夢の向こうで見る夢を   作:大樹 紗夜

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すごい難産でした…。
書いてる途中にこの展開ちょっと早いような?という気持ちを抑えつけながら書きました。

今回は白儀くんの力説明回です!

誰か文才くれないかなぁ…。


第4夜 個性の話

相澤は焦っていた。…いや、それでは語弊があるか。

相澤は、目の前にいる一人の生徒に対してわずかに恐怖を感じていた(・・・・・・・・)

 

「…個性の話って何だ、白儀」

「先生がぼくのこと除籍にしようか迷ってるみたいだったので」

 

穏やかに笑いながら白儀は言う。

 

受験で異常な成績を残した生徒。

その強大な個性()を雄英高校で監視し、生徒を正しいヒーローへと導くというのが雄英教師陣の意見だ。

確かにあの個性は何かのきっかけで(ヴィラン)になったとき、かなりの脅威になるだろう。

相手はまだ子供。たくさんのヒーローがいる中で正しい方向に導けば、素晴らしいヒーローになるだろうと。

 

だがそれは大多数の意見であり、少数派の自分は即除籍するつもりだった。

白儀が受験会場から出る前に他の受験生に向けた、穏やかな笑み(・・・・・・)

その顔には、受験を終了した安堵や達成感といった感情はなかった。

自分は、この生徒(白儀響)がどこか危ういと直感的に感じている。

…何故かオールマイトも同じ意見だったが。

 

「………随分はっきりと言うんだな」

「さっきのテスト…先生は除籍を合理的虚偽だと言いましたが、ぼくはそれ自体が嘘だと思いました。

本当に見込みがなければ先生は誰かを除籍にしようとしていましたね?

相澤先生はぼくの個性を…いえ、ぼく自身を警戒しているように感じました」

 

あの個性把握テストでぼくのことを見極めようとしていたでしょう?

 

そう続けた白儀に内心冷や汗をかく。

 

個性把握テストが終わった後に話がしたいと言ってきた白儀。

今日の個性把握テストで一位をとり、唯一“底”が見えなかった生徒。

 

こいつは一体、どこまで知っている?

 

「…確かに俺は、お前のことを除籍しようか悩んでいた。

入試の時に見せた個性…俺はお前の力が個性という枠に入りきっていないと感じた」

 

あの異常な光景が頭をよぎる。会場内の仮想(ヴィラン)全てを様々な物体で破壊した白儀。

あれを一つの個性と呼ぶには規模が大きすぎ、なにより一貫性がなさすぎる(・・・・・・・・・)

 

「今日の個性把握テストで見極めようと思ったが、さらに分からなくなった」

 

八百万のように個性を駆使して順位を上げた訳でもなく、砂糖や緑谷のように身体能力を強化している訳でもなかった。…むしろ、個性を使っていないように見えた。

 

「…お前はその身一つで発動型の強化系個性の緑谷や砂糖よりも圧倒的な身体能力を示した。

同じ発動型でもお前の個性は身体能力には関係しないと言うのにだ」

 

白儀自身はただの細身の男子生徒だ。砂糖や障子のようにある程度鍛えて筋肉質な訳ではない。

 

個性も自分が知る(・・)ものを実現するというもの。それだけでもかなり強力な個性だ。だが、どう考えても身体能力を上げる個性とは思えない。

 

「変形型でも異形型でもない、かといって発動型の個性としては規模が大きすぎる」

 

ジロリとドライアイで血走った目を白儀に向ける。

 

「複合型だと考えてもお前の個性は不可解な点しか残らない」

 

試験会場で見せた個性の大規模発動。

個性把握テストで見せた異常な身体能力。

…複合型だと言っても、出来ることが多すぎる(・・・・・・・・・・)

 

これに納得できる答えは、一つしか見つからなかった。

 

「白儀、お前は個性を複数持っていないか?」

「…………」

 

室内が静寂に包まれる。

しばらく、いや時間的には数秒程度だったかもしれない。

 

「いいえ、持っていません(・・・・・・・)

 

苦笑と共に出された答えは望んだものではなかったが。

 

「…ならお前の個性はなんなんだ。

個性は所詮どこまでいっても身体機能の一つ。お前のような大規模発動と身体能力強化を一つの個性だと言い張るには無理があると思うが」

「確かに、ぼくの力は他と比べたら異常かもしれません。

ぼくの力を上手く使えば、欲しいものが手に入り、出来ないことなんてなくて、なりたいものになれる…可能性もありますね」

 

どこかほの暗い雰囲気を纏いながら白儀は言う。

 

「……相澤先生は、夢を見たことはありますか?

眠るときに見る方の“夢”を」

「…何?」

 

唐突な質問に戸惑う。白儀は構わず続けた。

 

「ぼくの力は知っているものを実現する。

この『知っている』という範囲は、一度見て知ったことがあるものしか適用出来ません。

ぼくが実現出来るのは現実(ここ)以外で見たことがあるものです」

「何だと…?」

 

「ピエロの迷路や猫の大軍、姉妹の月に扉を守る羊。

…そんな、現実ではあり得ないこと」

「まさか…」

「人は眠りの中で幻界(ユメ)を見る」

 

あり得ない。だが、それが事実ならば白儀の個性に納得がいく。

眠りの中は現実以外(・・・・)に入るだろう。

 

「ぼくの力は、自分が知っている幻界(ユメ)を実現させることです」

 

 

 

 

 

 

 

あの後、まだ仕事が残っていると言い、相澤先生に帰らされた。

入学初日にわざわざ学校に残る生徒はいない。自然と一人で帰ることになった。

 

うす暗くなった道をゆっくりと歩きながら、白儀は先程の相澤先生との話を思い出す。

 

『お前の個性のことは分かった。…だが、』

 

相澤先生がホームルームでは見せなかった、ヒーローとして、いや教師としての真剣な顔。

 

『白儀、お前は何故ヒーローを目指す?』

『ぼくはこの力で皆を救うヒーローになりたいだけです』

 

誰かを救うヒーローではなく、()を救うヒーローになりたい。その気持ちは間違いない本心だ。

 

今の(・・)ぼくでは幻界(ユメ)の力を一部しか使用できないが、世界が混ざれば皆の夢は自ずと叶う。

 

 

「ぼくは欲張りだからね。皆を救いたいんだ。

ヒーローも(ヴィラン)も関係ない。夢を持つ人全てを救いたい。

抱いた夢が叶わないという現界(この世界)の不完全さから、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書いてて思った。
白儀くん力を隠す気全くない、と。
そして説明回ってただただ書きづらいだけなんだと!

実現
 自分が見たことがある夢を現実に反映する能力。
白儀響が知っている夢魔の力を使っている。夢喰いメリーの藤原夢路の『武装明晰夢』と似ているけれど、白儀の方が強い。代償として眠れなくなる。
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