新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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久し振りの執筆です。先ずは一読して下さるとありがたいです。
前作の恋姫編は一話一話が長かったので、今作はコンパクトにまとめる方針でいきます。


アニメ第1期編
第一席一刀、関羽と時空を越えて出会うのこと


 Stフランチェスカ学院。ここに通う、高校2年生の北郷一刀(ほんごうかずと)は気心のしれた友人達とその日もいつものように何の変哲もない放課後を迎え、下らない事を駄弁ってから、自宅へ戻り床についた。明日からも今日と全く変わらない日々が続く、そう思いながら……。

 

一刀

「ここは何処だ?」一刀が目覚めると見覚えのない場所に大の字に転がっていた。しかも屋外である。

 周りには桃の木が立ち並び花が咲き乱れ、パッと見は中々に美しい風景である。だが今の一刀はそれを楽しむどころではなかった。とりあえず体を起こして辺りの様子を窺ってみるが……。

一刀

 「お、あそこに人がいるぞ。まずは話を聞いて情報収集しないと。ん?何か様子が可笑しいぞ?」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 その木々の中を外套を羽織った1人の旅人が歩いている。

??

「……桃、か」何ともなしに呟く。その反対側からガラの悪そうな男が4、5人出てくる。リーダーらしき男が旅人にイチャモンをつけてきた。

男A

 「ここは俺達の縄張りでなぁ。通してほしかったら、金目のモノを置いていきな」

??

「……全く。世も末だな」旅人は呆れつつそう吐き捨て、外套のフードを外した。

 露になったのは艶やかな黒髪をなびかせる、整った顔立ちの美少女だった。

男B

 「あっ、アニキ。こいつもしかして『黒髪の山賊狩り』じゃねえですか?」

男A

 「あぁ?何だそりゃ?」

男B

「知らねぇんですかい?あっちこっちの山で襲いかかった山賊共を次々と返り討ちにしている凄腕の黒髪の美しい女冒険者がいるって、最近巷じゃちょっとした噂になってますぜ」

男A

「へっ。だからってビビる事ぁねえや。ご自慢の黒髪、素っ首ごと落として兜の飾りにしてやるぜっ!」

??

「……やれやれ」またしても呆れたように呟いた美少女は外套を脱ぎ捨てると偃月刀を構えた。

??

「我が名は関羽(かんう)!乱世に乗じて無辜(むこ)の民草を苦しめる悪党め!今までの悪行を地獄で反省したくば、かかってこい!」偃月刀を振り回し、悪を断たんとする。

関雲長(かんうんちょう)、いざ参る─

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

関羽

「……さて、と。隠れてないでそろそろ出てきたらどうだ?」山賊達をアッと言う間に撃退した関羽は草むらに潜んでいた一刀に、声をかけた。

一刀

「やっぱりバレていたか……」

関羽

「気付かないハズがないだろう……ん、何だその格好は?」

一刀

「え?」一刀は自分の服装を改める。一番新しい記憶だと寝間着に着替えてから床についたのに、今の一刀は聖フランチェスカ学院の制服姿だった。

一刀

「えっと、これは……そのどう説明したら良いモノか……」言葉に詰まる一刀。目の前の少女やさっきの(たち)の悪そうな男共の服装や、平然と武器を手にしていたり、何よりこの少女が『関羽』と名乗っていたところから、自分は古代中国風の見知らぬ世界に来たぐらいの事は察しがついていた。

一刀

(関羽ってあの三国志のだよな?軍神と呼ばれる?美髭公(びしゅうこう)で有名な?それが何で女の子に?)

関羽

「どうかしたのか?」パニクっている一刀を不思議そうに見詰める関羽。顔と顔の距離が1cmぐらい近づいていた。

一刀

「あ、あの、ちょっと!顔が近い!」

関羽

「うっ!ス、スマン!」関羽は真っ赤になりながら、慌てて一刀と距離を保つ。

 

 誤魔化す手立てが思いつかなかった一刀は自分の状況を包み隠さず、正直に話して聞かせた。訳が分からないといった表情の関羽に、スマホを取り出してカメラ等の機能を見せてみた。

一刀

「な。こんなモノ、この世界にはないだろ?」目をパチクリさせる関羽に一刀は自分のいた世界について語って聞かせた。始めは怪訝な顔をしていた関羽だが次第に納得したようだった。

関羽

「うむ。にわかには信じられない話だがその服といい、その『すまほ』なるモノを見る限り本当の事らしいな」

一刀

「信じてもらえて良かったよ」安堵する一刀。だがそこにまたしても、厄介な相手が現れた。

一刀

「……あれは、ジャイアントホッグだな」この世界には魔獣もいた。体高が5メートルはありそうな巨大な猪が、涎を垂らしながら一刀と関羽を眺めている。どうも2人が餌に見えるらしい。

関羽

「じゃい……?その呼び方は知らんな。この辺りでは山猪(やまいのしし)と呼んでいるが」

一刀

「呼び方はこの際置いておこう。それよりもこいつが村に入ったら、大変なんじゃないかな?」関羽が進もうとしていた方向に小さいながら、村がある。2人はここで食い止める事に決めた。

 関羽は先ほどの偃月刀を、一刀は日本刀を得物にジャイアントホッグを攻撃する。しかしこの魔獣、やたら皮膚が厚いようでその上、頑丈に出来ているらしく傷1つ負わせられない。

一刀

「しょうがない。アレ(・・)を使うか……【アッケレラーティオ(加速)!】」忽ち一刀は目にも止まらないスピードで飛び回り、ジャイアントホッグを一瞬で切り捨てた。

関羽

「ほ、北郷殿。今のは一体……?」

一刀

「ああ。アッケレラーティオか。俺達の世界では、誰もが1つずつ特別な……力を持っていてね」実は一刀のいた世界は、私達の世界と似て非なるモノである。まず殆どの人間がそれぞれ1つだけ、超能力を使えたり、何らかの特異能力があったりするのが当たり前の世の中であり、先ほどの魔獣なども普通に害獣として存在する。話が進むごとに詳細は説明するが、とりあえず読者の皆様は、ワン○ースの悪魔の実(海の影響は受けない)や9人の○イボーグに近い感じだと解釈して下さるとありがたい。

関羽

「そうか……色々とスゴいのだな。北郷殿の世界とは」

一刀

「ま、まぁね……それよりこの死骸をどうしようか?」

関羽

「討伐した証明として、耳を切り離そう。冒険者組合に持っていけば幾らかにはなる。小さな村のようだから大金は期待出来んだろうがな」関羽曰く、この世界では魔獣を退治して、耳など体の一部、若しくは死骸を丸ごと冒険者組合に持って行くと懸賞金が支払われるらしい。

一刀

「そっか。じゃ換金したら山分けって事で良いかな?」

関羽

「イヤ。倒したのは北郷殿だ。私は何もしていないのだから金を受けとる訳には……」

一刀

「じゃあ、しばらく旅の供にしてくれないか?どっちみち俺1人じゃ戸惑う事だらけだと思うし」

関羽

「それは構わぬ。これも何かの縁。宜しく頼む北郷殿」

一刀

「こちらこそよろしく、関羽さん」かくして1人の少年と1人の少女は2人となり、この古代中国にRPGファンタジーが混ざったような世界で冒険を繰り広げる運びとなった。この続きは次の講釈で!

 

 




次回は張飛登場予定です。
原作(アニメ)との違い
・アニメでは『武芸者』と呼ばれる関羽達だが、本作では『冒険者』とする。
・関羽は村に入るまで一人旅→転移してきた一刀を旅の供にする。以降一刀の存在全てがアニメと異なる。
・どちらかといえば時代劇→ジャイアントホッグや冒険者組合の存在など、異世界物要素が濃くなっている。

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