助けてください。
カルデア一行が叛逆軍のアジトを出てから数十分。
アタランテからの依頼を承諾した一行は、檄文を周囲の村々に配りつつカルデアのシャドウボーダーに依頼を受ける前報酬として貰った素材を渡しに行く事となった。
「しっかしアンタの身体どうなってんだ、人間の癖にヤガにもなれるのか?」
「これは俺が居た土地で生み出された技術の一つだ、常軌を逸脱した力は他にもごまんとある、やろうと思えば得体の知れないブロッコリーにもなれるぞ」
「………ブロッコリーってのが何かは知らねぇけどアンタの言葉を察するにどうせロクでもないんだろな…」
「いや…ブロッコリーそのものは食べ物だが…」
「?、アンタを食べられるのか?」
「…………………すまんな、貴公には酷な話だった」
「????」
現在アジトから一番近い村への最短ルートをホームズにピックアップしてもらい、アヴィケブロンの移動用ゴーレムに乗って目的の村へと向かっている。
その道中、地元というアドバンテージから案内役としてアタランテに抜擢され、一行と行動を共にすることになったパツシィだったが、移動用ゴーレムに同席していた狩人との会話が噛み合わず、軽い会話のデッドボールを起こしていた。
「それよりもアンタがヤガ擬きになれるならこっちとしても助かる、アイツらみたいに怪しまれないし、結局俺達と同じヤガに見えるならそれが一番安全だ」
「使える物は何でも使うさ、出し惜しみはせん」
アジトを出る際、話をスムーズにする為に不安要素を取り除こうという事になり、村に入る時はマスターとマシュはフードを被り、騎士も持ち合わせの魔術師のローブで顔を隠し、隻狼は万が一に備えて村の近くまで来たらいつでもマスターを守護出来るように潜伏してもらうことになった。
そして最後に残った狩人に関しては、
「狩人殿、先程も使っていたあの妙技。それでパツシィ殿の守護をしてもらえないだろうか?」
という騎士の提案により、狩人は獣の抱擁を使用した状態でパツシィの護衛をすることになった。
「しかし人間ってのは不思議だな、アイツみたいに弱っちぃ奴だったり、アンタみたいにヤガなんかよりよっぽど強い奴もいる」
「俺とて最初からここまでの力を持っていたわけではない、その点で言えば貴公らの様に生まれた時からある程度頑丈なのは羨ましい」
「その分短命なんだ、都合の良い事ばかりじゃない」
最もな話、ヤガは寿命が近付けば人間よりも著しく身体能力が低下して五感も鈍っていく、そうなれば狩りに出られないヤガは食い扶持を失いやがて餓死する、ヤガの世において寿命を全うするというのは幸福な事なのだ。
「短命か、命という感覚はもう覚えていないな」
「そういやアンタら不老不死なんだって?」
「騎士殿や隻狼はそうだな、俺は不老というよりそもそも種としてそんな概念がない」
「あぁ、どういう意味…」
直後、パツシィは軽い悲鳴を上げた。
「なっなんだよそれ!?」
「これが『
パツシィが見たのは狩人の腕、だったもの。
狩人が着込む装束の袖からは人間らしい五本指のそれではなく、軟体生物の触手の様な物が這い出ていた。
「悪夢の中で色々と殺し過ぎてな、『いつからか取り返しのつかない程に頭がイカれてしまった』」
「分かった、分かったからそれを引っ込めろ気持ち悪い!!!」
「むっ、気持ち悪いとは何だ。これでも不用意に貴公の『
「うるせぇ、いいから引っ込めろ!!」
貴公、あまり揺らすな。
誰のせいだとおもってんだ!!!?
そんな遠巻きから聞こえる狩人とパツシィの声と、ゴーレムの上で騒がしくしている様子を彼らの後ろを走るゴーレムの上から見ていた騎士とマスターは、
「狩人さんとパツシィ、結構仲良くなってるみたいだね」
「うむ、そのようだな。戦友として狩人殿に友が増えるのは嬉しい事だ」
彼らに、良識を求めてはいけない。
そしてカルデアのマスターも存外に鈍い。
そう言えば隻狼のDLCはいつ来るんでしょうか