蒼き鋼with Silver Shinano   作:Many56

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第2話 少女との出会い

進「君は…誰だ?」

 

そう進が尋ねると少女はこちらを振り向く。

 

「私の名前は、シナノ…シナノって言うの。」

 

進「そうか、シナノちゃんか。なんだか、昔の空母の名前みたいだな。」

 

シナノ「?…くうぼ?何それ?」

 

進「戦闘機を運ぶ船のことさ。」

 

シナノ「ふーん。」

 

進「シナノちゃんは、どこから来たんだい?」

 

シナノ「引っ越してきたの。山の中から。」

 

進「山の中…か。」

 

シナノは海の方を向いて、進にこう尋ねた。

 

シナノ「お兄ちゃんの名前は?なんでここに来たの?」

 

進「俺の名前は進。代銀 進だ。ここに来たのは、いつもここに来るからさ。」

 

シナノ「どうして進はいつもここに来るの?」

 

進(よ、呼び捨て⁉︎まあいいか。)

「そうだなぁ、海が好きだからかな。」

 

そう言うと、進も海の方を切なそうに眺める。

 

進「シナノちゃんも海が好きなのかい?」

 

シナノ「うん。それに、あんまり見たことなかったから。」

 

 

その日から、俺はシナノとこの丘で会い、毎日話すようになった。

 

シナノはアニメが大好きで、特にボコられグマのボコというアニメが好きらしい。見せてもらったが、そのキャラクターは包帯でぐるぐる巻きにされていたら、そこらじゅうがツギハギだらけだったりと、俺にとっては全くの謎のキャラクターだった。

 

俺は、普段の学校のことについて話した。かなり興味津々らしく、

「入学してみたい。」

なんて言い出すほどだった。

 

 

 

 

そして、彼女と出会っておよそ1ヶ月が経った。

 

 

いつものように丘で海を眺めながら話しをしていると、シナノがいきなりこう切りだした。

 

シナノ「ねえ、進。1ヶ月前、海が好きだからここに来るって言ってたけど、あれってホントは嘘なんじゃないの?」

 

進「‼︎」

 

シナノ「それってもしかして図星?」

 

進「いや、いきなりそんなことを聞いてくるとは思ってもいなかったからな…」

 

シナノ「フフフ、それでどうなの?」

 

進「まあ、半分当たっているな。」

 

シナノ「半分?」

 

進「ああ、海が嫌いというわけではない。でも、別でもう一つ理由がある。」

 

進は座り込み、大きく息を吸う。

 

進「俺の親友には、『千早 群像』っていうやつがいる。そいつと一緒に、この閉塞した世界に風穴をあけようと約束した仲なんだ。」

 

シナノ「風穴?」

 

進「霧によって衰退の一途辿っている。それをどうにかして止めたいんだ。…けど、一緒にやろうと決めた相手が、先に旅だってしまった。アイツは、風穴を開けようと奮闘しているのに、俺はアイツに何もしてやれない…それがすごくもどかしいんだ。どうにかしたくて、アイツを見届けたここにいつも来るけど、どうあがいてもどうにもならないのに、いつも来てしまう。バカだと思うだろ。」

 

シナノは座り込んで、静かに聞いていた。

 

シナノ「それで、その群像っていう人に会えたらどうしたい?」

 

進「どうしたいって、そうだなぁ。もう2年も会っていないから、なんで何も言わずに出たのかとか聞きたいこと全部聞いて、お前の力になってやりたいとか言いたいこと全部言ってやりたいな!」

 

シナノ「そう…」

 

シナノはおもむろに立ち上がって、大きく深呼吸をする。

 

シナノが手を広げると白く光るリングが現れ、瞬く間に光のドームを形成する。

 

ゴゴゴゴ

 

そして、地鳴りのような轟音が響き出す。

 

進「い、一体何が⁉︎」

 

ドコザッパァァン

 

なんと、現れたのは全長250メートルはあるであろう白銀の船体を持った空母だった。

 

進「君は、一体?」

 

シナノ「改めて自己紹介。私は、元霧の艦隊所属、超海域強襲制圧艦のシナノ。」

 

進「霧の(ふね)…⁉︎」

 

 




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