新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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アニメの夏候惇が原作よりまともだ
(|| ゜Д゜)眼帯もしてないし……。


第十三席馬超、真相を知るのこと

 ~ここから夏候惇の回想~

 銀髪で服を着崩した40がらみの美女が自分の屋敷内にある宴会場で、各諸侯や貴族達を呼び寄せて酒宴を開いていた。かの大将軍、可進である。その席には曹操と馬超の父、馬騰も招かれていた。彼らは銘々酒や食事を楽しんでいたが、可進は曹操にある事を提案した。

可進

「曹操」

曹操

「何でしょう?」

可進

「妾はそなたを知謀の士と思うていたが聞けばその方、剣の腕も中々のモノとか……」

曹操

「恐れ入ります」

可進

「どうじゃ?この中の誰かと立ち合うて、その腕を見せてはくれぬか?」

曹操

「大将軍の仰せとあらば」立ち上がる曹操だったがそれを見た他の招待客は一様に目を伏せて、誰もが関わろうとしなかった。当事から曹操の名声は各地に知れ渡っていて、みんながその強さに恐れを成していたのだ。その中で唯一人、手酌で酒を呑んでいた馬騰が可進の目に留まる。

可進

「馬騰殿。如何であろう?」

馬騰

「お望みとあらば……」酔って気が大きくなった馬騰が立ち上がろうとするのを曹操が制する。

曹操

「お待ち下さい。失礼ながら馬騰殿は些か酔いが回られているご様子。座興とはいえ、剣をお取りになるのは……」

馬騰

「何の、これしき。酔った内にも入らぬ……おぉっと!」しかし立とうとして、足がもつれて尻餅を付いてしまい、他の招待客からの失笑を受けるハメになった。

可進

「どうやら曹操の言うように、馬騰殿は少し酔われているようじゃの。無理はせぬ方が良かろう」

馬騰

「……クッ!」満座の中で恥をかいたのを紛らわす為か、その後も馬騰は酒を煽るかのように呑んでいた。やがて宴会もお開きとなった帰り道、馬に振り落とされて頭を強く打ったらしく、たまたま夜間の警備中に近くを通りががった夏候惇部隊が見つけ助け起こしたものの既に虫の息だった。

馬騰

「馬から落ちて死んだとあっては武門の恥。この事はどうか内密に願いたい……」そう言い残して馬騰は息絶えた。

 ~夏候惇の回想終わり~

 

夏候惇

「その場にいた者達には固く口止めをしておいたのだが、どこかで見ていた者がいたのか……しばらくすると妙な噂が」

一刀

「妙な噂?」

夏候惇

「そう。我が主が酒の席で恥をかかされたので、腹いせに馬騰殿を襲わせたと」

「何でよ?」

夏候惇

「我が主は少し、誤解されやすいところがあってな。こういう事が起こると口さがない者共が悪い噂を立てるのだ。恐らく馬超もその噂を真に受けたのだろう」

愛紗

「それならナゼ、真実を明らかにせんのだ!?」

夏候惇

「それは私も何度か進言したのだが『西涼にその人ありと謳われた馬騰殿の最後の頼み。それを無下には出来ぬ』と」

愛紗・一刀・忍

「……」

「変なところで非合理的ですねぇ」IQは高いがそれ故に、常に合理的な考え方をするせいか、一は人情や人の心というモノには異様なぐらい疎かったりする。

「アンタは黙ってなさい」

一刀

「ホンットお前は人らしさに欠けるな」

夏候惇

「それに父の武勇を誇りに思う子に、父の無様な死に様を伝えたくなかったのかもしれん。まぁこれは私の勝手な想像なのだが」

愛紗

「しかし、それでは曹操殿が……」

夏候惇

「そういうお人なのだ。あの方は」一は首を捻るが、他の3人は何だかやるせない気持ちになる。

「夏候惇さん。さっきの独り言、馬超ちゃんの前でもう一度呟いてくれるかしら?」

 

馬超

「嘘だ!父上が……あたしの父ちゃんが、酔って馬から落ちて死んだなんて……」檻から解放された馬超は夏候惇の独り言(・・・)を聞くと、悔しさのあまりさっきまで自分が入れられていた檻に拳をぶつける。

愛紗

「馬超。曹操殿は馬騰殿、そしてお主の事を思ってこの事を黙っていたのだ。武人としての馬騰殿の矜持、それを汲んで自ら悪評を引き受けた曹操殿の振る舞い。いずれも立派なモノだと私は思う」

一刀

「しかし、その為に君が曹操殿に恨みを抱き、その命を狙うのは君自身の為にも良くないと……」

馬超

「煩いっ!誰が曹操の手下の話なんて信じるものか!」夏候惇の目が険しくなる。

夏候惇

「ほう。では私が偽りを言っていると?」

愛紗

「夏候惇殿。馬超は今、取り乱していて……」

「アンタの気持ちは分かるけど、少し落ち着きなさいよ……」3人がかりで説得しようとするも、馬超は耳を貸さずに怒鳴り散らし、更に最悪な言葉を愛紗達にぶつけた。

馬超

「大方、お前らも曹操に丸め込まれたんだろう!?上手くいけば召し抱えてもらう約束でもしたか!?」肩に置かれた愛紗の手をはね除けて、怒りを露にする馬超。3人共そんな馬超にかける言葉が見つからずに閉口してしまう。ところがこの言葉にカチンときたのは愛紗でも、一刀でも、忍でもなく夏候惇だった。

夏候惇

「馬超!立って武器を取れ!」

愛紗

「夏候惇殿!?」

夏候惇

「私とて武人。嘘つき呼ばわりされては黙って引き下がれぬ!」

馬超

「望むところだ!仇討ちの景気づけに貴様の首をとばしてやる!」

 夏候惇と馬超は広い場所に出ると互いの得物を手に睨み合いを始める。後を追う4人。

一刀

「2人共止せ!こんな無益な争いをして何になるっていうんだ!」

夏候惇

「止めてくれるな北郷殿。死なねば分からぬバカもいるのだ!」

馬超

「ほざけ!」

愛紗

「……一刀殿。ここは止めるよりお互い納得いくまでやらせた方が良かろう」

一刀

「愛紗まで!」

「それが武人としての生き様なのね。分かったわ、一刀も手出し無用よ」

一刀

「……あ、ああ」例えどんな結果になろうと、3人はこの勝負を真摯に見届ける事に決めた。そんな中、一だけは

(遺体を解剖出来れば真意を明らかに出来るんですけどねえ。この世界の人達に解剖学を説いても理解されないでしょうし……)理解以前にこの世界で遺体の解剖など倫理に反するのだが、合理的主義者故に1人違う事を考えていた。それを察した一刀と忍に睨まれたので、流石に口には出さなかったが。

 

 夏候惇と馬超の睨み合いは続く。得物を構えたまま、両者一歩も動かなかったが

馬超

(何だこいつ?全然、隙がない!まるで深い林の静かな木立のような構え……それに澄んだ水のような気が伝わってくる……あ!)馬超はかつて、自分が幼い頃に聞いた父の言葉を思い出した。

《武術とは正直なモノだ。心に疚しい事があれば、それが気の濁りとなって現れる》

馬超

「っ!……それじゃ、それじゃやっぱり……こいつの言ってる事は本当で、父ちゃんは……ウッ!」全てを悟った馬超は得物を下ろし、その場に座り込んでしまう。夏候惇もこれ以上は無用と言わんばかりに構えを解いた。

愛紗

「夏候惇殿の心気に濁りがないのを見て、貴女が嘘をついていないのがわかったのでしょう。そうだな馬超?」そこまで愛紗が問いかけると馬超は涙を堪えきれず、

馬超

「う、うっ、うわぁ~ん!」愛紗に抱きつき、ひたすらに泣きじゃくった。

一刀・忍

「「フゥーッ」」安堵のため息を吐く一刀と忍。

 

 

 翌朝、宿を引き払い再び旅を続ける一刀達一行。その道中、先が2本に割れた分かれ道で馬超と別れる事になった。

愛紗

「じゃあ、ここでお別れだな」

鈴々

「せっかく友達になれたのに残念なのだ」

「やはり一度西涼へ戻るのか?」

馬超

「ああ。故郷の連中に本当の事を教えてならなきゃならないしな」

愛紗

「そうだな。それが良い」

馬超

「関羽達には色々世話になっちまったな」

愛紗

「イヤ何。それほどでも」

一刀

「別に構わないよ」

「気にする事ぁないわ」

馬超

「それからさ……三人共、耳を貸してくれ」馬超は愛紗、一刀、忍にだけそっと耳打ちする。

馬超

「あたしが泣いちゃった事、黙っててくれないか?特に張飛には絶対……」そう囁くと、西涼へ続く道を駈けていく。

馬超

「じ、じゃーなぁーっ!あばよっ!またなぁーっ!」

鈴々

「バイバイなのだぁ」笑顔で手を振り返す鈴々に

「友との別れだというのに、随分嬉しそうだな」不思議そうに尋ねると

鈴々

「人は相手の別れ際の顔を覚えているモノなのだ。鈴々は馬超に一番良い顔を覚えていてほしいのだ!」

「……そう。素敵ね」

一刀

「愛紗の受け売りだけどな(苦笑)」こうして再び仲良く?旅を続ける5人。さて、次回はどんな出会いがあるのやら。それは次の講釈で。

 




アニメとの違い
夏候惇と馬超の争いを止めようとするのは愛紗→一刀。愛紗は寧ろ推す。
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