『勇者』三人じゃダンジョンとかを満足に攻略できません・・・・・・   作:あんこう鍋

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前回のアップから数分して友から連絡がありました。

友「流石にキャラの名前安直じゃない?」

自「もう見たのかよ!? 怖いよ!多分、上げてから十分だってないぞ?」

友「小説を投稿した瞬間が・・・・・・見える、私にも見えるぞってなった」

自「もうお前、宇宙にいけよ? NTになっちゃいなよ?」

友「どちらかといえばVFシリーズ乗りたいんだよな」
 
自「マ○ロスの方だったかぁ・・・・・・」
では投函します。


第二話 『手が足りない・・・そうだ、分身すればいいんだ・・・! できたら苦労せんわ』

 太陽が輝きを強くし世界を照らしてゆく。朝日が地平の彼方からそのすべての姿を晒してゆく中で、『風穴の遺跡』の前には多くの冒険者達が徒党を組み、最後の打ち合わせをしている姿が見られる。

 ジンもまたその冒険者達の中の一つの徒党・・・・・・パーティーのリーダーである。パーティーの平均人数は4~7人無論それ以上の人数もいればたった二人だけのパーティーも存在する。そう考えた所でジン達の三人というのは少ない部類に入るであろう。

 別に少数精鋭を気取っている訳ではないし、むしろ、ジン自身は何かしらに特化した戦力が欲しいとは常常思っている。

 

 現在ジンは他のメンバーのレトリー・ダッケンとアイ・pn・コッツを待っている。集合予定時間までまだまだ余裕はある。快適な目覚めで起きだしたんでいつもより早くついただけなのでゆっくりと待っているだけなのだが、思った以上に暇である。3回目の装備品の確認をしようと考えていると目の前に二つの影が映る。しかしあげた視界に映ったのは別の人物であった。

 

「ん? おおおはよう、凶悪姉妹じゃねぇか。今から潜るのか?」

「おはよう。相変わらずねジン。あと、その名前どうにかしてくれない?」

 

 そう明らかに呆れたように挨拶を返す女性。凶悪とは縁遠そうな穏やかそうな顔立ち。金色の髪は艶もあり冒険者という言葉を適用するには何処か違和感を感じてしまいそうになる。双子なのか雰囲気も似ている。

 勝気な性格の姉のファイ・アツヨイとおっとりとしている妹のフレ・アツヨイ。先程の二人だけの珍しいパーティーの双子の『高位・魔術師』である。一般的には魔術師や僧侶タイプは前衛に守られるのが鉄則ではあるがこの二人にはそう言う常識とは離れた戦い方を確立させた存在である。

 二人の外見からパーティー勧誘の声も多かったと聞くが、双子のコンビネーションの前に多少の前衛の経験者ではとてもではないが入り込むことはできないであろう。

 

「えー、ファイもフレも長距離から中級攻性術式で狙撃と下手に接近されても上級攻性術式でぶっ飛ばすし。最悪誰も近くに居ないなら最上級攻性術式で全て蒸発させるだろ。その上、例え近接戦闘まで持って行かれたとしても、フレの上級支援術式で肉体強化して並の前衛と互角に戦えるとか・・・・・・実はお前ら馬鹿なんじゃないの? 凶悪以外ないだろ?」

「あら。使えるものは使わないと損じゃない? それに、そんな私を一度は倒してる冒険者もいるじゃない。私達の目の前にね?」

「うん、ファイの言う通りだよ。あの時のジンは怖かったよ・・・・・・まさか衝撃刃を切り裂いて突っ込んでくるなんて思ってもみなかったんだよ?」

「お前らが当時は慢心してるガキンチョだったからだよ。はっきり言ってあの時も何も考えずに最上級攻性術式を使っていれば結果は俺の負けだぜ? まぁ、されたら一瞬であの世行きだったけどな?」

 

 かつて、この二人がここ『風精霊の恩恵都市』に来た時は本当に酷かった。今だ10歳の双子の少女に対して冒険者達の勧誘も多かった。ハッキリといえばやりすぎだと思えるがそれも冒険者稼業を知れば頷ける点もある。『魔術師』はその存在だけでパーティに勧誘される。理由はその魔力と豊富な攻性術式の存在である。

 聖印の適正で受けた魔術師は最低でも中級攻性術式を覚えている。

 しつこい勧誘と、ついには脅しにまで発展しようとなっていたのを見かねたジンが助け舟を出したのはそもそもの始まりであった。

 しかし、そのジンの気遣いも精神的に追い詰められ気の立っていたファイには、軽く見られたような気持ちを持たれてしまったのだ。

 訂正しようとするジンに攻性術式――それも中級の攻性術式を放つファイにジンもまた戦う決心をする。ファイに向かって駆けながら腰の曲刀を抜刀する勢いのまま振り抜く。下段から放たれた斬撃は同時に放たれたファイの衝撃刃の刃を打ち消す。魔術に絶対的な自信をもっていた双子は驚愕の表情を浮かべ――さらに首に突きつけられた刀身に身を固めた。

 こうして、ジンの勝利宣言と崩れ落ちるファイをみて脅していた冒険者もバツの悪そうな態度でいつもの喧騒の外側へと消えていった。その後、アツヨイ姉妹とジンの間で少し騒動があったのだがこれは別の機会に話すとしよう。

 さて。初級だの中級だの言われてもピンと来ないだろうと思うのでここでも軽い説明をしてこう。

 魔法と呼ばれる技術はこの世界では当たり前のものではある。使うだけであれば誰でも使える。しかし、問題はそこではない。魔術師は膨大な魔力を有しており、かなりの術式を自らの魔力だけで起動する事ができる。

 これは僧侶もそうだが、このあたりは扱う術式の適正の問題である。簡単に言えば、『攻性術式は魔術師』。『治療術式は僧侶』。『支援術式はどちらでも使える』。そんな感じである。ちなみの『勇者』はすべての術式に適性があるが、大概は良くても中級までの術式までしか覚えられないらしい。

 そして、○○術式というはその各々のランクに分けられた魔法の事であり、おおまかではあるが攻性術式の場合だと以下のようなイメージであろう。

 『初級』は生活に役立つ程度の物。これは火を起こしたり細かい事に使えるので戦闘面以外では非常に重宝する。

 『下級』は当てる場所によっては効果も出るしダメージも与えることもできる。使い手によっては部分的なダメージを負わせる場合などに重宝する。

 『中級』攻性術式としてはこのあたりまで来れば、十分な威力になってくる。術式を使った戦闘ではこのぐらいまでないと厳しいと言われている。

 『上級』大型の魔物クラスに使う事のおおくなる術式が多い。範囲が格段に上がるのと威力も上がるため、ダンジョンなどではあえて魔物を大量に集めて殲滅する時などに使う場合が多い。

 『最上級』強力な魔物に対する最終兵器の意味合いが強い。使える魔術師など数えるぐらいしか存在しない使い手の少なさから幻の術式と呼ばれる品物である。

 

 そして、その術式において一番重要な事、それはアツヨイ姉妹の用に体内に保管されている魔力が膨大な“魔術師でも稀有な存在である”例外であろうとも同じなのだが。術式というのは発動させるために膨大な魔力を消費する。

 無論、初級~最上級にランクが上がれば上がるほど消費されてゆく魔力は多くなる。調子に乗って体内の魔力のみで魔力を消費し続けると『魔力欠乏』状態になり吐き気、立ちくらみ、最悪気絶する恐れもある。

 だからこそ、本来魔法とは切り札である場合が多い。昔は実際そうだったらしい、とはいえ今ほど魔力が少ない人も居なかったらしくココまでひどい状態でもなかったそうだ。

 そんな中で、先人達は如何にして消費する魔力を減らそうかと、その頭を悩ませていた事だろう。現在の術式も極端にムダをなくして効率化を図った努力の結晶である事だっただろう。

 そして、そう言う現存する物の効率化とは別の方法で改善を試みた例もある。それは術式の使用時の魔力を別の物に肩代わりさせると言うものだった。

 それは、勇者であれば必ずと言っていいほど持っている物である。いっそ、必需品と言っても差し支えのない物だ。

 

 【魔力接続補助機構《スタッフ》】。それは指先から肘までを覆う小手のように腕に嵌める魔術師の杖の代用品である。『雷精霊の恩恵都市』で発明されたコレは『魔石』を使用する事で回数の制限は有るが少ないリスクで術式を展開し発動させることが出来る。

 ジン達三人も例に漏れず全員が装備している。魔石は魔物であれば大小かかわらず必ずと言っていっていいほど形成されている物であり。大概は魔物の心臓の横にある。それを細かく加工して薬莢と呼ばれる筒状の容器に入れ、これをスタッフに搭載されている部品である円上の穴に差込み、元に戻せばセット完了である。かつて回転式拳銃と呼ばれた純人種の武器をイメージして制作された。

 とにかく、軽くて動きを阻害しにくく、おまけに整備性の高さから魔術師や戦士でさえも欲しがる一品となっている。

 

「ボク達は魔術メインだからロッドがあればね、それに中の魔石もそろそろ小さくなってきたからね。17階層の魔石を取りに行こうと思ってるんだ・・・・・・そういえば、ジンのスタッフも使い始めてから長いよね。そろそろ買い直し時じゃないの?」

 

 フレの指摘にジンは愛用のスタッフを眺める。三年ほど前に購入した品物で、今だに部品などにガタは来ていないものの命を預ける道具でもある。整備を怠るなんてこともしていないが。見えない疲労などが蓄積して何かの拍子に壊れるなんてのも無いとは言い切れない。

 

「そうだな、また雷の都市の方に出向かないとな・・・・・・とはいえど、あそこ嫌なんだよな。なんかさ何時、雷が落ちてくるかとヒヤヒヤするからよ」

「そうだねぇ・・・・・・ボクもあそこは怖いよ。ファイも雷は怖いっていうしね」

「逆になんであの状態でフレは寝られるのか、不思議で仕方ないわよ。なんというかねぇ・・・・・・まぁ、時間取らせて悪かったわねジン。ほらフレ、そろそろ行きましょう」

「おお、俺も長話して悪かったな。じゃあなファイ、フレ、気をつけていけよー」

 

 そういって別れるジンとアツヨイ姉妹。そこで視線を感じたのかジンが姉妹の入っていった遺跡の入口とは反対の方向を見ると、そこには青白い顔色をしてレトリーと白けた視線を向けているアイが居た。

 

「ああ、すまん。待たせちまったか・・・・・・おはよう。レトリー、アイ、よく眠れたか?」

 

 笑顔を浮かべて話しかけるジンだったが直ぐに――怪訝そうに眉を顰める。

 

「ジン君があんな美人さんとお話しをしてたー!? ええ・・・・・・どうしようアイちゃん! もしかしたらパーティーの勧誘とかかな!?」

「大丈夫。レトリー、落ち着いて。きっとジンがひどく不埒な目で彼女たちを見ていたに違いない。ジンにそんな勧誘なんて来るわけがない。レトリーや自分ならともかく。ジンに来るわけがない」

 

 ボディランゲージを含めて動揺を表す。レトリーに辛辣な言葉を長々と言いながらも常に瞳のレンズをせわしなく動かしているアイ。この一年と数ヶ月でこいつらの扱いはよーくわかっている、というかアイの動揺具合が凄い事になっているので説明と落ち着かせるためにジンはどの辺から話そうかと思考を働かせるのであった。

 

・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「なるほど。あれが噂に聞くアツヨイ姉妹だったんだね。ジンも古参の冒険者。面識があっても不思議ではない」

「よかったよー。ジン君がいなくなっちゃったら、どうしようかとおもったよー」

「いや、お前らだけでも十二分に5階層ぐらいなら問題なく行けるさ。稼ぐだけなら十分・・・・・・いやなんでもない」

 

 ジンが言葉を重ねていく度に不安そうな顔と尾をショボーンとさせるレトリーを見てジンは途中で言葉を止める。そして、現在の7階層でレベルを上げる為に狩場を探している所であった。『レベル』とは魔物などの自らの敵を倒していくと上がる格のようなものである。

 冒険者は『冒険者組合』に登録する事で『ギルドカード』を発行され、所持する事で最低限の保証を受けることができる。発行は年中できるが3年に一回は『水精霊の恩恵都市』にある『冒険者組合』の本部にて更新をしなければならない。その三年の期間に更新しなかった場合、再発行にはいろいろ面倒な手順を踏まなければいけないので記入された三年目になると大概の冒険者は早めの更新を心がけて『水精霊の恩恵都市』へと旅立ってゆく。

 聖印でも最悪身分を証明可能ではあるが、何かしらの事情で聖印のある部分が欠如していた。もしくは犯罪者の烙印を押されたなど。取ってしまえば恩恵の強いギルドカードは冒険者にとっては命の次の次ぐらいに大切なものであった。

 それに、別にレベルが上がった所で肉体能力が上がったりする訳ではない。しかしレベルが高いとクエストなどの特殊な仕事を発行してもらえたり、それの報酬に色が付いたり特典が多い事もあって冒険者達はその肉体で戦ってゆく。

 だからこそ、この様な微妙な階層では多くの冒険者達がそれぞれの場所に陣取って安全第一で戦う物や常に移動しながら獲物を探し続ける冒険者達など、人それぞれやり方様々な方法で狩りに勤しんでいる。

 

「まぁ、俺達みたいな少数は壁際でちまちま戦うぐらいしかできないか・・・・・・アイ。どうだ?なんか良い所ありそうか?」

「ジン。右側に空いてる場所がある。そこはどう?」

「ん~うん。いいな。ここなら広めだし弓での誤射もなさそうだ。流石だぜアイ、レイニー。嗅覚の制限を解除して近場に変なものがないか確認してくれ」

「はーい・・・・・・ふむふむ・・・・・・むっ!? ジン君! 昨日『安らぎの宝石屋』のシュークリーム食べたでしょ!」

 

『安らぎの宝石屋』とは厳つい殺し屋もでさえも恐れそうな顔の主人が経営しているケーキ屋だ。本人曰く「並んだケーキってのは宝石みたいだろ? 俺はお客に安らいで欲しいだけなんだよ」なんて言われても正直、顔をみて困るが本当にあそこの菓子は絶品で男のジンですらも定期的に買いに行ってしまう程のものである。

 

「うえぇ!? なんでわかるんだよ・・・・・・相変わらず、すごいな・・・・・・それで?」

「うん、大丈夫だよ! 近くで他の冒険者も居ないよー」

「よし、じゃあここでやるか!」

 

 こうして始まった狩りだが、現在のジン達の中でレベルの一番低いレトリーのレベルを上げたい目的があった。しかし・・・・・・。

 

「おっかしいだろ!? なんで俺達囲まれてんの!? ねぇレトリーもアイも警戒してたよね? 俺のせいだけじゃないよね?」

「わふー・・・・・・いきなりパッとでてきたねー」

「今の今までこいつらは居なかった。文字通り地中から生えてきた」

 

 ダンジョンでの常識、それは魔物は地中から出現すると言うものである。まるで今まで冬眠していましたとでも言いたげにのっそりとはい出てくる魔物・・・・・・その数、たくさん。

 この階層に出現する魔物は主に二種類がいる。地上をその強靭な四肢で駆け巡る深緑の蜥蜴『グリーンリザード』と、移動する速度は遅いが、その異常に発達した鋏で瞬発力を生かした一撃を繰り出してくる『ジャブクラブ』。この二体は接近されると厄介だが装甲も薄く、行動の癖も強いのである程度の距離をとって戦えば安全に狩ることができる。

 壁際に陣取るというの背後からの強襲を防げるメリットはあるが、このように大量の魔物に襲われる状況になれば逃げ道がなくなる危険性もある。勿論最悪の可能性としては考慮していたが入って、準備して、さぁやろうか。っといきこんだ瞬間ジン達を囲むように多数の――ジン達だけでは到底捌ききれない量の魔物が現れたのだ。

 

「こうなりゃ、やるしかないな! アイ、レトリーの護衛を頼む。弓の射線を邪魔しないようにアイはリザードを優先して倒せ! クラブの一撃は貰うんじゃないぞ、いくらその盾でも、もたないからな」

「わかった。レイニーは自分が守る。ジンは・・・・・・勝手にやってて」

 

 ジンの指揮を受けてレトリーの前で左手の大盾を構え右手では短斧を構える。盾にぶつかって来た相手を盾で塞がった死角から切りつけるのが彼女のスタイルである。グリーンリザードの一体もその突撃を壁となった盾に防がれ、這い上がろうとした瞬間その頭部を斧で砕かれる。

 

「いいぞ。レトリーはクラブを優先して倒すんだ。万が一でも接敵されたら中級攻性術式を使ってもいい。とにかくダメージを負うな!」

  

 パーティーでの戦闘であってはならない事、一つは消耗である、アイテム然り、魔力然り使えば無くなるものと言うのは出来うる限り節約するのが基本である。なにしろ帰りの分も考えなくてはならない。調子にのって使い切るなんて事をするのは冒険者としては三流以下とまで言われている。

 そして、それと同時に冒険者にとっての最も恐れるものそれは、負傷――最悪即死になるというものだ。大人数のパーティーと言うのは其の辺のケアはしっかりしている所も多いので多少前衛とかが負傷したとしても、フォローに回れるメンバーが戦線を維持している間に治療すればいい。そういう役割の中で廻っているパーティーってのは本気で羨ましいと思うジンであった。

 

「え、いいの? ジン君いつも、中級は切り札だから温存しろって言ってたのに」

「こんな状況じゃ、そうも言っていられないだろ!」

 

 弓に矢をつがえ引き絞った先に居るジャブクラブに向けて発射された矢は、風を切る音と共に高い音を立ててジャブクラブの小さな胸に当たるが、生命力の高さなのか当たりが悪かったのか一瞬の怯みは見せたが動きを止めれるほどではない。

 その瞬間――ジンの標的が決まった。放たれた矢の如くレトリーの仕留めそこなった対象へと駆ける。途中でグリーンリザードが飛びかかって来たが焦ることなく、スタッフを装着した左手を突き出し詠唱を唱える。

 

「“我・輝き求めるもの・照らせ・光よ”」

 

 ジンが詠唱を唱えると、スタッフの内部にある薬莢に詰められた魔石の粉が反応し小さく爆ぜる。薬莢から微かな煙が吹き出し。ジンの左手の平から強い光が発生する。

 【閃光(フラッシュ)】これは初級攻性術式【灯火(トーチ)】の上位互換であり、強い閃光を生み出すことができる。薄暗いダンジョンの中では目潰しや連続で使うことで救援要請に使えたり中々に便利な術である。そんな閃光を間近で受けたグリーンリザードも視界を塞がれ仰向けに倒れながら暴れる。

 そんなグリーンリザードを無視して駆け抜けた先のジャブクラブの巨大な鋏、その鋏を支える腕を愛用の槍で切り落とす。ジンの所持する槍は少し反りのある突くよりもやや切る事を重視したような形状をしている。グレイブと呼ばれる武器をジンは器用に回しながら構え直すと、他のジャブクラブ目掛けその身を躍らせるのであった。

 

「相変わらず、ジン君はすごいねぇ・・・・・・もう、あれだけいたジャブクラブの内、半分の鋏を切り落としちゃったよー」

「ジンは腕力の無さを長ものを使うことで補っている。そう思ってるのだろうけど、実際あれほど精密に部位を切り離すなんてそうそうできない」

 

 レトリーとアイもまた会話を挟みながらも魔物を屠ってゆく。ジンが魔物の危険度を少しでも下げるためのサポートとして行動しているので魔物の数その物は減っていない。アイの盾にへばりついたグリーンリザードを押し返し、倒れた所を至近距離から弓で射殺してゆく。

 乱戦の中。レトリーの彼女の側面からグリーンリザード二体が接近する。持ち前の鼻の良さで接敵に気づいていたレトリーは弓を左手に持ち替え右手を突き出し詠唱を行う。

 

「“我・氷期の風を生むもの・凍えよ・震えし者”」

 

 中級攻性術式【凍える吹雪(ブリザード)】が発動しレトリーの前方に冷気を纏った暴風が吹き荒れる。風に混じった雪と氷の結晶がグリーンリザードを凍らせてゆく。しかし、完全に氷付く事もなく止めを持ち直した弓とアイの斧で指してゆく。その後も数回のピンチもどうにか気に抜け、時間にしては20分程度であるが濃厚な時間を過ごした三人は魔物から魔石を抜いて使えそうな素材を剥いでゆく。

 

「さて、素材と魔石も取ったし・・・・・・スタッフの中身も微妙だし。レトリーの魔力が尽きて矢も少ないし・・・・・・帰るかぁ・・・・・・」

「わふぅ・・・・・・ごめんね。ジン君」

「レトリーは悪くない。今回は、運が悪かった」

 

 本日のダンジョンの滞在時間2時間28分・・・・・・内、移動時間1時間47分。倒した魔物は、第七層だけで『グリーンリザード23体』『ジャブクラブ14体』・・・・・・一見多そうに見えるが4人パーティの平均はこれの5倍以上の討伐数を叩き出す。はっきり言えば今回は大損であった。しかし、体が資本の冒険者にとっては無事に帰ってくるのが一番である。

 そう割り切ってトボトボと哀愁漂う背中で帰路につく勇者達であった・・・・・・。




キャラクター紹介 その2

 ファイ・アツヨイ 年齢:15歳 性別:女 
種族:霊人 Lv45
ジョブ:高位・魔術師

アビリティ:『高速詠唱』『魔力増加』

使用可能術式:
:初級攻性術式
:下級攻性術式
:上級攻性術式
:最上級攻性術式

:初級支援術式
:下級支援術式
:中級支援術式

『風精霊の恩恵都市』で活動している双子のみの珍しいパーティーの姉の方。魔術師としては姉妹共に破格の性能を有している。恩恵都市に来た当初は珍しい魔術師だったため各パーティーからの勧誘の多さに塀癖してしまい。衝突に発展しかけるが、その前にジンの手によって止められる。年が近いこともあってジンに対してはやや素直な対応を取るようになった。その後二年ほどかけてジンと共に行動し常識を身に付けた姉妹は、都市の中で現在の地位を得ることになる。

 フレ・アツヨイ 年齢:15歳 性別:女 
種族:霊人 Lv43
ジョブ:高位・魔術師

アビリティ:『同時詠唱』『危険物発見』

使用可能術式:
:初級攻性術式
:下級攻性術式
:上級攻性術式

:初級支援術式
:下級支援術式
:中級支援術式
:上級支援術式

アツヨイ姉妹の妹。ボクっ娘であるが肉体の発育は姉よりもいい(ジン曰く)姉ほどの高火力はないものの。支援術式の品数は多くアビリティの都合で前衛的な立ち位置が多い。その場合でフレが参考にしたのがジンであり、彼女の使うロッドを使った棒術もジンの扱う槍術を基本にアレンジを加えたものである。


 『安らぎの宝石屋』の店主(本名不明) 年齢:42歳 性別:漢 
種族:霊人 Lv89
ジョブ:聖騎士

アビリティ:『菓子生産』『食材把握』『縮地』『危険物発見』『指揮』『威圧』

使用可能術式:
:初級治療術式
:下級治療術式
:中級治療術式

『風精霊の恩恵都市』で人気の菓子店『安らぎの宝石屋』の店主。視線だけで人を殺せそうな強面だが脳内は実にロマンチストなおっさん。ジン自身も「甘味自体はそこまで好みではないがあそこならば週一で行きたくなる」というほどであり、同じような体験をした多くの冒険者も礼儀正しく待つほどである(迂闊に荒事をすれば店主が出てくるため)
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