異聞に逆らう者達   作:宮条

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どうして小説を書こうとすると一々説明臭い文章になるんだろうか(永遠の謎)


一閃

 

正午。

一通り今後の方針がまとまったカルデア一行は叛逆軍の基地に戻ろうとしていた。

 

「凄い吹雪………道に迷わない様に気を付けて下さい」

「しかし……この吹雪は異常だな、風もそうだが一寸先すらまともに見えない」

「あぁ、アリアンデルの吹雪が可愛く見える」

「ここまで吹雪いていると敵の位置が掴めぬ、一刻も早くアタランテ殿の元に向かうとしよう」

 

ゴーレムがあるとはいえ、このロシアの吹雪は生命にとって過酷な環境を強いる。

そもそもにおいてこの地はサーヴァントや異分子、ヤガ達以外では到底生存することが出来ない状態になっている。唯一生身のマスターも礼装によって体温は維持されているがそれも長くは持たない。一刻も早くこのロシア異聞帯を解決しなければ、クリプター側が動かずともカルデアは疲弊によって自滅するだろう。

 

「待て」

「アヴィケブロン?」

「静かに、マスター」

 

唐突にゴーレムの歩みを止め、静止を促すアヴィケブロン。怪訝に思うマスターだったが、その理由はすぐに分かった。

 

「蛇?」

「しかしそれにしては……デカイな」

 

蛇に嫌な思い出がある騎士と、蛇に苦戦させられた記憶がある狩人が同時に嫌悪感を示しながら呟く。

彼らの目の前には確かに蛇というにはあまりにも大きく、そして歪な化け物が横切っていた。

 

「いや、あの程度ならば容易く殺せる」

 

バカなと思いつつも顔には出さず、それでも驚きながら狩人と騎士はその声の主の方向に振り向く。そこには目の前の化け物を何気も無く見つめている隻狼がいた。

 

「あ、あんなの倒せるの……?」

「こちらにはゴーレムがあるとはいえ、アレ相手は少し骨が折れると思うのだが?」

 

まだ感性がマトモなマスターとアヴィケブロンが隻狼の言葉に疑問を抱く、しかしそれは直ぐに払拭される事となった。

 

「葦名の蛇に比べれば」

 

音もなく。

 

「ただただ弱い」

 

隻狼は一人、臆すること無く化け物の目の前に体を晒した。

 

「………グゥ?」

 

この視線を遮る強烈な吹雪の中であっても、目の前に現れれば流石の化け物でもその姿に気付く。ゆらりと吹雪を掻き分けて出てきた隻狼に化け物は最大限の警戒をした。

 

「…………ゥア?」

 

しかし多少の知性を持ち合わせていたのか、化け物はすぐさま隻狼に襲い掛かる様なことはしなかった。

 

何故何もしてこない、目の前の生き物は何だ?

 

漠然とした思考ではあるが、化け物は現れてから動こうとしない隻狼に違和感を感じていた。ただその場で屈み、腰に付けた何かを握り続けているだけの存在に疑問を抱いていた。

 

「秘伝」

 

その刹那、瞬きすらしていない眼の前にその刃が映るまでは。

 

「!?」

 

間一髪だった。

その一撃は唐突で、化け物は帯刀していた刀を抜いた瞬間を見ていたにも関わらず対応が遅れた、化け物にとってその事実は受け入れ難かった。

 

「グゥルァ!!!」

 

しかしその一撃を躱したのもまた事実だった、今の一撃で化け物は目の前の存在の強さを認識した。恐らく出し惜しみなどなく、野生を抑えることなく隻狼を食い殺すだろう。

 

「一心」

 

その機会があれば。

 

「………………………?」

 

知覚した時にはもう既に終わっていた。身体の感覚は消え失せ、残された頭部だけが蠢いていた。数秒経って、首を斬り落とされたと気付いた時にはもう視線を動かす以外に出来る事は無かった。

 

ジャヴォル・トローンと呼ばれた大蛇が最後に見たのは、己を斬り裂いた無数の斬撃と、返り血でその身を染めた忍の背中だった。

 




そろそろ話が動きます。
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