夢の向こうで見る夢を   作:大樹 紗夜

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今回は番外編です。本編がどうもまとめられないので息抜きにちまちま書いてたやつを投稿させてもらいます。


ちょっと人によってはボーイズラブ表現に見えるかもしれないので閲覧注意です!


番外編 悪戯

緑谷side

 

 

授業終わりの休み時間。教室を見回すと、前の授業の復習をしている人や水分を取って休憩している人、少しの時間でも友達と談笑している人もいる。

電子音でperfect!とどこかから聞こえた。白儀くんの机の方からだ。

 

「白儀ってホントに完璧人間だよな~」

「適当に教えたゲームを初プレイでフルスコアとか…お前出来ないことないんじゃねーの?」

「爆豪もだけどさ、天はイケメンに才能何個も与えすぎだろ」

「あはは…」

 

峰田くん、上鳴くん、瀬呂くん、そして白儀くんが談笑していた。白儀くんは好き勝手言われて苦笑している。

白儀くんはクラスの皆と満遍なく仲が良い。彼自身が温厚な性格なのもあるが、白儀くんのスペックの高さから彼を頼る人が多いのだ。

容姿端麗、頭脳明晰、その上個性も強いときた。その条件で言えばかっちゃんもそうなんだけど…うん、まぁ性格がアレだし。

この前上鳴くんたちと遊びに行ったときは凄かったらしい。何がというか…全部。その時僕はいなかったから上鳴くんから聞いたことだけど、遊びに行ったとき手始めにゲームセンターに行った。

なんでも白儀くんはゲームというものを今までしたことがなかったらしく、あの完璧超人白儀が何かを出来ない様子を見たいと上鳴くんが半ば無理矢理誘ったらしい。…動機が不純過ぎる。

まず試したのは対戦格闘ゲーム。10秒もたたずにボロ負けしたらしい。白儀くんの対戦者が。リズムゲームでは初めてでパーフェクトを叩き出し、クレーンゲームでは遊びに行った人が欲しいものを全て白儀くんが楽々取った。

その後に行ったカラオケでも100点を連発して、ボウリングではフルスコア。ちなみに白儀くんは全て未経験だったと言う。嘘だと言って欲しい。彼の完璧超人っぷりが更に露呈しただけじゃないか。流石としか言いようがない。

 

「神様人の顔で才能プレゼントするか判断してそう」

「それな」

「今度ナンパいかね?白儀がいたら絶対女子がたくさん釣れる」

「やめとけ峰田。白儀がいたら女子全部持っていかれるぞ」

「くそぅ…顔だけじゃないイケメンが」

「それ褒め言葉でいいんだよね?」

 

面白がってるけど明らかに白儀くんの前でする話ではないよね?いくら白儀くんが温厚な性格だからって、本人目の前にして話したら怒られるとは思わないのだろうか?

峰田くんギリギリ歯軋りしてるけど悔しいのか羨ましいのかどっちなんだ。どっちもか。

 

「誉め言葉だ!色々出来すぎて出来ないことなさそうだよな…羨ましい!」

「妬ましい!」

「おいおい…」

「全く…ぼくだって思い通りにならないことぐらいあるよ」

「白儀でもあるのか?そんなこと」

 

う~んと白儀くんは少し悩んでから、僕の方を向いた。悩まないと出来ないこと思い付かなかったのか。笑顔を浮かべて近づいてくる。

 

「例えば…ねぇ、緑谷くん」

「?白儀くん何か…」

 

白儀くんは僕の後ろにある壁に手をついた。そうすれば自然と二人の距離は近くなる。白儀くんは僕よりも背が高いので少し顔を上に向けると、此方をやけに真剣な目付きで見てくる白儀くんと目が合った。

 

(……ん?)

 

すり、と白儀くんは僕の頬に手を滑らせた。どこか怪しい雰囲気が漂う。多分友人同士でもこんなに密着しないと思うんだけどな。なんだこの状況。

ぐっとさらに僕の目を覗き込むように顔を近づける白儀くん。額が当たってしまいそうな距離だ。嫌悪感は不思議とない。状況についていけていないからなのかもしれないけれど。

 

 

「緑谷くん、いや出久。

ぼくは君が欲しい…って言ったら応えてくれるかい?」

 

 

懇願するように言われた。ガヤガヤと人の話し声で溢れていた教室はいつの間にか静まりかえっている。

 

(え?白儀くん今…君が欲しいって?君?出久は…僕のことだね。初めて名字じゃなくて名前で呼ばれたな。あ、名前呼ばれたから僕のことか。

つまり、白儀くんは僕が欲しい、と………)

 

「……え、えェェ!!!?」

「何してんの!?!白儀くん!」

「壁ドンだ!壁ドンだ!イケメンはやることがちげぇ!!」

「あれは…うわぁ」

 

真っ赤になる人。面白がる人。哀れむ人。

白儀くんの動きがあまりにも自然過ぎて反応に遅れてしまった。興味本位で見ていた人も飲んでいたドリンク吹き出したり、机に足をぶつけたりして酷く動揺していた。

…白儀くんの背後に赤なのか青なのかすごい顔色しながら消火器振り上げていた麗日さんなんて僕は見てない。見てないったら見てない。

 

「ま、まさかあるのか…未知との遭遇的なアレが!」

「緑谷がまさかそっちの世界に行くとは…!」

「漢だ!良かったな緑谷!白儀は顔良いし、頭良いし、強いし、爆豪と違って性格も良いし、良いことづくめだぞ!」

「俺の方が良い性格しとるわ!眉毛野郎キメェもん見せてんじゃねーよ!!」

「上鳴くん未知との遭遇ってなに!?あるわけないでしょ!峰田くんそっちの世界が何かは知らないけど違うから!切島くんは白儀くんを薦めようとしないで!?その評価間違ってないけど!かっちゃんの性格は難ありまくりだよ!!」

 

ンだとデクゥ!!と叫ぶかっちゃんにびくっとしながら

目の前の白儀くんに何か言わないといけないと混乱した頭から必死に答えを探す。

 

「え…えとあのっその…ごめんなさいッ!!」

 

勢いよく頭を下げた。シン、と再び静まりかえる教室。その直後、さっと顔から血の気が引く。

君が欲しいなんて告白をこれまでの人生で言われたことなかった。しかし、なんと応えればいいのか分からないからってこの返しはない。まるで僕が白儀くんを振ってるみたいじゃないか!

 

(な、何かべ、弁明をせねば…!)

 

「しっ白儀くんは頭良いし、実技訓練でも強いし、戦闘センスがずば抜けてるし、運動神経もいいし、個性も汎用性が高くて強力だし、手先も器用で、性格も温厚で優しいし、細かな気遣いとか出来てすごいし、顔ももちろん綺麗だし、白儀くんの笑顔は何か安心できるし、僕とも友達になってくれる良い人だから…え、えっと、やっぱりもっといい人が見つかるよ!」

 

何だコレ。自分のオタク癖で早口になってしまった。いや、そんなことはこの際いい。良くはないけど。それよりも言い切ってからダラダラと冷や汗が流れる。確実に振った奴の言い訳じゃないか。

 

ちらりと見ると当の本人はきょとんと目を丸くしていた。

 

「え」

「…あー、はは。ありがとう?まさか褒められるなんて驚いたよ」

 

褒めたというか振って?しまった理由を言っただけなんだけれども。しかも全くフォローになってないやつを。白儀くんは少し恥ずかしそうに目線を上に向けていた。どう見ても振られた人の態度ではない。恥ずかしがる要素あったかな?…何か話が噛み合っていない気がする。

 

(そう言えば…白儀くんが告白?もどきする前に何話してたっけ?)

 

『色々出来すぎて出来ないことなさそうだよな』

『ぼくだって思い通りにならないことぐらいあるよ』

 

確か白儀くんこの会話の後に僕のところ来たよな。

白儀くんを見ると照れたように何て言おうか口をもごもごさせている。…まるで、からかったのに真に受けられてしまった、みたいな…。

 

あれ?これもしかして…告白とかではない?

 

「ほらね、この通り。ぼくにだって出来ないこともある」

 

ごほん、とわざとらしく咳をしてからそう言って白儀くんはおどけたように笑った。な、なんだやっぱり冗談か!いやうん、本気ではないと思ってたけど!明らかに会話の流れおかしかったし!

 

「あ、うん。そうだね。冗談冗談…うん」

「まぁ、人の心を好きには出来ないよな」

「………けど白儀なら案外イケそうじゃね?」

「確かに。…緑谷けっこー揺れてたよな」

 

「揺れてないっ!!!」

 

 

それから数日間、白儀くんの一挙一動を警戒する麗日さんが目撃された。

 

 

 

 

 

 

 

 






緑谷…びっくりした。白儀くんって結構冗談言うんだね。

麗日さん…白儀くん、まさか!?警戒する。

峰田&上鳴&切島&瀬呂…冗談のクオリティが高過ぎて冗談だと思えなかった。

爆豪…なにやってンだ??



白儀…何か変な方向に勘違いされて驚いた。麗日さんに警戒されてさらに驚いた。冗談だとは言ってないんだけどね。



作者に魔が差したばっかりに…。
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