男とか男の娘とか正直ぼくにはかんけいないです 作:ストロングたかお
茜色に染まる空の下。
屋上にいる僕の目の前にはクラス内美少女ランキングNo.1の少女が立っている。
何かを言おうとして……飲み込んでしまう、そんな様子だ。
この場所に呼ばれてから約10分程度…お互い黙っている状況だ。
そろそろ我慢にも限界が…おや?
彼女の顔を覗いてみるとうっすらと赤みがかっている。
そして緊張しているのか、少し体が硬そうだ……。
…
具合でも悪いのか!?
であればドタキャンして休めば良かったのに!大変だ!
今すぐにでも保健室に連れて行かなければ!
「高幡さん!具合が悪いのなr「あの!」ファッ!?」
「あ、貴方のことが……好きです!!」
隙です!?
後ろから襲われるのかと思い直ぐさま後ろを振り返る。誰も居ない。
「他に誰もいません!貴方のことが、澤村豊さんのことが好きなんです!」
何…?ということは隙じゃなくて好きの可能性が微レ存…???
「私と付き合って、ください!」
「マジか」
「ふぇ…?あ、え、マジ、です!!」
嘘だろおい。いきなり告白だと?いくら何でも唐突すぎる……あっ。
そういえば最近告白ブームが来てるってクラスの男子G君あたりが言ってたな。
周りにもチラホラカップル誕生してたし。
てか高幡さんこんなにお嬢様感凄いのにブームに乗っちゃう系ミーハーなのか。可愛いな。
可愛いポイントZ点あげちゃうぜ。
こんなことを黙って考えていたら混乱していると勘違いされたみたいで。
「そう…なっちゃいますよね。急にこんなことを告げられたら、困っちゃいますよね」
「あー、いや…別に困っているわけではないんですけど…」
最高万々歳だけども、正直こんな僕と付き合うより他の子の方が良いと…ブームに乗って適当に選んだ可能性もあるかもだし。
いや!例えそうでも女の子の一大決心シーンなんだ!僕もしっかりと受け止めなくてどうするってんだい!!
「高幡さん!僕でよk「それでも、私は貴方のことが…そこをそのまま、動かないでください」へっ?」
ちょまっ、高幡さん顔近っ、まじか肌綺麗だなおい!女の子ってこんなに綺麗なものなの!?
そのまま高幡さんの唇が僕の唇に…っ!!
「ダメだ高幡さん!マウストゥマウスなキッスは経験値を積んだカップルじゃなきゃダメだよ!先に手をつないだりお話することから始めなきゃおっともうこんな時間じゃないか親に怒られちゃうよじゃあね高幡さん!!!」
「あっ……」
澤村 豊、彼女無し歴17年、ヘタレな童貞です。誰か僕を殴ってくれ。
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自宅で湯飲みに入れたお茶を飲み干す。
まさか17年間待ちに待った瞬間をヘタレたことで棒に振るなんて…。
いやでも仕様がないじゃん。
今まで男としか、それも一つ上の先輩と、そして同い年の親友としかつるんでこなかったもん。
くぁー…僕が先輩だったらかっちょいいこと言ってラブラブフィニッシュだったのかな…。
僕も男らしくなりたいもんだ。スマホで『手早く男らしくなりたい』と検索してみる。
えっ、『フラフープが効果的』…腹筋を鍛えるのか!よぉーし!!買ってくるぞぅ!!
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朝である。昨晩は夜遅くまでフラフープを回してたら腰をやってしまったでござる。軸ってなんやねんまじで。
なんて考えていたら目の前に高幡さんが立っていた。
「澤村さん、腰を押さえてどうかなさったのですか?」
「いや…昨晩腰を激しく動かしすぎまして…」
「!?まぁ、腰を、激しく、ですか…!?」
息を吐くようにセクハラをしてみる。顔が真っ赤だ。
今夜のメニューは決まったぜ。
「ゴホンッ!…あ、あのですね。昨日の事なのですけども…」
「アッ」
キタ。来てしまった。恋愛的な話題が来ると陰キャになってしまうのです。
なんて、なんて返せば……!!
「昨日はすみませんでした!」
ファ!?……はー、まじか?お嬢様界隈でも嘘告(死語)するのか??まじかありえんわ。
クソ童貞にその遊びはダメですわ。別に涙なんか出てないし。
「実はですね、母に相談したところ、キ、キスはまだ早いと咎められまして…」
「ヌ?」
「すみません、自分の思いが抑えきれずに…碌に話をしたことが無い相手からのキスなんて嫌ですよね…。」
「なわけ」
「えっ?」
「いやですね、昨日は僕がヘタレてしまっただけなので…とても嬉しかったです。嘘かもしれないと考えもしましたが、お母様に相談するくらい本気ということも知れましたし。こちらこそ逃げてしまいすみませんでした。あの後は無事に帰られましたか?」
「はい…。何故そのようなことを?」
「何故って…高幡さんみたいな可愛い人が夜道を歩いたら危険でしょう?」
「か、かわ…!?」
またも顔を真っ赤にしている。可愛すぎではないか?
そんな風に高幡さんとイチャイチャ(主観)していると周りの学生から妬み嫉みが伴った視線を受けた。気まずい。移動せねば。
「少し場所を移動しませんか?」
「え、あ、はい…!」
やってきました屋上。
ということで、
「高幡さん。告白、とても嬉しかったです。でも僕はあまり高幡さんの事を知りません。これから、少しずつ知っていって、返事はそれからでも良いですか?」
「…そうですよね。直ぐに返事、というのは急ぎすぎですよね。わかりました!
ではまず…高幡葵です。好きな物は和菓子です。これからよろしくお願いします」
「これはご丁寧に…澤村豊です。趣味は料理です。高幡さん、よろしくお願いします」
「むぅ…」
何やらむくれている。可愛い。
「もうお友達…なのですし、葵、と呼んでくださいませんか?」
!?!?!?童貞にはハードルが高…いや!高はt、葵さんが言ってるんだから応えなくてどうするんだ!
「それなら僕の事も豊と呼んでください!葵さん!」
「さんは無しで…」
「それは勘弁してください」
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翌日の朝である。昨日は興奮で眠れなかったぜ。
「てめぇ澤村ァ!高幡さんと付き合ったってまじか!?」
「え?葵さんと?付き合ってはいないよ。まぁこれから友人として触れ合って、その後に…はあるかも知れないけどね」
「おまえ下の名前で呼んでるってまじかおまえ裏切ったな!!」
「いやまじで最近カップルできすぎだろ…おまえもすぐに付き合うんだろ?」
友人ABCに囲まれる。勝ち組でごめんなマジ!!ごめんな勝ち組でな!!
そう考えながら葵さんを見る。彼女も友人に囲まれているようだ。
微笑んでる葵さんバチクソかわいいなおい。
「高幡さんに告白されたんだってな。おめでとう」
「やめろいきなりなんだ祝いやがって」
友人Dがいきなり祝ってきた。そんなことしても購買のパンしかやんないぞ。
さて、ここまでスルーしてきたがいい加減触れるとしよう。
「何こっち睨んでんだコラタコ」
「ンェッ!?いや別に何でもねえよ!ただ、高幡さんと豊が付き合ったのかなって思っただけで…」
この僕が登校してきてからずっと睨んできた友人の名は谷嶋健人。昔からつるんでいた奴NO.2だ。
何をトチ狂ったか中学あたりから女装している。
さすがに高校ではやめると思ったがうちの学校では女装すると学費免除なので続いた。
女装前を知っている身としては複雑だが、正直かわいい。本人には絶対に言わないけどね。
「まぁその内付き合うとは思うよ。そうなったら祝福してちょうだいな」
「祝福って…むぅ…」
やめろ男がむぅとか言うな。
おや、先生が来たようだ。
「えー、みなさん。今日は大事なお話があります」
大事な話…何だ?先生にも彼女ができたとかふざけたことじゃないよね?もしそうだったら祝うぞおい。
「詳しいことは学園長が放送でお話しして貰います。良く聞いておくように。」
結構マジなやつか…聞いておこう。
『え~、みなさん、おはようございます。』
『実はですね、うちの学校は男子校なのです。』
ほぇー、うちって男子校だったのかー。
男子校ねぇ…。
男子校…。
男子…校???
「ファッッッ!!!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
じゃあ何だ!?葵さんは、葵さんは……
うちの学生じゃないっていうのか!?!?
それは困るぜハゲジジイ!これから葵さんとイチャイチャハートフルスクールデイズを送ろうとしてたのに!!
これじゃあ送れn
「じゃあお前達男と付き合ってたってことか!?」
「馬ッ鹿おまえ男じゃなくて男の娘だぞ」
「これはこれで良いモンだぞ」
「あっちゃ~~、バレてるみたい」
「本当に情報解禁しちゃったのか~」
『既に知っている学生もいるとは思いますが、うちの学園は男の娘を周知させる…』
な~~~~るほどね。葵さんが男ね~~~。は~~~いはいはい。
「あら…大変な騒ぎになってますね。豊さん、何故みなさん騒いでいるのでしょうか」
「ん~、可愛いと思ってた女の子が男だから、かな?」
「男じゃなくて男の娘ですよ?」
「……んんん?」
正直葵さん並の魅力があれば男でもなぁ……。
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「オトコノコっていうのは、男の娘って書きます。」
ところ変わって僕の部活である茶道部の部室に来ている。そして今、後輩である瀧口伊月ちゃんに男の娘についてレクチャーしてもらっているのだ。
てか待って、伊月ちゃんって確かクソビッt……ホモビッチとか業が深すぎませんかね。
いやでも伊月ちゃんが脱いだらオニンニンが居るというわけで。いけなくもないっすね。
「…ということです。わかりましたか?」
「あーうん。可愛い女装してる男ってことね。」
「法律上はそうなりますね」
「生物学的にはそうじゃないのかい!?」
「男の娘は女装したら性別の壁を越えると考えられているので…あまりそういうことは口に出さない方が良いですよ」
「壁低すぎませんかね?」
「男の娘は男と違って妊娠できます」
「うっそだろおい」
「…って信じている人が存在してるってことです。
実際この学園自体がそういう需要のために建てられましたし。
知ってる人は少ないですけどね。最近告白する生徒が増えましたよね?」
「あー、バレる前に彼氏捕まえちゃえ的な?」
「そうです。学園側に『生徒達に学校の存在意義を教える』とかいうので情報を解禁されるからって」
なるほどねぇ。
ん?ということは男の娘について何も思ってない葵さんはブームとかじゃなく単純な告白?
最高か???
ふと、窓の外を見たらうちのクラスの男女…男女?S男とY子が言い合いをしていた。
『お前、本当に男なのかよ!俺を騙してたんだな!』
『ちがっ、男じゃなくて男の娘だから!』
『うるせぇ!結局は男じゃねえか!!もう信じられねえよ!』
『待って!お願い!お願いだから話を聞いて!!』
……。
そこに愛はなかったというわけか。正直Y子さんクソカワだってのにもったいないなぁ。
「大変なことになっちゃってんね」
「そりゃ揉めるところは揉めますよ。うまくいってるとこもありますけどね。」
「ほぇー…」
「しばらくは学園も荒れると思いますよ。容認派と反対派で」
『待って…グスッ、お願いだから…話を聞いて…ッ』
「かも知れないけどさ…さすがにあれは可哀想だわ」
「はぁ…先輩、他人事みたいに言ってますけど先輩も高幡先輩に告白されてるんですからね?」
「んー…僕は好きな人が好きなタイプだからね。葵さんを好きになれば好きって感じだし」
「……優しいんですね、先輩」
なにやら伊月後輩が達観した顔をしている。こういう顔をしてる伊月ちゃんは悪いことを考えてるって知ってるんだぜ。
「よし!じゃあそろそろ部活を始めようか、伊月ちゃん」
「そうですね、といっても私は紅茶を入れますけど……ありがとうございます」
小声の感謝がこれまた可愛いんだぜ。
この後健人もやってきて三人でお茶飲みまくってやりました。
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性別がどうでも構わない
とは言ったがやはり今日はイベントが多すぎたので屋上で一息つきにきた。
「おう、澤村じゃねえか。高幡に告られたらしいなお前。何か変なことされなかったか?」
しかし、そこには先着が一人。
いつも腰にジャージを巻いている水色髪の不良な先輩、住山暁先輩だ。
不良のわりには礼儀正しく、男前な美人である。
「あー……いや、何もされてないですよ」
「何だ?今の間はよ。まぁいい…お前も吸うか?」
そう言って彼女は箱…煙草を取り出す。
「先輩、さすがにそれは見過ごせないですよ」
「あっはっは!本物じゃねぇ、駄菓子だよ」
「マジですか。なら一本いただきます」
「本物もやったことはあるが、ありゃ体力が落ちんだよな」
「聞き捨てならないっすね」
「別に吸えねえわけじゃねえぞ?ただ喧嘩をするには邪魔なんだ」
「いやだから吸っちゃダメですよ!?」
「細けぇことは気にすんじゃねえ」
なんだかなぁ……。
でもこの先輩とのやりとり、幼なじみとのやりとりを思い出すので結構好きな時間である。
ん?
「そういや、朝の放送からしたら先輩も男の…娘?って奴なんですよね?」
「んー…まぁな。そりゃわかっちまうよな。」
そう呟き、先輩はポケットから髪留めを取り出す。
あれ、この髪留めは…
「これ、覚えてるか?昔オレの髪が長かった時に留めるためにってお前が渡してくれた奴だよ。」
「あ、あきら先輩…!?」
「今は住山暁って名前だ。…へへっ、久しぶりだな」
「………」
いやさすがに声が出ませんよ。
だってあきら先輩ってオラオラでドラララで無駄無駄なパワフルボーイだったってのに…。
今じゃこんな美少女…美少年だなんて。
「先輩がそんな女らしい格好を…」
「色々あんだよ。好きこのんで着てるわけじゃねえ」
「色々ですか?」
「あぁ…高幡、いるだろ?この学園はアイツの家が経営しててな。
アイツの家系は代々男と男の娘が結婚して子供を産むってシステムらしい」
「先輩って生物の時間寝てるんですか?」
「馬ッ鹿、オレだって信じてねえよ。両性具有とか、人工的に子宮作ったりとかじゃねえの?」
「なるほど…それで、先輩と何か関係が?」
「あぁ、うちの親な、離婚したんだ」
「あー…だから苗字が違うってことですか」
「それで金が無くてな」
「女装して学費免除と…」
「そういうことだ。うちの学園では男の娘は優遇されるからな。オレみたいに仕方なくって奴は結構居るぜ。」
「優遇って?」
「就職先斡旋とか、指定校推薦とか…か、彼氏を作ったら学費を大幅に減らす、とか」
「はぁ…あきら先輩には彼氏居るんですか?」
「馬鹿野郎!オレが知らねぇ男と付き合う人間だと思うのか!?
まぁ、そこでなんだけどな。オレと付き合ってるフリ…をしてほしいんだ。」
「ファッ!?」
「あくまでもフリだ、フリ!本気で付き合うわけじゃないし、もしアレだったら高幡にだけはバラしてもいい!」
「いや、まぁ、フリならそれでいいですけど…」
「よっしゃ!決定だな!!」
あきら先輩はガッツポーズを取って喜んでいる。
しかし、この僕が男として憧れていたあきら先輩の彼氏役…複雑である。
これからの学校生活、波乱の予感しかしないね、うん。
誤字脱字報告よろしくお願いしまッシャー
健人回はおいおい