進化の光 フラスコの世界へ   作:混沌の魔法使い

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第10話 13年前の悪夢 その2

第10話 13年前の悪夢 その2

 

南極のゲッター線反応を感知したタワーの指示で南極に訪れていた武蔵達は今日で丸5日。この観測基地に足止めされていた……。

 

『やはりそれは自然現象ではないの。インベーダーか、それとも南極に住む獣の攻撃と見て良いだろう』

 

「やはりか……そんな気はしていた」

 

タワーとの通信を行っているのはイングラムだった。宇宙衛星を利用した通信は非常にクリアだったが、それが返ってイングラムの予測を確信へと変えていた。

 

「地上の通信が全く通じないが、宇宙通信が繋がるというのもおかしな話だからな」

 

『うむ、意図的に地上に妨害電波を流していると見て良いじゃろう。そして吹雪による足止めは紛れも無く本格侵攻のための足がかりと思うが良い』

 

「ああ、俺達もそれは予測している、だが……手札が足りない」

 

真ゲッター、ゲッターロボ、ゲシュペンスト・タイプSと戦力的には充実しているが、エースパイロットのイングラムが搭乗機が無く、ゲッターロボのパイロットを3人揃えると言う為だけにジャガー号に騎乗している。

 

『うーむ、確かにそれは勿体無いの……武蔵のゲッターの事を考えればの……』

 

炉心の出力向上によりゲッターロボは真ゲッターに迫る馬力を有している。仮に単独操縦でもドラゴンを完全に超える機体スペックがあるのだからそこいらの雑魚インベーダーに遅れなど取りはしないだろう。

 

「そこでだ、敷島博士に1つ頼みがある。今送信する」

 

イングラムの独断でタワーへとある図面を送り届ける。敷島博士は通信を繋げたままイングラムが送りつけた図面に目を通す。

 

『ほほお……面白いのう……』

 

「頼めるか?」

 

『良かろう、どうせワシはやる事もさほど無い。タイプSの改良案と共に平行してやるわい、ただし……動力はゲッター炉心じゃぞ?』

 

「ああ、それで頼む」

 

この時代の主だった動力ではあの機体を動かすには出力が足りない。ざっと見ただけでゲッター炉心が必要だと判断した敷島博士にやはり優秀な研究者だとイングラムは感心した。

 

『ま、南極を無事に切り抜けて戻ってこい、その頃には用意しておいてやる。それと武蔵にもな伝えておいてくれ、刀とマグナムもゲッター合金で作っておくとな!』

 

歯抜けの歯でにこやかに笑い、何かこっちで情報をつかめたら連絡すると言って通信が勝手に遮断される。

 

「やれやれ、困った物だ」

 

優秀ではあるが人格面に難があるなと苦笑し、イングラムは通信席を立った。

 

(アストラナガン……は答えないか)

 

己の半身は深い眠りについている。異空間から姿を見せないのは動けないほどの損傷をジュデッカとの戦いで負ったのが原因……ではないとイングラムは考えていた。

 

(干渉を受けていると見て間違いないだろう)

 

恐らくアストラナガンの不調はゲッター線が関係している。イングラムはそう考えていた、アストラナガンが動けば真ドラゴンは簡単とまでは行かないが間違いなく撃墜まで追いこめれる。だがそれをされては都合が悪いからアストラナガンは動かなくされている。

 

(仕方あるまい、損傷を回復させる期間と思うことにしよう)

 

正直新西暦の戦いの段階でアストラナガンには限界が見えていた、長時間稼動による各部の磨耗そして動力である量子波動エンジン、ティプラー・シリンダーも不調だった。その不調を治す期間と思えば良いだろうと思いイングラムは格納庫に足を向ける。

 

「せいっ!!」

 

「おっ、今のは良い感じだった。だけどまだ足運びが甘いな」

 

武蔵による大雪山おろしの稽古を行われている弁慶の動きは確実に良くなっている。近いうちに大雪山おろしを完全に習得するのも夢では無いだろうなと思いながら格納庫に収納されているゲッターロボを見上げる。

 

(……やはりか)

 

ゲッターロボ自身は旧式の機体だ。1回出撃する事にメンテが必要になる、だが今のゲッターロボはメンテを必要としていない……その理由はイングラムだけが知っていた。

 

(ズフィルードクリスタル……あれを取り込んだか)

 

アイドネウス島上空でセプタギンに特攻した一瞬でゲッター線はズフィルードクリスタルを取り込んでいた。武蔵を新西暦に送り込んだのはズフィルードクリスタルを得るためだったと思えば、死者を移動させた理由も判る。だがそうなると再び時間移動させられた理由が判らなくなるが……恐らく今回の事を含め、武蔵が新西暦に訪れたのも全てゲッター線の思惑通りなのだと思うとイングラムは感じていた……。

 

 

 

 

 

室内でもわかる猛吹雪に渓は食堂に不貞腐れたようにうつ伏せになっていた。

 

「親父い……これでもう1週間だぞ……おかしくないか?」

 

「あ? 何か言ったか?」

 

「……なんでもない」

 

武蔵との稽古の撮影を何度も見直して大雪山おろしを習得しようとしている弁慶に渓は頬を膨らませて不機嫌と言うのを全身で示していた。

 

「いやあ、本当に吹雪が凄いな。元気ちゃん」

 

「あ、はい! そうですね!」

 

食堂に入ってきた武蔵の姿を見るなり跳ね起きる渓の姿に周りにいた凱達を含め調査班が微笑ましい物を見る表情を浮かべる。武蔵が関わると普段の凛々しい感じが消え、歳相応の少女の姿が現れる。それは見ていた人物の気持ちを和ませる一因になっていた。

 

「しかしこのまま缶詰と言うのも不味いな」

 

「ですねぇ、あ、元気ちゃん。悪いんだけど温かい飲み物2つ頼めるかい?」

 

「判りました!」

 

武蔵に言われるとキッチンに駆けて行く渓。その姿を見ながら武蔵とカーウァイは揃って食堂に席に腰掛ける。

 

「武蔵さん、カーウァイさん。何か判りましたか?」

 

何時までも機体を動かさないといざと言うときに動かなくなると言う事で周辺の偵察をしていた2人になにか判りましたか? と凱が尋ねる。だが2人は首を左右に振った猛吹雪で視界だけではなくレーダーも殆ど死んでいる。そしてその上出撃すれば機体にだけピンポイントで吹雪が襲い掛かる。

 

「……やはり敵の攻撃か」

 

「だろうなあ……でもそれらしいのが見つからないんだよな」

 

敵の攻撃が行われているということが判っても、それ以上が判らない。足止め以上の攻撃をしてこないのも不安を煽るだけだ、1度格納庫で真ゲッター2とゲッター2で吹雪の突破を試みたが、その瞬間に猛吹雪で完全に足を止められた。

 

「やっぱり何かを待ってるのかな? はい、どうぞ」

 

「おう、ありがと」

 

「すまない」

 

渓から差し出されたマグカップを受け取り、武蔵達は冷えた身体を温める。

 

「武蔵さん、カーウァイさん、お疲れ様です。これあんまり具材は無いですけど……」

 

「ああ、ありがとうな。レアンヌ」

 

「ありがとう」

 

偵察に出ていた2人に差し出されるトマトスープとチーズトースト。具材はトマトと古くなったフランスパンを揚げたものだが、それでもこの状況では十分ありがたい。武蔵とカーウァイは笑みを浮かべそれを受け取り、遅くなった昼食を食べながら偵察の結果の報告を始める

 

「んぐ、今日はここからここまで見てきたけど……こことここが吹雪が強くなったな」

 

「周辺を調べてみたが、熱源反応もゲッター線レーダーにも反応無しだ」

 

地図を広げている古田に偵察の結果を伝えながらトーストに齧りついた。

 

「こことここですね。うーん、大将。どう判断しますか?」

 

「吹雪が強くなる箇所と箇所を繋げると……円状になるな」

 

吹雪が強くなる箇所同士を赤いペンで繋ぐ弁慶。地図には観測所から離れた一箇所に綺麗な赤丸が描かれえていた……それを見つめながらイングラムはふむと唸る。

 

「この場所に何かが埋まっているのか、それともこの円の中心に何かがあるのか……はたまたその両方か」

 

「観測隊のリーダーから提供された情報とあわせると、ここは一番最初のゲッター線吸収装置のプロトタイプの建設地だそうです」

 

「つまり南極の始まりの地ということか……何かあると見て間違いないな」

 

「問題はそこに辿り着けないと言うことだがな」

 

手掛かりは目の前にある。だが加速力に長けたゲッター2と真ゲッター2でも突破出来ない猛吹雪は完全にこの場所が黒と言う証だったが、その場所に辿り着く術が無いと言う事に弁慶達は眉を顰めた。

 

「あ、地上も駄目、空も駄目なら海は? ゲッター3どどーんっと」

 

「「「天才か……?」」」

 

吹雪を突破する方法ばかりを考えてた弁慶達だが、武蔵が今閃いた海中を進むという言葉に天才かと呟いた。

 

「オイラ天才?」

 

「武蔵さん、頭良いね!」

 

「へへ。そうかなあ?」

 

武蔵さん凄いと武蔵を賞賛する渓。そんな渓を見ていた號は急に窓の外を見つめた。

 

「どうかしたの? 號」

 

「いや、俺凄い嫌な予感がするんだけど」

 

號が何か意味深な事をする時は嫌な事がある。初めて出会った時からそれを見ていた凱は青い顔でそう呟き、そして號は何かを感じ取った様子で何度も頷き。

 

「来る」

 

その呟きの後で凄まじい地震が観測地を襲った。いつの間にか観測地に吹き付けていた吹雪は収まり、おぞましい獣の声が周囲に響き渡るのだった……

 

 

 

観測地を守る為に慌てて出撃した武蔵達。そんな武蔵達の目の前に現れた異形に誰もが声を失った。

 

【アガガア、ガギギギ……】

 

【ぐ、グゴアアアアアア!!】

 

おぞましい雄叫びと感じたのは苦しみ悶える獣の声だった。何かに生きながらに食われる獣の苦しむ、殺してくれと言う叫びだった。そのあまりに悲痛な叫びに渓達は顔を歪めたが、武蔵と弁慶は違っていた。

 

「メカザウルスッ!」

 

「百鬼獣ッ!」

 

機械の身体に爬虫類の身体を持ちながら、両腕はインベーダーに貪られている異形を武蔵は「メカザウルス」と呼び。

 

牛を連想させる巨大な2本ヅノを持ち、胴体をインベーダーに喰われている異形を弁慶は「百鬼獣」と呼んだ。

 

それは武蔵と弁慶がそれぞれ戦っていたインベーダよりも前に地球を襲った脅威の名前だった。

 

「メカザウルス? 武蔵さんを殺した恐竜帝国の尖兵ッ!!」

 

渓は武蔵が特攻する理由になった恐竜帝国のシモベに敵意を燃やし、最初その目に浮かんでいた憐れな物を見る色は消え、激しい憎悪のイロがその目を埋め尽くしていた。

 

「大将が戦ったって言う……でもあれはもう全部滅んだんじゃ!?」

 

弁慶の昔話に出てきた百鬼獣。だがそれは既に全部滅んだ筈と驚く凱。

 

「……敵意は完全に消えていないと言うことだ。巨悪はまだ、この世界に潜んでいる」

 

そして全てを知っていると言わんばかりの號は恐れることも、驚愕する事も無くゲッターサイトを真ゲッター1に構えさせる。

 

「事情は判らんが、休眠状態の物がインベーダーに喰われて目を覚ましたと言うことか、だが、吹雪とは関係が無いだろうな」

 

理性も無く暴れているメカザウルスの百鬼獣が吹雪を意図的に起こせるとは思えない。吹雪を起こしていた相手にとってこの2体は想定外のイレギュラーであり、邪魔だから処分しろとでも言わんばかりに吹雪による干渉を止めたに過ぎないとカーウァイは感じていた。

 

「どこかで見られている可能性もある、先手先手で攻めるぞ」

 

「うっす! 全開でいくぜぇッ!!!」

 

メカザウルスと百鬼獣は紛れも無く脅威である、それがインベーダーに喰われているとは言え、いや、インベーダーに喰われているからこそインベーダーがメカザウルスと百鬼獣を学習してしまう可能性を恐れ、先手先手で攻めろと武蔵に言うのと同時に、イングラムはジャガー号で戦闘データの記録を開始する。

 

「ゲッタトマホークッ!」

 

南極の大地を踏み砕きながらメカザウルスへと走るゲッター1。それに気付いたインベーダーの黄色い目玉が慌しく動きまわり、メカザウルスの苦悶の声が南極の大地に響き渡った。

 

「ちいっ、敵とは言え胸糞悪い」

 

「……ですね、渓! あまり時間を掛けるな、相手の自由に動かせるなッ!」

 

突撃する足が止まったゲッター1。正確には止めさせられたと言う事になる、自分が貪っているメカザウルスの生身の両腕を切り落とし、インベーダーが紐状になる事で伸縮自在の両腕になったその巨大な鉤爪を切り払う為にゲッター1は足を止めざるを得なかった。

 

【グガアア、ゴアアアアアアッ!!!!!】

 

インベーダーが神経でメカザウルスと繋がっているのか両腕が不規則な動きでゲッター1に迫るたびにメカザウルスは血反吐を吐き、苦悶の雄叫びを上げる。

 

「共生しているわけではないようだな、武蔵。先にインベーダーを狙え」

 

「え? メカザウルスじゃないんですか?」

 

鎌状に変化したインベーダーとメカザウルスの鋭い鉤爪をゲッタートマホークで切り払いながら武蔵は怪訝そうな声を上げる。

 

「メカザウルスを先に潰すとインベーダーが一気に浸食する。インベーダーを潰してから、メカザウルスだ」

 

インベーダーはメカザウルスを浸食しようとしているが、メカザウルスが自分が喰われる痛みで暴れるので、侵食が思うように進んでいない。ここで先にメカザウルスを倒せばインベーダーは強力な肉体を得る事になる。イングラムはメカザウルスを観察しながらそう告げた、インベーダーは寄生生物だが宿主が死ねば死ぬなんてことは無い、むしろ死んだ肉体に寄生された方が厄介だと肉体を幾ら傷付けても死なない。そうなれば跡形も無く消し飛ばすしかないが、この後に吹雪を起こした存在の強襲がある可能性を考えればエネルギーを使い過ぎるわけにはいかない。

 

「百鬼獣は生身じゃない、そっちは全力で潰しに行けッ!」

 

「うっしゃあ、行くぜッ!」

 

百鬼獣は電子制御のロボットだ、人工知能は積んでいるが生き物ではない。火事場の馬鹿力を発揮するかもしれないメカザウルスはゲッター1が当たり、百鬼獣は真ゲッター1とゲシュペンストが当たる事となった。

 

【!!】

 

「っと、結構早いな」

 

インベーダーが高速で伸び縮みすることで弾丸のような勢いで射出されるメカザウルスの両腕。鮮血が飛び散り、メカザウルスが苦悶の声を上げているが、それに収集力を乱す武蔵ではない。

 

「そりゃあッ!!」

 

【【グゴアアアアア!?(ギギィイイーーッ!!)】】

 

インベーダーとメカザウルスの叫び声が重なった。腕が伸びきったタイミングでゲッタートマホークを一閃し腕を切り落とす。そしてそれをそのまま掴んでメカザウルスに投げ返す、鋭い刃とメカザウルスの鉤爪がまだ生身のメカザウルスの頭部に突き刺さる。

 

「一気に決めるッ!!」

 

火の出るような速攻、だがただ闇雲に突っ込むのではない相手の攻撃を瞬時に避ける獣のような反射神経、そして実戦に裏付けされた戦闘予測。真ゲッター1を上回る速度で氷上を駆けるゲッター1に渓達は言葉も無かった。

 

「考え事は後だ、観測地を守るぞ」

 

「は、はい!」

 

百鬼獣の胴体から射出されたインベーダーに寄生されたミサイルを打ち落とすカーウァイの言葉に渓は我に返る。無論全員が武蔵の戦いに目を奪われていた訳ではない、號は積極的に百鬼獣に攻撃を仕掛けていたが、インベーダーに寄生された事で驚異的な柔軟性を得た百鬼獣を倒すには一手足りなかった。

 

「カーウァイ」

 

「判っている、行けッ!!」

 

だがそこにカーウァイの援護が入れば話は変わる。インベーダーがビーコンになり観測地を正確に狙っていたミサイルをカーウァイが打ち落とし、打ち落とされたミサイルの破片から伸びるインベーダーの触手をスラッシュリッパーで切り刻んで貰えば號はインベーダーだけに集中出来る。

 

「オラアアッ! くたばれッ!!!」

 

メカザウルスを踏みつけ、ゲッターマシンガンを撃ち込み続けるゲッター1。普段の武蔵とは異なる凶暴性の発露……だがそれはメカザウルスの脅威を知っているからこそのものだった。

 

「ゲッタァアアランサーッ!!!」

 

トマホークを展開せず、柄のまま百鬼獣に突き刺し持ち上げる真ゲッター1。その姿を見たゲッター1はゼロ距離でゲッターマシンガンを打ち込み続けボロボロになったメカザウルスを蹴り上げる。

 

「「ゲッタァアア……ビィィイイムッ!!!!」」

 

ゲッター1と真ゲッター1の腹部ゲッタービームの挟撃にインベーダーに寄生されたメカザウルスと百鬼獣はインベーダー事焼き尽くされた、その光景を見て渓がやったあと言うが武蔵の一喝に黙り込んだ。

 

「メカザウルスが1体だけとは思えない! 隼人と連絡を取ろう」

 

「その方が良いだろう、嫌な予感がする」

 

何故南極の地にメカザウルスが現れたのか、そして百鬼獣がいるのか……謎は残るが、この南極の大地は危険な場所であると言うことが判明した。観測隊と共に南極を脱出する必要があると武蔵は考えていた。

 

「號、殿はオイラ達がやる。観測隊に伝えてきてくれ」

 

「……了解した」

 

ぴりぴりと張り詰めた空気に渓と凱は何もいえず、そして常に人の良い笑みを浮かべている武蔵の険しい顔にそれだけ不味い状況なのだというのが判り、緊張した面持ちでその場を後にする。

 

「念のために細胞を採取しておくか?」

 

「……止めておいたほうが良い。インベーダーの再生能力は半端じゃねえ、観測基地もインベーダーの巣窟になるかもしれないリスクは避けよう」

 

「だな。しかしメカザウルスと百鬼獣だったか? 随分ときな臭くなってきたな」

 

インベーダーだけではなく、かつてゲッターロボと戦ったメカザウルス、そして百鬼獣、そのいずれも南極に出現したと言う記録は無い、だがこうして存在していた事に武蔵は眉を顰め、渓達から無事に観測基地に到着したと言う連絡を受けてからその場を後にするのだった……。

 

飛び去るゲッター1とゲシュペンストを見つめる4つの瞳。氷塊の中に隠れていたそれは完全に気配が無くなるのと同時に氷塊を砕きその姿を現した。コブラのような頭部をした4つ足の獣の上に巨大な雄牛の角を持つ筋肉質な上半身が生えた奇妙な生き物の口は下半身になっている獣と同じく歪んだ三日月を描いた。

 

「ゲッタァアアロボォオオッ!!!」

 

「キシャアアアアッ!!」

 

その生き物は何の為にミサイルの直撃でバラバラになった肉片を何年も掛けて集めてその肉体を再生したのか、それを間近でゲッターロボを見たことで思い出した。己は「ゲッターロボ」を壊す為に生まれ変わったのだと……そしてその怨敵が同じ大地にいる。その事に狂喜し、激しい憎悪の炎を燃やした。

 

「ゲッタァアアロボォオオッ!!!」

 

あやふやだった自己が急速に形成されていく……いや、正しくは歪んだ形に再構築される。本来この獣は號と共に真ゲッター、及び真ドラゴンを動かすために用意された竜馬と隼人のクローンだった。だが、何らかの要因で恐竜帝国「ゴール」そして百鬼帝国「ブライ大帝」の意志の欠片が寄生し、そこから複製された出来損ないのゴールとブライだった。理性など無く暴れるだけの2匹の獣は己の宿願、そして何故こうも己の胸の中に怒りの炎が燃え盛ってるのかを理解した。

 

「ユルザナイ……ゲッダアアア」

 

「ゲッタァアアロボォオオッ!!!」

 

中途半端にゴールとブライの記憶を得た獣は一瞬で己では無い記憶に飲まれた。その4つの目に憎悪の炎を宿し、しかし今の己では負けると考え氷海の中へと消えていく獣……獣から僅かに知性を得た獣人は牙を研ぐ、その牙でゲッターロボを食い殺す瞬間を夢見て……ゲッターロボ、いや武蔵とゴールの再会の時は近い……そしてそれは意外な人物と武蔵の再会が近いという証でもあるのだった……。

 

 

 

第11話 13年前の悪夢 その3へ続く

 

 

 




知性なしからやや知性ありにバージョンアップ次回辺りでゴール&ブライと戦闘を書いて行こうと思います。それと今回の更新の理由はそうですね……やり場のない怒りと絶望を動力源にしてこの話を2時間ほどで書き上げれたからですね。

まだこのブーストが掛かっていた場合、本日21時にも更新するかもしれません、もし更新出来たら21時の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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