異聞に逆らう者達   作:宮条

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感想に察しのよろしい方が沢山居るので、正直ビビってます。


一方その頃

ヤガ・モスクワ。

異聞帯ロシアにおいて唯一の旧人類が辿った形跡が残る都市、しかしそこに住まうヤガ達はそこに並ぶ建造物の修復または建築の術は持ち合わせておらず、何れは滅びゆく定めであった。

そんな見た目こそ普通、しかして退廃を免れぬ都市を眺める者がいた。

 

「まだ…根付かないか」

 

カドック・ゼムルプス。

異星の神の尖兵にして、この異聞帯ロシアを預かるクリプターの一人である。

カルデアに所属していた時は、精鋭が集められるAチームの中では一番実力が低いと自称していたが、クリプターになってからの約三ヶ月弱の間、彼は凡才ながらも異聞帯を生かす為にあらゆる手段を持って準備を整えてきた。

しかしここに来て、重大な問題が発生した。

 

「いつになったら芽吹くんだ…空想樹ッ!」

 

空想樹。

星を更地にし、新たな世界を創成する濾過異聞史現象を成立させるには空想樹無くして実現できない。そもそも異聞帯は空想樹を核として発生している、故に空想樹さえ残っていれば異聞帯が消滅することは無いのだが、このロシアに根付く空想樹は未だ芽吹く様子は無かった。

空想樹が芽吹かないということは異聞帯の維持に関わる、このままではカルデアが何か行動を起こすまでもなくこのロシアは崩壊するだろう。

 

(他の連中の空想樹は既に完成している。僕だけだ、僕の空想樹だけが未だ成長途中にある………クソッ!)

 

カドックにとって、カルデアのAチームに選出されたことはこれまでの人生の中で最も歓喜する事だった。

血の滲むような努力の末身につけた技術を、格式だけが高い魔術師共がまるで何でもないように扱う。

その度にカドックは惨めな思いをしながらも歯を食いしばって這い上がった、そして掴んだ、政治的事情でも、コネや賄賂でもない、純粋な己の力量を認められたのだ。

何も特別な出自を持たない自分が、才ある一流と並び立つ、それがカドックにとって一番の喜びだった。

 

だが気付いた時には全てが終わっていた。

 

研鑽を積んだ技術も、レイシフトに対する高い適正も、それら全てを発揮することも無く何も為さないままに、どうしようもないほど終わっていた。

人理焼却。魔神王ゲーティアが目論んだその計画は、カドック達Aチームではなく、一般枠という補欠にも等しい名も無き凡人が阻止した。

魔術師なんて名乗るのも烏滸がましい毛の生えた程度の一般人がその重荷を背負った。

 

だがカドックには、大いなる使命は担えなかった。

 

「顔が怖いわね、カドック」

「!?」

 

突然の声に驚くカドックの隣に、いつの間にか一人の少女が付き添う様に立っていた。

 

「あぁ……ごめん、何でもないんだ」

「すぐに謝るのは劣等感の表れなのかしら」

 

そんな辛辣とも思える少女の言葉にカドックは

 

「…………そうさ。劣等感の塊だよ、僕は」

 

カドックは自分の卑屈さや何かにつけてネガティブな発言をすることは理解している、だがそれは無意識に行う癖の様なもので、理解しているからと言ってどうこうできるものでもなかった。

 

「それで皇女、何の用なんだ」

「えぇ、少し見て欲しいものが」

 

皇女と呼ばれた少女は、カドックに一枚の写真を渡す。

 

「これは……君が撮ったのか?」

「いいえ、使い魔の見た映像を切り取って写真にしてみたの、出来映えはどうかしら」

 

そうどこか自慢げに語る皇女にカドックは微妙な顔しか出来なかった。

 

(また何とも言えない技術だな……)

 

本人の目の前でそんな事を言ってしまえば氷漬けにされてしまうのは分かっているので黙っておくことにしたカドック。

だがカドックも凡才ではあるが、一人の魔術師であることには変わりない、何代にも掛けて根源の渦へと至る彼らにとって、不必要な技術の取得は時間の無駄なのだ。

よって才能の無駄遣いとまでは言わないが、映像をわざわざ一枚の静止画に変換するという妙な手間をカドックが理解する事はないだろう。

しかし自身が同じ事をやろうとすると何年掛かるか分かったものではない事を悟ったカドックは、一旦その技術に対する思いを他所に置いておく。

 

「何が写っているんだ?」

「それが分からないのよ」

「分からない?」

「分からない……というより知らないと言った方が良いのかしら、少なくともこのロシアで『それ』を知ってる可能性があるのはカドック、貴方だけよ」

「………?」

 

一体何が写っているんだ…?、そう思いつつカドックは写真に目を落とす。

 

「……………は?」

 

写真を見て、カドックは何故皇女が映像ではなく写真という形で報告をしたのか、理由が分かった。

皇女は何も道楽や技術の自慢を目的として写真という回りくどい手段をとったのではない、『そうせざるを得なかったのだ』。

 

「なん……だ、これ?」

「カドック、貴方でも分からないの?」

「分かるわけないだろう………いや違う、『知ってる奴なんて存在しない』」

「知っている奴なんて存在しない……?」

 

そこに写るのは。

 

「これは」

 

その写真に焼き付くのは。

 

「魔術ですらない」

 

異様に角張った巨大な影が、その手に持つ歪な銃をこちらに突き付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き鳥は、極寒の地をも焼き尽くす。

 




何だがゴチャゴチャしてまいりました。


追記
改めて見ると文章が滅茶苦茶だったので修正。
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