「ほう、反則負けとはどういうことだ?予め仕込んでいた術式でもあるのか?」
「いいや、癖で影分身を逆口寄せしちまったんだってばよ…。仙術で使ってるやつをな…」
『仙術?』
ここで真由美姉と市原鈴音先輩が俺の見た目の変化に気づいた。両の眼に隈、その瞳の色も金色に染まり、瞳の中に横一文字の紋様が浮かんでいることに。すると次の瞬間、それが消えて元の青い瞳に戻ると俺は服部先輩に謝ることにした。
「すみませんでした。癖とはいえ、予め備えていた霊子の情報体を呼び出して試合に臨んだことを心よりお詫び申し上げます」
「いや、お前が謝る必要は無いよナルト君。俺も気がつくのが遅かったな、お前の身体そのものがCADになってることに」
なら納得が行くと服部先輩は語った。基本的に魔法科高校でCADの所持を許可されるのは生徒会役員と風紀委員だけである。身体そのものがCADの彼は二科生、だからまず生徒会には入れない。現在の生徒会は一科生のみしか入れない決まりになっているからだ。だが、風紀委員にはその縛りがない。現に自分を負かす程の二科生がここに居るのだから、と服部先輩は言っていた。すると、俺は身に覚えのある悪寒を感じた。
「ナールートー?さっきの『仙術』の説明がまだだけど、いつになったら説明してくれるかなー?」
ヤバい、義姉を怒らせないうちに簡単な説明をしなければ。
そもそも仙術とは、自分達の一族が稀にその適性をもって生まれ、専用の修行を積んで初めてなせる力を指す。そして、仙術の基本の教えは「動くな」。座禅を組んで動かないことで自然の中の想子・霊子を取り込み、自身の戦闘能力・危機感知能力を飛躍的に上昇させる。更に己が自然の想子・霊子を操り、見えない攻撃を与えることも可能。これは
「でも、あなたそれだとどうやって仙術を使っていたの?」
「簡単。実は家を出た時に予め影分身を二体用意してそいつらにやらせていたんだってばよ」
生徒会一同及び渡辺先輩が困惑している。
「えっと…要はな、影分身を解除する時にその時に使った霊子は俺の中に還元されるんだ。その時ついでに集めていた想子・霊子を俺の中に間接的に取り込めるんだってこと。分かったかな…?」
「つまり、最大容積の半分しか入ってない二つのコップの片方に別の物質を混ぜて、それをもう一つのコップに注ぐとそのコップもその時に混ぜた物質を間接的に取り込む、このイメージで合ってますか?」
「市原先輩の理解力の高さには驚くしかないってばよ…」
「さて、それではナルト君。君にはこれを渡しておくよ」
渡辺先輩がそこに割って入り、赤い文字で風紀委員と書かれた黒い腕章とレコーダーを渡された。
「ようこそ、風紀委員へ」
「よろしくお願いするってばよ、渡辺先輩」
さりげなく握手を交わしたナルトと摩利を見て真由美がヤキモチを妬いたのは別の話である。
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そして、昼休みに教室に戻ったナルトは達也とレオから質問攻めにあった。忍術に関しては隠す必要が無いと判断し、自身の得意魔法を話しておいた。放課後、達也はどこか納得した様子で妹を迎えに行くと言ってその場を後にした。ついでにレオも着いて行った。
どことなく嫌な予感がしたので風紀委員の腕章を付けてレコーダーをブレザーの胸ポケットに入れて達也とレオの後を追った。
嫌な予感というものはこうも簡単に的中するのかと頭を抱えながら思った。完全に一科生と二科生による修羅場。原因は達也の妹の司波深雪の取り合い?によるもの。確かにあのペーパーテストのバケモノの妹が只者のわけが無いとは思っていたが、このままでは乱闘騒ぎになりかねない。とりあえずレコーダーのスイッチをオンにすると一科生側の男子が二科生の赤髪の女子にCADを弾き飛ばされ、一科生が一斉に魔法を放とうとしている。そして、その中に見知った顔がいるのに気がついて即座にあの魔法を使うことにした。
ーーー想子圧殺!
すると一科生側の大半の生徒が押し潰されるように地面に叩き伏せられた。見知った顔の発動しようとした魔法は単純に想子のバリアを展開するもの、まるで俺自身が来るのを見越していたような魔法だった。二科生側はほぼ無傷、想子の感受性が低いのが幸いしたと言える。さてと、
「委員長、生徒会長。乱闘騒ぎがありました」
「分かっているわ」
うん?インカム越しに報告したけど、なんだろうこの違和感。もしかして…
「そこの生徒!動かないで!」
「風紀委員長の渡辺摩利だ。少しでも動いたら魔法が飛んでくると思え」
委員長、魔法の起動式を展開済みなんて準備良過ぎないですか?てか、
「全く、私の可愛い義弟がいなかったら罰則物だったわよ?」
「なっ!?」
先程赤髪の女子にCADを弾き飛ばされた男子が俺を見やり、そして、
『二科生の、風紀委員!?』
真由美姉、俺の平穏を返してくれ…。
【悲報】ナルト、平穏な日々が無くなってしまう。
次回、学年首席と幼馴染