『三好in戦極姫』   作:零戦

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お久しぶりですが明けましておめでとうございます
本年も宜しくお願いします


第三十六話

 

 

 

 

 

 

「おーい、桐丸~」

「お、嵐太郎じゃないか」

 

 美濃の岐阜城下町で三好家の忍者である嵐太郎は桐丸と出会していた。桐丸は女装して商売をしていた。

 

「それで、風説はどうだったんだ?」

「うん、新兵衛と一緒に流してたよ。ただ、新兵衛が団子屋で団子食い過ぎて動けないから応援を呼びに来たんだ」

「何をやってんだ新兵衛……」

 

 嵐太郎の言葉に桐丸は溜め息を吐く。その日の夜、嵐太郎達は山奥の廃寺に集まっていた。そこは三好家の忍びが利用する忍び用の宿泊施設だった。

 

「それで、嵐太郎達は風説の流布をしてきたんだな?」

「はい矢間田先生」

「ちゃんと『毛利家が三好家から虐げられている』と流してきました」

「それと『三好将和が毛利元就を側女として扱っている』も流してきました」

「ウム。ちゃんと相手方に流しているならそれで良し」

「でも山田先生、何で三好家は自分達が不利になるような風説を流すんですか?」

「ウム……一応ながら理由はある。しかしだ」

「まだ、忍びの卵であるお前達ではまだ理解しきれないところもある」

「土居先生ッ」

 

 そこへ岐阜城周辺の偵察に出ていた土居先生らが帰還してきた。

 

「土居先生、それって……」

「本来であるならお前達はまだ学園で修行中の身だ。しかし、そのお前達まで駆り出して風説を流布するという事は……決戦が近いからだ」

『ッ』

 

 土居先生の言葉に下忍達は息を飲む。いよいよ、本格的な決戦が近いのだと下忍達も悟ったのである。

 

「幸いにも伊賀者とは話が付いているから諜報はやれるがお前らの任務は風説を流す事だ。そこを履き違えないように。だからと言って張り切り過ぎないようにな。三好将和殿は特に忍びを大事になさっている」

「でも矢間田先生、どうして三好将和殿は我々を大事になさっているので?」

「ウム。三好殿は情報を頼りにしている。それは何故だと思う?」

「えっと……戦局が分かるとかですか?」

「大雑把に言えばその通りだ。情報によっては戦局を変えれる事も可能。だからこそ三好殿は情報を持ち帰る我等を重要視するのだ」

「そうなんですね」

 

 矢間田先生の言葉に頷く嵐太郎であった。そして下忍達は次の日も更には次の日も風説を流すのである。

 その頃、将和も先遣隊として約7500の軍勢を整えて近江に入り、坂田群から関ヶ原方面に進出をしていた。

 将和の軍勢は北国街道を抑える形で笹尾山の麓に布陣し砦作りを開始するのである。

 

「さて……どうなるやら……」

 

 砦作りをしつつ将和はそう呟く。将和の軍勢が美濃入りしたのは信長側の耳にも入っているだろう。

 

(長慶の主力が関ヶ原に入るまで恐らくは二、三回の合戦はあるだろうな……和夏達忍びを最大限に活かさんとな……)

 

 翌日から砦作りをしつつ和夏達の忍び隊は情報収集に努めるのである。なお、将和の軍勢が笹尾山の麓に布陣してから2日目には稲葉、安藤の美濃三人衆の2人が5000の兵を率いて大垣城に到着した。その報告を聞いた将和は直ぐに動いた。

 

「備えの兵を残して出陣するぞ」

「まだ砦は完成してへんで?」

「大丈夫、一当てして帰るだけだ。左近はそのまま砦作りを続けてくれ。順慶は俺と行くぞ」

「はいな」

「分かりましたわ」

 

 備えの兵として1500を残して6000で大垣城に向かう将和達、無論稲葉と安藤も密偵からの情報で向かってくる事を知るのである。

 

「向こうは約6000、此方は5000、城で粘れば信長様の軍勢も到着しようぞ」

「フン、信長様の前に三好将和の頸を届ければ良い」

「彦四郎」

「それに軍師の天城は前から気に食わぬ。したり顔で何を考えてるやら……」

「しかし軍師殿の具申する策は良い方向ではないか」

「それはそうだがの……」

 

 安藤の言葉に稲葉はそう言うが表情は納得していない様子だった。それを見た安藤は溜め息を吐く。

 

「……物見という形で彦四郎が動けば良い。儂は城の守りを固める。それで良いか?」

「おぉ、済まんな」

(ったく……)

 

 喜ぶ稲葉に安藤は再度溜め息を吐くのであった。翌日、物見として2000の兵で稲葉は出陣をするのであるが——夕方には敗走して大垣城に戻ってきたのである。

 

「な、何があったのだ彦四郎!?」

「……待ち伏せをされていた……笹尾山の手前までは前進したが左右の草むらに伏せていた種子島の部隊に攻撃された……クソッ」

「ムゥ。取り敢えずは手当てをしろ」

 

 稲葉を下がらせた後、安藤は城の防御を急がせた。

 

(……彦四郎の帰ってきた者達は1000と少し……削られたのは痛いな。再度物見を出すしかない。もし敵が近くまでいれば……籠城しかあるまい)

 

 野戦で敗れた以上、安藤はそう判断をしていたのだ。そして夜明け前に将和の軍勢は大垣城を包囲していた。

 

「火矢で陽動しつつ和夏の忍び隊で門を爆破だ」

「御意。任せたまえ」

 

 将和の言葉に和夏は頷き、姿を消すと将和は動いた。

 

「陽動を開始する。精々派手にやるぞ」

「それはええけど将和はん?」

「何だ?」

「別に門は破壊してもええんやろ?」

「……そうだな(死亡フラグはやめろっての……)」

 

 ニカッと笑う左近に溜め息を吐く将和である。そして陽動作戦は開始され大手門等に火矢を射掛けていくのである。

 無論、安藤らも城攻めが始まったと判断、全力での防戦を開始したのである。城攻めが開始されて二刻が過ぎた時、大手門は突然爆発したのである。

 

「な、何が起きたのだ!?」

「は、門が、門が突然爆発しました!!」

「何!? しまった、火薬か!?」

 

 部下からの報告に安藤は舌打ちをする。大手門が破壊された事で足軽達も動揺が起きていた。すると城のあちこちで連続して火薬の爆発が起きたのである。

 

「殿、あちこちで爆発が……」

「えぇい、諮られた!! 三好の忍が忍び込んでおったか!!」

 

 この爆発騒ぎで城内は完全に混乱の渦に巻き込まれていたのである。無論、将和はそれを逃さずに突撃を発令した。

 

「忍び隊がやってくれたぞ!! 今が好機だ、突っ込めェェェェェ!!」

『ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』

「行くでカラクリ左近!!」

「援護射撃を続けるのです!! 将和様達の突撃を支援ですわ!!」

 

 将和と左近が部隊を率いて突撃するのを順慶が弓隊や鉄砲隊を率いて支援するのである。

 

「い、イカンッ。これでは最早……」

 

 門が破られ押し寄せる三好の足軽達を見て安藤は大垣城が長くは持たない事を悟る。三好側の忍が爆弾で大垣城のあちこちを爆破していなければ本丸で防戦をする覚悟であったが爆破は本丸もやられており早急な修復は難しかったのだ。

 

「彦四郎、城から脱出をするぞ!!」

「ウグググ……無念じゃッ。者共、包囲が薄いところから突破するぞ!!」

 

 そして安藤と稲葉は包囲が薄いところを一点集中突破を図りそれは成功し城から脱出したのである。

 

「そうか、安藤と稲葉は脱出したか。なら大垣城には一旦入城するぞ」

「あり? 占領するんでっか将和はん?」

「ぶっ壊して廃城にすんだよ。また造られると思うけど戦の最中は無くて十分だ。兵站の城なんぞあってたまるか」

「成る程。一理ありますわね」

「ならウチのカラクリ左近で壊してやるかいな」

 

 将和の言葉に順慶は頷き左近はまだ暴れ足りないとばかりにカラクリ左近を操るのである。

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、初戦は将和の勝利か」

 

 岐阜城にて軍勢を集結させていた信長は安藤らの敗報に舌打ちをする。だが安藤と稲葉を処罰する事はなかった。二人は織田家を支える武将らであり処罰すればそれなりの戦力が低下するのは目に見えていたのだ。

 

「それで三好側はどうしている?」

「どうやら大垣城を廃城にして再び笹尾山の砦に戻ったようです」

「フン。此方に補給をさせないためか……だが大垣城は必要な城だ。城作りはさせるか」

「そのようにしましょう」

 

 信長の言葉に天城はそう言って再度安藤と稲葉の軍を前進させるのである。無論、両人とも軍を再編成した上である。更には氏家直元の軍3000も付けるのであった。

 

「うーん、流石に今度は無理か。ま、2日もすれば長慶らも来るから良いか」

「それまでには砦作りも終わりますわね」

 

 そして三好軍は戦力を整えて関ヶ原入りをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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