前回投稿から約4ヶ月…お久しぶりです。この前ようやく長期休暇に入った作者です。
今回の話、何回も構成コネコネしすぎて矛盾点があるかもしれませんが暖かい目で見守ってください。
緑谷side
あの夢のことは一旦忘れることにした。多分、今考えても納得出来るような答えは出ない。
それよりも体育祭はまだ終わっていないんだ。A組の人たちの戦いから学べるものがあるかもしれないのに、保健室で時間を過ごすのはもったいない。応援もしたいし。
頭を切り替えて試合の観戦に行こうと決める。
応援席まで早足で向かった。
「麗日さん!」
「あ、デクくん!手術終わったの?大丈夫?」
「うん。心配してくれてありがとう。ちょっと動かしづらいけど大丈夫だよ。…今、試合どうなってる?」
今は白儀くんと轟くんの試合のはずだ。白儀くんも轟くんもどちらもかなりの実力者。以前の戦闘訓練では白儀くんが勝ったけれど、今回もそう上手くいくとは限らない。
麗日さんは悩むように眉間に皺を寄せた。
「轟くんが優勢なんだけど…なんか様子がおかしいの」
様子がおかしい?どういうことだとフィールドに目を向ける。
氷の破片がそこかしこに飛び散ったフィールドは随分と長く戦っていたことを示している。
二人の姿を見ると、互いにそこまで傷を追っていないようだった。苦しそうに息を乱した轟くんとに余裕そうな顔をした白儀くん。
あれ?麗日さんは轟くんが優勢だって言ったのに、どう見ても轟くんが追い詰められているように見える。
轟くんが白儀くんを囲むように氷結を使う。避けられないように左右、正面の三方向からの攻撃だ。しかし白儀くんは軽くジャンプして必要最低限の動きでそれを避ける。
個性把握テストで彼の身体能力がとても高いのは知っていたが、個性を使わないで轟くんの氷結を凌ぐとは驚いた。轟くんの疲れ具合から見るに長い間個性を使って攻撃していたのだろう。あの氷結の個性に対して轟くんを疲れさせるほど消耗させるなんて本当すごいな白儀くん。
白儀くんにも轟くんに外傷が見られないということは実力は拮抗しているのだろうか?いやどう見ても白儀くんの方が優勢だ。
戦闘を分析しながら、何か違和感を感じた。砕かれた氷だらけのフィールド。双方が無傷。あれ?とあることに気付く。
(白儀くん…
フィールドには轟くんの氷の破片はあるが、白儀くんの個性を使った痕跡が一切ない。彼の夢に出てきたものを出す個性『実現』ならば、何かしら物が残っているはずなのに。
「白儀くんね、全然攻撃出来てないんだ」
轟side
白儀が砕いた氷の粒がキラキラと舞う。
「白儀、なんとなく分かった」
「えーと…何を?」
「何でお前に負けたくないかだ」
体育祭が始まる前に言った宣戦布告。何でコイツに負けたくないって思っているのかやっと分かった。クソ親父を否定するためっていうのもあるが、今はそれよりも強く思うことがある。
「っと!…そんなこと考えてたの?だから攻撃が単調だったんだね。人によったら怒られるよ」
確かに爆豪とかだったら「ふざけんじゃねェ舐めプ野郎!」とか言ってブチギレているだろう。
(緑谷に言われた。皆本気でやってる、全力でかかってこいって。その時は他人の事情も知らずに何言ってんだって思ったよ。
けど、白儀…お前を見て緑谷の気持ちが少しだけ分かったような気がする)
氷結のし過ぎで息が荒くなり、左側に霜が出てきた。試合が始まってから全力で攻撃しているが、白儀には掠りもしない。どんな動体視力してんだよ…!
指が震える。体の動きが鈍くなる。
白儀は全く息が乱れていない。ずっと氷を砕くか避け続けていたのにも関わらず。生身で氷を砕き続ければダメージが蓄積されてもおかしくないはずだが痛がってる素振りも見せない。
「……実力的に見てもお前の方が上だ。だけどお前、手ェ抜いてるよな」
「…」
戦闘訓練みたいに体をキノコで覆えばすぐに決着ついたはずだ。もし使われたら始まった瞬間に俺の負けだった。
アレは氷で防ごうとしても防げるかどうか難しい。炎を使えば別だろうが、生憎使うつもりはない。
しかし、試合開始からずっと警戒しているのに白儀はキノコを使ってこなかった。試合が始まってから少なくとも10分は経っているのに、こちらに何も仕掛けてこないのだ。
氷を防ぎ続けて俺のスタミナ切れを狙っている、ということだろう。
「
キノコの力を使うことに何かしらの条件はあるのかもしれない。
試合が始まってから今まで、白儀は俺に対して一切攻撃していない。焦ってる様子もない。
そもそもコイツの身体の使い方からして実力は高いことは容易く予想できる。キノコの力だってあるはずだ。
恐らく白儀は個性を
(事情は知らねぇが…俺と対等の条件で戦ってるつもりか?)
両者とも自分の意思で個性を使わない。ゲームでいう縛りプレイだとでも言うのか。半分使うのとそもそも使わないのでは全く対等だと思えないが。胸の中にもやもやとした物が溜まっていく。
…そしてもう一つ。
バキンッとまた白儀が氷を砕く。
一瞬、白儀の視線が俺の斜め後ろに動いた。
(
試合が始まってから、いや始まる前からずっと白儀は観客席のどこかに意識を向けている。何度も視線が俺から外れて斜め上あたりに動いているから間違いないだろう。
(コイツは、俺を見ていない)
ギリッと歯を噛み締める。俺は眼中にないってことか。
思考が冷静ではないことはなんとなく自分でも分かっている。コイツのことをよく知っている訳ではない。勘違いかもしれない。
コイツの視線の先に何があるか確認するために白儀から目を離すなんてことはしない。今は試合中。そんなことをして隙を作るなんて馬鹿な真似はしない、が。
「…腹立つ」
胸の中のもやもやがイラつきに変わるのは早かった。
白儀が俺を見ないのも、見ていないにも関わらず俺の攻撃を完封するのも、手を抜かれて戦っているのに全く相手にされない自分自身でさえ腹立たしい。
それが、俺がコイツに負けたくない理由だ。
(これならどうだ……!)
「!」
瀬呂と戦った時と同じくらいの規模で氷結を使う。フィールドの一部に追い込むような攻撃から大規模な範囲攻撃への切り替え。
流石に予想していなかったようで白儀が目を見開いたのが見える。いつも余裕そうな奴の表情が崩れたことに少し口角が上がった。
冷気を巻き上げながら白儀の身体が氷に飲み込まれる。
バリンッッ!!
しかし、それすらも瞬く間に砕かれた。
「ッ!?」
「驚いたな。まさかあんなに大きな氷がくるなんて」
今ので終わらせるつもりだった。完全にふいをついたつもりだった。けれど氷はあっさりと砕かれた。
冷気の煙を纏いながら、白儀は服についた細かい氷の欠片をパラパラと払う。
「ぐっ…!」
放心していたら腹部に重い衝撃がはしる。思わず膝をついた。
いつの間にか至近距離にいた白儀が此方を見下している。すぐにコイツに攻撃されたのだと分かった。
「白、ぎ…」
もともと個性の使用上限が近かったからなのか、意識を保っていられない。ぐらり、と身体が傾いた。
「…ごめんね」
落ちていく意識の中、そんな声が聞こえた気がした。
白儀side
倒れた轟くんを見て体の力を抜いた。彼とのバトルは少し焦る場面があったが、上手く
「轟くんダウン!白儀くんの勝ち!!」
歓声を受けながらフィールドを後にする。
観客の視線から完全に外れた場所まで進んだところではぁ、と息を吐いた。どうにかバレずにすんだだろうか。
力を使わないにしてもあからさま過ぎたかなって少し反省する。
相手がタフネスな爆豪くんではなく、個性の使用上限が分かりやすい轟くんで良かったと思う。多少不自然に力を使わなくたって『持久戦』と言えばいいし。
轟くんが手を抜いているぼくにイラついていたのは何となく分かっていたが、此方にもそれなりの事情があったので許して欲しい。
「…ごめんね。ぼくはまだ、」
グダグダ書いたけれどみんなの心境はこんな感じです。
緑谷&麗日…なにしてるの?
白儀…門番にバレたくないから力使えないなぁ。
轟…コイツなめてんのか?腹立つ。
メリー(門番)…皆すごい頑張ってるー!
轟は舐めプ野郎と爆豪に言われているから、逆に轟に舐めプしたらどうなるかなぁと妄想した結果です。