夢の向こうで見る夢を   作:大樹 紗夜

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投稿します。
やっと十話目…これからも頑張っていくので、気が向いたら見てください。今回から体育祭編に入ります!

投票してくれた方ありがとうございます!


第10夜 悪夢が明けて 

敵連合とエルクレスたちの襲撃があり、翌日は臨時休校となった。

その次の日。普段通りの学校生活が始まる。

 

「でさぁ、それがすっげぇ迷路で…」

「上鳴は完全に迷ってたけどね」

「あれは仕方ねぇだろ?!」

 

教室に入ると生徒たちが先日の襲撃の話をしている。

クラスは(ヴィラン)に襲われたと言う割には明るい様子だった。やはり、生徒の負傷者が少なく死者が出なかったことが大きいだろう。

 

「皆ー!朝のHRが始まる!席につけー!」

 

飯田くんが皆に席に座るように言う。さすが学級委員だと言いたいところだが、既に飯田くん以外は席に着いていた。

教室のドアを開け全身包帯だらけのミイラ男、いや担任の相澤先生が入ってくる。

 

「相澤先生復帰早ぇえ!」

「先生?!もう大丈夫何ですか!」

 

生徒たちの驚きと心配の声を受けながら相澤先生は教壇に立つ。ちょっとよろめいている様子から結構無理をしているように感じるが…本当に大丈夫だろうか?

 

「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ戦いは終わってねぇ」

「戦い?」

「まさかまだ敵が!?」

 

相澤先生の言葉から一気に教室内に緊張が走った。

また敵たちが攻めてくるのかと緊迫した雰囲気になる。

 

「雄英体育祭が迫ってる…!」

「「「クソ学校っぽいの来たあぁぁ!!」」」

 

張り詰められた空気はお祭り気分へと移行した。

 

 

雄英体育祭。かつてあったオリンピックに代わり、テレビで放映され世間を盛り上げる雄英高校の学校行事の一つ。

数多くのプロが生徒をスカウトするために訪れ、注目されれば卒業後の進路を決める上でかなり役に立つこと間違いない。卒業までにたった三回しかないこの行事に生徒たちがかける思いは尋常ではないだろう。

 

…一体どれだけの()が叶い、どれだけの思い(・・)がこぼれ落ちていくか分からないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HRが終了し、時間は過ぎて昼休みになった。

 

「白儀君!ご飯一緒に食べよう!」

 

元気よく話かけてくれたのは麗日さん。その後ろに飯田くんもいる。

いつもご飯を一緒に食べているので声をかけてくれたのだろう。しかし、あと一人の姿が見えない。

 

「もちろんいいよ!麗日さんに飯田くん…緑谷くんは?」

「緑谷君は先程オールマイトに呼ばれていったぞ!」

「オールマイトに?」

「オールマイトと緑谷君は同じ増強型個性だからな!積もる話もあるのだろう!」

 

飯田くんがハキハキと答える。…相変わらず、手の動きが面白い。

ガサリと今日の昼食が入ったビニール袋を掴む。

 

「今日はスーパーの冷凍食品全部買ってみたんだ」

「すごい量だな!」

「うわぁ!何が美味しかったのか後で教えてね!」

「うん」

 

二人と供に雑談を交えながら食堂に向かい、昼ご飯を食べた。

 

その日の放課後。帰ろうと教室から出ようとすると何やら入り口の方が騒がしい。

 

「なんだい?この人だかりは」

「あ、白儀か!」

 

近くにいた切島くんに問い掛ける。聞くと先日の敵襲撃に耐えきったA組の敵情視察に他のクラスの生徒が詰め掛けていると言う。…雄英の生徒は、なんと言うか行動的だね。

 

「意味ねぇからどけ、モブども」

 

爆豪くんが詰め寄せる人だかりを気にせず進む。

集まった生徒たちからA組生徒を煽る言葉が聞こえるが、爆豪くんはそれもまるで相手にしていない。

 

「待てコラどうしてくれてんだ、おめーのせいでヘイト集めまくってんじゃねぇか!!」

「関係ねぇよ」 

「はぁ!?」

「…上にあがりゃ、関係ねぇ」

 

爆豪くんはそう言って人だかりの中に消えていった。

 

「さすがだね、彼は」

 

(ヒーロー)に向かって自分を高めようとする意思の強さ。もともとの才能と、努力を重ねて夢を叶えようと頑張っているのだろう。その姿を見て彼も応援(・・)したいと思った。

 

未だに世界に完全性がないから、今回の体育祭では一人の夢を叶える(・・・)ことしか出来ないだろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校の校長室。頭に包帯を巻いた熊とネズミの中間のような白い動物が窓から外の景色を見ていた。

彼は『ハイスペック』という個性を持った雄英高校の根津校長先生その人である。…人ではないが。

 

(ヴィラン)連合にエルクレスか…」

 

根津校長は頭を悩ませる。

先日のUSJ襲撃事件。敵が雄英のカリキュラムを知っていないと襲撃は不可能だった。

敵連合と名乗る死柄木弔と黒霧。警察と連携し、アジトを探している最中である。

 

今回の体育祭。雄英のセキュリティが磐石なものであると世間に示すために開催することにしたが、不測の事態は避けられないかもしれない。

 

一番の問題はエルクレスたちだ。敵連合と供に現れた異常な力を持つ敵。いくらオールマイトが動けない状態だったからと言って、雄英の教師(プロヒーロー)が束になっても傷一つつけられなかった。

敵連合が用意していた脳無という怪人とは違い、エルクレスは理性がありながら複数の個性を持っていると考えていいだろう。

炎と光の破壊の力。世界を塗り替える、まるで夢のような(・・・・・)絶対的な力。

個性はどこまでいっても身体機能の一種のはず。エルクレスの力はどこか個性の枠から、いや人間(・・)が出来る事から外れているようにも感じた。

 

「…エルクレスがあのまま暴れていたら、生徒たちも危なかったかもしれない」

 

実際、それほど危険な状況だった。

作り変えられた世界。活動限界間近のオールマイト。

…エルクレスは敵連合などよりずっと脅威足りうる存在に違いなかった。

エルクレスが遊び(・・)ではなく本気(・・)だったら、どれだけの被害が出ていたことか。

 

そして戦いを止めたキノコの少女。

エルクレスたちとの関係は仲間ではなく、同族(・・)だと言っていた。彼らの種族なのか目的なのか、何を指しての同族かは分からないが、少なくとも味方であるとは考えづらい。

何より…。

 

『“神様”のお告げを届けるのがお役目なのだ』

「神様とは一体何者なんだろうね」

 

彼女の言葉を信じるならば、エルクレスたちがあの力を使えるのは“神様”と呼ばれる存在がいるからだ。

あのエルクレスに力を与えた存在。間違いなくエルクレスよりも強敵だ。

 

「その神様とやらが何の目的で動いているのか。

一体誰のことなのか。

思っている以上に敵は強大なのかもしれないね…」

 

根津校長は一人静かに呟いた。

 

 

 




次から体育祭が始まります。
…何故自分は白儀くんを入試一位にしてしまったんだ?選手宣誓を考えなければ…!

次もどうぞお楽しみに!
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