ありふれたゴブスレフロムもの   作:偉大な英雄のソウル♂

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正直、前書き的な所で書くこともうないから書かなくてええやろ。
ゴブスレ読むのと書くのを並行してやってるから疲れんねん。


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当たり前の話だが、オシャレ装備をする奴は早死にする。死にたくなければ着込むのだ。アルトリウスやキアラン一式を着るのはマヌケだ。生き残りたいのならば、クワガタグンダマン、仮面ハベル、ゴダベル、仮面巨人などが好ましい。それ以外の軽装中装はただの愚か者である。

 

 

◆◆◆

 

 

 

そこそこ良い稼ぎの仕事をすれば、ほいほいと簡単に昇級出来る。いやあトロルは強敵でしたね。ゴブリンと一緒だとキツイが、逆に言えばゴブリンと一緒じゃないならヌルゲーである。というか、この世界平和すぎでは? やっぱりこの世界で骨を埋める覚悟をするべきか。ご飯は美味しいし、しっかりした寝床で眠れるし、頭おかしい奴は少ないし、最高だな!

 

だが問題はゴブリンである。山奥に行く依頼を受けるたびにゴブリンと接敵するんだけど、数多すぎない? メインを狩る前にゴブリンの巣を潰すのが習慣化してるんだけど、これってタダ働きだよね? どうにかして金貰えないかなあ。あ、そうだ。ゴブリンの巣に私のこの兜を模した絵を描けばよいのでは? いや待て、ゴブリンとグルだと思われるのでは? ううむ、悩む。

 

この前もゴブリンの巣をオマケで潰してたのだが、他の冒険者とエンカウント。旅は道連れ世は情け的なノリでそのまま一緒に仲良く巣を潰したのだが、いやあ、まさか、彼女、聖剣を引っこ抜くとはな。彼女が死ねば、あの聖剣は私のものだ。フフフ、蒐集癖が。だが、今はデメリットの方が大きい。彼女の依頼についていけばがっぽり儲かるし、なにより、厄介事が転がり込んでくる。フフフ、厄介ごとは好きよ。きっと面白いことが起きる。

 

だが、さて、どうしたものか。

フラフラとあちこち旅して依頼を受けていたのだが、どうにも王都は好きになれん。なんだろうな。なんか気にくわないんだよな。まあ、平和なのはいいことだ。飽きたら王都を潰すのも面白いかも知れん。いや、流石に無理か。

 

ううむ、悩むなあ。

やはり稼ぐなら王都だが、人付き合いが苦手な私にあそこは無理だ。西の辺境に戻ってきたのはいいが、王都ほど稼げる依頼は多い訳ではない。あと、王都はなんか面倒だ。あれ? つまりもう、王都に行く必要はない? じゃあもう行かなくていいや。

 

 

 

 

 

 

「それを言ったら、鉱人(ドワーフ)の女子なんて樽じゃない!」

 

「ありゃあ豊満と言うんじゃ! 金床よりはマシだわい!」

 

えーなにあの受付でギャーギャー騒いでる人たち。もしかして田舎者? プフー。

にしても、すごいパーティだな。ドワーフ、エルフ、リザードマン。なかなか見かけない組み合わせだ。

 

「オルクボルグ、かみきり丸とは其の者の字名でな。つまり、小鬼殺しという意味だ」

 

ほー。ゴブスレに用があるのか。

 

受付嬢がゴブスレなら知っていると伝えると、あの3人組はたいそう喜んだ。が、ゴブリン退治の依頼に出かけており、まだ戻って来ていないと伝えると、少し落ち込んだようだ。

 

まあ、運が悪けりゃ人は死にますがね。

 

と、その時バタンという音が後方からした。どうやら、お待ちかねの人が来たようだぞ。

 

冒険者ギルドの扉を開け、堂々と、いや、ズカズカと無遠慮に入ってくるその男。みすぼらしいその格好。だが、それでも銀等級である。そして、ゴブリンのみを専門に討伐する男。その名は──

 

「おかえりなさい、ゴブリンスレイヤーさん!」

 

──小鬼殺し(ゴブリンスレイヤー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロビーの壁際、隅の方、ゴブスレがよく座っている椅子に、私とちみっこ聖職者は座っていた。彼女はゴブスレに休んでいろとぶっきらぼうに言われ、傷心していたように見えた。ゴブスレは銀等級の者達と上の応接室へ。白磁の彼女は取り残される。うん、捨てられた、と思うのも無理はなさそうだ。

私は彼女の隣に座り、慰めの言葉を盾に書き込んでいた。

 

『言葉が足りないだけだ。気にするな』

 

「そう、なのでしょうか。やはり、私は足手まといなのでは……」

 

ゴシゴシと擦って盾に書き込んだ文字を消し、新たに書き直す。

 

『白磁なのに毎日ゴブリンで疲れただろうから休め、って意味さ』

 

「本当ですか?」

 

潤んだ瞳でこちらを見上げる女神官。うーん可愛い。

 

その問いに対し、私は優しく頭を撫でる事で応えた。

大丈夫大丈夫。あいつ、なんだかんだで面倒見いいから。見捨てたりしないよ。まあ、追いかけもしないんだが。来るもの拒まず去る者追わず。ガンガン攻めていけよ〜? 恋する乙女は強しって奴だ。

 

受付嬢が淹れてくれた紅茶を、兜を外さず器用に飲み干す。

 

『ふふふ、すごいだろう』

 

「ゴブリンスレイヤーさんみたいな人が他にもいたなんて……」

 

彼女は目を半開きにし、苦笑いしながら言葉を紡いだ。どうやらウケが悪かったらしい。失敬な。兜を外さず食べたり飲んだりするのは普通ではないか。そうでもなきゃアル中なんて呼ばれんぞ。そんなんじゃあこの先生きのこれないぜ。なんでゴブリンに負けたか、明日までに考えておいてください。そしたら、何か見えてくる筈です。ほな、さいなら。いや違う。さよならしてはダメだ。

 

「横、いいかし、ら?」

 

デカアァァァァァァイ!!! 説明不要!

魔女が来たので私が横にずれ、ちみっこ聖職者の横に座らせる。魔女が座るとき、むにん、という音が聞こえた気がする。気のせいであってほしい。

 

「彼と、よくいる子、でいいのよね?」

 

「あ、はい、ご一緒させてもらってます」

 

「『ごいっしょ』、ね」

 

魔女は意味ありげに笑った。私はなんとなく察した。私が失敗したから、フォローをすると言うことだ。いや、失敗してない。私は成功してる筈。つまり、彼女は成功を大成功にするために来てくれたのだ、きっと。

 

私は横で黙って彼女達の話を聞いていたのだが、なるほど、まさか、こんなちみっこいのが、よもや『アレ』に恋、ねえ。

ククク、私の乙女レーダーを舐めてもらっては困る。簡単に見抜くことができるからな。一生ネタにしてやる。

 

「それじゃ、ね。これから彼と、冒険(デート)なの。あと、あなた」

 

おん? なんぞや。

 

「おいたは、ダ、メ、よ?」

 

からかうようにウィンク。

 

「ク、ク、ク……」

 

甘い香を振りまきながら、彼女は去って行った。

 

まったく。魔女というのには、いつの時代も、どこの世界でも敵わんものだ。

 

 

しばらくして、ゴブリンスレイヤーの姿が見えた。そして、一直線に受付へ向かった。どうやら依頼を受けたらしい。ふむふむ、ゴブスレの依頼から金の匂いがするな。

 

ほれ、行ってこい!

ちみっこ聖職者の背中をバンと叩いて立ち上がらせ、ゴブスレを指差す。

力加減をミスったのか、不満そうな顔でこちらを振り向く。涙ぐんでいるが、まあ、涙は女の最大の武器だ。頑張れ。

 

とてとてと走っていくちみっこ聖職者。そして、ギルドを出ようとするゴブスレの前に立ちはだかり、言い放つ。

 

「ゴブリンスレイヤーさん! あ、あの! 依頼ですよね!」

 

なんだ。ちゃんと声出せるじゃねえか。私の仕事はこれで終わり。あの2人のやりとりを見守るだけだ。

 

やっぱりゴブスレはコミュニケーションがまともに取れないらしい。それは相談とは言わんよ、ハハハ。

 

さて、私が求めるのは厄介事と金だ。ならば、付いていくしかあるまい。

 

ゴブスレの元へと行き、付いて行っていいかを聞く。

 

「好きにしろ」

 

やったぜ。

 

 

 

 

 

 

出立してから、あっという間に3日経った。今夜は良く晴れているようで、赤と緑の2つの月がよく見える。平原で野営をする私たちは、焚き火を囲むように座って休息を取っていた。夜は冷える。ぬくもりは皆で共有すべきものだ。

 

「そういえば、みんな、どうして冒険者になったの?」

とは耳長の問いだ。

 

「そりゃあ、美味いもん食うために決まっとろうが。耳長はどうだ」

樽男が答え、耳長に聞き返す。

 

「だと思った。私は外の世界に憧れて、ってとこね」

厄介ごとの予感。こいつを放置するとロクな事が起きなさそうだ。

 

「拙僧は、異端を殺して位階を高め、竜となるためだ」

トカゲ人間の言葉は、よくわかるものだった。ああ、そうだ。ソウルを集めれば集めるほど、人は人で無くなる。デーモンになるのだ。似ている。竜信仰のあったあの地も、拡散する世界だったあそことも、似ている。

皆が動揺しているが、その在り方は、まさしく、我らと同じものだった。

 

「ゴブリンを……」

 

「あんたのはなんとなくわかるからいいわ。それよりもあんたよ、あんた。あんたは何のために冒険者になったのよ」

 

『考えてください。何のために戦うのか』

 

言葉が、重なって聞こえた。

 

「ク、ク、ク……」

 

懐かしいな。

 

 

 

 

私は、私が求めるのは──

 

 

 

 

 

 

親指で首を掻っ切るような動きをし、そのまま下を指す。

 

 

 

 

 

 

 

──最強という名の称号だ(骰子で9の目を出すことだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜか皆が黙り込む。うーむ。やはり、カッコつけすぎたか。まあ仕方あるまい。ウケが悪いのには慣れている。

ダメだ。恥ずかしい。昔を思い出す。

私は、そそくさとその場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これでも私は、昔はまともだった。世界を救うのに積極的ではなかったが、しかし、滅ぶよりはマシだろうと、自分のやれる範囲のことは精一杯やろうと、ボーレタリアへと向かった。

 

色々とした。和解しようとした。助けようとした。

 

でも、無理だった。わたしには荷が重すぎた。凡人には出来ぬことだった。

 

『世界とは、もとより悲劇である』

 

オーラントの言う通りだった。世界とは悲劇である。繰り返される世界。終わらぬ定め。ソウルを求めよとささやく。

まったく、ああ、本当に、どうしようもない。

 

火とは、いつしか消えるものである。燃料がなくなれば終わりだ。栄えたところでいずれ滅ぶ。死人に口なし。

まったく、度し難い。どうしようもないクズであった。太陽を信じたわたしがバカだった。彼は、太陽を見つけたのだろうか。ああ、まったく、本当に、救いようがない。

 

ルカティエル。お前のことは、忘れてなどいないさ。ああ、まったく、君ほど手のかかる者はいなかった。そして、ヴァンクラッド。ああ、やはり、人は、どうしようもない。アンディール、君は、偉大だった。ああ、本当に、救いようのないほどに。

 

ルドレス。貴方は、勇気ある者だった。そして私は、踏みにじる者だった。

 

正義とは、分からぬ。

世界は、ありふれた英雄が救うのだ。

英雄は、それこそゴブリンのように、腐る程いる。

別に、私が頑張る必要などないのだ。

だが、ああ、まったく。人という生き物は度し難い。

結局、私は、完全に堕ちることは、中々出来ぬのだろう。

やろうと思えばできるさ。だが、まあ、気乗りはしないが。

 

「ク、ク、ク……」

 

だからこそ、私は何度だってする。

 

好きなように生きて、好きなように死ぬ。やりたいことのみをして、やりたくないことはしない。やりたい事をするためならば、私は、悪鬼羅刹と罵られようとも構わぬさ。それが、私の生き方故、な。

 

 

 

 

 

 

「俺は、月から来たと聞いた」

 

「月? 月というと、あの空に浮かぶ双つのか?」

 

「そうだ。緑の方だ。あの緑の岩で出来た場所から、ゴブリンはくる」

 

戻ると、ゴブリンの話をしていた。

 

「月には草も、木も、水もない。岩だけの寂しい場所だ」

 

月とは、そういうものなのか。

 

「奴らはそうでないものが欲しく、羨ましく、妬ましい。だからやってくる」

 

──だから、誰かを妬むと、ゴブリンのようになる

 

「ク、ク、ク……」

 

なるほど、な。まったく。面白い。

 

「なんじゃ、蝋文字の。帰ってきておったのか」

 

「で、あんたは、ゴブリンはどこから来ると思うの?」

 

ゴブリンとは、どこから来るのか、とはな。

 

『奴らは、我らの内より生まれ出づる。根源は神だ。神の姦計により、我らは堕落し、ゴブリンと化す』

 

「あ、あなたって言う人は!」

 

顔を真っ赤にする、ちみっこ聖職者。耳長も不満そうにしている。

 

「神が原因とは、大きく出たもんだわい……」

おっかなビックリと言った様子の樽男。

 

「中々、肝が据わっておられるようですな」

トカゲ人間も、外には出さないだけで動揺しているようだ。

 

『冗談だ』

 

「神が原因、か……」

ゴブスレのその言葉には、どんな想いが込められていたのだろうか。その呟きを最後に、彼の身体から力が抜けたのを確認した。

 

『夜も遅い。休むべきだろう』

 

「それもそうですな。しっかり眠らねば、それこそ失敗をしてしまう」

 

「あんたねえ、冗談でもそういう事言っちゃダメよ。いい?」

耳長に諭されてしまった。

 

へいへい、気いつけますよっと。

 

「鐔兜さん、その……」

ちみっこ聖職者の目が下の方を向いて、泳いでいる。

 

『すまなかった。ただの冗談だ。気を悪くしたのなら謝ろう』

 

「い、いえ、そういう訳では……! か、考え方は人それぞれですから!」

 

わたわたとする彼女。

 

『よく眠るといい。体に気をつけて』

 

「は、はい。おやすみなさい」

 

彼女に背を向けて、歩き出す。

 

「ク、ク、ク……」

 

まったく。面白い者もいるのだな、やはり。

 

 




ストック切れたので休みます。
1巻、2巻、つまりはアニメ13話までのが書き終わったらまた投稿するかも。気が乗れば。気が乗ればってことは、気が乗らなければ投稿しないと言うこと。書いたところで気乗りしなければ結局は投稿しないね。

不死人はすべてを羨み、妬み、嫉んでいる。まったく、まるでゴブリンではないか。
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