ご注文はうさぎですか?シスターズライフ!! 作:しゅみタロス
自室にて目覚めるナギ、昨日の一件で不調な訳でも無いのに頭痛が彼を襲っていた。だがこの後もまた、彼を悩ませる出来事が起こる事を知らぬまま‥‥‥
ナギ「おはよう‥‥‥」
リゼ「おはよう、兄さん。何か心なしか目が死んでるけど大丈夫?」
ナギ「大丈夫だよ、確かに色々な意味で問題だらけだけど楽しいは楽しいから」
するとリゼはナギの背中を抱き、不安げな顔で伝えた。
リゼ「兄さんを幸せに出来るのは私だけ、ココアたちじゃなくて私を選んでよね‥‥‥」
ナギは今まで意識してこなかったがリゼはナギにとっての妹。だがナギの心は違和感のある鼓動を奏でていた。
ナギ「妹の我儘を聞くのも兄だ。だけど‥‥‥
その答えはもっと後でな。」
焼けたトーストを口に咥えてショルダーバッグと傘を手にラビットハウスへと向かった。
その途中でパンを食べ終わると雨の中で呟いた。
ナギ「俺にとって、リゼは妹なのか?それとも、何なんだよ‥‥‥この感覚は‥‥‥」
ナギの中では兄妹以上の何かを感じていた。今考えていることは一度心にしまっておき、ラビットハウスへと足を進めた。
ナギ「まさかな」
恋なわけがない。そう自分で片付けた。
カランカラン
ナギ「おはようございます」
タカヒロ「やあ、昨日は大変だっただろうね」
ナギ「青山姉さんが帰ってきたのは嬉しいですけど何か疲れた感じしか残らないです」
タカヒロ「仕事に来てもらって悪いが今日は午前中あるお客さんが貸し切りでここを使う事になっている」
ナギ「貸し切り?何かの企業さんの取引とか?」
コーヒーメーカーからエスプレッソを淹れると氷を3つ落とした。
タカヒロ「ナギ君と話がしたいと言っていたよ。その人物は‥‥‥」
ナギは何げない顔でエスプレッソを飲んで話を流していたが後に避けられない話だと気づく。何故なら‥‥‥
タカヒロ「ココア君のお姉さんだ」
ナギ「ブフォ!!」
思いっきりエスプレッソを吹いてしまった。相手が相手なだけに簡単な話じゃなかった。
ナギ「ココアのお姉さんが俺に‥‥‥」
タカヒロ「後20分くらいで着くと思うよ、なあに、緊張せずに話に乗ってあげればいいじゃないか」
ナギ「ていうかココアの姉さんと話って何でこんな状況に」
頭を抱えつつ、エスプレッソを飲み干して持ってきたス〇ッチを起動してゲームに集中した。
その後‥‥‥
ナギ「後2分か、どうしよういきなりすぎて何話せばいいんだ俺」
ラビットハウスの制服の襟元を整えて席を立つ。
ナギ「とにかく失礼のないようにしないとな」
そして貸し切りのラビットハウスにその人はナギの前に現れた。
???「初めまして、あなたがナギ君ですね」
ナギは余りの美貌に一度思考が停止するがすぐに切り替える。
???「あの‥‥‥」
ナギ「ああ、し、失礼しました。天々座奈義っていいます。」
???「ココアの姉の保登モカと言います。妹がお世話になっています」
ナギ「はい、とりあえず話をするなら一度座りませんか?」
モカ「それではゆっくり話をさせてもらいます」
席に着くとタカヒロはオーダーを取る。
タカヒロ「ご注文は?」
モカ「カプチーノを」
ナギ「カフェオレをお願いします」
タカヒロ「かしこまりました」
タカヒロが厨房に立っている間モカがナギに尋ねる。
ナギ「ナギ君は今年から学校を卒業してここで働いてると聞いていますが、もしかして成人前ですか?」
ナギ「まだ19歳です。モカ姉さんの言う通りですよ」
モカ「フフフ♪モカ姉さんか、何か嬉しいです」
ナギ「どう考えても年齢差あるでしょう?」
モカ「勿論、2歳違いなので」
タカヒロ「お待たせいたしましたカプチーノとカフェオレです」
ナギは机に置かれたカフェオレを嗜みつつ、モカは話を続けた。
モカ「ココアから聞きましたが、天々座家の養子なんですよね?」
ナギ「俺には家族も家もありませんでしたから‥‥‥」
モカ「辛い事を経験していたのですね。すみませんでした、こんな事聞いて‥‥‥」
ナギ「もう気にしてませんよ、それじゃあ俺から、モカ姉さんは何故俺に会いに来たんですか?」
するとモカは嬉しそうにスマホのアルバムを見せた。
モカ「ココアが何枚も写真を送ってきて、とても嬉しそうに電話をしてるんです。」
ナギ「なんか写真の中に盗撮した形跡のある物が混ざってるんですが‥‥‥」
どこで撮影したのかは聞かないでおこうと思うナギ。するとモカはようやく本題を切り出す。
モカ「それで、ナギ君には私からお願いがあって来たんです」
ナギ「お願いとは‥‥‥」
とりあえず思考を無にして聞くことにしたがナギにとっては地雷そのものだった。
モカ「ココアをお嫁さんに貰って欲しいんです。ナギ君に♪」
ナギ「え‥‥‥」
ナギの中で何かが蒸発して言葉が出なかった。
ナギ「いやいや!!いきなりそれは、だって彼女仮にも高校生で‥‥‥」
モカ「あら、だってあなた、ココアの恋人で別におかしい話じゃ‥‥‥」
ナギ「恋人ってそれどこで聞いたんですか!?」
モカ「ココアがお付き合いしてますとメールが‥‥‥」
ココア「それは兄としてココアを妹と見てのお付き合いであって恋人じゃあ‥‥‥」
モカ「妹、ですか‥‥‥ココアのお付き合いというのはその事だったんですね」
ナギ「すみません、俺も取り乱してしまいました」
モカ「でも、一つだけ言わせてもらいます」
ナギ「はい」
モカ「ナギ君がココアのお兄ちゃんである以上、ナギ君は私の弟ですから。いつでもお姉ちゃんに甘えてくださいね」
ナギ(嬉しいけどまたメンドクサイ展開に‥‥‥)
モカは席を立つとナギに近くに来る。
モカ「それでは最後に可愛い弟に契約を‥‥‥」
「!!」
突如としてモカがナギと唇を重ねる。その後にナギは顔を赤くして手首を口に当てる。
モカ「また会いましょう、私の可愛い弟君♡」
そう言ってモカはラビットハウスを離れていった。外に出たモカが空を見上げると梅雨明けの青空が広がっていた。
モカ「ナギ君、貴方が誰を選ぶかは分からないけど‥‥‥幸せな人になってください。貴方は、私と同じ妹萌えですから」
ナギ「弟か‥‥‥」
ポケットからバータイプのビスケットを取り出して齧るとナギは窓の空を見て呟いた。
ナギ「悪く‥‥‥ないかな」
そして木組みの町に夏が訪れた。
しゅみタロス「梅雨の終わりと同時に何かを感じるナギ君でした。どうもありがとうございました。」