『三好in戦極姫』   作:零戦

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第九話

 

 

 

 

 

 

「恨みを晴らすぞ!!」

 

 それは突然だった。

 

 

 

「危ない長慶!?」

「うォ!?」

 

 将和は長慶の喉元に向かおうとしていた短刀を 見て咄嗟に相手ーー将軍近臣の進士賢光に茶の容器を投げた。

 容器を投げられた賢光は顔に容器が命中して怯んだ。その隙に将和は賢光の右手に握られた短刀を叩き落とし賢光の右手を取り一本背負いをして賢光を床に叩きつけたのである。

 

「取り抑えるのよ!!」

 

 我に返った政康が近習に捕縛を命じたが賢光は隠していたもう一本の短刀で即座に自身の喉を突いた。

 

「チィ!!」

 

 辺りが血飛沫が飛び、賢光は血の海に倒れ込むのであった。

 

「和夏、直ぐに裏を探れ」

「承知した」

 

 天井に控えていた和夏が即座に消える。将和は事切れた賢光をジッと見つめる長慶に視線を向けた。

 

「怪我はないか長慶?」

「あぁ……なぁ兄様」

「ん?」

「私は……恨まれているのかな?」

 

 長慶がふと呟いた。

 

「まぁ……幕府側からしてみたら恨まれる要素は多量にあるだろうな」

「……向こうとの和平は無理だろうか?」

「………」

 

 長慶の言葉に将和はふぅと息を吐いて頭をポリポリとかいた。

 

「まぁ出来たとしても一時的なもんだろうな。何れは亀裂が入り川の洪水の如く全てが水の泡となるだろうな……」

「そうか……」

 

 長慶はそれから何も言わなかったのであった。そして数日後……。

 

 

 

 

 

 

 

(はて……俺は一存と一緒に男湯にいたはずなんだが……)

 

 将和は目の前の光景に首を傾げるしかない。何故なら目の前には白の手拭いで身体の前を隠しながら湯に浸かる異性が数人いた。

 それが政康、長逸、久秀、和夏、そして長慶である。

 

「い、いい湯だな兄様」

「ソウデスネー(何がどうしてこうなったのやら……)」

 

 長慶の言葉に将和は片言で答えつつも数日前の記憶を甦らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

「たまには温泉に行こう将兄」

「お、いいな」

 

 発端は一存との会話であった。暗殺未遂後は今のところ、義輝らが再度京へ進出する気配もなく京に近い淀の地域に築いた淀城には岩成友通が兵4500と共に入城して睨みを効かせていた。そのためか義輝は高島の朽木から動こうとはしなかった。

 一存としては一番働いていた将和の骨休みと長慶の気分転換いう意味で温泉行きを提案したのである。

 長慶達も了承して将和・長慶・政康・長逸・久秀・一存と他護衛(和夏)の面々で摂津国にある有馬温泉に来たのである。

 当初は晩飯を食らい酒も少々入れつつも将和は一存と月見酒と洒落こもうとしていた。だが蓋を開けて将和が酒を飲みながら待っていたら入ってきたのが一存を除いた五人だった。

 

「……一存はどうした?」

「一存殿は体調が優れないという事なので代わりに我々が来た……という次第です」

 

 湯煙に片眼鏡が曇る長逸がそう言う。なおその一存はというと……。

 

「私ぃ、一存様の槍働きに感動しましてぇ……」

「私も戦場で見る一存様のかっこよさに……」

「おっ、おっ、そ、そうか。それは嬉しいなァ!!」

 

 女兵士(和夏の仕込み)達に囲まれて幸せそうな一存だった。それはさておき、将和達は湯に浸かりながらの月見酒と洒落こんでいた。

 

「温泉で飲む酒もまた格別ね」

(悪酔いしそうな勢いだな……)

 

 政康が盃に酒を入れながらグビグビ飲んでいるのを横目に将和はそう思う。

 

「飲んでいるか兄様?」

「あ、あぁ。飲んでいるよ」

 

 若干の上目遣いをする長慶に将和は長慶の谷間を見ないように目線をずらしながら答える。

 なお、政康(特)・長慶(巨)・和夏(巨)・長逸(中)・久秀(小)である。

 

「………」

 

 将和の目線の意味に気付いた久秀は将和を養豚場の豚を見るが如くの視線を送るが自分の物を触ってみて人知れず溜め息を吐いたが直ぐに被りを振った。

 

(い、いやいやいや!? 何で溜め息をついたのよ私!! まるで将和殿と……いやいやいや!?)

 

 また唸る久秀であった。なお、月見酒は飲み過ぎた政康が泥酔して運ばれるまで続かれる。ちなみに将和は前世で酒を飲む回数もあったせいか(公式上の婦人が熊の国でアルコールに強かったせいもある)微酔いではある。

 

「兄様、いるか?」

 

 泥酔した政康(将和がおんぶすると嬉しそうな表情だった)を部屋に送った将和が一息していると長慶が入ってきた。

 

「どうした長慶?」

「……二人で飲まないか?」

 

 長慶が二人分の屠蘇器を将和に見せる。

 

「(まぁ色々と邪魔はあったが……)構わんよ」

 

 将和は長慶を部屋に招き入れて改めて二人で盃を交わす。

 

「兄様……私は腹を括った」

「……先日の暗殺未遂か……?」

「……あぁ……」

 

 将和の言葉に長慶は力強く頷いた。

 

「足利の幕府はかつての鎌倉と同じような結末を迎えようとしている。それなら……」

「もう一回壊してそれらを教訓にした三好幕府の設立……そう言いたいんだな?」

「……そうだ兄様」

 

 長慶の表情は覚悟を決めた表情をしていた。

 

「今は戦国の乱世……今回の事件を機に私は天下を取る事にする。だから兄様、私に力を勇気を貸してくれ」

「………」

 

 長慶の言葉に将和はフッと微笑み、長慶の頭を撫でる。

 

「おうよ、可愛い妹分からそう言われちゃやるしかないな」

「か、可愛い……」

 

 将和の『可愛い』という言葉に顔を紅く染める長慶である。

 

「そ、それでな兄様……」

「ん?」

 

 急にモジモジとする長慶に将和は首を傾げる。

 

「どうした?」

「わ……私に勇気をくれないか?」

「? あぁ、俺に出来る事なら……」

「じゃ、じゃあ……」

 

 それからの長慶の行動は速かった。即座に将和の両肩に両手をガッシリと掴み将和に唇を近づけてきた。

 

(あ(察し)……)

 

 長慶の行動に察した将和は一瞬、逃げようとしたが唇を突き出し、目を閉じて震えている長慶に将和はフゥと息を吐いて自身も目を閉じて長慶の唇に合わせた。

 

「ん……」

(めっさ可愛いなおい……)

 

 キスをされた事にピクリと震える長慶。その様子に萌えた将和は意地悪の如く、舌を出して長慶の口を無理矢理開かせた。

 

「んゥ!?」

 

 いきなりの出来事に長慶は目を見開いて頭を引こうとするがそうは問屋が下ろさないとばかりに将和は長慶の頭を抑えて遁走しないようガッチリと固定した。

 

「んむゥ!? んん~~~~~!?」

 

 侵入して長慶の舌と交わる将和の舌に長慶は目を白黒させる。結果、長慶の口内は蹂躙され時間としては約10分程度ではあったものの将和が長慶を解放した時には長慶は顔をそれまで以上に顔を赤く染めて気絶していたのであった。

 

 

 

 

 

「……こりゃやり過ぎたかな」

 

 ポリポリと頭をかく将和に誰もがそりゃそうだとツッコミが入りそうな程であった。

 

 

 

 

 




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