『三好in戦極姫』   作:零戦

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基本不定期


第二話

 

 

 

 

「さて、軍議といこうか」

 

 阿波国三好群芝生にある三好家歴代の居館において三好家当主代行である三好元長の長男で庶子の三好将和は並んだ家臣達を前に将和はそう告げ、家臣達は将和に頭を下げてから軍議が開始された。

 

「晴元が孫次郎を連れて一揆衆を討てと言うてきた」

「やはり晴元は我々をまだ完全には認めてはおらぬ様子ですな……」

 

 将和の言葉に譜代の篠原長政はそう呟く。

 

「仕方ないかもしれんな……今出せる兵は?」

「全力であれば一万と少しですが、伊予と土佐への援軍を考えますと六千が限度かと……」

 

 阿波三好は後方を抑えるがため土佐の長宗我部と伊予の河野通直(村上通康も)を支援していた。なお、讃岐に関しては十河氏が大半を抑えている。

 

「分かった、その兵力で行こう。之虎と冬康は阿波にて待機せよ」

『御意』

 

 元服したばかりの之虎と冬康は少々不満そうにしながらも頭を下げる。

 

「逸る気持ちは分かるが焦りは禁物だ。油断しては討たれるぞ」

「はい」

「肝に命じます」

「他には?」

『………』

「よし、では行こう」

 

 そして阿波三好軍は六千の軍勢を整えて阿波から出陣、畿内に上陸したのである。

 

「おぉ、将和に孫次郎。よくぞ来られた」

 

 堺にある晴元の屋敷にて将和と孫次郎は晴元と面会をしていた。美形であろう晴元は孫次郎を見て何やら頷きつつも上座に座る。

 

「実は本願寺の一揆衆どもが本願寺から分離をして摂津の越水城を占拠しおった。これを奪回してほしい」

(ふん、義父を殺すための一揆衆を押さえきれなくなって俺らに御鉢を回すか……哀れなものだな)

 

 事情を説明する晴元に将和は内心、そう思う。

 

「事情は分かりました。兄上と私にお任せください」

 

 そこへ孫次郎がそう言って晴元に頭を下げる。それに気分良くしたのか晴元も嬉しそうに頷いた。

 

「おぅおぅ、三好家の次期当主は頼もしいものよの」

「ハハハ、やはり義父殿の教育のおかげでしょうな」

 

 将和はチクリと釘を刺すのであった。そして将和らは軍勢を率いて摂津越水城へと向かう。

 

「孫次郎、今回の指揮はお前に任せる」

「私が……ですか?」

「あぁそうだ」

 

 驚く孫次郎に将和は頷く。史実の長慶の指揮能力は申し分ない、そのため将和は指揮を孫次郎に任せる事にしたのだ。

 

「思う存分やってこい。なに、失敗した時の尻拭いはしてやるさ」

「……ありがとうございます兄様」

 

 そして孫次郎指揮の元で越水城攻略が開始された。

 

「搦手から一存と長政が攻めろ、正面からは私と兄上で対処する」

(ふむ……)

 

 孫次郎の指示を将和は横目に見つつ攻略方法に納得していた。

 

「大将が正面から攻略すると見せ掛けか。面白いではないか」

 

 少々、声は大きめに出して孫次郎の策を褒める。それに吊られて周りの者も成る程と納得していく。

 その後を記述すると、孫次郎の指揮の元で僅か二日で越水城は落城したのである。

 

「おぉ、おぉ孫次郎殿!! よくぞやってくれましたな!!」

 

 晴元の屋敷に戻ると晴元は満面の笑みを浮かべながら二人を出迎える。

 

「これで一揆衆は力を失ったも同然。感謝するぞ」

「はっ、お役に立てて良かったです」

 

 晴元がススッと孫次郎の元に近寄ろうとしたが将和が少々大きめの声を発して釘を刺す。その将和に晴元は小さく舌打ちをするのであった。

 

(フン、孫次郎の実力はある程度分かった……なら庶兄は要らないな……何れ……)

 

 そう思う晴元だが、その動きには将和も分かっていた。

 

「まぁ、そういうわけであのクソッタレは何れ俺を暗殺してくるだろうな」

 

 三好家の屋敷で将和は孫次郎らと話をしていた。

 

「では……今のうちに晴元を?」

 

 長政は将和にそう問うが将和は首を横に振る。

 

「いや、まだ早い。弟達の力を付けてからが無難だろう」

「しかし、それでは殿が……」

「俺は暫く阿波に戻ろう。奴の出方を見る……出来るな孫次郎?」

「……無論だ兄様。この孫次郎、見くびっては困る」

 

 将和の言葉に孫次郎はニヤリと笑うのであった。そして将和は一旦阿波へ帰国して阿波の背後を固めるのである。

 

「伊予はどうなっている?」

「通直側が有利に動いています」

 

 河野通直は阿波三好からの援軍を受けて村上通康と共に予州家の河野通存と戦いを繰り広げていた。今では以前に退去させられた湯築城を取り返しており、予州家の河野通存は大方追い詰められていた。

 

「大友がどう出るかだな……」

「はっ、それに土佐の一条もです」

 

 通存側は豊後の大友、土佐の一条が支援しており場合によっては両氏が出てくる事は確実であった。

 

「土佐は?」

「土佐中部をほぼ平定しています」

 

 土佐は阿波三好が支援する長曽我部元親による平定が行われており残るは高岡郡と幡多郡を残すのみとなっていたが、高岡郡の津野氏は一条に歩み寄り佐竹氏は長曽我部に歩み寄っていたので高岡郡では長曽我部と一条の戦いが続けられていた。

 

「一条の後ろには大内、これまた大友もいる」

「むぅ……厄介……ですな」

 

 将和の言葉に之虎が唸る。

 

「……水面下で大友と大内に接触するか」

「それが一番の無難かと思います」

 

 方針は決まった。阿波三好は水面下にて両氏と接触を開始するが大内はアッサリと土佐を見捨てた。

 

「別に良いでしょ。勘合貿易で私達は富を肥やしているんだからまぁ一条は血筋が残れば良いでしょう」

 

 大内義隆はそう言うのである。しかし反対に大友はそう簡単には首を縦に振らなかった。

 

「たかが阿波三好程度にやれぬわ」

 

 大友義鑑はそう言って門前払い同様に阿波三好の使者を追い返すのである。

 

「ふむ……だが大内が捨てたのは前進出来たか」

「かもしれません」

 

 そう思う将和らだったが此処で四国統一は一時延期となる。

 

「何!? 孫次郎が晴元に襲われそうになっただと!!」

 

 何時ものように政をしていた将和は急遽、畿内から来た長政からの使者に話を聞いて驚愕した。

 

「孫次郎様は以前から晴元殿に河内十七箇所の代官職を認めてもらうよう願っておりました」

「あぁ。亡き義父殿が職をしていたからな。そんで今は政敵の政長が任をしている」

「孫次郎様は酒宴の際、酔った晴元殿に再度言上をされましたが晴元殿は聞き入れず更には交換条件として孫次郎様を晴元殿の側室にすれば聞き入れよう……と、孫次郎様の御体を触りに……」

「あのクソッタレ野郎が!!」

 

 将和は持っていた扇子をバキッと折った。

 

「それで孫次郎は!?」

「犯されそうになりましたが幸い護衛していた長逸殿の機転により即刻酒宴から逃げ今は堺の屋敷にて安静にしています」

「……虚仮にしてくれたなぁ晴元ォ!!」

 

 将和は立ち上がる。

 

「軍勢を整えろ!! 畿内に上陸するぞ!!」

「御意!!」

 

 将和は伊予、土佐の予備軍を除き7000の軍勢を整えて堺に上陸したのである。

 

「孫次郎!!」

 

 屋敷に入ると将和は廊下を走り孫次郎の部屋に入る。部屋には床に布団を敷いて伏せていた孫次郎と長逸がいた。

 

「大丈夫か孫次郎!?」

「あ、兄様……」

「申し訳ありません将和様。私達の失態です」

 

 将和を見た長逸は即座に頭を下げるが将和は否定した。

 

「お前達の失態じゃない。晴元を侮っていた俺の失態だ」

 

 将和はそう言って孫次郎を抱き締める。

 

「済まない孫次郎。お前に恥ずかしい姿をさせてしまった……」

「良いのです兄様……父上の職を取り戻したかった私達が焦った結果です」

 

 孫次郎は抱き締められながらもそう言うが孫次郎は震えていた。

 

「後は俺に任せろ」

 

 そう言う将和であった。

 

 

 

 

 




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