夢の向こうで見る夢を   作:大樹 紗夜

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書くの難しい…!3000字は書きたいのに文才が無さすぎて書けない…。

週1で投稿したいと思います!思ってるだけです、確約できないです。



第2夜 目覚め

緑谷出久は走っていた。

緑のもさもさ髪を風になびかせ、黒い文字で「シャツ」とだけ書かれたなんとも言えないTシャツを着て必死に走っていた。

 

(オールマイトがせっかく鍛えてくれてるっていうのに、何やってんだ僕は…!)

 

今年の春、ある(ヴィラン)の逃走からオールマイトと知り合い、まぁ色々あってオールマイトの個性を受け継ぐことが決まった。しかし、さすがオールマイトの個性と言えばいいのか、ある程度鍛えている体でなければ個性を受け継ぐにあたり四肢が飛び散るらしい。…なんてスプラッタな。

とにかく今の自分の貧弱な体では個性の器に足り得ない。そこでオールマイト監修のトレーニングプランを受け、器を作ろうというわけだ。

 

オールマイトの個性を譲渡できる器に体を鍛えているのはいいのだが、雄英受験まで時間がない。そうすると、当然の如くハードスケジュールになるわけで。

 

(まさかオールマイトと約束してるのに起きる時間を間違えるなんて!)

 

まぁ、要するに寝坊である。時計を見る限り時間的にはギリギリ間に合いそうだ。

 

「はぁっ急がないと!」

 

寝起きの全力疾走はいくら最近鍛え始めたといってもなかなかに辛いものがある。荒くなった息を吐き出し、もっと速く走ろうとして足に力を込める。疲労でわずかに下を向いていた顔をあげいざ走ろうというときに、目に入ったものに驚愕した。

 

(ひっ人が倒れてる!!?)

 

何故気付かなかったか疑問であるが、その人は前方5メートル先ほどに力尽きたように倒れていた。体格や服装的にに男性だろうが、それにしてはやや長い茶髪を後ろで一つにまとめている。うつ伏せに倒れているので顔色は見えないが、雰囲気的にぐったりしているように感じた。

 

「だだ大丈夫ですかっ!?これってどうすればいいのとりあえず救急車に連絡してそれともオールマイトを呼んできたほうがああでもまずは息を確認しなくちゃいやそれよりも早く救急車を…ぶつぶつ」

 

人が倒れている事態に対してかなり動揺してしまう。考えをぶつぶつと口に出してしまう癖も焦りからか普段の倍は早口になる。あれこれ考えやはり救急車か、と思い携帯を取り出した。

 

「うぅ…ん。あれここは?」

「!あ、だ大丈夫ですか!?」

 

いざ掛けようとしたときにその人が目を覚ました。ゆっくりと体を起こし、周囲をキョロキョロと見回している。

 

「君は?」

「あっえっと僕はあの、ただの通行人です!それよりも貴方は大丈夫ですか?倒れてましたけど」

 

彼は自分と同じぐらいの年頃に見えた。顔色は悪くはないみたいだったけれど、どこか眠そう(・・・)で時折目を擦っている。なんとなく不思議な雰囲気を持つ彼は、眉は太いがかなり整った顔立ちをしていた。

 

「あぁ、今までずっと寝ていたからなかなか体を使い慣れなくてね。ようやく目が覚めたみたいだ。君がぼくを起こしてくれたのかい?」

(寝ぼけてこんな朝早くに路上に倒れてたのか…?体を使い慣れないって入院でもしてたのかな?)

「体調に問題ないようなら良かったです。えっと、人が倒れてるのにびっくりしちゃってつい…」

 

少し前の自分の慌てようを思い出して恥ずかしい気持ちが沸き上がる。実際、動揺して騒いでいたのに彼が反応しただけである。ヒーローを目指すものとしてさっきの慌てようはないなと考え直した。オールマイトならきっとどんな時も笑顔で人々を助けだす…と、そこまで考えておや?と内心首をかしげる。何か、凄く大切なことを忘れていないだろうかと。

 

「あああああぁ!」

「どうしたの?」

 

彼が突然大声をあげた自分を不思議がっているが、こっちはそんなことを気にしている場合ではない。

オールマイトとの待ち合わせのことをすっかり忘れていた。…待ち合わせ時間はとうにきていた。

 

「えっとすいません!お、人を待たせているので僕はこれで失礼します!」

「あ」

 

彼が何か言おうとしていたが、それを振り切って目的地まで走って行った。

 

 

 

「HAHAHA!おはよう、緑谷少年!遅刻とは珍しいな!」

 

オールマイトとの待ち合わせ場所、海浜公園まで着くと既にはいつもの筋骨粒々の姿ではなくまるで骸骨のような見た目のオールマイトが待っていた。

 

「はぁ、はぁ…す、すいませんオールマイト!」

「まぁかなりハードスケジュールだからね!寝坊でもしたのかい?…あとこの姿の時は八木と呼んでくれ」

 

こそっと呼び方を訂正するオールマイトを見て、はっと辺りを見渡した。どうやら今日は辺りに人はいないようだがどこに人目があるか定かではない。オールマイトのこの姿は出来るだけ人に知られてはいけないのだ。平和の象徴たるオールマイトが普段はこんな骸骨姿であると知れば、一般人からのイメージダウンはおろか(ヴィラン)の犯罪発生率も上がること間違いないだろう。

 

「えっと、寝坊もしましたがここに来る途中で倒れてる人を見つけまして…」

「何だって!?大変だすぐに助けに行かなければ!」

「だ、大丈夫です!声をかける前に自分で起き上がれてましたから!本人も体調に問題はなさそうでした!」

「そ、そうなのかい?それなら良いのだが…」

 

マッスルフォームになって今すぐ助けに行こうとするオールマイトを急いで止める。さすがNo.1ヒーロー、人を助けようとする精神は素直に憧れる。

 

「オール…八木さん。今日もよろしくお願いします!」

「あぁ!今日もPlus ultraだ!」

「はい!」

 

緑谷出久は今日もヒーローになるために気合いを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒーローになる夢を持った無個性の少年か…面白い(物語)になりそうだね」

 

“彼”は必死に修行する緑の少年を見ながら呟いた。海風に長い茶髪が揺れる。彼の両目には、先ほどまでなかった縦長四角の模様が浮かんでいた。

 

「主人公がいるなら、ヒロインが必要だけど…まだ早いかな?」

 

“主人公”の物語はもう少し先、高校から本格的に始まると彼は思った。ヒロインは“用意”するよりやってくるのを待ったほうが良いだろう。

 

「まずは、舞台を整えよう」

 

目覚めたばかり(・・・・・・・)でこの世界のことはよく分からないが、少しずつ知ればいい。

まだ物語が始まるまでは時間がある。それまでにシナリオを作り、必要な役者を用意しよう。

 

全ては最高の夢を見せるために。

 

 

 

 

 

 

 




夢魔
 幻界の住人。人を自分の庭に招き、夢を見せるのが存在意義。
 それぞれ「役割」と「名前」を持っている。それに応じた夢を見せる。
 人に取り憑くことが可能であり、共通してそれぞれ目に模様が刻まれている。
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