『三好in戦極姫』   作:零戦

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お久し振りです。



第三十一話

 

 

 

 

 

「まぁ何とか播磨も再攻略出来て良かったものだな」

「だな兄様。ほら、そこは動かないでくれ」

「んっ。悪い悪い、ちょっと当たったからな」

 

 播磨国の姫路城にて将和は長慶から耳かきをされていた。東播磨の再度平定は三月で完了した。三好を裏切り、毛利に同調した別所長治は居城三木城を将和の軍勢2万に包囲され籠城戦となったが将和は和夏ら忍びを大量に投入して井戸に毒を投げ、食糧庫を焼いて食糧を絶ち夜中も長治らを眠らせないよう交代での雄叫びをあげさせて彼等の思考能力を低下させた。

 これが一月も続き結果として長治は城兵の助命と引き換えに弟・友之、叔父・吉親と共に自害し三木城は開城したのである。反乱した東播磨の主力国人でもあった三木氏が滅びた事で他の国人達も結局は三好に再度降伏していき長慶の東播磨再平定も完了したのである。

 そして何故か長慶が将和に耳かきをしていた。というのも軍儀から耳が痒かった将和が軍儀後に耳かきをしようとしていたらそれを長慶に見つかり長慶が耳かきをしてあげたいと言った事で将和も耳かきをしてもらう事になったのである。

 

「それにしても……耳垢が多いわよ兄様」

「済まん済まん……最近していなかったから忘れていたよ……」

「まぁしかし……遣り甲斐はあるという事だがな」

 

 長慶はそう言って将和の頭を自身の膝に乗せて左耳から耳かきをする。なお、内心では将和に耳かきをしてあげる事に爆発しそうになっていたが気合いで捩じ伏せていたりする。

 

「はい。此方は良いわ……ふぅ~っ………ふぅ~っ……ふぅ~っ……」

「ん(何!? 最後に息吹きだと……ッ!? 馬鹿な、夕夏でさえしなかった耳かき技を……やりおるな長慶……)」

 

 そんな説明はしなくていい(真顔)

 

「はい、これで終わり……ではなくて……ちゅるっ……ちゅるるっ……ちゅるっ……」

(何と……耳かき技の奥義、耳舐め……ッ!? いや、これは夕夏もしてくれたか……)

 

 だからそんな説明しなくてもいいっての(真顔)

 

 

 

 

 

 そんな二人のイチャイチャを他所に安芸国の吉田郡山城では元就を筆頭に軍儀が開かれていた。

 

「三好が東播磨を再平定をし備前との路が開いたわ」

「……宇喜多は何とか生き残れたわけですね」

「あのクソ戯けが……ッ」

 

 三女小早川隆景の言葉に元就はイラつくように扇子を握り潰し捨てて新しい扇子を持つ。

 

「開いたのなら仕方ないわ。再度蓋をすれば良い話……」

「では……?」

「恐らくは備中での決戦……高松城辺りになるわね」

 

 三好家は山陰側でも進撃を続けており赤井直正率いる軍団が但馬から因幡国へ侵攻していた。また因幡の鳥取城には毛利側の吉川経家が入城しており因幡の防衛を担っていた。その方面にも兵力を分散していた三好家だが宇喜多の備前の路(ルート)が開いたので美作国への侵攻に三好三人衆(総大将は長逸)が12000の兵力で押し寄せていた。

 そして宇喜多の備前国の国人も毛利派はいたが三好家の東播磨再平定により居城を捨てて毛利の保護下に入っていたりする。

 

「高松城の城主は清水宗治なら一先ずの安心出来るわ」

「しかし油断は出来ません。相手は三好家……いえ、三好将和でしょう」

 

 隆景の言葉に元就は頷く。この時、長女隆元と次女吉川元春は北九州にいた。大友が怪しい動きをしていたので元就も兵力を割いて北九州防衛に出していた。その為、元就の手元には隆景と末っ子の毛利秀包らがいる程度であった。

 だがそれでも元就らは押し返せれると踏んでいた。

 

「村上水軍(能島水軍)は此方側。まだ勝利の分はある」

 

 しかし、この頃の村上水軍ーー村上通康の来島水軍は将和側であり既に将和からの要請により瀬戸内で通商破壊作戦を展開していた程であった。

 

「宗治には都合7000の兵を出しなさい。此方も何時でも出陣出来るようにしなさい」

「御意。直ちに」

 

 毛利も万全の態勢で迎え撃とうとした。そして三好は動いた。長慶は将和を前衛にした16000、長慶の本隊12000、そして久秀の後衛12000の5万の兵力で姫路城を出立し備前へと向かったのである。

 

「さて……(宇喜多がどう出るかな……)」

 

 宇喜多直家は実質的に三好家に降伏して備前を治めていたが史実でも久秀と同じく戦国の三大梟雄と呼ばれているのだ。警戒はすべきだろうと将和も思っていた。(後一人は斎藤道三)

 だからこそ長慶も警戒のために三段構えの布陣をしていた。

 

「ククク……三好長慶は警戒心を出しまくっているな」

 

 直家は自身の居城である備前国岡山城で将和を出迎えたが将和から最初の言葉にむしろ興味を示した。

 

「貴君が宇喜多直家か。いや、全く以て立派だな」

「立派……?」

「浦上を裏切り、毛利を裏切る。俺も諜報はしていたがそこまではやれてなくてな。見習いたいものだよ」

「ほぅ……天下の三好家にそこまで評価して頂けるとは思いもよりはしなんだですな」

「合戦に勝つのも重要だが裏方の作業も重要なんだ……その点は評価出来るわな」

「それは……暗殺もですかな?」

「暗殺。良い効率だよ、戦の回数を減らせるからな。それに向こうがより警戒してくれたら向こうの心労も増えて向こうの自滅する確率が高いからな」

「ほぅ……」

 

 将和の言葉に直家は目を細める。直家が思っていた以上に将和が諜報の事を知っていたのだ。だからこそ直家は将和の評価を改める事にした。

 

(このような者の下にいれば……宇喜多家も繁栄するやもしれぬな……)

 

 だが直家は慎重に慎重を重ねていく事にしたのであった。後にそれが当たり宇喜多家は三好家の中で大きく飛躍するのである。

 そして長慶は将和らと協議をして岡山城を兵站等の後方主力城と定め、3日間の休息をした後に再び進軍を開始し備前と備中国の国境を通過したのである。

 

「報告!! 三好軍が国境を通過!! 真っ直ぐ此方に向かってきます!!」

「……来たか三好軍……」

 

 使い番からの報告を受けた備中高松城城主の清水宗治はスクリと立ち上がる。

 

「籠城の準備は如何程か?」

「はっ、既に半年は籠城出来る準備を整えております」

「ん。それならば毛利の援軍も間に合うであろう」

 

 家臣からの報告に宗治は満足そうに頷く。

 

「良いか皆の者、この高松城は落ちぬ。この高松城周辺は低湿地に位置する。足軽や馬で来ようとも足が沼地に取られ身動きは出来ん」

「そうじゃ。三好軍を返り討ちしてくれようぞ!!」

「そうだ!!」

 

 そう血気盛んに叫ぶ家臣達であったが季節は春から梅雨の時期に入ろうとしていたのである。

 

(……水攻めとするか)

「殿、具申がございます」

「……聞こうか(さてこの軍師も同じだろうな)」

 

 前衛の将和隊が高松城を包囲したのは5月の下旬であった。

 

「軍儀を開く。至急、武将達を集めよ」

「はっ」

 

 そして石井山に布陣した将和の陣営に集合したのである。

 

 三好将和

 筒井順慶

 島左近

 足利義輝

 細川幽斎

 高橋椿

 藤堂高虎

 黒田官兵衛(軍師)

 

 

「高松城は水攻めとする」

「水攻め?」

「足守川を氾濫させるっちゅうんか? でも幾ら梅雨の時期やからて言うて氾濫は……」

「あぁ。だから堤防を築く」

「堤防を?」

「成る程。それならば梅雨でも水量は増すであろうのぅ」

「軍師殿は如何ですか?」

 

 幽斎に質問されたのは将和がつい最近軍師として雇った黒田官兵衛であった。頭は良いのだが、ドジであり事を急ごうとする性格であった。だからこそ史実のサルこと秀吉もいらん事を言った官兵衛を九州に追いやったりしているが、此処では将和がストッパー役として付いているので何とか大丈夫だったりする。

 

「はい。雨も降り水攻めは成功するでしょう」

「あぁ、官兵衛が現地偵察したりして沼地とかの有効性を見出だしたからな」

「成る程なぁ。足で稼いでの答えなら納得やな」

「確かに」

 

 将和の援護射撃に左近らは頷き、水攻めの方針となる。

 

「水攻めをするには良いがどう行うのだ?」

「はい。高松城の南に『蛙ヶ鼻』という場所が低い谷になっており例え水害に合ってもそこから水が出ていくので対した被害にならないと農民が言っておりました。そこを基準に近隣の民に土俵を持って来させそれを堤にします。ちなみに費用はーーー」

 

 現在価格で275億円との事であり、そうなったのも土俵1俵につき銭100文、米一升を報酬としたのでやむを得ない事であった。

 

「だがやるしかない」

 

 斯くして将和は水攻めに移行するのである。ちなみに費用に関しては将和が今まで儲けて貯めておいた(木綿や清酒等々)銭からも半分程出しており今回ので貯めておいた銭は九割半も放出(はなてんじゃないぞ)するのであった。

 

 

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
ちなみにクロカンは重野なおき氏のクロカンをモチーフにしています。
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