ご注文はうさぎですか?シスターズライフ!! 作:しゅみタロス
新聞を抱えた客「いやー、ここの朝食は素晴らしいよ」
ナギ「ありがとうございます!!最近ここ良く来ますね」
新聞を抱えた客「あ、名乗り忘れていたね。僕はこういう者なんだけど」
ポケットから名刺を取り出しナギに渡す。
ナギ「ええっ!?ちょ、ちょっと待ってください!!
新聞を抱えた客「
今、若者の間で人気の歌手が近日この町にやって来ると聞いて、ナギは目を輝かせていた。
ナギ「ライブはいつやるんですか?」
謙一「明後日の午前9時からだ。それと‥‥‥」
謙一は財布から4枚のチケットを取り出した。
謙一「コーヒーと朝食代の代わりに、僕の独断で君と友達をライブに招待しよう。君は良い目をしてるからね」
ライブのチケットを提示され、完全に目のくらんだナギはそのまま勢いよく頭を下げた。
ナギ「お支払いありがとうございました。楽しませていただきます」
代金を対価にチケットを入手した。そして‥‥‥
リゼ「兄貴、何美味しい悪魔の囁きに乗せられてるんだ~?」
ナギ「すんません、マジで理性とか吹っ飛んでました」
ココア「でもでも、折角招待してくれるって言ってたのなら行くべきだよ♪」
チノ「若者の間で人気を博している歌手のライブなんて、中々行けませんからね。代金の元は取れた様に思えますよ」
ナギ「皆で明後日行こうか」
リゼ「でもラビットハウスの仕事どうするんだ?」
三人「ああ‥‥‥」
流石に仕事は抜けられない、と項垂れるラビットハウスメンバー。そこへ、陰からその様子にニヤリとしながら見守っていたタカヒロが、四人に声をかけた。
タカヒロ「君たち、まだ若いのに仕事の事抱えすぎじゃないのかい?」
ナギ「ただでさえシフトが切羽詰まってるのにいきなり遊びを理由に休むのは‥‥‥」
タカヒロ「若者がそんな事言ってたら、青春なんてないまま二十歳迎える事になるぞ」
ナギ「じゃあどうすれば‥‥‥」
タカヒロ「俺に頼れ。一日ぐらい苦じゃないし、ラビットハウスは任せてライブ楽しんでくると良い」
ナギ「良いんですか!!」
タカヒロ「任せなさい!!」
四人「………」
少し間が開いて、その直後。
四人「イヤッッッッッッッタアアアアアアアア!!」
ライブに行く事が決定した事で、四人は喜びとエネルギーに満ち溢れていた。
翌日
四人(ライブがいよいよ明日)ソワソワ
集まった四人はやたらソワソワしており、スマホでセットリストを眺めつつ、朝の開店時間まで暇をつぶしていた。どうやら四人は、集合時間よりよ早くラビットハウスに来てしまったらしい。
そして開店時間。
ナギ「よし、仕事開始だ」
そして今朝も一番の客は、何やら含みのある笑顔を浮かべつつ現れた。
謙一「やあ、昨日も世話になったね」
ナギ「いらっしゃいませ。後こちらも自己紹介がまだでした。天々座奈義って言います」
リゼ「妹のリゼだ」
ココア「ココアです。ライブの招待ありがとうございます」
チノ「チノです。ここのマスターの娘です」
「それじゃあ、四人に是非会ってほしい人がいる。君たちへの僕なりのサプライズだ」
堀谷がドアを開けると、フードを被った若者がラビットハウスへと入店する。
ナギ「あなたは‥‥‥」
フードを外したその男は‥‥‥
フードの若者「初めまして、米四津玄師郎です。こうして一般の人と顔を合わせるのは初めてですが‥‥‥」
ナギ「ほ、ほほほ、本物ですか!!」
謙一「今日は彼にも、ここのフレンチを頂きたい。彼、すごく大食いだから覚悟してくれよ?」
玄師郎「ここの味は謙一マネージャーから聞いてますよ。とても美味しい、と毎日のように自慢されてます」
ナギたちの足は緊張で震えていた。当然だ。目の前に、今をときめく有名人がいるのだから。
ナギ「しゃ‥‥‥写真を、お願いできますか?」
玄師郎「構わないけど、ネットとかに乗せるのは勘弁してくださいね。マスコミに嗅ぎつけられたら僕だけじゃなくて……恐らく、この喫茶店も危ういですから」
ナギ「じゃあこの事は胸の内に仕舞っておくので、一枚お願いします!」
玄師郎「わかりました。謙一マネージャー、彼のスマホで撮影お願いできますか?」
ラビットハウスのメンバーが、玄師郎さん囲む構図での一枚。ナギはそれをスマホのアルバムに保存し、LINEを通じてリゼらに共有する。四人は揃って、写真を見ながらニヤけていた。
二人は座席に座ると、メニュー表を見て朝食をオーダーする。
ココア「ご注文伺っても良いですか?」
謙一「クロワッサンセットとコーヒーを。玄師郎君も同じで良いかな?」
すると玄師郎は、少し考えてあるメニューを頼んだ。
玄師郎「この後僕はリハーサルがあるので、ガッツリしたものが食べたいですね。オムライスをお願いします」
ココア「ソースはどうなさいますか?」
玄師郎「じゃあ、デミグラスソースで」
厨房
タカヒロ「オムライスか……腕の見せ所だね」
タカヒロは調理を始める。玉ねぎを刻み、グリーンピースを茹で、鶏肉を切る。ナギの腕では到底追いつけないスピードで、あっという間にチキンライスを完成させると、続いてオムレツの調理に取り掛かった。絶妙な火加減とかき混ぜ方で卵をふわとろに仕立て、完成したオムレツをチキンライスに乗せ、最後に特製のデミグラスソースをかける。
ナギ「お待たせしました。デミグラスオムライスです」
玄師郎「わあ!これは美味しそうだ!いただきます!」玄師郎はオムライスを前にして、嬉しそうな顔でスプーンを手に取ると、慎重にオムレツを割っていく。
ホカホカのチキンライスに広がっていく、ふわっふわでとろりとした卵の衣。デミグラスとふわトロの卵を絡め、チキンライスと共にスプーンの上に乗せて口の中へと運んだ。
玄師郎「おいしい……謙一さんが通い詰めになる訳だよ!」
謙一「僕の言うとおりでしょ。ここのクロワッサンとオムライスは素晴らしいんだって」
ナギ「お褒めに預かり、光栄です」
そして食事を終えた二人は、仕事の関係でホテルに帰る事になった。
玄師郎「今日は素晴らしい料理をありがとうございます!」
謙一「明日のライブ、期待していてくれ。ここの食事を力に頑張るからね」
ナギ「期待してます!!ありがとうございました!!」
この後、四人のモチベーションが滅茶苦茶上がったのは言うまでもない。
そして当日
ナギ「地元のデカいホールまでライブ見に来るなんて初めてだな……」
座席に座り、サイリウムを片手にライブ開始を待つ4人。
リゼ「これ持ってたら、なんだかモ〇ルスーツを斬り倒したく‥‥‥」
チノ「サイリウムはガ〇ダムのビームサーベルじゃありません」
ココア「そろそろ始まるよ!!」
やがて、カウントと共にステージに玄師郎さんが現れた。
その後、玄師郎さんは3時間もの間、自らの人気曲を歌い続ける。力強い歌声と幻想的な音色、ロマンチックな歌詞のさざ波に、ナギたちは長い夢を見ているように感じた。約18曲に上る楽曲と、プロジェクションマッピングによる大規模なライブは、見る者にとっては異次元の中そのものだった。
ライブが終わる頃、余りの凄まじさに四人はしばらく意識が飛んでいた。会場を後にした四人は、近くの自販機でドリンクを買って喉を潤す。長いのにあっという間に過ぎ去る不思議な感覚から解放され、四人は揃って帰路へと着くのだった。
リゼ「今日一日楽しかったけど、なんか終わってほしくない一日になっちゃたね」
ナギ「俺も同じだよ。何か家に帰るのも嫌になってる」
名残惜しげにホールの方向を振り返るリゼに、ナギは提案する。
ナギ「これからさ、ラビットハウスで夜更かしでもしていかないか?この時間バータイムだし、ラビットハウスなら父さんも許してくれるだろ」
リゼ「じゃあ、今夜は二人で夜更かししよっか☆」
ラビットハウスに向かった二人は、バータイムの看板の掛かった入口を開けると静かに入店する。
タカヒロ「お?誰かと思えば、兄妹揃ってここに来るとはね」
ナギ「タカヒロおじさん、今夜ちょっとバータイムで世話になっていいですか?」
タカヒロ「わかった、ゆっくりしていきなさい」