ただただ、少年がドSお嬢様に振り回されるお話   作:雨が嫌い

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世の中バカばかり

あの日、ライネスと自己強制証明(セルフギアス・スクロール)を結んでから約一年。俺やライネスを狙ってくる刺客を蹴散らして、疲弊しているところにライネスからの無茶ぶりをされる日々。もうマジで、疲れた。他人の不幸が好きだと豪語するだけあって、その無茶ぶりは凄まじい。

 

「今日は、アビーロードの洋菓子店でダークシュガーのチョコレートを買ってきてきれたまえ」

 

「なあ、俺は昨日お前を呪い殺しに来た魔術師を徹夜で追っかけていたんだけど・・・」

 

「それがどうかしたのかい?」

 

「お前、従者を労わるとかいう考えはないのか?」

 

「下僕を労わる?何を言ってるんだ。疲労困憊で、目の下にクマを作ってなお、必死にもがく君の姿を見る絶好の機会を手放す方がどうかしている」

 

「お前の行き過ぎたサディスト気質の方がどうかしている!!!」

 

「アハハ、そうかい?君の弱った姿を見るのが癖になってしまってね。想像しただけで、ぞくぞくするよ?そのいじらしい顔を踏みつけたい!ついでに泣き顔なんて見せてくれたら、たまらないよ」

 

嗜虐心むき出しの笑みを浮かべながら笑うライネス。

 

「・・・変態め・・・」

 

「可愛い下僕をからかいたくなるのは当然じゃないか。私をこんなにしたのは君なんだ。責任を取ってくれ」

 

ライネスは、ぞっとするほど妖艶な笑みを浮かべる。見るものが見れば、一瞬で恋に落ちてしまいかねないほど美しい笑みだ。まあ、残念ながら流石に俺はなれたのでそんなことはないが。

 

「ハア~、分かったよ。行けばいいんだろ、行けば」

 

 

 

 

 

 

アビーロードでお菓子を買った帰り、殺気を感じ咄嗟に顔を逸らす。すぐ傍を炎の弾丸が突き抜けていた。

 

後ろを振り返ると、そこにはローブを被った男が迫っていた。

 

こちらが制止を掛ける暇もなく、男の足払いが決まる。体勢が崩れた俺の腹へと肘うちが迫った。 

 

「このっ!!」

 

身体強化をかけ寸でのところで躱し、男の体を蹴り飛ばし一気に距離をとる。

 

「・・・お前がライネス・エルメロイ・アーチゾルテの番犬か?」

 

「うわぁ・・・なにそれ、その名前そんなに広まってるのか」

 

だとしたら、心底嫌だ・・・なんて不名誉な。誰が、あの悪魔みたいな女の番犬なんぞに。

 

「ライネス・エルメロイ・アーチゾルテをだせ。そうすれば、お前は見逃してやる」

 

ここ数か月で、よく聞くようになったセリフに思わずため息を吐きそうだ。俺を殺すのが、困難だとわかった瞬間俺を利用しようという腹なのだろう。

 

「それ、俺が飲むと思ってるのか?」

 

「逆に聞くが、何故お前はあの女をかばい立てする」

 

「さあね?」

 

「あのろくでもない女に仕える理由などないだろう。自己強制証明(セルフギアス・スクロール)の効力で裏切れないだけなのだとしたら、我々はお前を解放する用意が有る」

 

ろくでもない・・・まあ、あながち間違ってはいない。だが、ライネスを悪く言うのは・・・いや、他人がライネスを悪く言うのは気に食わない。歪みきったあの性格は幼い頃からエルメロイ家の内紛や協会の権謀術数の渦中にあって自分を守るための鎧だ。そんな境遇故に友人なんてあいつにはいない。本人はむしろ幼少期の権謀術数渦巻く環境を愉しんでいたと言っているが、それは嘘ではないにしてもただの強がりだ。あいつはどこまでも純粋で、聡明だ。孤独が嫌いで、甘いものが好きな普通の少女だ。この一年で、それを分かってしまったが故に腹立たしい。何も知らないバカが、ライネスを侮辱するのは。まあ、本人には絶対に言わないが。

 

「ハハハ、見当違いもいいとこだな。俺がライネスの味方をしているのは・・・お前らみたいなバカが嫌いだからだよ(・・・・・・・・・・・・・)。」

 

「そうか、己の立場も分からぬとは・・・やはりガキだな。死ね!」

 

いつも通り拳銃を抜こうとして、違和感を覚えた。サァーっと血の気が引いていく。

 

「探し物はこれか?」

 

男が腕を上げるとそこには俺の愛用の拳銃が握られていた。ニタニタと嫌らしい笑みを浮かべているバカが視界に入り実に不快な気分に襲われる。

 

「フン、魔術師の面汚し目が。このようなものに頼るなど」

 

「・・・そのセリフは聞き飽きたよ。それに自分の勝利を過信し隙だらけのバカも見飽きた」

 

「何?」

 

「俺の戦い方を調べているくせに、肝心な部分は何も調べてないんだな。まあ、一介の魔術師程度じゃこの眼については調べることはできないはずだけどさ」

 

「何を言って・・・」

 

「拳銃を奪われた。その現実を虚構()で上書きする。」

 

そう唱えた次の瞬間には、俺の手には拳銃が収まっていた。それと反転するかの如く、男の手からは拳銃が跡形もなく消え去っていた。

 

「な、何が・・・」

 

驚愕する男。

 

そのすきを見逃すほど俺は優しくない。撃鉄を起こし、引き金を絞る。乾いた音とともに発砲される弾丸。

 

しかし、腐っても魔術師。そんなものに、当たるほど間抜けでもない。

 

「まあ、無駄なんだけど」

 

弾は初めから男を射貫いていたかの如く、男の体を捉えた。

 

「バ、バカな!?確かに躱したはず・・・」

 

「これなら、昨日の呪術師の方がよっぽど手ごわかったよ」

 

「ま、待て!?」

 

「安心してくれ、殺しはしないよ。大切な情報源だ。『ガンド』」

 

俺は速やかに男の意識を刈り取った。

 

 

 

 

 

 




だいぶ眠い状態で書いたので、後で書き直すかもです・・・。

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