夢の向こうで見る夢を   作:大樹 紗夜

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昨日寝落ちしてました…。
この小説では夢喰いメリーのキャラを中心に書いていくので、それ以外の場所ではヒロアカの原作通りに進んでいくと思ってください!
今回は白義くん出ません。


第8夜 灯台

どこかの路地裏。一般男性をゆうに越える大きな獣が佇んでいる。大きな黒い角が特徴的だ。

その足元には奇抜な格好をした(ヴィラン)が血を流し倒れていた。

 

「発ッ発ッ発ッ…ようこそ敵側(此方)同胞(ブラザー)よ」

「誰だ」

 

鎧を着た男が獣に対して話掛ける。

 

「この個性社会。自分の持ってる“力”を思うように使えない。自分は使えない“力”を、自由に使えるのはヒーローだけだと?

…いやはやヒーロー社会ってのは身勝手でいけねぇよな。そう思わねぇか?」

「お前は灯台だな…何を言っている?俺は門が開いていたから此方へ降りてみただけのこと。

観光が住んだら彼方に帰るつもりだ。こいつらにいきなり襲いかかられるとは思わなかったが」

 

期待した返答ではなかったが、新しく同族(・・)に会えたことに男の口角が上がる。

 

「火火ッ、こいつは失礼したな。俺たち(・・・)のほうだったか。

それならより一層仲間になれよ。この世界で思いきり暴れねぇか?あっちの暮らしは退屈だろう。俺たちの仲間になれば刺激的な生活がおくれるぜ」

「そんなことに興味はない。俺は彼方で人間の相手をするほうが好きなんだ。

話がそれだけならもうお前と話す必要はない、失礼させてもらおう」

 

話は終わりだと獣は踵を返す。

しかし仲間になるという勧誘を断られたにも関わらず、男は楽しげ(・・・)だった。

 

「あぁ残念。行く道違えば海の底。あっちは冥濛、こっちは煌々」

 

ニヤリと男は笑う。…暴れる理由ができたと。

男は両手の拳を合わせた。

 

 

ドシャッと焼け焦げたものが崩れ落ちた。僅かに燃え残ったのは黒い角(・・・)だけである。

 

「さて、暇潰しは終わりだ。そろそろ今日のメインを頂くとするか…火ッ火ッ火ッ火ッ火」

 

男は戦利品(・・・)である角を拾い、暗闇の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

「さってとーどうなってるのかな?」

 

山岳ゾーン。現在巨大な迷路となったここには八百万、上鳴、耳郎の三人が自動人形と戦っていた。

電気で感電させ、音の衝撃波で破壊する。一体一体は大した力はないが数が多く、ゴール(終わり)の見えない迷路が精神を削っていく。

どれだけ倒してもきりがない自動人形相手に三人の体力は限界に近づいていた。

 

「くそっどんだけ倒してもきりがねぇ!」

「上鳴!あんまり一人で突っ走るな!」

「耳郎さん、後ろです!」

 

耳郎が振り向きざまに音の衝撃波で自動人形を破壊する。

迷路の角を曲がる度に沸いてくる自動人形たち。焦りから三人の動きが最初と比べてかなり鈍っている。

 

その様子を一つ目の小さなピエロ、ランズボローがナイフを片手に眺めている。

 

「大人しく出てこい!」

「やーだよ。僕ちんは君達がボロボロになってから美味しいところを頂く…と言いたいところだけど」

 

ランズボローは少し声のトーンを落として言う。

この狩り(ショー)は旦那が来るまでのただの暇潰しに過ぎない。

もとより今日の本命(メイン)はオールマイトと教師のプロヒーローなのだから。

 

「今回は時間制限があるのさ」

 

ランズボローがそう呟いた直後、突然地面に丸と丸から引かれた6本の線のマークが現れる。

 

「今度は何だ!?」

「何あれ、塔?!」

「キケケケケ、旦那のお出ましだよ」

 

巨大な迷路は地面から生える塔によって跡形もなく破壊された。

 

「残念ながら今宵のshowはこれで終わりさ。僕ちんはこれで失礼するよ。君達とも十分遊んだし、これから旦那の蹂躙(パーティー)が始まるからね、ケケ」

 

そのセリフを残しランズボローはいつの間にか居なくなった。

 

 

 

 

 

 

一方倒壊ゾーンでは爆豪と切島が鎖の美女、ノワールと戦っていた。

 

「チッ離せや鎖女!!」

「爆豪っ!くそっ」

 

ノワールの鎖に捕らえられた爆豪。必死に抜け出そうとするが拘束力が強くびくともしない。

切島が助けようとするが鎖が縦横無尽に動き回り行く手を阻む。

 

「生意気なオトコのコは好きだけどね…此方も余り遊んでいる時間がないの」

 

ノワールは欠伸をしながら退屈そうに言った。

 

編鎖槍(へんさそう)“チュベロォズの楔”」

 

ノワールが指を鳴らすとそこを中心として何本もの鎖が集まる。それは鋭い鎖の槍となり、身動きの取れない爆豪に向かっていく。

…その時だった。

 

バキンッパキパキ

 

何もないはずの空中にヒビが入る。次第にヒビは割れ目となりボロリとこぼれ落ちた。

投げられた槍は空間の瓦礫に破壊される。

 

「な、何だこれ!?」

「これは…エルが来たのね」

 

これは始まりの合図。彼らが現界(此方)で暴れるための舞台作りをするための。

 

「じゃあね坊やたち。私はエルのところに行かなきゃいけないのよ」

 

爆豪を捕らえた鎖をそのままにノワールはその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

「脳無、黒霧…やれ」

 

少し時を遡りセントラル広場。ここではオールマイト対策として用意された脳無という怪物がオールマイトと戦っていた。

 

ショック吸収と超再生の個性を持つ脳無にオールマイトは不利になると思われたが…希望(オールマイト)はそう簡単に倒れるものではない。

 

「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!!!

敵よ、こんな言葉を知ってるか?!

さらに向こうへ、PlusUltra!」

 

オールマイトが脳無を殴り飛ばした。脳無は流星のごとく吹き飛び見えなくなる。これで終わりだとその場にいる人間は思っていた。

…それで気が弛んでしまったのだろう。突如現れた黒い霧に反応出来なかった。

 

「火ッ火ッ火ッ…じゃあ、ヒーロー。こんな言葉を知ってるか?」

「…何っ!?」

 

黒い霧の中から火を纏った戦斧がオールマイトを襲う。

 

「油断大敵ってなぁ!」

「ぐぅぅっ!」

「火ッ火ッ火ッ…よぉ元気か?平和の象徴(オールマイト)。こんなもんでやられるたまじゃねぇよなぁ」

 

オールマイトが吹き飛ばされる。現れたのは黒い肌の鎧を着た男。禍々しい炎を身に纏い不気味な笑みを浮かべながらこの場に現れた。

 

「俺の名は『灯台(ファロス)』エルクレス。楽しもうぜ、オールマイト!!」

 

エルクレスと名乗った男は斧を担ぎ、死柄木という(ヴィラン)に近づいた。

 

「よぉトムラ。どうだ?オールマイトは」

「灯台か…チートだよあれは、脳無がやられた。しかも生徒の一人に逃げられた。…ゲームオーバーだ」

「死柄木弔!まだチャンスはあります!私と灯台、それに貴方がいれば…!」

「あぁ、そうだ。まだ終わってない。脳無の仇も取らなきゃいけな…」

 

死柄木の手に一発の銃弾が貫通する。

 

「そこまでだ」

 

銃声と共に現れたのは雄英教師陣。どうやら逃げられた生徒の一人が呼んで来たらしい。

 

「破ッ破ッ破ッどうやら本当にお前らは(・・・・)ここで帰ったほうが良さそうだな」

 

死柄木たちは悔しそうな顔をしているのに、灯台と呼ばれた男は悔しさなど感じられないように嗤う。

 

「…灯台、貴方はどうするのですか?」

「今回は本命(オールマイト)と戦っても面白くなさそうだからな」

 

先程の脳無という(ヴィラン)と戦って疲弊しているオールマイトを見ながらエルクレスは呟いた。

 

「少し遊んで(・・・)帰るとするか」

 

エルクレスは斧をぐるりと回して地面に突き刺すように置いた。プロヒーロー(上質な燃料)を見ながらニヤリと笑い、これから始まる闘争に彼の炎は燃え上がる。

 

「てめぇら相手じゃ今の俺にゃ分が悪い。そこで、だ。

この場の奴ら全員を俺の舞台に招待してやる」

 

エルクレスは両手の拳を合わせた。彼の炎と光(象徴)が溢れだす。

 

「光は残酷だ!」

 

ゴウン、と歯車が回る音がする。

 

「十方世界を普く照らし、逃れるこれを赦さず、匿れるこれを擁さず」

 

何もないはずの空中にバキリ、とヒビが入る。

 

「一天四海をその下に、曝す無敵の王」

 

地面から焼け爛れた塔が生え、USJの景色が暗い街並みに塗り潰されていく。

 

「残酷な光が、いま灯る」

 

今、絶望(蹂躙)が始まる。

 

「…さぁ!照時間(ショウタイム)だ!!!」

 

バキリ、どこかで扉が壊れる音がした。

 

 

 




エルクレス
光と炎の力を使う。破壊活動大好き。ただの戦闘狂ではなく暴れるためには我慢が出来る戦闘狂。
メリーには灯台男と呼ばれていた。
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