蒼き鋼with Silver Shinano   作:Many56

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アルペジオリバース配信きたぁぁぁぁぁ‼︎
まあだいぶ経ちましたが…(汗)
個人的には私服イオナがカワエエ♡…もとい絵が好みです。
あとコンゴウ先生とかはマジで驚きました。
(教師の衣装が意外にも似合ってる。)
さて、それでは第6話楽しんでいただけると幸いです。
追伸、更新遅れてすいません。


第6話 横須賀再び

横須賀港

 

そこは高さ数十メートルはある巨大な壁に囲まれた要塞港である。

 

ゴウィーン

 

その港の扉が開き、扉の向こうには2隻の艦が見えた。

 

艦のクルーは全員、甲板にいた。

 

いおり「防護壁、やっとできたんだ。霧相手には気休め程度かもしれないけど…」

 

沙織「1年前にはもう出来上がっていたよ〜。」

 

静「あそこが艦長や皆さんが育った街なんですね。」

 

杏平「2年ぶりか。まさか横須賀に戻ってくる日が来るとは…」

 

大介「俺たちも、2週間程度でここに戻るとは思ってなかったな。」

 

イオナ「海軍横須賀コントロールより入電、『貴艦らへの弾薬及び補給物資の搬入準備は整っている。』」

 

群像「振動弾頭のことことは?」

 

イオナ「ううん。ただ、シナノは通常ドッグには入らないから、大型艦用の特別ドッグに入って欲しいって。」

 

進「それじゃあ群像、しばらくな。」

 

群像「ああ。」

 

シナノは401と別れて、ひときわ大きな建物に向かった。

 

グウォーン

 

大型のハッチが開いて、その中にシナノが収まっていく。

中には大量の兵士がこちら側に銃口を向けていた。

 

みほ「うわっ。」

 

太一「完全に警戒されてるな。」

 

康夫「こればかりは仕方がないですよ。」

 

急にシナノがブルブルと震え出す。

 

進「どうした?」

 

シナノ「うう、スキャンされてる。」

 

進が周りを見渡すと、スキャナーを持った兵士が人海戦術でシナノをスキャンしていた。

 

進「やめさせるか?」

 

シナノ「大丈夫、少しくすぐったいだけだから。」

 

そんなやりとりをしている中、外部ハッチが閉鎖されガントリーロックの接続と排水が始められる。

 

オペレーター「排水完了!ドッグへの降下を開始する!」

 

ガコッウィーン…

 

内部ハッチが開き目の前には広大な空間が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

榎本「このドッグの整備班長の榎本です。しっかし、デカイですなあ…」

 

進「ええ、僕も最初見たときは驚きました。」

 

榎本「よしっ、お前ら作業開始だ!」

 

整備士「うす!」「喜んで!」

 

その直後、シナノが進に話しかける。

 

シナノ「進、群像が上陰次官補に会いに行くからついてきてほしいって。」

 

進「わかった。みほ、留守の間の指揮は任せる。」

 

みほ「分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

進とシナノは群像、イオナと合流して上陰と面会した後、港全体が見渡せる小高い丘の上に来た。

 

進「こうしていると2年前を思い出すな。」

 

群像「たしかに…」

 

そんなやりとりの中、イオナが口を開く。

 

イオナ「横須賀をスキャンしたら2年前より著しく人口、住宅数が増えている。どうしてか分かる?」

 

群像「ああ、多分だけど防護壁のおかげだろう。アレが完成したから、内陸部に避難していた人々が戻ってきたんだろう。」

 

イオナ「どうして?」

 

群像「そうだなぁ…やっぱりみんな海が好きだからじゃないかな。」

 

イオナ「非論理的。沿岸部は内陸部に比べて戦闘の被害に遭いやすいでしょ。」

 

群像「それでも、海がいいのさ。」

 

それを聞いた瞬間、シナノがクスクスと静かに笑い出した。

 

シナノ「そういえば、進も最初会ったときそんなこと言ってたね。」

 

進「掘り返すな。」

 

群像「少し寄り道してもいいか?」

 

一同「寄り道?」

 

群像「ああ。非論理的な気まぐれとでも言うかな。」

 

そういうと群像は花屋で小さな花束を買うとある場所に向かった。

 

進「ああ、()()()か。」

 

群像「ああ、2年間出来なかったからな。」

 

少し歩くと開けた場所に出た。

 

イオナ「群像、何をするためにここへ?」

 

イオナが尋ねた瞬間、奥から熊のぬいぐるみを持った小学生くらいの少女が駆けてきた。

 

少女「たすけてー!」

 

一同「?」

 

少女は群像に抱きついて、

 

少女「悪い人たちに追われてるの!」

 

すると奥からメイドらしき女性たちが少女を追ってきた。

 

メイド「お嬢様!」「お待ちください!」

 

少女「イヤ!自由の旅に出るの!」

 

群像「悪い人?この人たちが?」

 

するとイオナとシナノが興味津々に少女を見つめる。

 

少女「?」

 

その隙にメイドが少女を抱き上げる。

 

少女「離して!」

 

メイド「さあ、お屋敷に戻りますよ。」「どうもすいません。」

 

進「一体なんだったんだ?」

 

イオナ「今の少女をデータベースから検索してみた。近くの屋敷にたった一人で暮らしているみたい。」

 

群像「たった一人で?あんなに幼い子供が⁉︎」

 

イオナ「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

特別大型ドッグ

 

シナノのクルー一同は整備士と共に補給を進めていた。

 

沙織「ど…どうしよ、みほ。」

 

みほ「どうしたの沙織さ…‼︎」

 

みほが振り向くと沙織の背中に銃口が突き付けられていた。

周りを見渡すと武装した海軍とは違う兵士がシナノの周りを取り巻き、整備士の人たちにも銃口が向けられていた。

 

榎本「なっなんだお前ら⁉︎」

 

みほ「この人たちまさか…」

 

大介「ああ、()()らしいな。」

 

すると奥から黒服の男が現れる。

 

黒服「シナノクルーの皆さん、ある方があなた達を夕食に招待しています。」

 

康雄「招待のやり方がかなり荒っぽくないですか?」

 

太一「どうするんだ、副長サン。」

 

みほ「応じましょう。ここでの争いは無益です。」

 

黒服「それではご案内いたします。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、進たちは沿岸にある墓標の前にいた。

 

群像はおもむろに花束を墓標の前に置くと、進はそれに合わせて手を合わせる。

 

イオナ「群像、ここは?」

 

群像「ここは、海軍の墓地なんだ。」

 

イオナ「墓地って?」

 

群像「死者を弔い、その心を慰めるための場所。」

 

イオナ「死者を弔うことにはどういう意味があるの?」

 

群像「それは…」

 

群像が後ろを振り返ると、涙を零し悲しみにくれる女性がいた。

 

群像「…残された人々が、現実と折り合いをつけるため…かな。」

 

イオナ「無意味な行為に思える。」

 

シナノ「たしかに私たちにとってはね。でも感情というものを持っている人間にとってはその性質上大いに意味があること。現実と折り合いをつけることで、心を安定と安らぎを得るの。そうしないと色々なことに支障をきたしてしまう。」

 

進「シナノ…」

 

イオナ「そうなんだ。」

 

進「少し湿っぽくなっちまったな。さて、墓参りも終わったことだし、艦に戻るか。」

 

進は来た道を戻る中、チラリと一つの墓石に視線を向けた。

 

その墓石の一部にはこう書かれてあった。

 

『代銀 剛

代銀 紀子

代銀 芳雄

代銀 真希』

 

順に進の父、母、叔父、叔母の名である。

 

さらに、最後にはこの名があった

 

 

 

『代銀 守』

 

それは進の兄の名だった。

 

 

進(待っててくれ兄さん、みんな、必ずやり遂げるから。)

 

 

 

 

 

 

進たちが墓地の外に出ようとした瞬間、急に武装した10人ほどの兵士に囲まれる。

そして、その中から一人の黒服の男が出てくる。

 

進「どういったご用件でしょうか。」

 

黒服「イ401艦長の千早群像様、そしてシナノ艦長の代銀進様ですね。ある方があなた方を夕食に招待されています。」

 

イオナ「群像、排除する?」

 

群像「やめるんだ、イオナ!」

 

進「シナノもだ。」

 

群像「英霊の眠りを邪魔するのも野暮だ。ここは素直に招待に応じようじゃないか。」

 

 

 

 

 

 

男に連れられて4人は軍事車両でとあるレストランに来た。

テラス席に連れられると、すでにシナノやイ401のクルーがいた。

 

杏平「来た来た。」

 

大介「遅いよ。」

群像「なんだ、お前らもいたのか。」

 

「やっと来たかね。」

 

奥には大きな髭を蓄えた老人がいた。

 

進「我々を招待したのはあなただったんですね、北 良寛。」

 

北「まずは座りたまえ。」

 

4人が各々の席に座ると北は睨みつけるような目つきでシナノとイオナに視線を向ける。

 

北「そこの2人の娘が401とシナノのメンタルモデルかね。」

 

群像「ええ、俺たちを招待したのはイオナとシナノを眺めるためではないでしょう。」

 

北「生憎、人形を眺めながら食事をする趣味は持ち合わせてないよ。」

 

北は一口ワインを飲むと鋭い視線を進と群像に向ける。

 

北「単刀直入に言おう。401を政府に返却し、シナノを引き渡してもらえないか。」

 

間髪いれず、

 

進・群像「お断りします。」

 

北「何故だね。」

 

群像「受けた仕事の途中ですので。」

 

北「上陰のことかね。それには心配する必要はない。」

 

群像「いえ、こちらにも引き受けたからには責任というものがあります。」

 

北「()()か。久しぶりにその言葉を聞いたよ。」

 

群像「……」

 

北「昨今の通信事情であっても君たちの活躍は我々の耳にも届いている。そしてこの2年の間で霧を相手に生き延び、あまつさえ大打撃すら与えていることに私は大きな感銘を受けているのだよ。」

 

杏平「ケチな運び屋ですけどねー。」

 

ズドン

 

いおりに足を踏まれ、杏平から悲鳴が上がる。

それに構わず北は続ける。

 

北「だからこそ、君たちのような有能な人材をいつまでも危険な401とシナノと隣合わせにしておく訳にはいかないと考えてね。」

 

群像「危険?401とシナノが?」

 

北「うむ。アレらは元々霧の戦艦だ。いつ君たちの手に負えなくなるか分かったものではない。それなら、高度な訓練をして経験もある者たちに任せるべきだとは思わないかね。ましてや、メンタルモデルなどという怪物に中枢を握られている艦が信頼に値すると誰が真面目に考えるだろうか。」

 

進「信頼?信頼できないのはあなた方ではないでしょうか。大海戦の敗北から9年も経っているのに何もなし得ていない上に、高度な訓練も経験も霧にはほとんど通用していないことも理解していない。そして、我々の仲間も同然であるシナノとイオナを怪物などと称するあなたを、俺は信用できない。」

 

北「その人形がそんなにいいかね。引き渡しくれれば、学院に無条件で復帰できると言ってもか。」

 

進「まさかそんな物で釣り上げる気だったなんて言わないでしょうね。」

 

北「そうか…」

 

チン

 

北がグラスを鳴らすと、それに呼応するように陸軍の兵士がなだれ込み、全員に銃口を向ける。

 

北「ならば強硬手段に出るしかあるまい。できれば、この方法は使いたくなかったのだがね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

函館市街地のとある書店

 

その中にはタカオの姿があった。

 

タカオ「えーっと…これなんか良さそうね。」

 

タカオは手に取った本を買って、書店を出るとすぐにページをめくる。

中にはこう書かれていた。

 

『艦長は艦の全てを知っています。それは艦長が艦を思い通りに動かすためです。』

 

タカオ「ハアァァァ♡」

 

タカオ(思い通りに動かすため…この私を思い通りに…♡)

 

「ここにいましたか、タカオ。」

 

感銘に浸っているタカオの前に二人の少女がいた。

その少女たちは一方はピンクのチャイナドレス、もう一方は緑のポンチョを着ている。

しかし顔立ちと体格はイオナと瓜二つであった。

 

タカオ「へえ、思っていたより早かったわね。」

 

「ええ。」

 

「潜水艦隊の主任務は諜報活動だから。」

 

タカオ「諜報?新鮮な概念だわ。それで400と402、この私に何の用?」

 

イ400「あなたはナノマテリアルを補給して船体の修理を行った後、艦隊を離脱しました。その理由を伺いに来たのです。」

 

イ402「概念伝達のリンクを断ってしまったので、直接私たちが来るしかなかった。」

 

タカオ「私は欲しいの、艦長が。」

 

400「艦長…千早群像のことですか。」

 

タカオ「ええ。彼なら私を私以上に使いこなしてくれる。私はもっと強くなれる。兵器であれば、強くなりたいと思うのは当然でしょう。」

 

402「それは、何か考えがあってのこと?」

 

タカオはすぐさま視線を逸らす。

 

タカオ「…もっもちろんよ。」

 

400「その様子では無いようですね。」

 

タカオ「ああもう、うるさいわね!」

 

ザッパーン

 

海中からタカオの船体が現れる。

 

タカオ「私はもう霧には戻らない。あの人の元へ向かうわ。今はそれでいいでしょう?」

 

402「ええ。」

 

400「まあ、会えないでしょう。401の元へハルナとキリシマが向かっていますから、そのうち撃沈したと連絡があるはずです。」

 

タカオ「撃沈した?()()()の間違いじゃない?」

 

402「何を言っている?」

 

タカオ「どう考えても、ハルナとキリシマはあの()()には勝てない。その上、私を負かしたあの人もいる。」

 

400「二隻?一体どういう…?」

 

タカオ「まあ、そのうち分かるわ。ああ、あと私は横須賀には向かわない。401と接触したときにちらっとだけど面白いものが見えたの。そこであの人を待つわ。」

 

タカオは艦に飛び乗ると、そのまま去っていった。

 

 

402「あれはもう、私たちが知っていたタカオではない。」

 

400「霧が変わろうとしている。引き続き監視が必要ね。」

 

402「()()()を使って。」

 

 

 

 

 

 

同時刻

横須賀

 

ドオォォォ…!

 

壁の外から轟音が響いてくる。

 

兵士「なんだ?」「壁の方からか?」

 

進・群像「各自状況報告!」

 

僧「補給物資全て搬入完了してます。」

 

いおり「船体及び機関問題ナシ!」

 

杏平「火器管制及び武器システム異常ナシ!メンテもバッチリだぜ!」

 

みほ「シナノの方も補給完了しています。」

 

大介「航海管制システムオールグリーン。」

 

康雄「火器管制、武器システム、どちらも万全の状態です!」

 

太一「機関、いつでも全開運転できます!」

 

イオナ・シナノ「ドッグコントロールシステム、ハッキング開始。」

 

 

数分後、シナノとイ401が海中から現れる。

全員が席を立って艦に乗り込もうとする。

 

兵士「動くな!」「止まれ!」

 

ダダダ!

 

その瞬間兵士全員の足元に機銃が撃たれ、レーザーポインターが胸や頭に放たれる。

 

シナノ「次動いたらどうなるか分かるよね。」

 

そして、全員が乗り込むと二隻の艦橋の中で出航の声が響く。

 

群像「イ401発進!」

 

進「シナノ発進!」

 

横須賀港内でシナノと401の機関音が響き渡った。

 

 




後書き忘れてた。
気づいたらUAが1000超えてた。
それと忠邦さん初評価&初感想ありがとうございます!

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