゃないが言えねえ」

 

ランバートの話を遮り、弁慶が腹に手を当ててベッドから身体を起こした。

 

「親父! もう大丈夫なのか?」

 

「……ああ、それに渓達も知るべきだと俺は思う。俺は武蔵さんの変わりにゲッターパイロットになった。だけど、俺は正直言って武蔵さんの変わりにはなれなかった……竜馬や隼人に助けられてやっと戦えたと言うレベルで、その後も必死にゲッターを操ろうとしたが……俺にはそのポテンシャルを十分に引き出す事は出来なかった……だから俺は役立たずのゲッターパイロットなんだ。そんな役立たずの俺は……日本は健在だと、伝説のゲッターパイロットだと政府に祭り上げられ、広告塔になった。そんな大それた男じゃねえ、ただゲットマシンを飛ばせる程度の男がよ……分不相応なんてもんじゃねえ……幻滅したか?」

 

大将と言われ、皆を率いてきた。だが弁慶にすれば、それは何よりも苦しい13年間だった筈だ。それでも日本の旗頭として振舞う責任が弁慶にはあったのだ。

 

「幻滅なんてするわけないよ、親父。親父は辛くてもずっと頑張って来たんだよな」

 

「誰よりも辛かったは大将だ。だから俺達が幻滅なんてするわけがない」

 

「教えてくれてありがとうございます。大将」

 

「……」

 

「ありがとよ」

 

弁慶達の話を聞いていたランバートは頭を掻きながら医務室を出る。外からロックを掛けて弁慶達が外に出れないようにしてから格納庫に足を向ける。

 

「がっ……てっめえ」

 

「何だ? 文句があるなら掛かって来い。何度でもぶちのめしてやる」

 

真ゲッターロボの周りに置かれたミサイルランチャーや火炎放射器の数に眉を顰めたランバートは、カーウァイに殴られ泡を吹いているタワーの戦闘員を睨みながら、今正に殴りかかろうとしていた金髪の偉丈夫「シュワルツ」の手を掴んだ。

 

「ランバート……」

 

「おめえら何やってる、いや、何をやろうとしたこの馬鹿共ッ!!」

 

ランバートの一喝が格納庫に響き、遠回しにシュワルツ達を囃し立てていた整備兵達も身を竦めた。ランバートは恐竜帝国の脅威も、百鬼帝国の悪辣さも、その全てを見てきたタワー戦闘班の最年長だ。そのランバートに怒鳴られれば若い兵士は皆恐怖に身体を竦めた。

 

「何してるはこっちの台詞だ! なんでゲッターロボをタワーに運んできた! 何でゲッター線なんかで動く悪魔を連れてきたッ!! 俺達がどう思ってるか知ってるだろうにッ!!」

 

その中でシュワルツだけがランバートに食って掛かったが、襟首を掴んだその手を捻り上げられ、シュワルツはその場で膝を突いた。

 

「すまねえな、カーウァイ。若い連中が暴走しちまった」

 

「いや構わん、思う所があるのは判ってるつもりだ、だがこの場で戦力を減らすのが得策ではないのは判りきっているだろうに」

 

「面目ねえ……何だ!?」

 

突如タワーに鳴り響いた警報にランバートは顔色を変えた、タワーの艦内放送がその直後に響き渡った。

 

『真ドラゴン周辺にメタルビースト、インベーダー出現、戦闘員は直ちに出撃準備を、繰り返します。真ドラゴン周辺にメタルビースト、インベーダー出現、戦闘員は直ちに出撃準備を』

 

その放送を聞いてランバートは弾かれたように走り出す。

 

「待て!またお前はゲッターロボを……ゲッター線で動く悪魔を頼るって言うのかよ!! ランバートォッ!!!」

 

「……必要な事だ。それすらも判らないのか、シュワルツ。今の人員でメタルビーストとインベーダーを押し返せるなんて考えてんのか?」

 

「やる! やって見せるッ! 俺達はゲッターロボなんかに頼らなくたって「それで死ぬのか?」……うっ……」

 

ランバートの鋭い視線にシュワルツは言葉に詰まった。それだけの迫力が今のランバートにはあった。

 

「確かにゲッター線のせいで地球は滅びかけたさ、だけどな、全部が全部ゲッター線が悪い訳じゃねえ。少なくとも、地球全土にゲッター線を撒き散らす要因になった重量子爆弾は当時のアメリカのせいだ」

 

「だがゲッターロボが無ければ」

 

「無ければなんだ、シュワルツ。アメリカは恐竜帝国と呼ばれていたぞ、武蔵とゲッターロボに救われた事実を忘れるんじゃねえ。カーウァイ、俺は渓達を連れて来る。先に頼めるか?」

 

「……ああ。任せておけ、それと……お前案外良い奴だな」

 

「うっせえ、ただ……俺は、武蔵に貸しがある。それを返せないまま、あいつは死んじまった。武蔵の事を知らなくても、あいつらは武蔵の後輩だ。孤立させたくねえ、同じ人間で憎み合って欲しくねえ、それだけだ」

 

そう言って背を向けて走っていくランバートを見つめ、カーウァイはそんな奴だと呟き、ゲシュペンストが固定されているハンガーへと走り出そうとして足を止めた……。

 

「くそ……判ってる、判ってはいるんだよ……だけど、俺は……」

 

思い悩むシュワルツの声に深く溜め息を吐いたカーウァイはシュワルツの前に立つ。

 

「悩め、悩んで悩んで悩み続けろ。そして見極めるが良い、その先にしかお前の目を曇らせている殺意と憎悪は晴れる事はない」

 

「……てめえ。何が言いたい」

 

「お前に似た男を知っている……妻子を軍に殺され、それでもなお憎む心と憎まないと言う間で揺れ動いた男をな……」

 

外見は全く似ていない、それでもカーウァイにはシュワルツとテンペストが似ているように見えた。

 

「……その男はどうした?」

 

「死んだよ。自分の妻子を見殺しにした軍の人間を庇ってな……馬鹿な部下だったよ、あいつは……」

 

そして今度こそカーウァイは走り出した。出撃する為ではない、自分の中に突如生まれた記憶を振り払うかのように……。

 

(テンペスト……お前は満足だったのか)

 

己の娘と同じ年頃の少女を庇い死んだかつての部下を思う、そして突如こんな悪辣な記憶を与えた世界を憎む。

 

「憂さ晴らしだ。精々私の怒りの捌け口になってもらおう」

 

地面から這い出てきた青い特機。その姿は己の部下が悪辣な科学者に組み込まれたそれに酷似していた、カーウァイの額に青筋が浮かび、タイプSは獣のような唸り声に似た駆動音を響かせ、地面から這い出てきたゲッターライガーの顔面に拳を叩き込むのだった……。

 

 

 

第5話 降臨真ドラゴン その2へ続く

 

 




シュワルツを年上にして武蔵を知っていると言う設定に、弁慶は武蔵と比べられていたのでメンタルブレイク気味に改変。今回の話は5・6話の中間同士くらい、次回は早乙女博士襲来から入って行こうと思います。え?話を飛ばしすぎ?……すまぬ、私の文章力不足である、許してください。そして今回は続けて更新しますので次の話もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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