2ヶ月ぶりの投稿だなぁ。何でこんなに時間が空くのか不思議で仕方ない。いや自分の執筆速度が亀なだけなんですけど。
夢喰いメリーの最終巻を買いました。学生時代からずっとこのマンガ買うことを楽しみにしてきたので目茶苦茶寂しい。でも面白かった!好き!今まで連載してくれてありがとうございましたの気持ちでいっぱいです。
……続編出たりしないかな。
白儀side
爆豪くんの試合が始まる前、轟くんとの試合で何故個性を使わなかったのかと緑谷くんと麗日さんに聞かれた。何かあったのか、気分が悪いのかと聞かれ、少し調子が悪いから使わないようにしていたと答えたら心配させてしまった。
二人してリカバリーガールのところに行くように言われたが、この調子の悪さは彼女に治せない。調子が悪いというのもほとんど治っているし行く意味がないので断った。二人にいらない心配をさせてしまったので悪いことをしたなと思うが、こればっかりは彼らに言えない。
(緑谷くんと麗日さんが友達思いの友人で嬉しかったなんて言ったら、怒られるかな?)
くすり、と笑みがこぼれる。今までぼくのことを心配するような友人なんて出来たことがなかったから、ちょっと、いやだいぶ嬉しかった。
「試合中に何考えとんだ!?眉毛野郎!」
「…!」
いけない。今は爆豪くんとの試合中だった。迫ってきていた爆破を跳んで避けて向かい合う。
爆破されたら回避という動きを数回繰り返したが、爆豪くんの攻撃は当たらない。攻撃が当たらないことにイラついたのかチッと舌打ちが爆風の中聞こえてきた。
「おい」
「なに?」
「…………」
「爆豪くん?」
唐突に攻撃の手が止んだ。爆豪くんから話し掛けたのに、特に何も言わず沈黙した。
「…俺じゃあ力不足かよ」
「へ?」
10秒程黙ってようやく口を開く。
力不足?爆豪くんが?聞き返すように続きを促すと、プチリと何かが切れる音。
「てめぇ虚仮にすんのも大概にしろよ!!!!」
BOOOM!
「え?ちょっと!?いきなりどうしたの爆豪くん!?」
目を吊り上げて激怒する爆豪くん。プチリと聞こえたのは彼の堪忍袋の緒が切れたのか。
轟くんに続いて今日は責められる事が多い気がする。一体何に怒っているんだろう。突然キレられても困惑するだけなんだけどな。
「ブッ殺すぞ!!
俺が取んのは完膚なきまでの一位なんだよ!」
「…うん?」
「テメェ半分野郎の時から妙に個性を使うこと避けてるよなぁ?!何のつもりだ!」
「何のつもりって言われても…っ!」
少し調子が悪いから、と言ってしまうのは簡単だ。しかし今は火に油どころか、爆発にガソリンを注ぎかねないほどの雰囲気だ。それほど爆豪くんの怒り方は苛烈である。
「俺はテメェの舐めプに付き合ってやるつもりはねェんだよ!」
「っ!」
体操着の腕の裾が焦げた。爆豪くんの爆破がかすったのだ。
(ぼくが避けきれなかった!?…すごいな)
攻撃がかすった。その事実に焦るでもなく純粋に驚いた。まさか油断していたとはいえ、ぼくに手が届く人間がいるだなんて思いもしなかった。
「何でここに立っとんだクソが!!!本気出せや!!」
「おっと…!」
息つく暇もない。感心している場合ではないか、と向かってきた爆豪くんの腕を無理矢理反らす。
反らしても彼の勢いは止まらず、反らした手とは逆の手から顔に向かって爆発をくらった。
威力がないから目眩ましだと判断する。視界を埋め尽くす煙が晴れるのを待っているとBOM!と背後から音がした。
すぐさま背後を蹴り上げるが何も当たらずに空を切る。
またBOM!と言う音。上に気配。煙が晴れてきて視界がクリアになる。見上げるとそこに爆豪くんの姿はない。今度は後ろに気配。それを数度繰り返されると流石に何が目的か分かる。
(なるほど、撹乱されているのか)
ぼくは基本的に受け身で戦っていた。相手の攻撃を見切り、それを反らしたり避けたり、相手の攻撃を利用してカウンターを決める受け身の戦い方で出来るだけ力を使わないようにしていたのだ。だから攻撃を受けたときの反応速度や対応は爆豪くんより早い。
だけど逆に言えば、攻撃を仕掛けるのは爆豪くんより遅い。相手の攻撃を前提とする受け身の戦い方は、常に相手の攻撃を見切るために此方が攻撃を仕掛けるのは難しくなる。爆豪くんはその弱点を突いているのだろう。
攻撃に転じようとすれば爆発をくらう。彼が本当に狙っているのはぼくが受け身から攻撃に転じる瞬間だ。そのタイミングで破壊力抜群の爆破を浴びせる気だろう。
(いや、単純にぼくに攻撃をさせるためか。あわよくば、ぼくに本気を出させて戦おうとしている)
「本気…ね」
轟くんにも手を抜いてるなんて言われた。爆豪くんにも本気を出せと言われてしまった。
そんなに手を抜いてるように見えてしまったのか。確かに力は一切使ってないけれど、全力でやった
そもそも門番が
門番が来たせいでぼくの力は軽く暴走している状態なのだ。だから力の調整が上手く出来ない。彼女にぼくの存在がバレる訳にもいかないから不用意に何も出来ない。
出力の調整が出来ないと、誤って相手に大怪我をさせてしまう恐れがあるから、危険だと思い力を使わなかった。緑谷くんたちには調子が悪いからと無理矢理納得してもらったが、鋭い人には少し露骨過ぎたようだ。
そんなことをつらつらと考えている間にも爆豪くんの攻撃は止まらない。ただ爆発を正面から当てて挑発するだけじゃない。フェイントを使ったり、此方の動きを誘導しているような攻撃の仕方。どうすればぼくに本気を出させようか、本気を出したぼくをどうやって倒すのか今も考えているのだろう。強力な個性だけでなく、それを扱い戦うための頭も持っている。
(流石、クラスの皆から才能マンと呼ばれるだけはあるな)
でもダメだ。
どんなに強力な個性を持っていても、力を使いこなす聡明な頭があっても、どんな才能があろうとも。
ぼくに勝つことは出来ない。
(あぁ…残念だ)
そう感じてしまえばこの攻防も無駄なものに思えてきた。
爆豪くんがぼくを倒そうと本気になってくれるのは嬉しい。けれど、ぼくたちでは力の差が大きすぎる。
「…うん。もういいか」
このまま長引いても良いことはないだろう。
ならばいっそのこと、彼が望む本気とやらを出してさっさと終わらせようか。こちらも門番が気掛かりで精神的に疲れてしまったしちょうどいい。
一瞬力を使うだけなら門番にも察知されないだろう。彼女は別に察知能力が高いわけではない。
「“開門”」
顔の横にポンっと小さな扉が現れる。扉が閉まっている状態でも溢れる冷気が心地良い。轟くんの中の彼が門番に帰されてしまった八つ当たりみたいだが、爆豪くんなら耐えてくれると信じている。
まだ現界で使ったことのない、正真正銘ぼくが今出来る本気だ。
「“氷山の掟”」
パカリと扉が開いた瞬間、白い冷気が視界を覆った。
緑谷side
おかしいなとは感じていた。白儀くんの雰囲気がいつもと違うことに気づいていたんだ。
轟くんの試合のときに個性をろくに使わなかったこともそうだが、それとは別に何かを警戒しているようだった。お見舞いに来てくれたときにどこか悔しそうだった。普段の穏やかな白儀くんとは違う気がした。
もっとも僕の気のせいだという可能性もあるけれど。
かっちゃんとの試合でも白儀くんはなかなか個性を使わない。轟くんの時と違ってかっちゃんはタフネスだから、個性の発動限界を狙うという戦法は取るべきではないのに。
もしかして白儀くんは個性を使いたくない、いや個性が使えないのだろうか。
「白儀くん…?」
白儀くんの個性だろうか、彼の顔程の大きさの扉が出現した。あんな個性の使い方は見たことがない。クラスメイトの個性はノートにまとめたりしているが、白儀くんの個性はまだまだ未知が多いのだ。
(でもいつも力の解放みたいな感じでしか個性を使って来なかったのに…なにをするつもりだろう)
夢の中で見たものを現実に映す。それが白儀くんの個性なのだと本人に聞いたことがある。だいたい夢で見たものを現実に勢いよく出して相手を物理的に押し流すとか、夢の中での身体能力が現実でも使えるようにするという個性の使い方をしているらしい。
白儀くんが何かを呟いた後、パカリと扉が開く。
その瞬間ぶわりと冷たい風が吹き抜けた。白い冷気と氷の結晶が視界を塞いできて反射的に目を閉じる。
「…………え」
冷気が止んだと思っておそるおそる目を開けると信じられない光景が広がっていた。
かっちゃんが場外に押し出されていた。それも、左手を氷の腕に捕まれたまま。
「すごい…」
「何だよ、あれ」
呆然と誰かが呟いた。かっちゃんが負けて白儀くんが勝ったという事実よりも、目の前の光景に圧倒されているからだ。
観客席の目と鼻の先まで突きだした氷。鋭いというよりも表面が滑らかな、意図的に形を与えられている氷だ。
よく見るとそれは人間の手が折り重なったような形をしていた。
観客席に届く程の手の形をした巨大な氷。それだけならばまだあり得ないことでもない。轟くんだってこの体育祭の中で観客席を優に越えるほどの大氷結をしているのだから。白儀くんの個性でも、似たようなことが出来たんだろう。
(けどそれは、
似たようなことが出来るかもしれない。所詮ただの可能性だ。しかし本当に出来る人がどれだけいるだろう。
轟くんよりもはるかに早い氷結速度。同規模の個性行使。それなのに白儀くん本人は個性の反動を受けている様子がない。
呆然や驚愕する観客と対比的に白儀くんは1人微笑んでいた。
白儀side
「…ク、ソが…」
霜を降らせながらこちらに手を伸ばそうとする爆豪くんに苦笑する。
爆豪くんは場外に出てしまったから自身の負けを悟ったのだろう、それ以上は何も言わなかった。
「ミッドナイト先生」
「……!あ、えっと爆豪くん場外!白儀くんの勝ち!」
腕を振って氷を消す。パキンっと空気中に霧散していった。
ミッドナイトの宣言に固まっていた観客席から徐々に歓声が上がる。
「以上で全ての競技が終了!!
今年度雄英体育祭1年優勝はA組白儀響!!」
そうミッドナイトが言うと更に歓声が大きくなる。ほっと息を吐く。ようやく体育祭が終わったんだ。
「白儀くん優勝おめでとう!」
「最後の凄かった!」
「有言実行なんて流石出来る男は違うぜ!」
「来年は負けないよー!」
「覚悟しとけ、白儀!」
「ふふ、ぼくもそう簡単に負けないよ」
授賞式でメダルをもらった後、A組の皆から祝いの言葉をもらったりメディアの簡単なインタビューに答えてたりして授賞式を過ごした。メダルの授賞式で爆豪くんが二位のメダルに納得いかないと暴れて拘束具をつけたまま表彰台に登るというハプニングがあったものの、平和的に体育祭は幕を閉じたと言えるだろう。
「さて、帰ろうか」
敵の襲撃はなし。夢魔による被害もなし。門番の予想外な登場があったものの、ぼくは宣言通り1位になってメディアに存分に力を見せつけた。うん、十分な成果だ。
「君たちもお疲れ様。原因不明で昏倒していた敵にしばらくは騒ぎになるだろうけど、犯人がいなければヒーローと警察は良いように解釈してくれるだろう」
きっと敵同士の潰し合いだったとでも報道される。そちらの方が色々と都合がいいだろうから。
傍に控えていた三人に声を掛ける。彼女たちはトプンと沈むようにぼくの影に溶け込んだ。
「次は…あれかな」
轟くんは上手くいかなかった。けれど彼の夢なら叶えられそうだ。口角が自然と上がる。
青ざめた顔をして走る飯田くんを見ながら呟いた。
はぁ…なぜこんなにも作者はフラグ立てるの好きなんだろう。フラグは回収しなきゃいけないんだぞ。
まぁ、なんとかフラグは回収するつもりですけどね!
今年終わるまでに後二、三話は投稿するつもりです。
次からは職場体験いきまーす!