異聞に逆らう者達   作:宮条

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隻狼が強過ぎて困る。

追記
ちょっと文章がおかしかったのと、操作ミスで削除してしまいました


死闘

剣戟の音が辺りに響く。

弾き、返し、躱し、突き立てる。

その応酬が何度も続く。

 

「ぐっ!」

「ふんっ!」

 

しかし旗色は悪いのは狩人の方だった、繰り返す剣戟の中で、隻狼は確実に狩人の攻撃を弾いて来る。

騎士や狩人は、自身の得物で攻撃を弾くという事はしない、そもそも彼らの戦闘スタイルは相手の攻撃に合わせて盾か銃によって相手の体勢を崩すカウンターである、それに対して隻狼は弾き、相手の攻撃が自分を掠めるその直前に弾いて徐々に体幹を削り、大きな隙を晒した所で一撃を加える戦法、それが狩人の戦いと致命的に合わない、カウンターを狙おうにも、弾くことで活路を見出す隻狼にとっては、わざわざ隙の大きい攻撃をする必要がないのである。

 

「…………ッ!」

「むっ!」

 

しかし狩人も狩人で隻狼の攻撃を不慣れながらも分離した落葉で防ぐ、手数が増えたことである程度の無理が効くようになり、結果として隻狼に食らいついていた。

 

「おい!」

「……アタランテ殿、先程撤退しろとお願いしたばかりだが…?」

 

少し離れた位置で二人の剣戟を見ていた騎士の背後に、説得して部下共々引き上げるように命じた筈のアタランテが立っていた。

突然の奇襲や騎士と狩人の加勢にやや面食らって流されるままだったが、そもそもこの件はカルデアのマスターとサーヴァントを試す目的で起きた事だ、自分達の問題の筈がいつの間にか蚊帳の外にされていたとなれば無理矢理にでも関わりにくるだろう。

 

「私はサーヴァントだ、簡単にトドメを刺される様な失態はしない」

「私は戦力差でアタランテ殿を下がらせたわけではない」

「何?」

「むしろその強さは一級品だ」

 

だが、と騎士は鋭い声色で否定する。

 

「アタランテ殿の様な『場数を踏んだ』者だから危険なのだ」

「何を…」

「あれは」

 

アタランテの戸惑いの言葉すら遮り、騎士はその瞳に隻狼を映しながら静かに語る。

 

「『格上殺し(ジャイアントキリング)』程度では収まらんぞ」

「…………」

「これだけは信じてほしい、頼む」

 

騎士達と出会って僅かなアタランテだが、騎士の言葉が自身の身を案じている事は嫌でも理解した。

あの男は危険、そんな単純な、だからこそ真に響く警句がアタランテの行動を変える。

 

「……分かった、その他者を案じる汝の優しさを信じよう」

 

その言葉に騎士は思わず捨て吐く様に笑う。

 

「ふっ……優しさか、まだそんな『らしい』感情が残っていたとは驚きだ」

 

しかしその言葉に込められた思いを、騎士は決して笑わない。

 

「感謝するアタランテ殿、我々を信用してくれて」

「勘違いはするな、汝はともかくもう片方はまだ信用していない」

 

流石にそこまで心を許すアタランテではない、だがこの先現地のサーヴァントやカルデアと手を組んで足並みを揃えるにはいずれ解決せねばいけない事でもある。

だがそれも目の前の問題を解決しなければ始まらない。

 

「そろそろか」

「そろそろ?」

「決着がつくぞ」

 

その言葉が、アタランテには信じられなかった。

しかし騎士の言葉に偽りはなかった。

 

「はぁ……はぁ……」

「………むぅ」

 

お互いに隙なく構える狩人と隻狼、しかしアタランテは気付いた。

 

「動きが乱れている?」

「狩人殿の方が著しいが、あの義手の男も相応に疲弊しているようだ」

 

つまり、次で決まる。

騎士はこの戦いの結末を誰よりも速く理解していた。

 

「……ここまで同じ人間に追い詰められたのは初めてだ、ゲールマンやマリアでさえ、ここまでの死闘では無かったぞ」

「そうか」

「だが、戦って分かった。貴様の技は卓越しているが、それは己より力の強い者との戦闘で筋力差を補うためでもあるのだろう」

「………」

「故に、貴様を狩る術は一つ」

 

狩人が落葉を投げ捨て、意志の中から新たな武器を呼び起こす。

 

「これで貴様を討つ」

 

その言葉と共に、狩人の右手に銀色の剣が握られる。

ルドウイークの聖剣、何の変哲もない細身の剣だが、狩人が扱う仕掛け武器が変哲のないことは一度もない。

剣が呼び起こされたと同時に、狩人の背中にはその細い刃には似合わない大きな鞘が担がれていた。

 

「『力押し(ゴリ押し)』だ」

 

金属と金属がぶつかる甲高い音が響く、狩人の右手に握られていた剣が鞘に収まる音だ。

しかしそれで終わらない、狩人がそのまま剣を抜き取ると、鞘と剣が連結し、鞘自体が刀身となり一つの大剣に変形した。

 

「奇っ怪な…」

「俺の扱う道具はどれも奇妙でな」

 

狩人は大剣となった聖剣を肩に担ぎ、また意志の中から別の物を取り出す。

 

それは、人の骨だった。

 

「だからこそ貴様の様な者を狩る道具と成り得る」

「………ッ!」

 

その言葉が発せられた瞬間には、隻狼の目の前から狩人が姿を消していた。

 

「後ろだ」

「ッ!?」

 

頭が理解する前に体が動いていた、隻狼は瞬時にしゃがみながら背後に刀を振り上げる。

 

「遅い」

 

直後、凄まじい破壊音と共に辺りに積もっていた雪が煙幕のように辺りに飛び散る。

隻狼の背後に回っていた狩人が、隻狼ごと聖剣で地面に叩きつけたのだ。

 

「ぬぅぅぅ!!!?」

 

しかし隻狼も聖剣が己を叩き斬る寸前に刀を割り込ませてガードした、だがまともに受け止めたが為に隻狼の体幹が一瞬崩れた。

 

その一瞬が、狩人にとっての必殺だった。

 

「逝け!」

 

隙が出来た隻狼に、狩人は聖剣を突き刺そうとする。

 

「まだだ…!」

 

しかし隻狼も崩れた体勢を直しながら刀で防御しようとする。

 

「それを待っていた」

 

その行動が命運を分けた。

 

突きを放つと思われた狩人の攻撃は、突如軌道を変えて隻狼の足へと薙ぎ払われる。

隻狼は咄嗟に上半身を守る様に刀を構えた為に下半身がノーガードになっていた。

 

が。

 

それを待っていた(・・・・・・・・)

 

狩人が勝利を確信し、力の限り振るった『下段攻撃』は風を切っただけだった。

 

「何処に…っ!!!」

 

何処に行った、その言葉が出る前に狩人の肩に凄まじい衝撃が走る。

 

「奥義」

 

狩人が突きから薙ぎ払い行動を変えることを読んでいた隻狼は、狩人の下段攻撃に合わせ、ただ空中に舞った。

 

「仙峯寺菩薩脚」

 

そして空中で足を軸に体を捻り勢いをつけ、凶器となったその足で狩人を蹴りつけたのだ。

しかしそれで終わらない。

 

「ぉう!?」

 

完全に体幹が崩れた狩人に、追い打ちと言わんばかりの連撃が繰り出される。

狩人を蹴った勢いを利用したハイキック、そこから体を回転させての回し蹴り、またも体を捻り勢いのついた剣撃を2回。

防御する間もなく繰り出された隻狼の猛攻に、狩人の為す術は無かった。

 

「異邦の者……」

 

そして最後に、深く腰を落として跳ねるように飛んだ隻狼の強烈な回し蹴りが狩人に直撃する。

 

「御免!」

 

そのまま何も出来ない狩人の肩を掴み、隻狼は確実に命を刈り取る為、背中に担いだ不死斬りを狩人の心臓に突き立てる。

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

バァァンッ!!!!と轟音が炸裂する。

狩人からだった。

 

「しぶといッ!!!!」

「殺すゥ!!!!」

 

薄れゆく意識の中で、狩人は隻狼の不死斬りを抜刀してから自分に突き刺すまでの隙を逃さなかった。

エヴェリン、狩人の血質の影響を大きく受けるその銃は、隻狼からカウンターを取るだけではなく、凄まじい痛みが隻狼の動きを若干鈍らせた。

 

両者大きく体勢を崩し、しかしお互いに必殺の距離、もはや勝敗はどちらが先に致命の一撃を加えるかどうか。

 

「うぉぉおおおおッ!!!」

「ぬぅぅぅぅ!!!!」

 

内臓攻撃か。

忍殺か。

 

相手を仕留める一撃が繰り出される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異聞帯、ロシア。

 

その一角で、一つの死闘が幕を閉じた。

 




話が進まない。
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