異聞に逆らう者達   作:宮条

19 / 20
去年の末にロシア終わるとかほざいてたら、もう2020年も半分になってました()


休息

 

決して心地良くはない眠りが覚める。

倦怠感に包まれたその身を起こし、意識を覚醒させる。

 

「おや、お目覚めかい?」

「………おはよう、ダ・ヴィンチちゃん」

 

まだ眠気が抜けきれていない声でそう答えるのはカルデアのマスター。メディカルチェックが終わった後、4時間ばかりの睡眠ではあるがこのロシア領に入ってから初めての仮眠であった。

 

「まだ眠そうだね……無理もないさ、礼装があるとは言え外は極寒の大地、不慣れな環境の中でよく頑張ったよ」

「うん、でも大丈夫だよ。それよりどうしてここに?」

 

おっと、と言った表情で要件を思い出したダ・ヴィンチ。マスターのベッド横に備え付けられている椅子に座り、一呼吸置いて語り出す。

 

「主だった話はマシュのこと、彼女はまたサポートに徹してもらおうと思う」

「…………………やっぱりか」

「分かってると思うけど今のマシュは不完全だ、アヴィケブロン君やあの3人がいる今だとマシュはかえって邪魔になる」

「…………………」

 

特に反論もなくマスターはダ・ヴィンチの話を聞く、その点に関してはマスターも同意見だったからだ。

ロシア領でアヴィケブロンというゴーレムマスターを召喚出来たのは僥倖だったとマスターは心底思う。ゴーレムは壁、運搬、戦闘の全てを肩代わりしてくれる、人手の足りない今の現状ではどれ一つを取っても至難に近い、現に破損したボーダーを修復しているのはゴーレム達なのだから。

アヴィケブロンというサーヴァントがこの環境においてどれだけの価値を持つかは推して知るべしといったところだろう。

 

「まあこれでマシュを危険に晒すこともないんだ、戦力も着実に増えているんだし素直に喜ぶべきだよ」

「うん、マシュにも負担はかけたくないから」

「ほう、負担と来たか……まあそこは後々のお楽しみだね」

「マスター!」

 

突如として部屋の入り口が開く、急いだ足音と共に姿を現したのは噂のマシュだった。

 

「マシュ、おはよう」

「……おはようございます」

 

勢いよく入ってきたもののマシュの表情は暗い、お互い暫く沈黙した後にポツリとマシュの方から呟いた。

 

「すみませんマスター、前線を離れることになって……」

「いいんだよ、マシュの方が心配だ」

「でも………私は大丈夫です、体には何の異常もありません、ただ」

「マシュ」

 

マスターの意志のこもった声がマシュの言葉を遮る。

 

「出来る事なら今までみたいにマシュと戦いたい、でも今はアヴィケブロンや騎士達がいる」

「…………」

「それにこれ以上マシュが傷つく姿は見たくないから」

「マスター……」

 

その言葉を聞いて、マシュの表情が少し和らぐ。

 

「おっといちゃついてる所悪いんだけど2人共司令室に向かってね、ホームズ達がお呼びだ」

 

桃色な空気をダヴィンチが切り替える、突然の言葉に狼狽えるマシュだったが、すぐに返事を返す。

 

「わ、分かりました、行きましょうマスター」

「うん、行こう」

 

シャドウボーダーの廊下を真っ直ぐに進んでいき、司令室の扉を開けると早速ホームズが話しかけてくる。

 

「おはよう、短い休憩ですまないね。またしばらく布団とはお別れだよ」

「ん、目覚めたかマスター」

「あっおはよう、狩人さん」

 

するとマスターに気付いた狩人も挨拶をす

る。

 

「…………」

「?」

 

しかしマスターの様子を見た狩人が、おもむろにポケットの中を漁り始めた。

出てきたのは小さな鐘だった、狩人はそれを掲げてこう告げた。

 

「抜本的な生命力が相当疲弊している、それでは体ではなく心が持たんだろう」

 

チリンチリンと、美しい鐘の音が司令室に響き渡る。

 

「マ、マスターから光が……あれ?」

「おぉ!?………って、体が……軽い?」

 

するとどうだろうか、マスターの体から光が漏れたと思えばすぐに収まり、残ったのは軽やかになったマスターの体だけだった。

 

「心がやられてしまえば体は簡単に壊れる。気丈に振る舞うのも良いが、ガス抜きを忘れるなよ」

「あっありがとう………」

 

正直な話、マスターから見る狩人の人物像は近寄り難い謎の人物という非常に偏ったものであったが、今の出来事で意外と面倒見の良い人なのかもしれないと思うマスターだった。

 

「さて、と」

 

鐘を懐に戻し、狩人はホームズの方へと向き直る。するといつのまにか司令室には騎士と隻狼も集まっていた。

 

「戻ったか」

「ああ、一通りここの構造は把握した」

「俺も大体は覚えた…」

 

マスターが休息を取っている間、各々はこの4時間でシャドウボーダー内の構造の把握に勤しんでいた。3人共それぞれ探索に於いては手慣れたもので、4時間もあればボーダー内の複雑な通路を頭に叩き込んでいた。

 

「ならば、状況を再開しよう」

 

ホームズのその一言で、全員が顔を引き締める。今までは戦力も情報も足りなかったが、持ち直した今、やるべき事一つだけ。

 

「ロシア異聞帯、その攻略を」

 

反撃開始、追われる者は追う者へとその身を転じる。




仕事が多忙で更新が激遅ですが、気長に待ってもらえれば嬉しい限りです。

あと報告も無しに更新途切れてすいませんでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。