生きるとは、善くありたいと思うこと   作:ぬがー

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第一の侵略者 ドゥベ①

 二〇一八年九月一日。

 今日から新学期が始まる。

 一哉たちは夏休み中でも訓練のために毎日登校していたので新学期という感覚は薄い。しかし夏休み中は自由時間が多めに取られていたし、授業もなかった。一哉としては大社で訓練を受けていた時よりかなり緩いので不満はないが、億劫に感じる者もいるだろう。

 そんなことを考えながら教室の扉を開けようとし、嫌な予感がしたので少し止まって耳を立ててみた。

 

「こんな悪魔のブツ今すぐ成敗だあぁっ!!」

「ちょ……! タマっちさん!? 揉まないでください!!」

「むしろもぐ!!」

「ひゃあぁあ!!」

「落ち着け土居!!」

 

「縦拳! 回し蹴り!」

「あ、あんまり足を上げるとパンツが……」

 

 察するにまた球子がひなたにセクハラして、友奈がテレビで見た格闘技か何かを千景に披露していたのだろう。

 このクラスのメンバーは全員下ネタには耐性がない。小説好きでそういう描写があっても読み進められる杏が少しマシなくらいか。

 勇者たちは全員ドが付く善人だ。こういう場面を見ないようにチャイム直前で登校していることは理解してくれるので、被害を受けることはない。だが間違いなく気まずくなるし、友奈の方は千景が危惧した通りになっていれば泣きが入っていただろう。直前で気付けて本当に良かった。

 

 扉をノックして来たのを伝えてから教室に入る。

 球子はひなたから離され、友奈はスカートを押さえて千景の後ろに隠れていた。

 

「おはよう」

 

「あ、ああ、おはよう。景山が来たということはもう時間か。皆席に着こう」

 

 皆が席に着き始め、同時にチャイムが鳴る。夏休み前と同じ生活の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前中の授業が始まる。

 まず行ったのは勇者や悪魔憑き、悪魔人間の重要性の再確認。自衛隊やデビルサマナーが星屑と戦った時の映像記録を視聴した。

 これまでも何度も見せられたが、やはり全く抵抗できていない。デビルサマナーや異能者は悪魔との戦いで常人を超えた身体能力を持っているから逃げるくらいは出来ていたが、本当にそれだけだ。

 

「見ての通り既存の戦力は天敵の前では無力です。世界を守ることが出来るのはあなたたちだけ。だからこそあなたたちの力が必要なのです」

 

 何度となく聞かされた言葉を繰り返し教師は伝える。この戦力に戦線から逃げられれば四国が終わる為、絶対に逃げようと思わないようにするために。

 一哉としては人を助けるのは善いことだし、自分が体を張れば四国を守れるなら頑張ろうと思える。なので指示に従うつもりでいるし、念を押されるまでもない。

 だがこういう風に身を削って戦うことを強要するのは好みではない。例えデビルサマナーや異能者の家系では当たり前に行われていたことだとしてもだ。人に身を削らせる前に自分の身を削るのが正しい形だろうと思う。

 

「(そうするしかないって言うのは分かるんだけどな。先生だってデビルサマナー、人に押し付けず自分で戦うって言う正しいことをしたいだろうし。本当に嫌な世の中だ)」

 

 教師が「なんでこの子たちだけに」と思ってくれているからこそ、勇者たちは「なんで自分たちだけが」と口にすることはない。これでうまく回ってしまう現状に一哉は愚痴の一つも言いたい気分だった。

 

 

 

 

 

 

 座学も終わり、次は戦闘訓練だ。

 ひなただけは巫女としての訓練を受けるため別の場所へ連れていかれ、時々アマネさんが訓練に加わる。今日は大社の仕事があるらしく来なかったが。

 訓練内容は多岐にわたり、運動による体力向上、格闘技等の基礎訓練、座禅を組んだりして精神修養も行う。そして極めつけがコレだ。

 

「はぁぁああああっ!」

 

『オオオォォォォッ!』

 

 デビルサマナーである教師たちが召喚した悪魔との実戦染みた多対多の戦闘訓練。神樹の結界で星屑が四国内に侵入してくることはないせいで不足している実戦経験を積むための訓練だ。

 数と大きさこそ星屑には劣るが、多様な能力に的の小ささによる回避性能を考慮すれば勇者にとっては星屑より厄介だ。これを苦も無く倒せるようになれば星屑がいくらいても作業にできるはず、という設定での訓練である。

 なお一哉は敵役の悪魔をアマネが召喚する時以外は見学。悪魔人間化した経緯か、それとも村一つ滅ぼした経験か、スペックがずば抜けているので敵を強く設定しないと人形相手に連携訓練しているのと変わらなくなるためだ。

 

 他のメンバーが牽制している間に前身した若葉がボス格の若葉の邪鬼オーガと切り結ぶ。体格ではオーガが見るからに優勢だが、勇者服を纏うことによって上がった若葉の身体能力はオーガのソレを上回っていた。技量もきちんとした武術の動きを取る若葉に対し、オーガは力任せに暴れるだけなので着実に追い詰めていく。

 途中、大振りな【怒りの一撃】が繰り出されるも危なげなく回避し、ついにオーガが手に持つ鉈を弾き飛ばす。オーガは倒れるまではいかずとも体勢を崩し、胴ががら空きになった。

 

「勇者、パンチ!」

 

「はっ!」

 

 バランスが崩れたオーガに対し、取り巻きの闘鬼コボルトを倒し終わった友奈と千景の攻撃が叩き込まれ、実体を保てず消え去っていく。

 大物を撃破した隙を突こうと空から凶鳥イツマデと数体の妖精ピクシーが襲い掛かるも、盾と矢が飛んできて撃ち落とされていく。

 

「デカい鳥は落としたぞ!」

 

「ピクシー一体残りました! 処理お願いします!」

 

「わかった! それは私が仕留める!」

 

 若葉が飛び上がり、ギリギリ撃墜されなかったピクシーにとどめを刺す。これで召喚された悪魔は全て倒し終わった。

 

「今回は少し強化したピクシーを混ぜたのですが、問題ありませんでしたね。

 少し早いですが午前の訓練はこれまでとしましょう。お疲れ様でした」




デビサバ世界と混ざってるので原作と違って教師は元戦闘員。

その影響で戦闘訓練で模擬戦闘も行うし、連携訓練も多い。結果、初戦で杏が変身できないとか、千景が動けないとか、若葉の独走で各個撃破されかけるとか色々イベントが消えてます。
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