異聞に逆らう者達   作:宮条

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寝落ちしそうになりながら仕上げました。


団結

9

 

「へぇ〜それで騎士さん達はここに来たんですね」

「あぁ、君達の行く末を案じてな。しかし済まなかったな、出来ればもう少し早く合流するつもりだったのだが」

「そんな!助けに来てくれただけでも嬉しいよ!」

 

そんな他愛ない会話は、騎士にとっていつぶりの事だったろうか。

 

(やはり忘れているな、人であった時の事など………)

 

一人感傷に浸りながら、騎士は先の出来事を思い出す。

結論から言って、狩人と隻狼の死闘は引き分けに終わった、お互いの攻撃が直撃する前に突如地面からゴーレムが出てきたのだ。

 

「済まないが、僕達は争いが終わるのを待っているだけの余裕がなくてね」

 

指を鳴らしながら乱入してくるのは、仮面を付けた小柄な男だった。

 

「貴様…」

「狩人殿」

 

殺気立つ狩人に待ったをかけた騎士は、仮面の男に言葉を投げ掛ける。

 

「率直に言う、我々は君達に敵対する者ではない」

「ほう?」

「我々はカルデアに助力する者だ」

 

その言葉に、仮面の男の後ろにいる二人の男女が反応をする。

 

「カルデアを知っている…?」

「あの、貴方達は?」

 

カルデアのマスターは、騎士に臆することなく話しかける。

 

「我々は、逆らう者達だ」

「逆らう…?」

「あぁ、君達の様に人理が再編される事を良しとしない連中の集まりだ、本当なら私もそこの彼も現世に現れる事などないのだが、こんな事態だ、直接出向いてきたのさ」

「じゃあ、貴方達もサーヴァントなの?」

「否、我々はサーヴァントなどという大層な者ではないさ」

 

何せ死んでも死なないからな、そう言いながら騎士はこちらを警戒しながらじっとしている隻狼に指を指す。

 

「貴殿もそうなのであろう?『新人』」

「ッ!……何故竜胤を…」

「貴殿のそれは竜胤と呼ぶのか、私達とは少し仕様が違うようだがまあいい。同じ死なずの身だ、殺しても殺せぬ不毛な争いはやめようではないか」

「…………………………………」

 

長い沈黙の末、隻狼は静かな声でポツリと呟いた。

 

「俺は……カルデアのマスター殿に助太刀するためこの地に推参した」

「それは我らも同じだ、『私達』は人理の守り手たる彼を守護する為に集ったのだ」

「………………」

「本来であれば南極の時点で我々は合流している筈なのだがな、全員が全員特殊な存在なだけあって位置と時間にズレがあるらしい」

「何が言いたい」

 

その言葉に騎士はもったいぶらず結論だけを言った。

 

「『隻狼』、君と私達は同胞だ。戦う理由が同じなのであれば手を取り合おうではないか」

 

結果、現在に至る。

 

隻狼との和解後、アタランテ達叛逆軍とは一悶着あったが、その場にいる全員が叛逆軍に協力する約束を取り付ける事で解決した。

そして先の戦いで負傷した二人に関しては、お互い回復瓢箪と輸血液を使用してあっさり完治してしまった。

 

「話がついたのなら、早速君達のアジトとやらに向かおうじゃないか」

 

そして現在、ロシアにて召喚されたカルデアのサーヴァント・アヴィケブロンの言葉と彼が用意した移動用のゴーレムに乗って騎士達はアタランテ達叛逆軍のアジトへと帰還している。

最初は敵対する者同士だったが、晴れて一致団結することとなった。

 

《まったく……君達本当にデタラメだね、狼君は傷が浅いとはいえその瓢箪を飲むだけで治っちゃうなんて》

「俺にも詳しい原理は分からぬ、中にある瓢箪の種に種があるとは聞いたが」

《それってもしかしてダジャレのつもり?》

「………?」

 

鈍い隻狼と通信を介して会話をしているのはカルデアの技術顧問、レオナルド・ダ・ヴィンチ。

ではなくそのスペア、二代目ダ・ヴィンチとも言うべきサーヴァントである。

 

「確か騎士殿も似たような物を持っていたはずでは?」

「これの事か?」

 

狩人の言葉に、騎士はソウルに還元していたエスト瓶を取り出す。

 

「これは不死人である私にしか効果がない故、私以外の治療には使えぬぞ」

「それを言うなら俺の輸血液も狩人以外は浴びてもただの血だ」

《そう、そうだよ狩人君!一番おかしいのは君だよ!人間が血を浴びるだけであんな深い傷治るわけないじゃないか!》

「まあ、狩人とは大抵そういう生き物だ」

《答えになってない!》

 

騎士達のあんまりな非常識さに、さしもの稀代の天才と言えど理解が及ばないようであった。

 

《ふむ…狩人の扱う血が特殊なのか、狩人の身体そのものが特殊なのか………ハハハッ!全く分からない!ここまで来ると返って清々しい位だ!》

 

そしてもう一人、稀代の天才に並び立つ才人が居る。

シャーロック・ホームズ。最高峰の名探偵と謳われる彼だが、騎士達の異常さにはその明晰な頭脳を持ってしても全容を把握出来ないようだった。

 

「やめておけ名探偵、狩人の深奥なんて覗こうものなら文字通り血が沸き立つぞ」

《物騒な脅しだね、いや、当の本人である君が言うのであれば本当にそうなのだろう、大人しく好奇心を収めるさ》

 

そうこう話している内に、アジト近くの洞窟にまでやってきていた。

 

「そろそろだ、全員ここから先は洞窟を抜ける!中には魔獣の類もいるが全て逃げ出して隠れている雑魚だ、無視して走り抜けるぞ!」

 

アタランテが味方を先導し、洞窟の中へと突っ込んでいく、それに続いてゴーレムに乗ったカルデアのマスター達も入っていく。

 

「色々あったけど、これでシャドウボーダーの復旧の目処が立てられる」

「そうですね、先輩」

 

暗い洞窟の中を駆け抜けていくゴーレムのその背中で、カルデアのマスターとそのサーヴァント、正確には人間と英霊を合成したデミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトは希望を語る。

 

「最初はどうなることかと思いましたが、アヴィケブロンさんやアタランテさん、そして騎士さん達が協力してくれれば、この異聞帯の何処かにいるAチームの誰かにも勝てるかもしれません!」

「うん、絶対取り戻そう。俺達の人類を」

 

やがて洞窟の出口が見え、光が零れていた。

その光は、まるで彼らを導くように眩く、しかして優しく煌めいていた。

かくして彼らの物語はここから始まる、そして異分子は彼らの元に集う。

 

カードは揃った。

此度の異聞に逆らうのはたったの四人。

 

しかしその全員が異例であり異常、常識を破壊するイレギュラー、そんな者達が一堂に会するこの場は地獄か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否、地獄はこれから。

それは彼らの手で行われるべきことなのだから。




FGO主人公の影がうっすい

追記
やっぱり意識朦朧の中で執筆するのは駄目ですね。
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