新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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あ~、結局ドンパチのシーン端折ってしまった……


第十五席化け物退治、失敗するのこと

童々

「きっとこれが、化け物の置いていった岩なのですね……」

「ええ。間違いなさそうね」

一刀

「……ホントにデケぇな」門前の岩は5メートルぐらいあり、完全に出入り口を塞いでいた。普通に考えれば人力で運んでくるのは不可能だろうが、例によって一刀と忍だけは考えが違った。

「化け物かどうかは別にして……あいつなら運べるんじゃないかしら?」

一刀

「俺達も充分、化け物だけどね。あいつもこっちに来ている可能性は否めないな」

 庄屋の屋敷を訪ねていた一刀達は村から食べ物をせびる化け物とやらについて、詳細を聞いた。

童々

「庄屋様。それでは化け物が出るというのは本当だったのですね?」

庄屋

「はい。困り果ててお役人に訴えてもみたのですが、『化け物が出たなどと、怪しげな事を言ってお上の手を煩わせるな』と逆にお叱りを受ける始末でして……」庄屋がそこまで語ると、童々は椅子をガタンッと鳴らして立ち上がった。

童々

「そんな酷い事をっ……!」ナゼか興奮状態の童々に、一同唖然とする。その様子を見て、童々は我に返る。

一刀

「庄屋様、お話の続きをお願いします」一刀に促され、庄屋は再び話し始める。

庄屋

「それで村の力自慢の若者や旅の冒険者らに頼んで、化け物を退治してもらおうとしたのですが、いずれも這う這うの体で逃げ帰ってきて……」

愛紗

「そ、そんなに恐ろしい化け物だったのですか?」愛紗がピクピクと、顔を引きつらせながら尋ねる。庄屋は頷きを返すと

庄屋

「しかと姿を見た者はいないのですが、ある者は身の丈三丈で、紅く光る目をしていたと言い、またある者は鋭い牙と爪を生やしていたと言い、全身毛むくじゃらで恐ろしい唸り声を上げていたと言う者もおり……」愛紗と鈴々の表情が曇る。

庄屋

「一体この村はこの先、どうなってしまうのか……」村の将来を憂う庄屋。

「こんな時こそ、我らの出番だな」

一刀

「そうだね」

「やってやろうじゃない♪」星の一言に一刀と忍が同意すると愛紗と鈴々が驚きの声をあげた。

愛紗・鈴々

「「えぇーっ!?」」

「ん、どうした?お主達から言い出すと思っていたが……」童々はこの星の申し出を喜んでいる。

童々

「お願いできますか?」

庄屋

「ですが、相手は正体不明の化け物……」

童々

「この方達は、恐ろしい賊や魔獣をあっという間に倒してしまうほどお強くて。ですからきっと、化け物相手でも自信がおありなのでしょう」

庄屋

「ほう。ならば是非!」庄屋は一刀達の方を向いて願い出る。

愛紗

「い、イヤ、そんな勝手に決められてもだな……!」

鈴々

「そ、そうなのだ。り、鈴々にも色々都合があるのだ!」

童々

「ダメなのですか……?」

愛紗

「ダメという訳ではないが……その……」

童々

「お願いします。村の方々が困っているのです……!」ウルウルさせた瞳で頼み込む童々に対し、歯切れの悪い態度をとっている愛紗。それを見かねた忍が引き受ける。

「しょうがないわね……。良いわ、あちし達で化け物とやらを退治しましょ」

童々

「良かったぁ。引き受けて下さるのですね♪」童々は忍の手を取る。愛紗と鈴々は辛そうな表情のままだった。

「フフッ」不適な笑みを浮かべる星に一刀は何となく嫌な予感がした。

 

 

 化け物退治はその夜に決行される事となった。食べ物を運んできた村の人達と一緒にお堂へやって来た5人。

「二人共、少し震えているようだが、もしかして恐いのか?」星がからかうように、愛紗と鈴々に尋ねる。

鈴々

「こ、恐くなんかないのだ!」

愛紗

「その通り!こ、この震えはその……武者震いだ!」強気な事を言っている2人だが、どう見ても恐がっているのは明らかである。

「ほう。そうか」その返事に、白々しい態度をとる星。

愛紗

「何だ?何か文句があるのか!?」

「イヤ、別に」

一刀

「愛紗……鈴々も、後は俺と忍と星に任せて引き返したって良いんだよ?」

「そうよ。恐いモノは恐いって、素直に認めちゃいなさい」

「むぅ!」突如、星が何かを警戒するような声をあげた。

愛紗・鈴々

「「ヒャーッ‼」」

愛紗

「どうした?何か出たのか?」

「いや。せっかく月が綺麗だったのに、雲が出てきたな、と思ってな」

愛紗・鈴々

「「フゥ~……」」

愛紗

「何だ、そんな事か……」

一刀

「星も人が悪いな……」更に山の奥へ進む一行、再び星が歩みを止める

「はっ!」

愛紗・鈴々

「「ヒャーッ‼」」

一刀

(こりゃ条件反射になってるな……)

愛紗

「こ、今度は何だぁー!?」

「忍。昨日茶店で団子を食べた時、お主、私より一本多く食べてなかったか?」

「そうだったかしら?え~と、一皿16本だったから1人3本で……そうかもしれないわね」

愛紗

「今そんな事思い出さなくても……」

「フッ」そして星は再び歩き出す。

愛紗

「お主、ワザとやっているだろう(イラッ)」

 

 庄屋達は山のお堂に到着して、荷物を運び込むと、化け物退治を一行に託して村へ帰っていった。

庄屋

「それでは、お頼み申しますぞ」

童々

「化け物退治、頑張って下さいね」

鈴々

「ど、ドーンと任せるのだ」顔を引きつらせたまま、胸を叩く鈴々。

 星を先頭にお堂の中へ入った5人。堂内は蝋燭が薄暗く灯り、中の仏像や甕を照らしていた。

「これはまた……如何にも何か出そうだな」一行は丁度5角形を描くように、床に腰を下ろす。

「さて、化け物が出るまでここで待つとするか」

愛紗

「そ、そうだな」

「そういえば、あれも……こんな月のない夜だったな……」急に神妙な顔をした星が語り始めた。愛紗と鈴々が息を呑む。

「日のある内に山を越えるつもりで歩いていたのだが道を間違えたのか、行けども行けども人里に出ず、これはもう野宿するしかないかと思い始めた頃、どこからか春先の夜にしては妙に生暖かい風が吹いてきて……」気づくとこのお堂によく似た、あばら家が目の前にあったという。星の鬼気迫る話し振りに、恐さが増したらしく鈴々は愛紗の裾を掴み愛紗は一刀の腕にしがみつく。

「そこでどれくらい眠っていたのか、カリカリという何かを引っ掻く音で私はハッと目を覚ました。最初は天井裏の鼠の仕業かと思ったが、よくよく耳を澄ましてみるとそれはどうやらあばら家に置いてあった真新しい棺から聞こえてくるらしい」

愛紗

「……っ!」

鈴々

「……っ!」

「嫌な予感を覚えつつ、それでもナゼか吸い寄せられるように棺の蓋に手を掛けて、恐る恐る中を開けてみると……」

愛紗

「……(ゴクッ!)」

鈴々

「……(ゴクッ!)」

「ウワァァァーッ!」いきなり星が叫ぶと恐怖がピークに達した愛紗と鈴々は目を回して伸びてしまった。

「うっさいわよ!」

一刀

「いくら何でもやり過ぎだ!」忍は星に正座させてこんこんとお説教を、一刀は2人を揺すって起こしている。ようやく目を覚ました2人はまだパニックから抜け出せずに、そのままお堂を飛び出していく。

 その拍子に何かにぶつかり、尻餅をついた愛紗と鈴々。先を見上げると、人間の倍近い背丈の白虎が目の前に立っていた。肩と胴に2本ずつ、合わせて4本の腕があり上の腕で得物を持って、下の腕は縄で結わえた何かを引き摺っている。更にその赤い瞳が暗闇の中で怪しく光る。

愛紗・鈴々

「……ば、化け物ぉーっ!」

鈴々

「なのだぁーっ!」互いに抱き合って、再び気絶してしまった2人。

「ようやくお出ましか」お堂から星と一刀と忍が出てくると、示し合わせたかのように雲が流れて月が地上を照らしていた。化け物とおぼしき者も、月明かりにその姿を晒していた。

一刀

「なあ、あれって……」

「ん?よく見ると……肩車してるじゃない!」背丈が人の倍に見えたのは、何て事はない。2人1組で肩車した状態で現れただけである。

 化け物の正体は、愛紗や星と年齢や身長がさほど変わらない、虎の毛皮を被った少女と、その少女を肩に担いだ一刀や忍と同じぐらいの体格をした若者だ。一刀と忍は男の方に見覚えがあった。

「正体を現したな!そこで倒れている二人と違って、私達はそんなモノでは驚かないぞ」

??

「チッ……!」男は舌打ちして少女を自分の肩から下ろす。その少女は『方天画戟』という得物を星に向ける。

??

「ケッ!まさかお前らとこんな形で再会するとはな」男は一刀達に気づいていたらしく、露骨に嫌な顔をする。

「こっちのセリフよ。流華(りゅうか)

「あれもお主達の仲間か?」

一刀

「ああ、長岡流華。俺達の中で一番の怪力の持ち主だ」

流華

「お喋りはお終いか?」流華は縄を引っ張り、結わえたモノを体に引き寄せる。それはなんと、ティラノザウルスの頭部の化石だった。

流華

「うぉーりゃーっ!」ハンマー投げの要領で縄を振り回し、頭部化石を一刀達に投げつける流華。一刀は『加速』で距離を取り、忍は梟に変身して空へ逃げる。

流華

「流石にお前らには効かんか」一方、星は流華の相棒に突進して得物『龍牙』を振るうが、少女は画戟で弾き返す。

「……っ!何だ?この重い一撃は」その後も互いの得物を激しくぶつけ合っていた両者だったが、星に僅かな隙が出来たのを見極めた少女は、画戟の柄の先で星の鳩尾を突く。

「星ちゃんっ!」尚も攻撃してくる流華の骸骨ハンマーを避けながら、忍は元の姿に戻って星を抱き上げると、

「一刀、ここは撤退するわよ!」一瞬だけ躊躇う一刀だが、忍の判断が正しいと判断して気絶したままの愛紗と鈴々を担ぐ。

一刀

「流華。今回の勝負は預ける!」2人は村から食べ物を運ぶのに使った荷車に愛紗達を乗せて、忍が変身した馬に繋ぐ。一刀は忍馬に跨がり、5人はお堂を後にした。流華と相棒の少女は辺りを見回し、他に敵がいないのを確認すると、村からの食べ物を風呂敷に包み、どこかへと去っていった。

 

 庄屋の屋敷に着いた一刀と忍は、気絶したままの3人を寝台に寝かせてから今日の出来事を改めて話し合った。

一刀

「……流華は勿論だけど、あの娘も相当強かったな」

「星ちゃんがやられるくらいだもんね。ところで、流華達は何であんな恐喝じみた事をしているのかしら?」

一刀

「それは分からない。明日の朝、愛紗達とも話をして今後の方針を決めよう」

「そうしましょ。今日はもう疲れたわ」

一刀

「俺もだ。じゃお休み」2人も床につく。少女が一体何者なのか?長岡流華が彼女に味方する訳は?それは次回の講釈で。

 

 

 

 




と、いう訳で5人目の現代人の登場です。
アニメとの違い
・星は一度気絶して目を覚ました愛紗と鈴々に再びイタズラ、蝋燭で顔をしたから照らして脅かす→最初のイタズラで忍に怒られたので二度目のイタズラはなし

オリキャラ⑤
・長岡流華
本文にあった通り、仲間の中で一番の怪力の持ち主。その気になれば空母とか持ち上げるのも可能。
元々は作者初のオリ作『異世界西遊記』の主人公兼語り部。その後『ボンクレーが~』にも度々登場。当初は『長岡瑠華』という名前だったが、他の作家さんによる恋姫モノに同名のオリキャラがいたので、自粛して改名しました。特にクレームとかがきた訳ではありませんのであしからず。



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