ありふれたゴブスレフロムもの 作:偉大な英雄のソウル♂
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やっぱりマルチプレイしてぇよな。
ソロ専って訳じゃあないんだが、自分、金にはうるさくてね。取り分けが減るのは困るが、私が死ぬのは困る。もっと言えば、ハズレを引いて損をしたくない。クソ白クソ太陽クソホストクソ闇はもう嫌なんだ。なんかこう、人格に問題はなくて、優秀な人とか、いらっしゃらないんですかね……?
いないよなあ。いる訳ないもんな。かーっ! 使えねえ!
「ゴブリンだ」
「はい、ゴブリンスレイヤーさん。そうですね、今は2つあります」
「両方受ける」
「はい、ありがとうございます」
声の方を向くと、とてもみすぼらしい格好をした男がゴブリンの依頼を受けていた。
お? ゴブリン? マジ? ゴブリンの依頼受けるやつおるんか。はえー意外。見たところあいつもソロか。よし、いい機会だ。私も参加できるか聞いてみよう。
長椅子から立ち上がり、ゴブリンスレイヤーとやらの元へと向かう。そして、受付の机をトントンと指で叩き、ジェスチャーでついて行っていいかを聞く。
「そうですね……あなたもゴブリンスレイヤーさんも、ソロがメインですから、誰かと一緒に依頼を受ける、というのもいい経験になると思いますよ。お二方とも、ゴブリンの依頼をよく受けていらっしゃいますし、相性もいいと思いますよ?」
笑顔でやんわりと協力することを勧める受付嬢。
さすが受付嬢ちゃん。私へのフォローが的確だ!
隣のゴブリンスレイヤーとやらは、暫く考え込むように唸った後「そうか」と簡潔に答えた。
「はい、そうです」
笑顔を崩さず返す受付嬢。
「……何ができる?」
私の方に向き直し、ゴブリンスレイヤーは聞いてきた。
何が出来る、ねぇ? うーむ。
腕を組んでうんうん唸って考えてみるが、思いつかない。取り敢えず胸をポンと叩き、前衛職ができるアピールをしておく。
「……そうか」
反応が淡白。あと受付嬢ちゃんも苦笑いしないで。
「直ぐに出る。準備はいいか?」
首を縦に振り、肯定の意思を伝える。元々ゴブリンの依頼、もしくはそれ以外に旨味のある依頼を受けにきたのだ。野営用の道具は常に持ち歩いているとも。
「では、今回はお二人で受けるということになりますね。気をつけて下さい」
目的地である村に着いたのは、日が傾いた頃だった。
「ああ〜、冒険者さんだ、よぉぐ来てくれただ」
鈍っている言葉を投げかけてくる村人。もしかしたら村長だったりもするかもしれないが、興味ない。
隣のゴブリンスレイヤーが村人に対して、色々と問いを投げかけている。何を拐われた、奪われた、どこから来た、どんな被害が出ているか。数は幾つだ。
事細かに聞いているそれは、なんともこなれているものだった。平和を掛けてから突貫する脳筋の私とは大違いだな。
「巣があるな」
「ああ、恐ろしや……」
ゴブリンスレイヤーのその一言で、村人は酷く震え始めた。
「夜、また略奪に来るだろう。今のうちに、巣を探す」
ゴブリンスレイヤーが、ゴブリンが去って行ったと村人が言った方向へと歩みを進める。自分も勿論着いて行く。足跡や、草が踏み潰されている、所謂獣道、今回はゴブリン道だが、それを辿っていく。が、もっと良い手がある。
ゴブリンスレイヤーの腕を掴み、クイクイと引っ張って止まるよう伝える。
「……なんだ?」
まあ見ていろ。その場で屈んで祈り、詠唱。使う奇跡は、敵意の感知。この世界の神と、私が信奉していた、というか、なんというか。まあ、神がいなくとも奇跡は発動できるならいい。ソウルの業に近しいはずだが、なぜか扱える、使えてしまう。細かいことは気にするな。使えるなら困らん。それだけだ。まあ太陽は偉大だし、実質神だから問題あるまい。
フワフワと、眼球を模したソレが真っ直ぐ進んでいく。私はそれを指差し、ついていけと伝える。
「探知、のような魔術か何か、か」
その問いに対し、頷くことで答える。
「有用だろう。が、罠や痕跡などを見逃す訳にはいかん」
そうかぁ、そうかぁ。私は巣へ直行するんだが、それも大事か。そこら辺も考えるべき、なのかもしれんなあ。
「回数は……余裕あるか?」
うんうん。問題ない。まだまだ余裕だ。
「そうか。ならいい」
再び、ゴブリンの痕跡などを辿るゴブリンスレイヤー。もう長いからゴブスレでいいや。いやそれもめんどいし、変なのでいいや。いやダメだ。変なのは強い。ゴブスレにしよう。
ゴブスレの側で周囲の警戒をしてると、彼は色々と教えてくれる。ゴブリンは夜目が効くとか、身体の構造は人と変わらないとか、魔術を使うやつや、大きなやつ、もっと大きなやつがいるとか、女性を盾に張り付け縛り付け、こちらの心を折るとか、とにかく色々だ。
なるほど、面白い。私はその、なんだ、肉の盾とやら諸共叩き潰す側なのだが、まあ、あれだ。秩序が保たれている世界でそれは、うん。自重するか。
そんな事を考えながら進み続け、色々と教えられながら、空が橙色になった時、ようやく巣あるであろう洞窟へと辿り着いた。
「見張りが2体か」
どちらもうつらうつらとしている。本当に、夕方が奴らにとっての早朝とはな。
「投擲の腕前はどうだ?」
その問いに対し、私はゴブリンと直線状になるよう移動し、そこから白教の輪を投げつける事で2匹の首を刎ねる事で答えた。
「便利なものだな。残りは?」
片手を開き、5回はいけると答える。
「そうか。ならいい。が、温存しておけ」
せやな。
彼は片手で松明を持ち、もう片方の手に剣を持って洞窟の中に入るらしい。左腕には小盾が括り付けてあり、手を自由に動かせるようにしているようだ。なるほど。私は左手に盾を持ち、右手に武器を持っている関係上松明無しで今まで戦っていたが、そうか、盾を腕に括り付ければよかったのか。
そのまま両者共に壁を叩きながらゴブスレについて行く。
「分かれ道だ。探知の魔法、使えるか?」
はいはいっと。祈り、詠唱。どうやら、左斜め後ろらしい。
「では、先に右だ」
おっ、やっぱり? やっぱり脇道探索するよねー。右に進むと、段々と臭いがきつくなってくる。あー、なるほどね。
「間に合わなかったか」
酷く汚れた肉塊。山のようになっている糞尿。飛び回る蝿。そこらに溢れる蛆虫。
「戻るぞ」
あいあいさ。
道を戻り、敵意の感知が飛んで行った方へ進んでいくと、最終的にそれなりの広さの空間、つまりは奴らの寝床に辿り着いた。やはり、ゴブリン達は寝ているらしい。
音を立てぬよう、1匹1匹丁寧にゴブリンの首に剣を刺し、殺していく。彼の方を見ると、ゴブリンの武器で殺していた。なるほど、その手があったか。私も彼に習い、ゴブリンの武器で殺していく。そうやってゴブリンを片付け終え、念の為にともう一度敵意の感知を使う。
「向こうか」
どうやらまだいるようだ。奥へと進むと、寝ている術師がいた。
「やはりいたか、ゴブリンシャーマン」
彼はそれだけ言い、手に持っていた棍棒を術師の頭へ振り下ろした。ぐちゃり、ばきゅりと、骨が折れ肉が潰れる音と共に術師は死んだ。だが、まだ終わりではないだろう。
さらに奥、ガラクタをどかすとそこにはゴブリンの赤子がいた。呑気なアホ面を晒している。
「ゴブリンは皆殺しだ」
お互いに棍棒を振り上げ、醜悪な其奴らへと振り下ろした。
とまあこんなことがあったから、私はちょくちょく彼の依頼について行ったり、手伝ってもらったりするようになったのだ。
まあ、等級が上がって楽に稼げるようになってからは、あんまり関わらなくなったのだが。
所謂ダクソらしさとはなにか。まあ、大体の人が騎士装備を着込んでるのをイメージすると思う。で、なんかヤバそうな化け物と戦ってるイメージ。
とまあそんな感じで主人公は騎士スタート。どのパケも騎士だしね。
奇跡の使用可能回数を減らしました。まあ、成長したら増えて結果的に10回、もしくはそれ以上になるんですけど。
ちなみに、癒しの回復量は蜥蜴僧侶の回復奇跡と同じ程度です。それなのに使用回数6割分(最低消費6回分)消費します。つっかえ! まとめて治せるのはいいが、割りに合わない。たぶん、ただの回復だと小指を思い切りたんすの角にぶつけた痛みを治すぐらいしかできなさそう。大回復で、骨折が治る、とかかなあ? うーんバランス調整が難しい。