新説・恋姫†無双~一刀と愉快な?仲間達~   作:越後屋大輔

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キリの良いところまで、と思ってたらいつもより長くなってしまった……
アニメ再確認したら、呂布のメイド姿がメッチャ可愛かった♪


第十六席童々、正体を明かすのこと

愛紗

「化け物ではない?」

「ああ。紛れもなくあれは、人間だ」童々を含めた6人で朝食を摂りながら、星達は昨夜見た事を伝える。

愛紗

「お~の~れぇ、謀りおって……しかし、そうと分かればもう恐くはない!」

「やはり、そうと分かる前は恐かったのだな……」

愛紗

「うっ、イヤ……それは。と、とにかく!化け物でないのなら、今度会った時は必ず成敗してくれる!」

鈴々

「コテンパンにしてやるのだ!」

「確かに奴らは化け物ではない。だが、強さは化け物並みだ」

童々

「化け物並み……」

一刀

「……確かにな」一刀はあの時拾った、犬の形をしたストラップのような飾りを手に、それを眺めながら返事をした。昨夜、少女の画戟に糸で結わえていたモノが、星との闘いの最中に外れてしまったのだ。

「流華も一緒よ、あいつも生半可な強さじゃないわ」一刀と忍は自分達の出自も合わせて、あの晩直接会った星以外にも流華について話してある。

「化け物並みの強さを持つ二人連れ。いつぞやの魔昴の時より厳しい闘いになるやもしれんな……」

 

 日の高い内に再び昨夜のお堂を訪れた一行は周りの地面に目を落としながら、何かを探していた。

愛紗

「しかしここまでついてこなくても。童々殿は村で待っていれば良かったのに」

童々

「相手が化け物でないのなら、こんな事をするのは何か理由があるのかも。もしそうなら話を聞いて……」

「あった!」星が目的のモノを見つけるとみんな集まって、一斉の足下に視線を落とす。

 そこには2人分の人の足跡があった。大きさからして、男女1人ずつのモノと思われた。

一刀

「大きい方、俺達と同サイズな足跡が流華だろうな」

「隣の小さい方が毛皮を被ってた娘ね」

愛紗

「あちらの方へ続いているみたいだな」

鈴々

「行ってみるのだ!」足跡を辿っていくと、やがて低い崖の上に出てきた一行。そこから崖下を見下ろすと、人が暮らせそうな洞窟と焚き火をした痕跡を発見した。あの2人の住みかに間違いないようだ。

「恐らくあれが、奴らの住みかだ」

 

 一行が洞窟に近づこうとした時、後ろから現れた2つの人影に襲われた。流華と昨夜の虎の毛皮を被っている少女だった。飛び上がりながら振り下ろされる画戟を愛紗の青龍刀が受け止める。

鈴々

「下がっているのだ!」

童々

「……はい!」童々を安全な場所に避難させて、愛紗と鈴々はリベンジとばかりに、少女へ得物を向ける。

??

「……昨日、勝手に気絶した二人」ボソッと囁く少女だが、確実に2人の痛いところを付いていた。

愛紗

「うっ!さ、昨夜は不覚をとったが、今度はそういう訳にはいかんぞ!」

鈴々

「鈴々の強さ、思い知らせてやるのだ!」

「アンタ、化け物でなければ名前があるでしょ?」忍が問うと、少女は毛皮を頭から外して囁くように静かに答えた。

呂布

「……呂布(りょふ)奉先(ほうせん)」次の瞬間、呂布は画戟を振るって攻撃してきた。それを正面から受けた愛紗の顔が歪む。

愛紗

「……くっ!」

鈴々

「おぉりゃぁー!」隙をつこうと横から打ってかかる鈴々だったが素早く下ろされた呂布の画戟に防がれる。忍はライオンに変身して、互いに縦横無尽に動きながらライオンの爪と画戟で弾き合いを繰り広げる呂布VS忍。愛紗と鈴々も加勢するも、3人がかりでも呂布の強さは引けをとらない。

鈴々

「……こんなの、初めてなのだ!」

愛紗

「な、何だ?こいつは……」

「だから言ったでしょ?強さは化け物並みだって!」

 

 流華は庄屋の門前に置いたモノと同サイズの岩を自分の周りに幾つも並べていて、その1つをムンズと掴むと一刀と星に投げつける。

流華

「あらよっ!」

一刀

「危ねっ!」加速を使って割と楽々と、岩をやり過ごす一刀。一方で星は向かってくる岩に龍牙を刺し、その反発力を利用して必死に避けていた。

「……くっ!」

流華

「ソラソラーッ‼」お手玉のように、巨岩を次々に投げつける流華。

一刀

(これじゃキリがないな)一刀がそう思った時、呂布の画戟が愛紗達を打ち損じて一本の木を切り倒した。

 そこからは時間にして1秒もなかった。ナゼか子犬が洞窟から飛び出してきて、木は子犬を下敷きにせんとばかりに落ちていく。

童々

「危ないっ!」童々が子犬を庇って抱き抱えて、木の間に入った。

呂布

「……はっ!」

流華

「ヤベェ!」童々と子犬はそのまま木の下敷きになった……と思ったが間一髪、愛紗と鈴々が青龍刀と蛇矛で木を支え、事なきを得た。

童々

「ウフフッ、ダメよ。くすぐったいわ」子犬に顔を舐められて、安堵の笑顔を浮かべる童々。その光景を見た呂布は得物を引っ込める。

呂布

「……お前達、良い奴……良い奴とは闘えない」

流華

「呂布?まぁ、しゃあねえな。お前がそう言うなら俺も闘う意味がねえ」流華はそう言うと残りの岩を、使い物にならなくなるよう拳で粉砕した。

 

 一刀が犬のストラップを呂布に返して、2人の話を聞く事にした。

童々

「村人に食べ物を貢がせていたのは、犬の餌にする為だったのですか……」

呂布

「自分で餌代を稼ごうとしてみた事もあったけど……」その強さからは想像出来ないほど、相変わらず小さい声で呟くように語る呂布。だが、今回は若干恥ずかしそうにしている。

 話によると、愛紗達が以前バイトしていたメイド飯店がこの辺りにもあり、呂布はそこで働いていたらしいのだが……。

 

 ~ここからは回想シーン~

 客が扉を開けて入店してきて出迎える呂布だがあまり愛想が良くないせいか、気まずい顔の客。

呂布

「お帰り……なさいませ……ご主人様」

「え~っ?」注文をとりに行っても

客A

「えぇーっと、俺は炒飯と餃子で」

客B

「俺も同じの。但し、炒飯は大盛りで」

客C

「俺は担々麺。後、春巻も」

客D

「俺は回鍋肉に白飯。それから卵スープ」覚えきれなかったのか、呂布が繰り返した注文は……

呂布

「……ラーメン四丁」

客4人

「「「「だぁ~っ!」」」」

 ~回想シーン中断~

 

鈴々

「全然ダメダメなのだ」

愛紗

「お前が言うな」以前、呂布以上にやらかしてメイド飯店を追い出された鈴々に愛紗が突っ込む。

呂布

「その時、長岡に会った……」

 

 ~再び回想シーン~

 当然ながら馘になり、お金がなければ犬に餌をあげられないと困っていると、誰かが食べ物を差し出してきた。

??

「ったく。しょうがねえなホレ、店の残飯だ。バレない内に持ってけよ」メイド飯店で厨房を担当していた流華だった。

 

 ~回想シーン終わり~

 

一刀

「そこで2人は出会ったって訳か」

「じゃこの娘……呂布ちゃんはともかく、なんでアンタが化け物騒動の片棒を担いでたのよ。一応働いていたんでしょ?」

流華

「そうは言っても、俺1人の稼ぎじゃ餌代に全然足りねえんだよ」

「犬一匹買うのに、あれだけの食べ物は要らんだろう?」

呂布

「……一匹じゃない」呂布が指笛を鳴らすと洞窟から、何10頭もの犬と子犬が出てきた。大きさも犬種も様々だ。

愛紗

「こ、これは確かに……」

一刀

「あれぐらいは必要か」犬達は人懐っこいのか、愛紗や一刀達に甘えてくる。彼らも愛らしい犬達を抱き上げる。呂布はさっき木の下敷きになりかけた子犬を抱いて、語り続ける。

呂布

「……友達、沢山……みんな、捨てられたり、怪我してたり……可哀想で放っとけなかった……」

一刀

「だからって、無闇に多頭飼いするのは良くないよ。餌だけの問題じゃない、下手をすれば犬同士で殺し合いとかにもなりかねないし」

「流華。それが分からないアンタじゃないでしょ?何で止めようとしなかったの」

流華

「そりゃ俺だってもっと良い策がありゃそうしたさ。けどあっち(俺達の世界)でもお役所も多頭飼い問題は後回しだろ?こっちはそれが尚更だ。結局、他にどうしようもなかったんだよ」論破されて何も言い返せない一刀と忍。

 

 崖の上から馬を走らせる音が聞こえる。

??

「あっ、(ゆえ)!」メガネの少女が馬を降りてこちらに駆け寄ってくる。心当たりがあるのか、童々は声がした崖の上に登っていった。

童々

「アラァ、詠ちゃん♪」

??

「『アラァ、詠ちゃん♪』じゃない!連絡がくるまでボクがどれだけ心配したか……」

童々

「ごめんなさい」

??

「下々の声を直接聞きたいというのは立派な事だけど、もし危ない目にでも遭ったりしたらぁ……」

童々

「それなら大丈夫。今回はこの方達が助けて下さいましたから」一刀達へ顔を向ける童々。メガネ少女と目が合ったので、互いに会釈を交わす。

??

「……って!危ない目に遭ったの!?」

童々

「ええ。少しだけ」

??

「……っ!」童々へ何かを言い足そうとしていたメガネ少女に愛紗が尋ねる。

愛紗

「あの~。お取り込み中、申し訳ないがお主は一体……?」メガネ少女は衝撃の事実を口にする。

賈駆

「我が名は賈駆。字は文和。こちらにおられる、太守の董卓様にお仕えしている者だ」

愛紗・鈴々・星・一刀・忍

「「「「えぇーっ‼」」」」

一刀

(と、董卓って、確か暴君で有名なあの董卓かぁ!?)

(ウッソー!あまりにもイメージが違いすぎるわ!)『三国志』の知識があるが故に、一刀と忍は別の意味でも驚いていた。

賈駆

「それで、化け物の件は?」

董卓

「もう解決しちゃった♪」最高の笑顔で答える董卓にスッカリ脱力する賈駆だった。

賈駆

「あっ、そう……」

 

 庄屋と共に董卓の屋敷に招かれた一刀達一行。謁見の間にて待つこと少し。

童々

「お待たせ致しました」村娘の簡素な出で立ちから一転、太守に相応しい礼服に身を包んだ童々改め、董卓が姿を見せた。派手な装いでも、決して清らかさを失ってない彼女に一同感嘆の声を漏らす。

 

庄屋

「なるほど。そういう事でしたか」董卓から事情を全て聞かされた庄屋は得心した様子だった。

董卓

「確かに呂布さん達のした事は良くない事です。ですがそれは全て、傷つき、捨てられた犬達を救う為。決して悪心から出た事ではないのです。門前の岩もすぐに退けますし、出来る限りの償いもするそうです」董卓は庄屋に説明してから、呂布に話を降る。

董卓

「そうですね?呂布さん、長岡さん」

呂布

「……(コクッ)」

流華

「ああ」呂布は小さく頷き、流華も同意の言葉を口にした。

庄屋

「いや、分かりました。既に本人達からも謝ってもらった事ですし、村人には私の方から話をしてみましょう」

董卓

「そうしていただけると助かります。ところで詠ちゃん、役所では、化け物が出て困るという訴えを取り合わなかったとか?」賈駆に向き直り、厳しい顔で確認する董卓に対し、言葉に詰まる賈駆。

賈駆

「えぇっと、その……」

庄屋

「董卓様。その事はもう済んだ事ですので」庄屋がフォローしようとするが、董卓は真剣な面持ちで語る。

董卓

「いいえ、良くありません。どんな些細なモノであれ、民の訴えを疎かにせぬのが政の基本なのですから」

賈駆

「畏まりました。今後そうした事のないよう、全ての役人に厳しく申し付けます」

董卓

「良いでしょう。それから……あの子達、私の所で飼ってあげる訳にいかないかしら?」謁見の間にいる犬達を見つめて、賈駆に提案する。

賈駆

「……って!あの犬全部を?」

董卓

「詠ちゃん。この間から、最近街の治安が悪いのは、警備の兵士が足りないからだって、言ってたでしょう?だから、あの子達をちゃんとしつけて、街の警備の手助けをしてもらうの。どう?良い考えでしょ?」

賈駆

「そりゃあ、ちゃんとしつける事が出来れば泥棒避けになるかもしれませんが……」

董卓

「それなら大丈夫。呂布さん、犬達のしつけ、お願い出来るかしら?」

呂布

「……(コクッ)」

賈駆

「待って月!ボクはまだ飼って良いとは……」

董卓

「……ダメ、なの……?」祈るように指を組んで、ウルウル瞳で賈駆に尋ねる董卓。

賈駆

「あぅ……」こうなると董卓には弱い賈駆だった。

董卓

「お願い……」

賈駆

「うっ、イヤ、それは……」呂布や犬達、流華までがお願いしますとばかりに、ウルウル瞳で賈駆を見つめる。

一刀

「流華、お前は止めろ」

「アンタがやっても逆効果よ」

賈駆

「うぅ……分かった、飼うよぉ」遂に賈駆は折れた。

董卓

「詠ちゃん、大好き!」賈駆に抱きついてお礼を言う董卓。

賈駆

「ちょ!月、大好きって!?い、言っとくけど、こんな無茶なお願いは今回だけだからね!ホントに。もう、絶対に!」ツンデレる賈駆に、呂布が反対側から飛びかかって抱きついてきた。しかも頬ずりまでしてくる。

賈駆

「ちょ!何だぁ!?」

鈴々

「きっとお礼の気持ちを表してるのだ」

賈駆

「って!だったら口で言え~!つーか懐くなぁ~!そこのサル面、こいつ何とかしろー!」

流華

「俺がぁ!?」まるでコントみたいな状態についつい和んでしまうそれ以外の面々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメとの違い
・呂布に名を尋ねるのと、犬のストラップを持っていたのは星→ストラップは一刀、名を尋ねるのは忍。

・不定期公開、あとがき劇場(第1回)


「ところでアンタ、ネギ臭いわよ」
流華
「村からせびった食い物にネギが混ざってたからな、全部俺が食った」
一刀
「犬にはネギは毒だしね」
呂布
「知らなかった……」

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