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これは馬超がまだ幼い頃、父の馬騰から武術の手ほどきを受けていた時の話。早朝、庭先にて棒を構え、互いに向き合う父娘。父にはまるで隙がないのに対して、娘はブルブル震えている。
馬騰
「……翠。何か隠し事をしているな?」
馬超
「な、何言ってんだよ父ちゃん!あたし今朝はオネショなんかしてなっ……あ!」
馬騰
「ハッハッハ。隠し事はオネショか」クスクス笑う父に食って掛かる幼い馬超。
馬超
「うぅ~。け、けど何であたしが隠し事しているって分かったんだよ?」
馬騰
「武術とは正直なモノだ。心に疚しい事があれば、それが気の濁りになって現れる」
馬超
「そ、それじゃあ……」
馬騰
「ああ。お前の構えには心気の曇りが感じられた」父に全て見抜かれていたのが恥ずかしいのか、馬超は目を伏せる。
馬騰
「どうしたんだ?オネショの事なら気にする事はないぞ?」
馬超
「違うよ。父ちゃんにはあたしの構えを見て、あたしの気持ちが分かったのに、あたしが父ちゃんの気持ちが分からなかったのがなんか悔しくて……」
馬騰
「何だ、そんな事か。大丈夫!ちゃんと修行すれば、お前もすぐに気が読めるようになる」
馬超
「本当に!?」
馬騰
「勿論」
ここで舞台は現実に戻る。幼い頃のある日を夢に見ている馬超は
馬超
「むにゃむにゃ……父ちゃん、あたしいっぱい練習するから……練習……」そこで目を覚ました。
馬超
「ん……夢?」寝ぼけ眼で上半身を起こしたら
星
「やっと起きたか……」2つの寝台を挟んだ床に、星が転がっていた。
馬超
「なんでそんなトコで寝てんだよ?」
星
「好きでこうしている訳じゃない。寝ている間にお主に突き落とされたのだ」昨夜は路銀の節約の為に、2つの寝台に2人ずつで寝ていた。
馬超
「えっ?ゴメン、あたし寝相悪くって!」慌てて詫びる馬超。
星
「なに、そう謝る事はない。お返しに私もお主が寝てる間に……イヤ、見た所生娘のようだし、何をしたのかは黙っておこう」そう言いながらマジマジと馬超の体を、艶かしい目で眺める星。
馬超
「おい!寝ている間、一体あたしに何かしたのかっ?オイ!」朝早くからちょっとした騒ぎになる。因みにいつもなら、こんな状況を納める役である愛紗は鈴々と1つの寝台で未だ仲良く寝息を立てていた。
馬超
「いやぁ。相部屋させてもらった上に飯まで奢ってもらって悪いなあ」頭を掻きながら礼を言う馬超に、
鈴々
「気にしなくて良いのだ。旅は道連れ、世は、えーと……世は情けないってよく言うのだ!」
忍
「『世は情け』よ」
愛紗
「まあ二人部屋にムリ言って四人で泊めてもらったのだから、情けないといえば、情けないが……」一刀と忍は『こいつと同じ寝台で寝るよりマシだ(わ)』と、2人は宿屋の裏を借りて野宿した。そして今朝、合流して同じ卓で朝食を摂っている。
鈴々
「やっぱり武道大会の賞金、貰っておけば良かったのだ」
馬超
「そうだよなぁ。しっかし今更ノコノコと取りに行くのもなぁ……」
星
「そういえばお主ら。こんな話を知っているか?昔、
馬超
「へぇー。で、それが今の話とどんな関係があるんだ?」
星
「いや、特にない」
一刀
「ないんかい!」全員が脱力する。ある意味今日も通常運転の星だった。
時は昨晩まで遡り、曹操軍が盗賊の一団を退治している。当所の予想通り賊の強さは大した事もなく、殲滅に手間はかからなかった。
曹操
「圧倒的ね、我が軍は。ワザワザ私が出るまでもなかったわ」その時だった。遠くからズシンズシンと地響きが聞こえると思いきや、瞬く間にその音は大きくなって近づいてきた。
足音の正体は体が銀色の鱗に覆われた蜥蜴の群れだった。一匹一匹の大きさは80センチくらいと、一見大した相手ではないように見える。
夏候惇
「魔獣か。華琳様、この春蘭にお任せを」
一
「あれは……メタルリザード!?夏候惇さん?ちょっと待って下さい!」一達の世界ではよく知られた魔獣、金属や鉱石を餌とするメタルリザードだった。餌のせいか皮膚がとてつもなく固く、吐息が塩素ガスを含むので、あちらでは害獣認定されている。止めようとした一だが、猪武者の夏候惇は聞く耳を持たない。
夏候惇
「我が七星餓狼の錆にしてくれる!デヤァーッ!」魔獣の固い鱗は七星餓狼を弾き返し、その衝撃は夏候惇の手のひらに思いっきり響いた。
夏候惇
「いっ……
一
「……だから待ってと言ったじゃありませんか」
夏候惇
「だって……だってあんなに固いなんて思わなかったんだっ!(泣)ヒクッ、エッグッ」半泣きの夏候惇に妹の夏候淵が駆け寄ってきた。
夏候淵
「よしよし姉者。良い子だから泣くんじゃないぞ」夏候惇の頭を撫でる夏候淵。これではどっちが姉だか分からない。曹操は夏候惇に呆れながらも、一に尋ねる。
曹操
「燈馬、こいつらを知っているようね。私達を襲う様子はないけど、放っておいて良いのかしら?」
一
「彼らの餌は鉱石や金属です。但し、塩素ガス……有毒な煙を吐いて撒き散らすので、退治しなくてはなりませんね。幸い僕の手に手榴弾がまだ残ってますから距離を取って、爆破しちゃいましょう」
曹操
「了解よ、後は任せるわね。燈馬を除いて全員撤退!」
メタルリザードを殲滅して、曹操軍は天幕へ戻る。そこには軍師の荀彧が、曹操の帰りを今か今かと待っていた。
ガチャリ。華琳愛用の鎌、『絶』が立て掛けられる音に気づいた。どうやら無事に帰ってきたようだ。荀彧は曹操を頬を染めて迎える。
荀彧
「おかえりなさいませ、華琳様。随分汗をお掻きになってますわ……すぐにお拭きしますね」手拭いを取りに天幕を出ようとする荀彧だったが、曹操に腕を引かれる。
曹操
「ええ、お願いするわ。但し、手拭いではなく……
荀彧
「え、華琳様?でも……」
曹操
「どうしたの?……もしかしてイヤ?」荀彧はフルフルと頭を横に降る。
曹操
「それじゃあ……」鎧を外し玉座に腰を下ろすと、腕を上げ見せつけるように脇の下を晒す曹操。顔を赤くしながらも、嬉しそうに舐める荀彧。
荀彧
「……ところで華琳様。あの男はいつまでお側においておくのですか?」曹操の足の指を口に加えながら一の事を尋ねる荀彧。大の男嫌いな荀彧にとって、曹操の近くに男がいるだけでも面白くないのに、主君に重宝されているのはあまりに耐え難かった。
曹操
「それは……私が天下を統一するまでよ。燈馬はみすみす捨てるには惜しい男だわ」
荀彧
「……しかし華琳様ならあんな奴を使わずとも、天下を手にするのは可能かと?」
曹操
「アラ、嫉妬?フフッ、貴女が心配する事は何もないわよ。あくまで利用するだけ。今夜は貴女が伽の相手をしてちょうだい」恥ずかしそうに俯く荀彧だったが、腹の中では一を追い出す算段を立てていた。
しばらくして捕らえた賊達を護送する馬車を連れて、町を凱旋する曹操軍の姿があった。その反対側から鈴々と一刀と馬超の3人が、会話しながら歩いてきた。
鈴々
「荷物運びの仕事、思ったよりお金が貰えて良かったのだ」
馬超
「へへーん。何しろあたしの働きが良かったからな」
鈴々
「それだけじゃないのだ。鈴々だっていっぱい頑張ったのだ!」
一刀
「あ~、肩と腰が超痛ぇ~。2人ともよく平気だよなぁ」
鈴々
「お兄ちゃんはもっと鍛えた方が良いのだ……あっ!曹操なのだ!」
馬超
「え、曹操?」馬超の表情が変わる。
一刀
「どうかしたか?」一刀が尋ねるが、その言葉は馬超の耳に届かない。
人だかりに気づいた鈴々がその中を掻き分け、曹操を見つけると手を振る。
鈴々
「こんにちはなのだ!」
曹操
「うん?お前はこの前の……あの黒髪の者は一緒ではないのか」
鈴々
「愛紗達はお仕事なのだ」
曹操
「ほう。あの者は愛紗というのか」
鈴々
「愛紗は真名で、名前は関羽なのだ!」その会話の途中に馬超が割って入ってきた。
馬超
「曹操!覚悟ぉーっ!」曹操の近くの槍兵から槍を奪い取り、襲いかかっていった。不意を付かれた曹操だったが、夏候淵が咄嗟に庇い夏候惇が七星餓狼で馬超の槍をはね除ける。
馬超
「錦馬騰が一子が馬超、推参!父の仇取らせてもらうぞ!」馬超は尚も曹操を狙うが鈴々が止めに入る。
馬超
「放せ、邪魔するな!」
鈴々
「止すのだ、喧嘩はダメなのだぁ!」2人が揉み合っているところへ夏候淵が馬車を護衛していた槍兵に命を下す。
夏候淵
「何をしている?早く引っ捕らえよ!」槍兵達に囲まれた馬超と鈴々。馬超は囚われて賊達とは別の護送車に押し込まれた。
一
「あの~、夏候淵さん?」曹操達に同行していた一が飄々とした態度で夏候淵に尋ねる。
夏候淵
「何だ?」
一
「そちらは僕の友人の連れのようなので話をさせていただけませんか。一刀、これは一体……」話を振られた一刀もあまりに急な展開に戸惑いを隠せなかったが、このままにしておけず、一に相談する事に決めた。
一刀
「とりあえず、忍達に合流しよう。鈴々……この子は俺が連れていく」
一
「分かりました。状況を説明する人も必要ですね、夏候淵さん?」
夏候淵
「良いだろう」鈴々を脇に抱えた一刀は夏候淵と一を伴い、愛紗、星、忍がバイトしているメイド飯店に向かった。
アニメとの違い
・曹操と荀彧がイチャついてるところに夏候惇が報告にくる→長くなりそうなのでカット。
・賊退治の様子は特に描かれてない→魔物に遭遇するオリエピを追加。
果たして馬超の運命は如何に?