先輩が書いた議事録は、手記じゃないですか?   作:東條九音

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本編
プロローグ


「それじゃあみんな、一年間ありがとうね。第63代生徒会は、これにて終了だよ。みー君、議事録の方はいつも通りよろしくね!」

 

生徒会長柑條(かんじょう)美玖(みく)は、庶務の自分に一声かけ帰り支度を始める。会長の宣言と同時に、他の役員たちも片付け部屋を退出して行く。

 

「はいよ~。んじゃま、皆さんお疲れさん?」

 

「何で疑問形なんですか、古詠(こよみ)先輩」

 

疑問形で返した返事に会計歌風(かふう)美音(みお)が呆れたように突っ込む。美音の呆れに美玖は、別に間違いじゃないでしょ?と言った。

 

「だってみー君以外みんな、これから部活に出るわけで」

 

「ある意味これから、だからですか?だったら、部活頑張って、とかでも良いじゃないですか」

 

「そうそう。にしてもこの話、そこまで引っ張る必要ないよね?もしかして…」

 

美玖がからかいの笑みを浮かべながら部屋を出る。部屋に残っているのは自分と美音。書いている議事録から顔を上げ美音の方を見てみる。そこには、部屋の出口を見つめながら口を開けて固まっている美音がいた。

 

「どっしたの歌風さん?そんなとこで固まって。部活に向かわなくていいの?」

 

「………」

 

「もっしもーし、歌風さん?」

 

「っは。な、何でもないですよ!えぇ、何でも。あ、そうだ部活!じゃあ私行きますね」

 

矢継ぎ早に言いたい事を言って彼女は部屋から出て行く。

まぁ本人が何でもないと言っているので、取り敢えず気にする事なく作業に戻ることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

程なくして議事録を書き終え、最後の生徒会室内の掃除を始める。庶務としての役割は、およそ雑用仕事。本来であれば、役員全員で行う生徒会室の掃除だが、長期休暇前を除いて全員で掃除をする事はない。なぜなら、自分が時間を見つけてはこまめに行うから。べつに庶務の仕事が、備品管理や記録・資料整理などがメインだからと言うことでは無く、自分の性格がそうさせているのだ。

 

古詠夜海の周りからの評価は真面目かつ成績は良くもなく悪くもなく。頼まれごとや相談ごとよく解決するが、自分から進んで何かをやったり目立つような事なしない人。つまり良い人、だけど特に目立った評価や個性がない人物。教師からもただ真面目と言われるほどに。しかし付き合いが長い者は、優しくて変わり者だという。

 

そんな自分がなぜ、生徒会役員になったのか。簡単に言うと教師から脅……じゃなくて、進められ頼まれたからだ。

教師から進められ戸惑いつつも、『自分より生徒会役員に相応しい人がいるはずですが』答えると教師はこう返答して来た。『せっかく真面目で成績もそこまで悪くないのに、評価できるものがそれ以上ない。評価できる何かが出来れば、推薦枠だって狙えるのにもったいない。だから生徒会役員をやってみないか?』と。

電気の付いていない薄暗い教室で、二人っきりで向かい合って言われた。迷いに迷った結果、それを引き受ける事にする。そうして古詠夜海は生徒会役員へとなった。

 

 

 

 

そんな色々あった生徒会も今日まで。引き続き残るメンバーを除けばこの部屋ともお別れとなる。残るのは2年生の二人。3年生である美玖や自分は今日で引退である。

 

「うっし。掃除も済んだし、退散しますか」

 

そう呟いて部屋を出て鍵を閉めた。初めは成り行きで始めた生徒会役員。けれど一年が経つ頃には、かけがえのない思い出が存在する場所となった。そんな生徒会からある物を残して、去って行った。

 

 

 

 

 

それは議事録。一年間の記録を記した物。

 

 

 

 

 

 

 

 

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