『三好in戦極姫』   作:零戦

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令和だから三話更新(意味分からん


第三話

 

 

 

 

 それからの将和の行動は素早かった。将和は晴元への書状にて孫次郎の代官職を認めるのと孫次郎への無礼の謝罪要求を送り、幕府の内談衆である大舘尚氏の協力も得る事に成功する。

 また、本願寺法主である証如と会談をして阿波三好と本願寺との和解に成功し証如という後ろ楯を得る事にも成功する。

 この一連の動きに晴元は京を退京して高雄に逃げ細川元常や三好政長らを集めた。幕府では12代将軍の足利義晴は騒動の拡大を避けるために近江守護の六角定頼を通じて両家との和睦交渉を斡旋するも不首尾に終わるのである。

 だがそれでも義晴は諦めずに畠山義総、武田元光等の諸大名に出兵を命じて将和と晴元の和睦工作を続けた。

 

「チッ、義晴の動きが思ったより速いな……ここいらで手打ちか」

 

 将和は六角も怪しい動きを見せている報告を受けて義晴の和睦工作に乗った。これにより将和・晴元間で和睦が成立した。

 晴元は孫次郎に改めて酒宴での行為を謝罪するが河内十七箇所の代官職任命は拒否して一定の凝りが残るのである。

 

「兄様、ご迷惑をかけました」

「もう大丈夫か?」

「はい」

 

 越水城で孫次郎は将和と対面した。

 

「此度の件は私の不足により起きた事です」

「有り体に言えば……にはなるがな」

「此度のは私の教訓としたいと思います」

「おぅ。お前に元気がないと一存らも心配するからな」

「気を付けます」

「うん。そうだ、気分転換に堺見物に行こうか」

「はい、兄様と見物するのも久しぶりです」

 

 将和の言葉に孫次郎はにこやかに笑うのであった。その後、将和と孫次郎は堺見物を楽しみ将和は阿波へ帰国する。なお、孫次郎は利長から範長に改名する。

 

「今回の件で晴元の土台もぐらついて来たと見える……」

「では……?」

「だがまだ早い。後ろを抑える」

「伊予と土佐ですね?」

「あぁ、といっても土佐だ」

 

 将和は四国の地図を拡げて新しくなった扇子で土佐を指差す。

 

「先だっての水面下工作で大内は土佐から手を引いたと見ていい。ならば先に土佐を取り長曽我部に任せる」

「大友はどうしますか?」

「大友にしてみたらまだ伊予が残っているからな。伊予は瀬戸内を抑えるにも重要だ」

「成る程」

「それと土佐を抑えたら次に薩摩の島津を支援する」

「島津……ですか?」

「島津の上には何がある?」

「伊東の日向と……成る程、豊後の大友を牽制ですか」

 

 冬康は合点がいったように納得した表情で頷いた。

 

「そうだ、島津はまだ薩摩を統一したばかりだが力は強い。何れは同盟まで持ち込みたい(だって島津強いし)」

 

 本音と建前は一応は弁えている将和である。そして将和は之虎と冬康に5000の兵を長曽我部の援軍に送り出した。

 

「おぉ、感謝しますぞ!!」

 

 長曽我部国親は二人を出迎え、これで一条の息の根を止めれると踏んだ。事実そうであり、幡多郡の土佐一条は駆逐されたのであるが一条房基の嫡男万千代(後の一条兼定)は大友を頼りに土佐を脱出して豊後に逃げるのであった。

 

(チッ、万千代が逃げたか……種火が残ったが……これが吉と出るか凶と出るか……)

 

 報告を聞いた将和はそう思う。何はともあれ、土佐は長曽我部の手により統一されたのである。そして畿内でも情勢が変化していた。

 

「何? 木沢長政が晴元に反逆したと?」

「はい。そのため晴元殿は将和様に援軍をと要請しています」

「よし、遊佐長教殿と協力して長政を叩き潰すぞ」

 

 将和は即座に動いた。河内守護代の遊佐長教も長政が擁立した河内守護の畠山政国を追放しその兄である畠山稙長を迎えて将和に味方を表明したのである。

 

「己れ稙長め!!」

 

 長政は軍勢約7000を整えて稙長がいる河内高屋城を攻撃しようと太平寺に布陣した。

 この時、将和は長教と三好政長と共に長政を迎え打った。

 

「やぁやぁ将和、久しいの」

「……そうですな」

 

 将和は政長と面会をしていた。義父の仇ではあるがそこは将和も割り切っていた。ふと政長の隣に女性の姫武将がいた。

 

「おぅ、これは儂の娘である政康よ」

「……政長の娘、三好政康にございます」

 

 政長に紹介された政康は将和に頭を下げる。その時に政康の豊満過ぎる胸がタプンと揺れるのを将和は見逃さなかったが一瞬の事だった。

 

「(おっぱいデケェ……)おぅ、共に長政を討とうか」

「……はっ」

 

 そして下がる二人だが政長は笑っていた。

 

「あの庶子……御主の胸を見て興奮しておったわ……貴様の胸も案外役に立つかもしれんのぅ……」

「………」

 

 政長の言葉に政康は何も言わなかった。そして両軍は激突する。当初は長政側が有利に戦の展開をしていた。しかし、側面から駆けつけた長教の軍勢に対処が出来ず長政は撤退を開始するも時既に遅く、長政は大和川の北岸にある高野街道沿いの太平寺付近にて討ち取られたのであった。

 

(良し……とりあえずは義父殿の仇の一人を討ち取ったな……)

 

 長政の首実験を終えた将和は一人天幕にて酒を飲んでいた。そんな時、小姓の一人が政康が訪れた事を告げ、将和も通した。

 

「どうされた政康殿?」

「……将和殿」

 

 政康は少し服をはだけながら将和に寄りよう。

 

「此度の戦で私は少々戦という酔いに酔ってしまいました。どうかこの高まりを共に収めてはくれませんか?」

「………」

 

 政康はそう言って将和の口に吸い付こうとした。しかし、将和はヒョイっと政康を膝に乗せた。

 

「……ふぇ!?」

 

 いきなりの事に政康は最初はポカンとしていたが状況を読み込んでくると頬を急激に紅く染める。

 

「政康殿、そういった事はもう少し経験を積むべきですな。今のままでは精々からかわれるでしょうな」

 

 将和はニヤニヤしながら政康に言う。手玉に取られた政康は即座に将和の膝から飛び退きそのまま天幕を後にするのであった。

 

「……からかい過ぎたかな」

 

 政康が出ていた幕を見つつポリポリと頭をかく将和であった。そして太平寺の戦いから数ヶ月後、今度は細川高国の従甥に当たる細川氏綱が畠山稙長の支援の元、高国の旧臣を集めて蜂起したが直ぐに将和の軍勢に蹴散らされてしまう。

 しかし、それに呼応する形で高国派の上野元全らが丹波から進軍、一時は槇島まで進出するも越水城から援軍に来た孫次郎(範長)らに蹴散らされるのである。

 

 

 

 

 

 




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