ソードアートオンライン~ アインクラッドの完全制覇~   作:黒刃 竜壱

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トップギルドと葛藤

     ❲キリトとアスナのラブラブバカップルの姿を見たくない!❳

 

 

 

このデスゲームでは裏切りなどが平然と行われ、PK行為もあとを絶たない。

しかも圧倒的に美人のプレイヤーは少なく、結婚やら付き合うことが出来るのは極一部。

 

そんな中、キリトが美人の奥さんを手に入れられたのは僥倖以外の何物でもないだろう。

僕はそんな彼を羨ましく、また少し妬ましくも思うが基本的には

友人として応援している立場だ。

 

しかし、彼等がイチャイチャしている姿を目の前で見たら

最近ようやく吹っ切れた僕の決心が音を立てて一瞬で崩壊していくだろう。

 

「キリトを絶対に恨めしく思わず、普段通りに接し二人の中を応援する」

 

という僕の気持ちが。

 

これは男として、そして彼の一人の友人としての決意。

 

そんな僕の決心を簡単に揺るがせない為にも、KОBに加入する訳にはいかない。絶対に。

 

僕はそう心を決めると、面と向かってヒースクリフを見て返事を返した。

 

「申し訳ありませんが、僕はギルドに入る気はありませんのでお断りさせて頂きます。」

 

その返答にヒースクリフは一瞬不意を突かれた様子だったがすぐに口を開いた。

 

「そうか·····ならば致し方あるまい。デュエルで決着をつけよう。」

 

「······はいっ!!?」

 

僕は本日二度目の驚愕の表情を顔に貼り付けながらヒースクリフの言葉に唖然とした。

周りにいるプレイヤー達もポカンと口を開けたまま固まっている。

 

たっぷり数秒間周りに沈黙が続いた時、一人のKОBのメンバーが彼に向かって反対の意を示した。

 

「だ、団長!何を考えているんですか!?

  こんな一人でいるのが好きなボッ···一匹狼のソロプレイヤーなんかと関わり合わない方が我々の身の為です!それにこんな奴がいなくとも、我々血盟騎士団はトップギルドとしてやっていけます!!」

 

〘いま絶対ボッチと言おうとしただろ絶対·······。〙

 

僕が辟易して何も言えずにいると、ヒースクリフがその発言に異論を唱える。

 

「フィザード、その発言はいささか過激過ぎるのではないか?撤回したまえ。」

 

フィザードとかいう男は団長に一喝されて一瞬ビクリと震えたが、

 

すぐにボソリと「て、撤回します」

 

と撤回の思いが一欠片も感じない声で言うと、僕のせいだと言わんばかしの顔でじろりと睨めつけられる。

 

先日のクラディールの件と言い、どうしてこうもKОBには変なのが多いのだろうか?

 

僕は彼の事を気にしないようにと何事も無かったような顔でヒースクリフに疑問を投げかける。

 

「ヒースクリフ、そこまで人材が不足しているわけでも無いだろう。

     ついこの間、トッププレイヤーに加入して貰ったばかりの筈だが?

そしてなぜ、メンバーの反論を押し切ってまで僕に加入して欲しいのか、教えて欲しい。」

 

僕の軽い挑発に団長はピクリと眉を動かしたがそれも一瞬の事で、すぐにいつもの厳格な表情に戻る。

そして、ヒースクリフは奇妙な笑みを浮かべると最終通告とでもいうように僕にしっかりとその意志を告げた。

 

「先程の戦闘で我々の戦力不足が判明し、ギルド無所属の君を勧誘しただけの事だ。

    なあに、悪いようには扱わないし君にとっても都合の良い話の筈だと思うが?」

 

確かに他のプレイヤー達から見れば、

この話は喉から手が出る程に羨ましい事だろう。

最近のモンスターはアルゴリズムにイレギュラー性が

増してきている気がするし、トップギルドと呼ばれるこの血盟騎士団に

加入したとなれば他プレイヤーからも一目置かれる存在へとなり得るだろう。

 

しかし僕の心はもう決まっている。僕は彼に逆らうように静かに言った。

 

「それでも僕はソロプレイヤーを通したい。」

 

その僕の言葉にヒースクリフは一切表情を崩さずに

聞いていたが、やがてゆっくりと口を開いた。

 

「いいだろう。ならば君の剣と語り合うしか道はないようだ。」

 

ヒースクリフはそう呟くと右手を掲げて即座におろし、

メニューウインドウを開く。するとたちまち

 

[ヒースクリフ から一対一のデュエルを申し込まれました。受諾しますか?]

 

という画面が僕の目の前に現れる。

僕はすぐに受諾し、オプションを初撃決着モードを選択する。

 

同時に60秒のカウントダウンが始まり、周囲に緊張が走る。

と言ってもここは圏外なので単なるスタート開始の表示に等しいが。

 

僕は床に突き刺さった大剣を引き抜き、腰を落として低く構える。

ヒースクリフも長剣を十字盾の後ろに構えると僕をジッと凝視してくる。

 

その威圧感に気圧されて半歩ほど後退しかけたが、危ういところでグッと踏み止まる。

そして挑戦するかのように逆に右足を一歩踏み出した。

 

僕は気を取り直すとヒースクリフと視線を交錯させ、彼の呼吸の仕方や体勢を見て

初発はどんな攻撃を繰り出して来るのかとこれまでの経験から見極めようとする。

 

周りのプレイヤー達が一人、また一人と視界から消えていき

僕を必死で鼓舞するクラインやキリト達の声援すらも遠ざかっていく。

 

色彩は無くなり、白黒の世界のみが

視界に広がっていきアドレナリンが全身を駆け巡り始めるのを感覚で感じる。

 

 

 

そして大きく詰めていた息を吐き出した瞬間、カウントがゼロになった。

 

 

 

ダッ!!という音と共に僕は体が一瞬ブレるほどの速さで黒曜石の床を蹴り

ヒースクリフより先手を取ろうと一気に走り寄った。

 

そんな中、彼はそのままの体勢で僕の攻撃を受けようと身構える。

 

剣の刀身が深紅色に輝き甲高いサウンドを響かせながら

彼の体に急速に接近、即座にソードスキルを発動させた。

 

剣を振りかぶって大きく振り下ろす。

両手剣2連撃技、《イラプション》。

勿論、盾にガードされてしまうがそこまでは予想済み。

上段斬りを防御しようと少し大きく盾を振り上げた所を狙って即座に下段からの斬り上げ攻撃。

すると彼の下半身が無防備な状態になった。

 

その隙を逃さず僕はすぐさまソードスキルを見舞った。

剣を右後方に倒し、一気に水平に抜き放つ。

 

両手剣用全方位広範囲技《サイクロン》

 

しかしヒースクリフはソードスキルの軌道をまるで

先読みしていたかのように、余裕のあるステップで躱して距離を取る。

僕はソードスキルの残光が虚しく空中に漂う姿を横目で見つめながら

回避された事に軽く落胆する。

 

すると、今度はヒースクリフは盾を体の前に掲げると一気に突進してきた。

 

しかし、これもこの前のデュエルで見ているから予想済み。

僕は左側へと退避すると、鍔迫り合いに持ち込める様に

ソードスキルの初期モーションを発動させる。

 

獰猛なオレンジ色のライトエフェクトが刀身を包み込み始める。

 

両手剣上位突進技、《アバランシュ》だ。

 

僕が走る速度がシステムアシストによって一気に加速する。

 

しかし彼は、それも先読みしていたようだ。

 

ヒースクリフはほとんど速度を落とさず、

突進する角度を90度変えながら右手の剣を突き出す。

 

すると彼の長剣が鈍色に輝き始める。

どうやら神聖剣特有のソードスキルのようだが、多分あの軌道からしてニ連撃以上。

一撃目で僕のソードスキルを弾き、ニ連撃目で技後硬直(スキルデュレイ)を強いられて

反撃に転じられない無防備な僕に技を当てるつもりなのだろう。

 

僕は自分がかなり危ういというのに、コンマ数秒の中でそこまで冷静に分析すると

すぐに脳をフル回転させてこの状況を打破しようと考える。

 

その間にも僕とヒースクリフとの距離は途轍もない速さで縮まっていく。

そして、剣同士が当たるまでのおそらく数秒前に決死の案が僕の脳裏を横切った。

 

システムが止まらないギリギリまで反動をつけてソードスキルの

威力を倍増させる[ブースト]技でソードスキルの一撃目を

なんとかして防ぎ切り、その時の反動で間合いを取るしかない。

 

 

即座に僕は自分の体を弓なりに反らして勢いをつけると、

たちまち刀身のライトエフェクトが輝きを増し始め、

甲高く鳴り響くサウンド音も更に音量が上昇する。

 

しかし、ヒースクリフがその現象に気付かないわけがない。

 

驚愕によって一瞬、目が見開かれるがすぐに真剣な表情へと戻る。

そして数秒後、剣同士が火花を盛大に散らしながらぶつかり合った。

 

流石はあのキリトを倒しただけあって、筋力パラメータも防御力同様に高いようだ。

 

手に伝わって来る振動が迷宮区の雑魚MОBとは大違いだ。

下手したらフロアボス級の手応えがある。

 

僕はソードスキルが終了する直前まで渾身の力を込めると、

ヒースクリフの剣を押し返した。

 

『ガガアアアアアアンンン!!!』

 

という音と共に二人の距離が一気に五メートル程開く。

 

衝撃に耐えかねてフラリと体勢を崩しかけるが剣を床に突き立ててなんとか回避。

ここで技後硬直を強いられ、数秒動きが止まる。ここでヒースクリフが超人的

速さで体勢を立て直して速度重視型のソードスキルを発動させれば勝敗が決まる。

しかし衝撃に耐えかねてか、それともわざとなのかヒースクリフは

軽やかな動作で黒曜石の床に音も立てずに着地した。

 

僕よりも重装備で、

しかも左に十字盾を持ってるからバランスは僕よりも悪いはずなのになあ、

と微かに落胆しながらも油断なく彼の隙を伺う。

 

これでまたデュエルの開始直前位置に

見事に戻ってしまった訳だが、収穫もあった。

彼は基本的に自分の手の内を明かさずにコチラが攻め込んで来るのを待ち、

ソードスキルをしっかりと見極めてから反撃に移りこむのが

特徴の戦闘スタイルで、又しっかりソードスキルをブーストすれば向こうの反撃を

押し返して体勢を立て直せるということだ。。

 

これらの情報を踏まえて戦法を考えるとなると、

こちら側からしっかりとブーストした突進系ソードスキルを使用して

その衝撃で相手の体勢を崩し大剣豪最上位技で一気に攻め込むゴリ押しも出来る。

 

しかしそんな単純な技が果たして通用するだろうか?

そこまでもヒースクリフは予測しているのでは無いか?

 

僕はすぐに決着を着けたいと思う気持ちをグッと押し止めると、

もう一度思考を加速させる。

 

地道に削るべきか?

牽制しつつソードスキルを使いながら戦うか?

それとももう少し相手の出方を見てから戦法を考えるべきか?

 

僕の脳内では沢山のアイデアが浮かびながらも、

次々とデメリットを発見しては通り過ぎていく。

そんな僕の顔をヒースクリフは見透かしたかの様な微笑を浮かべながら口を開く。

 

《アベル君、やはり私が見込んだ通り素晴らしい戦闘スタイルを持っているようだ。

     そこまで真剣に私のギルドに入りたくない理由は測りかねるが、

    コチラも戦力増強の為には致し方あるまい、ここで負けてもらおう。》

 

彼はそう言うとなんの予備動作も無く、いきなり猛スピードで突進してきた。

不意をつかれて不利な状況になったが、

この勝負(デュエル)に負けるつもりはさらさら無い。

 

僕は覚悟を決めるとコチラも即座に攻撃体勢に入り、一気にヒースクリフに向かって走り寄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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