「んでお前らビルドどんなよ?」
前衛希望か後衛希望かしか聞かれなかったし、当然だな。前衛2後衛2だから最低限の形にはなってると思いたいが。
「目指せ
「目標は魔法習得数一位。信者と魔法使いで物理系は捨てた」
「はーい。デバフ特化メイジでーす。とりあえず二次職は
「パラディン目指してW/P取った俺がまともみたいな流れやめろ?正気か??」
可哀想だなこいつ。いや、自業自得だわ。変なことするやつばっか誘うからこうなる。
「パラディン目指すのは割と普通じゃないの?」
あ、俺も思った。所属が神殿だろ、花形じゃん。
「ヒント、ダブルクラスの必要経験値。特に序盤」
「それヒントじゃねえ」
答え。
取得スキルは、という問いにはちょっとバツが悪くなった。ただでさえダブルクラスで少ない枠に【言語習得】は……ソロならともかく固定持つのにやることじゃなかった。反省はしてる。
「【識別】、闇の属性魔術、ネクロマンシー」
「ヘイト集め、盾殴り、【重装行軍】」
「呪文弄るやつと使う場所のなさそうな言語」
「お前らさあ……。いやカインはいいよ。ロッテもまあ【属性魔術】の強弱とか考えてもないんだろうし、【識別】取ってるから赦す。だがリプスお前はだめだ」
だろうな。俺もセージが同じこと言ったらぶん殴らない自信がない。
「スキルはあれだけど種族が優秀だから許して。具体的にはMPとFPとHPの余ってるやつを他に振り分けできる」
「掲示板……」
「やめろ晒すな」
やめろ。アライメント善から特定からのタコ殴りにされてデスペナるのが落ちだろそれ。ランダム選択肢なんだぞ。
「でそう言うセージは」
「【属性魔術:光】と【影光の剣】。たぶん付与魔術とかそういう系」
普通に格好いいが、【栄光の剣】じゃないのか。パラディンより向いてるルートあるんじゃないか?影使いみたいなやつ。やりたいなら仕方ないけど。
行動指針、とは言っても戦闘職揃いで最初にやることなんて一つしかないから、あとは場所だけだ。
選択肢1、南東の平原。難易度抑え目経験値そこそこ。でもみんな考えることは同じなので凄まじい混み方をする。
選択肢2、西の森。ちょっと遠い上に敵が強い。死ななければ経験値がっぽり。死ななければ。
選択肢3。
「金払って北に行く馬車に乗る」
エリアボスとかないので攻略をショートカット。この手の擬似世界構築でまともな文化圏にある街の周囲全部強敵揃いとかあり得ない。よって空いてるとこに行く。
「私は別にどこでも」
「馬車に払う金があるなら装備揃えたいな」
「森で」
「じゃあ森行くか」
「その前に装備な」
「うん」
そう言って大通りの方に向かう。広場から伸びる大通りの一つが、どうも初心者向けのそれらしい。なにやらシンボルを掲げた、神殿らしき建物が見えて少し驚く。性質善め……こっちはスラム街なのに。
「何が要るのか分からんからベータテスターさん任せた」
「よし任された」
「ってもまだ大したもんは買えないけどな。ちょっとポーションか予備の武器買って蘇生費用残したら終わり」
「
カイン、説明聞いてなかったのか?もしかして神殿の
「正確には金が払えないと経験値で払う羽目になる。他にデスペナはなし。レベルは下がらないけど、経験値も出せないと借金扱い」
あ、俺もこれは聞いてない。
「金額にも依るけどそれならまあ妥当か。なんぼ?」
「レベル×10
「きっつ」
今所持金が75サイルのTL6なんですがそれは。たぶん本当に何にも買えない。
「なお今が一番きついと見せかけて金銭インフレも精々その程度な模様。てわけでなんか欲しいものある?」
「いや……なんにせよ先立つものがないと無理ではこれ」
結局、ヘイトを集める防犯ブザーっぽいものを一つだけ、金出し合って買った。そんなに効果は高くないが、あるにこしたことはないだろう。同じ値段ならポーションより緊急離脱アイテムの方がまし。たぶん。一番STRのあって遠くまでなげられそうなセージに持ってもらって、出発。平原は恐ろしく混み合っていたが、掲示板を見る限り森よりは馬車に乗る方が多そうだ。
森と言うと鬱蒼とした、地面まで碌に日の届かないものを想像しがちだが、ここはそうではない。どちらかというと林と呼ぶべきだろう。木は疎らで、視線も遠くまで通る。2メートルの大男が大剣を振り回す……のは厳しいだろうが、ロングソードならなんとかなるだろう。遠くにとはいえ剣戟の音がするにもかかわらず、呑気に鳥が鳴く声も聞こえる。このくらい図太くないとゲームの狩場では生きていけないのだろうか。