もっとマスター刑事(デカ)   作:くらっか〜

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※注意! この話にはかなりの淫夢要素が含まれています!


#2 便乗

警視庁にサーヴァント達がやってきて数日後。しばらくは特に事件も無く平穏な日々が続いていたが。

 

 

「え? ...銀行強盗⁉︎」

 

「「!」」

 

突然の課長の声にタバコをふかしていた大山とビリーが反応する。

 

「分かりました!ご通報どうも!...大山!ビリー君!千代田区2丁目のようちょ金庫に強盗が入ったらしい!目撃者からの通報だ、行ってくれ!」

 

「了解!」

 

「OK!」

 

「気をつけて下さいね!」

 

マシュが心配そうに見送る。

 

 

大山とビリーはタバコを咥え直して部屋を飛び出す。GT-Rに乗り込み、パトライトを屋根に取り付ける。

 

 

「千代田区2丁目のようちょ金庫だったっけな?」

 

「だったね。」

 

「うっしゃ。 ちょいと退屈だったし、久々に暴れるか!」

 

「良いね!」

 

大山はギアを入れ、急発進する。

 

 

 

 

 

ようちょ金庫

 

銀行内には銃を持った3人の覆面の男がいた。

 

「ホラホラホラ、もっと金入れてホラ。」

 

 

一人はそう言いながらコルト M1911を袋に金を入れている職員に突きつける。

 

「は、はい! ただいま...」

 

「田所、もうそろそろサツが来るんじゃないかゾ?」

 

もう一人はそう言ってレミントン M870をコッキングする。

 

「そうっすねぇ三浦さん...あ、お前さ、木村さ。とりあえず裏口にクルマ用意させとけよさせとけよ〜」

 

「え...分かりました。...オラァ、店長さんよォ。」

 

木村と呼ばれたまたもう一人の覆面男は、店長にS&W M&Pを突きつけ、命令する。

 

「は、はい...!」

 

 

 

店長と木村と呼ばれた覆面男が裏口に向かう。

 

「こ、こちらです。」

 

「...よし、逃げていいぞ。」

 

「...え? 」

 

「いいから、早く行け!」

 

「あ、はい...!」

 

なんと彼は裏口で店長を逃した!

 

 

 

「......木村遅いっすねぇ。」

 

「全く何してるんだゾ... おい、木村早くしろよ‼︎」

 

名前を大声で呼んで急かしても返事はない。

 

 

「早くしろぉ.....!ファッ⁉︎ 」

 

田所は愚痴を垂れるが、突如聞こえてきたサイレン音に愕きの声を上げる。

 

「パトカーもう来たのか⁉︎」

 

「あっ...そっかぁ」

 

 

 

銀行前

 

大山達の覆面パトカーと、それに続く数台のパトカーが到着する。彼らは車を降りるとそれぞれの愛銃を取り出した。

 

「知ってるか?ビリー。」

 

大山がふと口を開く。

 

「何?マスター」

 

「世の中が不景気になっちった時に真っ先に困るのが自営業だ...」

 

「というと?」

 

「あいつらもシビアな世界を生きてるよな〜...強盗って名前の自営業さん。」

 

彼はそう言って笑うと銀行の裏口へと向かい、ビリーもそれに続く。

 

 

「犯人の諸君! 聞こえるか?」

 

他の刑事がメガホンで犯人を説得しようとしている間、大山達は裏口の前で銃を構えていた。

 

 

銀行内

 

「どうします三浦さん⁈」

 

田所と呼ばれていた覆面男は焦りながらもう一人の覆面男に叫ぶ。

 

「し、しかたないゾ... 迎撃するゾ‼︎」

 

三浦と呼ばれた覆面男はそう言うと銀行入口に向かってM870を構える。

 

その時。

 

 

ガチャン!

 

「⁉︎」

 

裏口から大山とビリーが突入してきた。

 

「しまったゾ!裏口が無防備だったゾ!」

 

「何やってんすか⁉︎」

 

 

ドン!

ドォン!

 

「あっ」

「ンアーっ‼︎」

 

二人が撃ち、覆面男達の銃は弾かれる。

 

「さてと。強盗なんて危うい自営業やめて刑務作業にトラバーユしたらどうね?」カチャ

 

大山は茶化しながら手錠をかける。

 

「それとも僕みたいにアウトローになる?」

 

「このご時世アウトローなんていねえよ....」

 

 

「...くっ...木村は一体どうしてしまったんだゾ...」

 

「ん? お仲間が居たのかな?」

 

「そうだよ...ただここの店長に車を用意させに行かせたっきり帰ってこないんだゾ...」

 

「逃げちゃったんじゃない?あ〜ぁ。もう一人居たらもうちょっと撃ちあえると思ったのにな〜...」

 

ビリーは撃ち合いのチャンスが減ってぶすくれる。

 

「...となると店長さんはどったの?」

 

 

 

 

その後、大山達が覆面男を連行してパトカーに乗せていた時。

 

 

「あの〜...」

 

「ん?」

 

突然スーツ姿の男が話しかけてきた。

 

「私、あの銀行の店長なのですけども...」

 

「え?」

 

 

・ ・ ・

 

「そう...じゃその木村って呼ばれてた男は店長さん、貴方を脅して車を用意させて、そのまま逃げた...そういうワケっすね?」

 

「はい...」

 

「何かさ、特徴とか覚えてないの?」

 

「...そういえば、銃はM&P(ミリタリー&ポリス)のオートマチックでしたね...実はガンマニアなもので、すぐ分かりました...」

 

店長が少し笑いながら答える。

 

「へぇ、ポリマーオートか...」

 

「ポリマーオートね。確か、フレームがふにゃふにゃなロマンのかけらもない銃だよね...」

 

 

 

「......」

 

その時、店長と話している大山の様子を何者かが覗いていた。

 

 

その後来た鑑識に後を任せ、大山はビリーと共に犯人を連れて署に戻った。

 

 

 

 

 

警視庁

 

 

「お名前は?」

 

「...田所、浩二...」

 

「歳は?」

 

「...24歳」

 

「職業は?」

 

「...学生です」

 

 

「「ぶっ...」」

 

犯人の一人、田所を取り調べ室で尋問していた大山だが、最後の回答にビリーと共に吹き出してしまう。

 

「ファッ...⁉︎ 何がおかしんだよ!」

 

 

「いや、悪りぃ...!だってよォ、俺と同い年で学生て...ひょっとして医学生?」

 

「(あって)ないです」

 

「じゃあやっぱ浪人じゃねぇの!」

 

大山は机をバシバシ叩いて笑い転げる。

 

かすかに聞こえる大山の笑い声に取り調べ室の外ではマシュ達が心配そうにしていた。

 

「...先輩大丈夫でしょうか?」

 

「また何やってんだあいつは...」

 

 

「先輩、失礼します...」

 

マシュが様子を見に取り調べ室のドアを開ける。

 

 

「ヌッ⁉︎...それならさ、お前さ刑事さ、俺と同い年って言う割にはさ、なかなか老け顔だよな?」

 

 

「!」 ピキ

 

田所がそう言い返した途端、大山の表情が固まる。

 

 

チキッ

 

「ファッ⁉︎」

 

彼は田所にパイソンを突きつける。

 

「その汚ねえイボに鉛玉ぶち込んだろか⁉︎」

 

「せ、先輩!落ち着いて下さい!」

 

慌ててマシュはパイソンのシリンダーを掴んで押さえる。

 

「!...マシュ、なんでリボルバーの押さえ方知ってんの?」

 

「ハ、ハンマーの起きてないリボルバーはこうすれば撃てなくなるとビリーさんから聞いたもので。」

 

「...ビリー!」

 

大山は悔しそうな目でビリーを睨む。

 

「ま、彼女にもこれくらいの知識は与えとくべきだと思ってね!」

 

大山は仕方なくパイソンをホルスターに仕舞う。

 

「...そんで?その木村って男が何処行ったのか心当たりないワケ?」

 

「...そうですねぇ...! そう言えば最近...遠野とよく合ってるみたいだったな...」

 

「遠野。...って誰?遠くに住んでんの?」

 

「違いますよ... 俺の前の恋人っす。」

 

「恋人...何処住んでんの?」

 

 

・ ・ ・

 

 

「ふぅー...」

 

取り調べ室を出た大山は、タバコを取り出す。

 

「どうだったよマスター」

 

クーが火を貸す。

 

「ん。サンキュ。...ま、ぼちぼちってとこかな?」

 

「大山さん!」

 

すると別の取り調べ室からもう一人の犯人、三浦を尋問していた柏田が出てくる。

 

「そっちの方はどうなワケ?」

 

「駄目ですね...吐くどころか、あいつ全く話が噛み合いませんよ...」

 

「髪も無いし、話も噛み合わなし。おまけにナマズ顔。どうしようもねぇな...」

 

「ナマズ顔はひでぇな。 」

 

クーが笑う。

 

「あ。ただ、逃走した木村の似顔絵を作成するのに役には立ちました!」

 

柏田は作成した似顔絵を見せる。

 

「結構イケメンさんじゃねえの。」

 

 

「...私に報告するのを忘れとらんか?」

 

「ゲッ...」

 

すると課長がまだかというような目付きで睨んでくる。

 

「べ、別に忘れちゃいませんよ課長ォ...一応、逃走した木村の行方に繋がりそうな情報は搾り取れました。」

 

「どんな情報だ?」

 

「最近奴、遠野って奴とよく会ってるらしいんすよ。」

 

「遠野?」

 

「ええ。つーワケで、ちょいと行ってきます。行こうぜビリー!」

 

 

 

 

 

遠野宅

 

 

ピーンポーン...

 

何度家のチャイムを鳴らしても誰も出る様子はない。

 

「あれれぇ?...留守しちゃってんのかな?」

 

「空振りか〜...!マスター、無線鳴ってるよ?」

 

「おっ!」

 

『警視103へ!大山!逃走した銀行の車が発見された! 一回戻ってこい!』

 

「なんと。はい了解!」

 

 

 

・ ・ ・

 

 

「車は下北沢で発見されたそうだ。」

 

 

「下北沢ァ?」

 

「そうだ。という訳で、大山、ビリー君、柏田は下北沢へ向かってくれ。」

 

「了解!」

 

 

・ ・ ・

 

 

下北沢

 

「ホントにここに居るのかなー」

 

「ま、焦るなよビリー。こういうヤマはじっくりコトコト片付けるモンさ。」

 

 

やがて大山達は銀行の車が発見された現場に到着した。

 

「警視庁の大山っす。中に現金は?」

 

「いえ。全く何も載せていない状態で乗り捨ててありました。」

 

 

鑑識達の現場撮影が終わると、大山は車内の様子を見始める。

 

「何にもない、か...ま、飯でも食いながらゆっくり考えるとすっかビリー。」

 

「そうだね。」

 

そう言うと二人は車に乗り込む。

 

「!ちょっ 大山さん!ビリー君も何処へ?」

 

「ん、柏田クンはここに居てくれネ。1人でも残ってないと駄目だろ?」

 

 

 

そのまま2人は現場を出てしまう。

 

 

「...自分勝手。」

 

 

 

2人は商店街の中の飲食店に入った。

 

「...ここのカレーあんましうまくねぇな...」

 

「ん。...マスター!」

 

「ん?」

 

ビリーが急にメニュー表を立てて顔を隠す。

 

「あいつ!」

 

そう言うビリーに倣って大山もメニューで顔を隠しながら後ろを振り返る。すると後ろの席に居たのは髪をツンツンに逆立てた若い男だった。隣にやけに大きなバッグを置いている。

 

「木村クンの似顔絵にクリソツ。ビンゴだな。」

 

すると男はこちらに気づきいたのか、席を立ち、早々と会計を済ませて店を出る。

 

「行くぜっ!」

 

大山とビリーもすかさず追いかける。...が。

 

「マスターは会計してて!あいつは僕が追うから。」

 

「え?いや俺が行くからビリー払ってくれよ」

 

「マスターより僕の腕の方が正確でしょ?」

 

「あ〜...外すなよ?」

 

「OK‼︎」

 

そうしてビリーが単独で木村を追い、店を出た。木村は繁華街の路地裏に入っていき、ビリーもそれを逃さない。しばらく追いかけっこが続いていたが...

 

 

「今止まれば痛い目には逢わせないであげるよ?」

 

「...くっ」

 

ビリーが呼びかけると、木村は立ち止まり、懐に手を突っ込んだ。

 

「!」

 

懐から姿を見せたのは、S&W M&P(ミリタリー&ポリス)。

 

ドン ドンッ!

 

木村はビリーに向かって発砲するが、流石西部時代のアウトロー。目にも留まらぬ速さで弾を避ける。

 

「あーあ。もう知らないよ?」

 

ビリーは不敵な笑みを浮かべるとホルスターからM1877サンダラーを抜く。

 

「ファイヤー‼︎」

 

ドドドッ!

 

「っ!」

 

そのまま彼は木村に3連射し、木村のM&Pは弾かれる。

 

「あっ⁉︎」

 

「さ、もう抵抗はやめなよ?...それとももう一度勝負する? 先に抜いても良いよ、僕のが早いから!」

 

「くぅ...」

 

ドンッ!

 

「っ!やめてくれよ...」

 

ビリーは木村の持っていたバッグを撃ち抜く。

 

「やっぱり中身は現金だね。」

 

 

 

ビリーが木村を完全に追い込んでいる時。

 

 

「...!木村君!」

 

その時、付近のビルの屋上から彼らの様子を伺っている人物が居た。遠野である。

 

「あのへんな格好の奴、何してんすか...やめてくださいよホントに!」

 

遠野はポケットからS&W M10を取り出し、ビリーに照準を合わせる。

 

が。

 

 

ドォン!

 

「「⁉︎」」

 

「⁉︎ アァーン!」

 

突然彼のM10が弾かれる。

 

「はいそれまでそれまで、ハイそれま〜で〜ヨ」

 

追いついた大山が屋上でパイソンを構えていた。

 

「早撃ちが出来ても、銃口を頭に向けられて気づけないようじゃまだまだだだな。」

 

「マスター...!」

 

 

 

 

・ ・ ・

 

 

 

「じゃ、やっぱあいつらは最初からあの2人を裏切る算段だった訳ですか。」

 

「そ。そんでもって2人、実は最近デキてたみたいヨ。」

 

署に戻った大山はタバコに火をつけながら語る。

 

「えっ ...お、男の人同士...でですか?」

 

マシュが少し顔を俯かせながら言う。

 

「ま、この時代は同性愛ってのも珍しくねえみたいだしな。...マスターとビリーも、そのままゴールインしたらどうだ?」

 

「「⁉︎」」

 

「はっ! そりゃいいねぇ!そうですよ大山さん、ビリー君、そのままくっついたらどうです?」

 

「おいおい冗談はよしてくれよクー!柏田お前も便乗してんじゃねぇよ...」

 

 


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